隣家の組長(町内会の…!)から頼まれた回覧の原稿を届けに行きがてら、ふと見ると、犬走りの上で福寿草が咲いてゐた。
暖かいから咲いたよー、といはんばかりの、日差しに向かってゐるさりげない姿がとても、いい。
最近、”パブリックドメイン”といふもの(いはゆる、著作権切れの作品や録音)に出会ひ、その掘り出し物に狂喜してゐます。
20代の頃から、聴き始め、収集した当時のLPの音源は、1960年代から70年代のものが現役でして、でも現在、それらはすっかり物置の奥で凍結してゐて、まあ、CDに買ひ換へたものも多々ありますが、貧しいゆゑ、そのままになってプレイヤーシステムの崩壊とともに、聴くことすらできないものも沢山ありました。
そんななか、昨今の動画で、全世界からアップされてゐる昔の名演に逢ふ事ができて喜んでゐたのですが、残念ながら音質的に芳しくないものも多々あって、仕方ないなあー、と思ってゐたのですがー。
フリーでの音源は、MP3でのファイルが多い中(以前、東京の友人が、ペラペラな音だよ! と笑ってゐて、確かに、一度DLし、CDに焼いてみましたら、ペ~ラペ~ラな音で、閉口してしまった!)FLACファイルといふより高音質なファイルでのDLできるものがあり、色々と変換とか経て聴いてみると、なかなかに聴き応へのある音で、これならと、掘り出し物探しを始めました。
まず、オットー・クレンペラーによるベートーヴェンの交響曲全集。
これもLPではそのほとんどの曲があったはずですが、買ひ替へしないものでした。
定かでない記憶をたどっても、それほどー、といふ印象だったのですがー。
改めて25年ぶりくらゐに聴いてみて、目からウロコが、30枚ほど落ちました!
1960年前後の録音。
特に、一番新しい7番の演奏が凄まじい!!
まったくのイン・テンポでの演奏。
誰が、何と云はうと、イン・テンポの演奏。
クレンペラー老の「黙らっしゃい!」(勿論、日本語ではない。英語か?ドイツ語か?)といふ怒鳴り声が聞こへるやうなイン・テンポの演奏。
でも、その音楽の、なんと巨大なことー。
どうすれば、音楽は、こんなにも巨大になれるのかー。
「のだめカンタービレ」のオープニングに軽やかに使はれた第一楽章が(小生の携帯の着信音でもありますがー)、まるで重戦車の隊列の音のやうに、ドドッとばかりに響きわたる。
もっとテンポをあげた方がー、もっとテンポを落とした方がー、といふところは、実はたくさんあるのですが、そのたびに、2mの巨漢のクレンペラー老が「黙らっしゃい」と怒鳴る声が聞こへる。
録音された時期から、すでに半世紀。
まう、こんなに重い演奏はまったく過去のものであり、そして、こんな演奏をするひともゐないでせう。
けれど、この打ちのめされる音楽の重さは、いかばかりでせうー。
動画で、同じ録音がありました(音質は、定かではありません)
Ludwig van Beethoven - Symphony 7 conducted by Klemperer. 1: Poco sostenuto-Vivace (part 1)