残花 2009-04-25 | やまがた抄 友人の三回忌を、花吹雪とともに送らう、と目論んでゐた会の代表の気持ちも虚しく、荒れた天気の烏帽子山公園では足元も悪く、山櫻が咲く墓地で皆で手を合はせ、赤湯の街中でささやかな昼食を取りながらひとしきりの昔話にー。 埴谷雄高の「死霊」がとりもつ仲間たちの話に、墓地では気丈に振舞はれてゐた母堂の声が震へる。 55歳で先に逝った友人の登山姿が、テーブルの中央で小さな額の中で笑ってゐる。 「来年もまた、ぜひー」と涙ながらにいはれて、雨に叩きつけられてゐる花びらを見る。