あを雲の涯

「 二、二六事件て何や 」
親友・長野が問う
「 世直しや 」
私はそう答えた

最期の陳述

2020年09月20日 19時14分49秒 | 暗黒裁判・幕僚の謀略2 蹶起した人達

『 呑舟の魚は網にかからず 』 
超法的の存在であります。
この超法的存在を打破する者は
青年將校の劍のみ可能であります。
・・・栗原安秀


最期の陳述
目次
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最期の陳述 ・ 村中孝次  『 今回ノ行動ハ大權簒奮者ヲ斬ル爲ノ獨斷専行ナリ 』 
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最期の陳述 ・ 磯部淺一  『 軍上層部ノ證言ハ實ニ卑怯ナル態度ナリ 』 
最期の陳述 ・ 香田清貞 「 自分の気持は捨石となることにある 」 
・ 最期の陳述 ・ 安藤輝三 「 若い者を許してやつていただきたくあります 」 
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最期の陳述 ・ 澁川善助  『 今回ノ行動ハ歴史的使命デアルコトヲ御究明サレンコトヲ希フ 』 
・ 最期の陳述 ・ 竹嶌継夫 「 斯くすることが大御心に副い奉る所以なるべしと考えたのみであります」 
・ 最期の陳述 ・ 對馬勝雄 「 形のみを以て律し 叛亂となすは、正義を無視するものであります 
・ 最期の陳述 ・ 栗原安秀 「 呑舟の魚は網にかからず 」 
・ 最期の陳述 ・ 中橋基明 「 大義のために法を破ったものであります 」 
・ 最期の陳述 ・ 丹生誠忠 「 われわれが天皇陛下のためにやったという気持を認められていないのは残念であります」 
・ 最期の陳述 ・ 坂井直 「 私が死刑になれば 高橋、安田、麦屋、下士官兵に罪なしと断言します」 
・ 最期の陳述 ・ 田中勝 「 大詔渙発の原稿まで作製しておいて説得する必要はあるまいと思います」 
・ 最期の陳述 ・ 高橋太郎 「 蹶起の目的は国体護持にあります」 
・ 最期の陳述 ・ 安田優 「 村中の背後には なにか大なる背景があると信じます」 
・ 最期の陳述 ・ 中島莞爾 「 不義を知って打たざるは不忠なりと信じて奸臣を斬ったのであります」 
・ 最期の陳述 ・ 林八郎 「 われわれを賊にすれば、その結果 軍は崩壊する 」 
 最期の陳述 ・ 水上源一 「 私の氣持ちは、學理的に観察しては判りませぬ 」

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最終陳述 ・ 池田俊彦 「 我々は断じて逆賊などではありません」 

私モ結論ハ北ト同様、死ノ宣告ヲ御願ヒ致シマス。
私ノ事件ニ對スル關係ハ、
單ニ蹶起シタ彼等ノ人情ニ引カレ、彼等ヲ助ケルベク行動シタノデアツテ、
或型ニ入レテ彼等ヲ引イタノデモ、指導シタノデモアリマセヌガ、
私等ガ全部ノ責任ヲ負ハネバナラヌノハ時勢デ、致方ナク、之ハ運命デアリマス。
私ハ、世ノ中ハ既ニ動イテ居ルノデ、新シイ時代ニ入ツタモノト観察シテ居リマス。
今後ト雖、起ツテハナラナヌコトガ起ルト思ハレマスノデ、
此度今回ノ事件ハ私等ノ指導方針ト違フ、自分等ノ主義方針ハ斯々デアルト
天下ニ宣明シテ置キ度イト念願シテ居リマシタガ、此特設軍法会議デハ夫レモ叶ヒマセヌ。
若シ今回ノ事件ガ私ノ指導方針ニ合致シテ居ルモノナラバ、
最初ヨリ抑止スル筈ナク、北ト相談ノ上実際指導致シマスガ、
方針ガ異レバコソ之ヲ抑止シタノデアリマシテ、
之ヨリ観テモ私ガ主宰的地位ニ在ツテ行動シタモノデナイコトハ明瞭ダト思ヒマスケレド、
何事モ勢デアリ、勢ノ前ニハ小サイ運命ノ如キ何ノ力モアリマセヌ。
私ハ検察官ノ 言ハレタ不逞の思想、行動ノ如何ナルモノカ存ジマセヌガ、
蹶起シタ青年将校ハ 去七月十二日君ケ代ヲ合唱シ、天皇陛下万歳ヲ三唱シテ死ニ就キマシタ。
私ハ彼等ノ此聲ヲ聞キ、半身ヲモギ取ラレタ様ニ感ジマシタ。
私ハ彼等ト別ナ途ヲ辿リ度クモナク、此様ナ苦シイ人生ハ續ケ度クアリマセヌ。
七生報国ト云フ言葉ガアリマスガ、私ハ再ビ此世ニ生レテ來タイトハ思ヒマセヌ。
顧レバ、實ニ苦シイ一生デアリマシタ。懲役ニシテ頂イテモ、此身体ガ續キマセヌ。
茲ニ、謹ンデ死刑ノ御論告ヲ御請ケ致シマス。
・・・西田税の最終陳述