やまがた好日抄

低く暮らし、高く想ふ(byワーズワース)! 
山形の魅力や、日々の関心事を勝手気まま?に…。

モーツァルトの…

2007-11-18 | 雑記
偶然に、モーツァルトに関しての本を二冊読んでゐました。

ひとつは、『モーツァルトの手紙』(高橋英郎著/小学館)。




膨大に残るモーツァルトの手紙は、全集にもなってゐて、確か、4、5巻にも及ぶものだったやうな気がしますが、この本はそのダイジェスト的なものであり(それでも、500頁近い)、自他共に認めるモーツァルト愛好家の高橋氏が愛情と尊敬をこめて手紙と共にモーツァルトの生涯をたどってゐる。

モーツァルトの破天荒な手紙はとても面白い。
有名な話でもありますが、スカトロジー的な会話や手紙は、あの映画『アマデウス』でも描かれてゐるごとくです。
愛する妻への手紙での、男性性器や女性性器の濫発。
ひとり演奏旅行のはざ間、(おそらく)オナニーをしながら書いてゐるらしい手紙。

けれど、まう、その頃、モーツァルトの音楽は、ギャラントなだけの貴族向けの音楽を突き抜けて、数百年の時間に耐へる深遠で透明な音楽に向ってゐました。
著者の高橋氏も、そのあたりを力説してゐます。
ある意味、そんなアンビヴァレントなモーツァルトの姿を愛すべきだとー。



まう一冊は『コンスタンツェ・モーツァルトの物語』(レナーデ・ヴェルシュ著/小岡礼子訳/アルファベータ刊)。




いふまでもなく、アマデウス・モーツァルトの奥さんの話です。
モーツァルトの死後、50年の歳月を生き延び、80歳で亡くなった彼女が、その最晩年の一日、昔を思ひ返すといふ設定の小説です。

悪妻として有名なコンスタンツェですが、以前読んだ本でも感心したのですが、そればかりではなく、まあ、功罪なかばといふところが真実のやうです。
そして、小生も以前から調べたりしてゐるのですが、モーツァルトの遺された二人の息子にとても興味があります。
次男のクサヴァーは、父親と同じアマデウスといふミドルネームに押しつぶされたやうな生涯をおくり、小生がとても関心をもってゐるカールは、それなりの音楽的才能を自らの意思で閉じ、ひとりイタリアのミラノで役人としての生涯をひっそりと終える。華やかな時もあったかもしれませんが、カールは残りの生涯をミラノの町でおくり、パパ・モーツァルトの遺品だったクラヴィーアを大切にしてゐたといふ。