あを雲の涯

「 二、二六事件て何や 」
親友・長野が問う
「 世直しや 」
私はそう答えた

最期の陳述 ・ 田中勝 「 大詔渙發の原稿まで作製しておいて説得する必要はあるまいと思います 」

2020年09月07日 17時49分22秒 | 暗黒裁判・幕僚の謀略2 蹶起した人達


田中勝
昭和十一年六月四日
最終陳述

奉勅命令に服従しなかったのではありません。
知れぬ間に攻撃せられたのであります。
説得のために告示を出したと上官は言われるそうでありますが、私は左様には思いませぬ。
大詔渙發の原稿まで作製しておいて説得する必要はあるまいと思います。
行動部隊が小藤部隊になったことを全員知り、指揮を離れたことを皆知らぬ。
この點が明瞭にせねばならん點であります。
自分は北一派の者でなく 磯部にはいつも話を聞かされるだけで、
磯部に述べるほどの考えは私にはありません。
改造法案を批判するだけの能力はありませんが、檢察官の言われたことは同感であります。
鈴木、清原に對しての求刑は重いと思いますから 考慮していただきたいのであります。
私の今の心境は 宸襟を悩し奉り 申譯なしというに盡きます。
天皇陛下萬歳、帝國無窮の隆昌を祈ります。
以上
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大體檢察官ノ論告ヲ反駁スル程ノ認識ナシ
トテ、全面的ニ是認ス

・・・憲兵報告


憲兵報告・公判狀況 19 『 今泉義道 』

2020年09月07日 05時30分19秒 | 反駁 2 西田税と北一輝、蹶起した人達 (公判狀況憲兵報告)


今泉義道
・・・ 憲兵報告・公判状況 18 『 渋川善助、村中孝次 』 の続き

第二十回公判狀況
一、日時
 五月二十六日
午前九時十分開廷。
午前九時三分---午前九時二十分 休憩
午前十一時二十分---午後〇時十分 休憩
午後〇時三十分閉廷。
二、場所
 代々木練兵場仮兵舎内第一公判廷。
三、進捗狀況
 開廷ト同時ニ呼名セシメタル後、
今泉少尉ノ取調ヲ爲ス旨 及 審理ノ必要上他ノ被告ヲ退廷セシムルベキ旨ヲ告ゲ、
休憩ヲ宣シ、休憩中他ノ被告全部ヲ退廷セシメ、
今泉少尉ノ事實竝證據調ヲ爲シ、再ビ休憩、休憩中ニ今泉少尉ヲ他ノ法廷ニ休憩セシメ、
他ノ被告全員ヲ入廷セシメ、今泉少尉陳述ノ要旨ヲ告ゲタル上、
今泉ヲ入廷セシメ、閉廷ヲ宣ス
四、陳述中重要ト認ムル點
 檢察官ノ公訴事實ニ對シ、次ノ二點ヲ十分審理セラレ度旨ヲ申出ヅ
1、シヤム公使館横ニ待機中、暗ニ高橋蔵相襲撃ヲ掩護シトアルハ、如何ナル點ヲ論拠トスルモノナリヤ。
2、坂下門ニ於テ重臣ノ參内ヲ阻止セントシアルモ、 自分ハ中橋中尉ヨリ何等ノ指示ヲ受ケアラズ。
其ノ他、中橋中尉ヲ殺害シテ自殺スル目的ヲ有シタル如ク憲兵ノ取調ニ對シ申シ立テアリシモ、
豫審以降ニ自殺ノ目的ヲ有シタルモノナル旨申立テ居レリ。
( 以上 )

憲兵報告・公判状況 20 『 憲兵報告 』 に続く
二 ・二六事件秘録 ( 三 ) から