磯部淺一
昭和十一年六月四日
最終陳述
1、事實論ニ附、日本改造法案ノ内容ガ社會民主主義ヨリ構成サレアルトノ檢察官ノ論告ハ
斷ジテ承服セズトテ、其説明ヲナス。
2、國憲國法ヲ斷ジテ侵シアラズ。
3、軍上層部ノ證言ハ實ニ卑怯ナル態度ナリ。
4、要スルニ、大臣告示、戒嚴部隊ノ編入ノ件ヲ鞏調シ、
併セテ 眞崎大將、山下少將、満井中佐等ノ話ハ確ニ我々ノ行動ヲ有利ニ導キタルモノト思ヒ居タリ。
尚、眞崎閣下ニハ一月二十八日面會シ、其后、森傳ヲ通ジ金五百圓ヲ貰ヒタリ。
又、山下少將ニ附テモ、去ル新宿御座敷本郷ノ會合モ同少將ガ黒幕ナリ。
其時ハ議會解散ニ對シ陸軍大臣ヲシテ署名ヲ拒否 ( 武力一個中隊位ニテ鑵詰 かんきつ ) セシメ、
以テ倒閣ニ導ク陰謀ナリキ。
當時之ハ表面相澤公判ノ協議ナリト體裁ヲ作リタリ。 ( 佐賀内閣ノ陰謀カ )
山下少將モ我々ノ行動ヲ是認シ、維新ニ入ル氣分多分ニアリタルヲ思ハル。
4、檢察官ノ論告にモアリタルガ如ク、有難キ詔勅ハ出サレ百世一新シ、
又、軍ハ肅軍ニ邁進アリト聽キ、心私ニ喜ブモノナリ。
・・・憲兵報告
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