昨日に引き続き第二弾。真夏の夜のロックである。
掲載写真はヴィンテージ・トラブルの二作目にしてメジャー第一弾となる「1 HOPEHUL
RD . 」日本盤には「華麗なるトラブル」なる邦題がついている。
実は私がヴィンテージ・トラブルの名前を知ったのは、13年にローリング・ストーンズが
ハイド・パークで行ったコンサートのDVDを購入した時に添付されていたライナーを
読んだことがきっかけである。人によっては「遅っ!」と言われそうだが(笑)、前座で
登場した彼らを「初期ストーンズに通じるR&Bスタイル」と紹介してあり気になったと
いうわけである。
彼らが11年に出したファースト「THE BOMB SHELTER SESSION」は街角を
歩く写真が格好良くCDを出すべく見開きジャケットを開くとそこにはドアーズの
1STのリア・ジャケを今風にしたような写真。もう聴く前からキマったようなものだ。
実際、そこにはロックとソウルが美しく邂逅した音が詰まっていた。
そして彼らはブルーノートと契約する。あのブルーノートである。ノラ・ジョーンズや
スザンヌ・ヴェガが所属しているものの、未だに私にはジャズのレーベルとしての
印象が強く残っている。そこへ遂にロック・バンドが在籍するというのは何とも
時代は変わったものだと思わずにいられないのだが、そこは同時にブルーノートの
社長であるドン・ウォズの存在を強く意識させるものでもあった。
今作はそのドンがプロデューサーも務めた。演奏は全て一発録り。ライブに定評が
あるヴィンテージ・トラブルの良さを上手く活かした録音である。何度も練りまわす
うちに鮮度が落ちるのを防ぐべく短期間で録音し、それをドン・ウォズ特有の
空間の広がりと暖かみのある音に整音したのだから、録音物としての完成度は高い。
勿論、内容は推して知るべし。ロックのマナーにソウルのマナー。それが時代に
よってどう変わろうと王道というべきものはある。過去の焼き直しと切り捨てるのは
簡単だが継続して伝承しなければいけないパターンというものがあるわけで
彼らはそれを、かつてのジャズの名門レーベルで実践しようとしている。
これが私にとって面白くないわけがない。
かつて「VINTAGE VIOLENCE」を聴いた人が名前に惹かれて聴いてみた、なんて
ことがあったら、そして気に入ったら面白いな、とも思う。
ここにも古くて新しいロックが・・・。
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