山間の陰で、ドクダミが咲いてゐました。
街中では、繁殖力旺盛な”毒ダミ”といふ感じですが、吹く風も涼やかな山郷ではその白い花が清楚、です。
この花が咲いてゐる近くで、近々工事をします。
70歳を越えたばかりの、同い年だといふご夫婦ですが、奥様が難病にかかり、介護のために最小限度の工事をします。
築100年を経たといふ茅葺きの家は、天井も高く、風も軽やかに吹き抜けます。
「この家を継ぐ者も居ないから、俺で終わりだー」と、すこし寂しげに、けれど気丈夫に話すご主人の姿は、差し迫った色々な問題を次々に先送りして涼しげな顔をして国を動かしてゐるつもりの政治家や役人の人たちへの、静かな抗議に思へます。