今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡六百円〕
紫系の色使いは、角館草履のレパートリーになくてはならない配色のひとつです。好き嫌いがハッキリしている紫は、それこそ好きな人には譲れない色じゃないですかね。
美しい和柄のベース生地はこちらになります。
神奈川県川崎市からお越しのご夫婦旅。とても明るく賑やかなご夫婦で、それまで静かだった実演席が一気に華やぎました。試し履きをしてさらにテンションが上がった奥様、『お父さんも履いてみなさいよっ、これいいわ~』。
ご主人の『買ってあげるよ』の言葉に配色選びをはじめた奥様は、『あっ、もしかしたら靴ってこれのことだったんじゃない!?』。するとご主人も、『そうかっ、靴も草履も履くものだしなっ』。
お二人の会話にネタの匂いを感じた私は、すかさずその意味を訊いてみました。
『いや~、旅行の記念に靴を買ってあげるって言ったんですよ』とご主人。奥様が特に靴を所望したワケではないらしく、ご主人が旅の記念に思いついたのがたまたま靴だったのでしょう。それで、「靴も草履も履くもの」に繋がったわけですね。
師走も下旬に入り、そのうえ積雪量もかさんでくると、いよいよ散策される姿は少ないです。ご夫婦へ『今の角館はどこに行ってもゆっくりできますよ』と言うと、『さっき冬語りを聴いて来たんですけど、私たち二人だけでしたよ』と苦笑いのご主人。
マンツーマンの「角館冬語り」は、なかなか経験できないと思いますよ。
今年も残すところあと十日、草履実演はあと四日になりました。まだまだ長い冬ですが、人影少ない時季にこそ縁ある出会いがあるものです。明日から少しずつ長くなる日照時間を励みに、今日のご夫婦のようなご縁を待ちたいと思います。