あを雲の涯

「 二、二六事件て何や 」
親友・長野が問う
「 世直しや 」
私はそう答えた

憲兵報告・公判狀況 13 『 麥屋清濟、高橋太郎 』

2020年09月01日 18時08分18秒 | 反駁 2 西田税と北一輝、蹶起した人達 (公判狀況憲兵報告)

  
麥屋清濟            高橋太郎
前頁 憲兵報告・公判状況 12 『 坂井直 』 の続き

第十四回公判狀況
一、日時
 五月十八日 午前九時開廷。
午前十一時五十分---午後一時二十分休憩
午後三時二十五分閉廷。
二、場所

 代々木練兵場仮兵舎内第一公判廷。
三、進捗狀況
麥屋清濟、高橋太郎ノ兩名ニ對スル事實竝證據調ヲ終了ス
四、陳述中重要ト認ムル點
1、麥屋淸濟
坂井中尉ガ下士官ヲ集メ蹶起スル旨ヲ達シタル際、
自分ハ下士官ガドンナ顔ヲスルカト注意シテ見テ居タガ、
暫クノ間ハ沈黙ノ狀態ニ陥リ、茫然トシテ居ル様ニ見受ケラレタ、
云々
( 暗ニ下士官ハ自ラ進ンデ蹶起シタルニアラザルコトヲ意味ス )
2、高橋太郎
 二月二十七日新議事堂ニ蹶起將校ガ集リタル際、
満井中佐ガ來テ、維新ノ大詔ガ發セラルゝバカリニナツテ居ルガ、
國務大臣ガ辭表ヲ提出シテ居ルノデ、副署スル者ガナクテ發セラレズニ居ル旨ヲ告ゲタリ、云々
渡邊敎育總監邸ノ表玄關ヲ破壊シテ内部ノ扉ヲ押シ開カントスル際、
内部ヨリ射撃ヲ受ケタル狀況ニツキ陳述スル際、
二階ニ在リシ者ガ降リ來リテ射撃シタル氣配ナカリシ旨ヲ陳述ス。
( 以上 )

憲兵報告・公判状況 14 『 安田優 』に続く
二 ・二六事件秘録 ( 三 ) から


最期の陳述 ・水上源一 「 私の氣持ちは、學理的に観察しては判りませぬ 」

2020年09月01日 13時41分20秒 | 暗黑裁判・幕僚の謀略2 蹶起した人達


水上源一
昭和十一年五月十日

最終陳述
私ノ氣持チハ、學理的ニ観察シテハ判リマセヌ。
檢察官ハ、尊皇絶對ノ信念ハ等シク同胞ノ堅持スルトコロナリト言ワレマシタガ、
牧野伸顕ハ加藤寛治大將ノ帷幄上奏ヲ阻止シテ統帥權ヲ干犯シ、
コレガ帝國議會ノ問題トナルヤ時ノ内閣總理大臣加藤友三郎ハ、兵馬ノ權ハ議會ニアリト明言シタノデアリマス。
私ハ、陛下ニアラセラルルト判斷スルモノデアリマス。
マタ、天皇機關説問題ニシテモ、陛下ハ會社ノ社長ト同様ナリヤ。
ナオ、満洲事變後、政治家ハ軍部ヨリ頭を押エラルルトコロヨリ軍民離間策ヲ講ジ、
軍部ガ國防充實ノ爲メニ相當ノ軍事費ヲ豫算ニ計上セムトスルヤ、
時ノ大蔵大臣高橋是清ハ農村疲弊ノ現狀ヲ見ロト絶叫シタノデアリマス。
コレラノ例ヲシテモ、ナオカツ尊皇絶對ノ信念ハ全國民ノ等シク抱懐セルトコロトナリト言イ得ルデショウカ。
斷ジテシカラズト答エザルヲ得ナイノデアリマス。
何レニセヨ、國民ハヒトシク私ラノ行動ニ對シテ感謝シテオリ、
從ッテ、コレガタメ軍隊ニ對スル信頼ヲ裏切ルコトナク、依然軍隊ヲ絶對ニ信頼スルモノト思イマス。
タダ、宸襟ヲ悩マシ奉ッタコトニツイテハ、恐懼ニ堪エマセヌ。