角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

四十七年後のリベンジ。

2024年01月19日 | 地域の話


【完全おまかせ22㌢土踏まず付き 6,100円税込】


今から四十七年前、私が中学二年生のときです。
父親の知人にとある政党新聞を取り扱う男性がいました。
たまたま配達員を求めていた男性から私に話があり
月額四千八百円というバイト代に強く魅せられ
引き受けることにしました。

当時私は軟式庭球部に所属していて
ラケットやシューズといった用具代が
決して裕福ではないわが家に大きな負担でした。
ですから私はそのバイト代で過分な買い物や
無駄遣いをしたという覚えはありません。

何月から始めたのか定かではないですが
何度かバイト代をもらい、やがて冬になりました。
真っ暗な雪道を自転車に乗っての新聞配達は
少年の労働意欲を根こそぎ奪うものでした。
おそらく翌日には辞めたと思います。

その四年後高卒で社会に出てから四十三年
草履職人となるまで複数の生業を経験しましたが
「ツラさから逃げた仕事」はかつての新聞配達だけです。
これが私にとって喉に刺さった魚の小骨のごとく
心に残る小さな痛みとなっていました。

今年八月から始めた新聞配達は、現在真冬に入っています。
当時の自転車から自動車へと変わったものの
除雪車さえまだ走っていない降雪道路を一番に走るのは
なかなか緊張感があるものです。
しかし心には確かな「リベンジ」を感じています。
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