角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

ここに入ったが運の尽き。

2010年06月19日 | 家族の話


今日の草履は、彩シリーズ26cm土踏まず付き〔四阡五百円〕
茶色の無地をベースに、合わせは薄茶基調の竜馬プリントです。
私も楽しませてもらった竜馬プリントでしたが、そろそろ生地在庫が尽きそうです。ベースに一足分はありませんでしたから、組み合わせに利用しました。ときにはこういう配色が目立ってイイものです。

大仙市からお越しのおばさまお二方。西宮家には特に目的もなく入って見えた様子です。角館草履の展示パネルをしみじみ眺めておいででしたから、試し履きをお勧めしてみました。実演をご覧いただきながら健康効果などをご説明すると、お二方ともすっかり気に入ってくださり、それぞれにお気に入りの配色をお選びです。
おひとりのおばさまが、もうおひとりのおばさまの娘さんにもプレゼントされるとのことで、合わせて3足のお買い上げとなりました。

その後米蔵の中へと入っていかれたお二方は、何点かのお気に入りをお買い上げのご様子。お帰りに草履コーナーの前でおっしゃるのは、『はぁ~、ここへ入ったのが運の尽きねぇ』。
つまりお買い物が目的ではなく西宮家を訪れたお二方は、予定外の出費をしてしまったという意味なんですね。
ときにこうした言葉が聞かれますが、これは後悔ではありません。それはおばさまの笑顔を見れば、一目瞭然というわけです。

今から二年と少し前、三女が中学生となった春です。小学校時代からスポーツに一定の素質を現していた三女は、中学の部活をなににするか考えていました。姉の双子は共に文化部で、スポーツとは縁がありません。そんな姉たちと同じ部活に入ることも、三女の選択肢にありました。

部活申し込みの期限とされていたゴールデンウィーク明け、三女が自ら決めたのが「卓球部」。私もカミさんもルールさえ知りません。私は中学時代軟式テニス、カミさんはバレーボールでした。私が三女に言ったのは、『おめぇ、ほんとに卓球でイイのがっ』。三女の答えは、『うん、卓球やるべっ』。
三女の目に卓球がどれほどのものに映ったのか分かりませんが、いずれひとりで考えひとりで決めました。

中学ともなると、小学校時代から同じスポーツを通している子が何人もいます。当然同じスタートラインというわけにはいきません。一年生時の球拾いからコツコツ練習を重ね、人間関係にもまれながらの二年間。三女は卓球の腕と共に、その人間性をも成長させました。

今日は郡市総体二日目、団体戦の後半です。今日の結果次第では、場合によって県大会出場が阻まれる可能性がありました。確実に上の大会へ進出するためには、7戦全勝がなにより確実なわけです。
『目指すは完全優勝だどっ』。会場へ応援に行けないオヤジは、朝三女が出かける場面でこう言いました。三女が返した言葉は、『おぅ、わかってるっ』。
15時35分、会場に詰めていたカミさんからのメールはたった一行、『団体、涙の優勝』。
カギを握る最終戦は、三女が務める一番手を皮切りにストレート勝ちだったそうです。ひとりの親が感極まると、詰めていた親の会のみんなが歓喜の涙を流したそうですよ。

『卓球を始めたのが運の尽きだべっ』。中学で初めてラケットを持ち、いくつもの葛藤に耐えていた三女。カミさんとの会話で、一度だけ言ったことがあります。
しかし今日の三女、そしてチームメイトの輝かしい栄冠を聞くとき、それは後悔ではない喜びの言葉に変わりましたね。
帰宅後私を見つけた三女の“ドヤ顔”が、なんとも誇らしく見えました。

さぁて、明日は個人戦の最終日です。

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