
今年逝去したソウルの偉人ベン・E・キング。掲載写真はベンが60年から66年に
かけてリリースしたシングル盤の両面を収録した2枚組CD「THE COMPLETE
ATCO / ATLANTIC SINGLES VOL.1 : 1960 - 1966」。ベンが亡くなったのは
4月なのだがこのCDは8月にリリースされ、最初の追悼企画としては最高の盤と
なった。
2枚のCDにぎっしりと50曲が収録されているのだが、私の最大の目当ては
64年1月のシングル『WHAT NOW MY LOVE』のB面曲『GROOVIN』である。
この曲は後にレッド・ツェッペリンが『WE'RE GONNA GROOVE』として
ライブで演奏し更にはバンド解散後にリリースされた編集盤「CODA」にも収録され
ロック者が広く知ることになった。
私は『WE'RE GONNA GROOVE』の元歌である『GROOVIN'』を聴きたくて
見かけたベンのLPやCDをチェックし続けたのだがどこにも収録されていなく、
「ということは7インチか」なんて思いつつも「ソウルの7インチは探すのが面倒
だなあ。」なんてことを思ったものだ。今から20年くらい前の話である。 『GROOVIN ' 』は確かに7インチに
収録されていたのだが、やがてこのライブ盤で聴くことが出来ることを知り、
同時に7インチに収録されているのも、スタジオ録音ではなくこのライブ盤からの
カットであることを知る。
初めて聴いた『GROOVIN '』は期待に違わない格好いいホーンのリフを携えた曲で
ベンの熱唱も最高な曲であった。同時にこれほどの曲を何故スタジオ録音で残さな
かったのかと思ったり。ライブではこの曲の後に余り間をおかずに次の『DON'T
PLAY THAT SONG』が演奏されるし歓声もあるので、シングルはどうなっている
のか興味があった。
で、冒頭に戻って今年出た2枚組シングル集でようやくシングルがどんなものかを
聴くことができたのである。シングルは客の歓声があまり被ってこない2分少々の
ところでフェウドアウトする。最初にこのシングルを聴いたら、スタジオ録音に
歓声を被せた疑似ライブかと錯覚するような処理である。結論としては7インチの
バージョンは何らかの「俺ベスト盤」(笑)を作る時には適しているが、普段なら
ライブ盤を聴いたほうがいいかな、であった。
05年6月にマンフレッド・マンを取り上げた時にこんなことを書いた。
ヤードバーズとも交流が深かった初期マンフレッド・マンであるが、
私の一番の興味はというと・・・・。
これもEPからの収録となったBEN E KINGの「GROOVIN'」を聴いて欲しい。
レッド・ツェッペリンの1970年のコンサートのオープニング・ナンバー
で、解散後発表されたアルバム「コーダ」にスタジオ録音が収録
されたのが「GROOVIN'」を改作した「WE'RE GONNA GROOVE」。
ジミー・ペイジはこのマンフレッド・マン・バージョンを聴いて
「この曲をよりハードに改作しよう」と考えたのではなかろうか?。
ブルーズの改作はペイジの得意とするところである。そして、マンの
演奏する「GROOVIN'」からもう一つおいしいところを頂いていると
思えなくもない。マンの演奏するイントロでリフでもあるピアノ・フレーズを
ギターに置き換えるとあのロック史上に残るといわれる曲になる。
ペイジさんの”胸いっぱいの愛”を感じることが出来ますか?。(笑)
今回改めてベンのオリジナルを聴いて、マンの演奏するピアノのフレーズは
元々の曲のホーンのフレーズに近しいので、ペイジさんはその両方をいただいて
ギターに置き換えたということなのだろう。
それにしても、マンフレッド・マンは『GROOVIN '』が7インチで出た年であり
元々収録されたライブ盤「APOLLO SATURDAY NIGHT」が出た年である64年に
同曲をカバーしたというのは慧眼と言わざるを得ない。
この記事を読んでマンフレッド・マンのアルバムを取り出した貴兄に「SATURDAY
NIGHT AT THE UPTOWN」を引っ張り出してきた貴兄。今日もうまい酒を
飲んでください。
ベン・E・キングのこれはいい盤ですね。
彼のシングルについて、おらは『 Don't Play That Song』しか持ってないので強くは言えないのですが、
日本ではもっと評価されてよいシンガーだと言えます。
ZEPの「CODA」を聴いたことがないので何とも言えないのですが、
つくづく頁さんは職人かつ商売人だと思いますな。
大衆音楽を愛するわだくしとしては、パクリなどはやってもうけた人の勝ちと感じますが、
とにかくアウトプットとしての作品さえ良ければ、「まあええやん」というスタンスです。
ちかごろ、ちまたではMr.Chil○の「抱きしめたい」が平○二@『バスストップ』の「ぬくもり」の盗作などと騒がれていますが、
POPSが生まれてこのかた数十年間この問題はずっと続いてきたのであり、
何をいまさらという感触をぬぐいきれません。
あたしゃ、この件が起点となり双方のレコードがそれぞれ売れりゃいいじゃん、というような
お調子ものですので。。
ベンさんは日本では『STAND BY ME』のイメージが強すぎるので、力強いシャウターでもあることが知られるべきだと思います。
ペイジさんはブルーズとフォークからの頂きが多いのですが、クレジットさえしっかりすれば(文句言われてからのことが多々あったような)元ネタを上回る改作として何の問題もない曲を多く作った凄い人だと思っています。
さて、昨今の騒動ですが。両者の歌詞がほぼ9割7分くらい同じだったので、これは流石に間抜けな感じがしました。メロディーでなく言葉のパクりの度が過ぎると
「日本語を話す人」としての言語能力或いは言葉の選択能力を疑うと言われかねないかも、と思いました。
ワイドショーネタで一つ笑ったのが、コメンターで来ていた某お笑い女芸人の発した言葉。
「(元ネタとなった)ミス○ルのこんな有名な曲を知らずに書いたとは言えないですよね。」
え~と、どれだけ売れているのか知りませんが、私は
今回の騒動で初めて知った曲で、個人の音楽史の中ではち~とも有名な曲ではありません。
今は例え100万枚売れても国民的に浸透する曲の数なんて知れているので、これは私だけが「無知」で
あるということの証明にはならないと勝手に思って
堂々と「有名でない」と言っても何ら可笑しくないでしょう。(笑)
左とん平の『東京っていい街だな』の方が私史的には
超有名曲。(笑)