角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

ようやく出会えた気が・・・。

2006年02月07日 | 製作日記
東京・浅草にお住まいのお客様から、ご自宅で布巻草履をお履きになっている写真が届けられました。作務衣に足袋ソックス、そして布巻草履。イメージ通りの組み合わせです。足袋ソックスは葛飾北斎画のプリントでしょうか。イイですね~。実演の際はいつも黒足袋を履くんですが、こうしたプリント柄の足袋ソックスも良いかもしれません。

これまでに何人かのお客様から、布巻草履を履いてのご感想をメールや葉書でお届けいただきました。中には、お買い上げの草履をイラストにしてお送りくださった方もおります。社交辞令的なお礼ではなく、本当に嬉しいものです。

これまで24年間「商売」に携わってきました。その内の15年間はサラリーマン、独りで商いをはじめてから10年目です。考えてみると、これまでは「買ってください」と「ありがとうございました」だけの生活だった気がします。もちろん布巻草履にしても基本は一緒です。一緒なんですが、少しだけ、でもはっきりと違うものを感じるんです。

実演していると、お客様のほうから気安くお声を掛けていただきます。これまでは、常に私のほうからお客様に向かって行ってました。
実演していると、お客様のほうから質問が飛んできます。これまでは、常に私のほうから説明の機会を求めていました。
実演していると、面白いものを見せてもらった、あるいは面白いものを手に入れることができたと、お客様のほうからお礼を言われます。これまでは、常に私のほうからお礼を言ってました。

これまでの商売が無駄だったというんじゃないんです。ただ、日常的な人間の感情として、人様のお役に立てる仕事にようやく出会えた気がするんです。
コメント
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