角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

出会いから継続へ。

2012年12月25日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡六百円〕
美しい和柄に優しいピンクの組み合わせは、穏やかな日本の女性といったイメージでしょうか。今日編んだ最後の草履がこちらで、ひとまず在庫となりました。お正月らしい色使いにも思えますから、元日にまた展示しましょう。

本日322日間をもちまして、2012年の草履実演を終えました。東京の仕入部長さんからいただいたブログコメントにもあるように、一年の88%を務め上げたのは結構頑張ったと思いますね。

本日のお買い上げは定番配色①の23cmが1足でした。一年のラストの日に配色ランキング一位の草履が選ばれたのも、もしかしたら誰かからの労いかなとも思えます。

今年もいろんなお客様と出会えた一年でした。角館を旅し、西宮家に入って草履実演に立ち止まる。お互いの人生の中で、ホンの一瞬の出来事ですよ。でもその何%かはリピーターさんとなって、また会えることになるわけです。大きくて大切な「縁」だと思いますね。

11月18日のブログでご紹介した青森県のおばさまから、先日お電話をいただきました。ご自身で履く草履はお買い上げだったのですが、お電話はミニ草履のご注文です。『確かトイレに飾るおまじないがあったでしょ。お世話になっている方へ、クリスマスプレゼントにしようと思って…』。
実演席でのおしゃべりを憶えてくれていたんですね。

そのお電話の際に、草履を履いてみてのご感想を訊ねてみました。『ふふっ』と軽く笑った後におっしゃるのは、『実はまだ履いてないんですよ。今年はほんとにいろんな人たちとの出会いがあったんです。こわくびホテルもそうだし、草履屋さんとの出会いもそうなの。この思い出深い一年がまた来年も続きますようにって、草履は元日から履こうって決めたのっ』。

過去にもおひとり、元日に新しい草履をおろすというお客様がいました。年の初めに何か新しいものに替えるというのは、「気分一新」という意味が大きいように思います。でもこちらのおばさまは違いました。それは「継続」。今年の良き思い出を来年に引き継ぐため、あえて年が明けてから使い出す。創り手としてとても嬉しかったです。

今年一年草履実演をご覧くださった皆様、角館草履をお買い上げくださった皆様に、あらためて御礼を申し上げます。そしてまたいつかお会いしたく存じます。
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