まずい。いや、まずくは無いのだが、ここまで凄いとは思わなかった。最初はブルーズの
カバー集でアルバムを発表するなんて話を知った時は「新曲が出来ないもんだから、
契約枚数消化の適当なやっつけ仕事だったらイヤだなぁ。」なんて思っていたのは事実。
流石はローリング・ストーンズ。長年ファンをやっているのに、「やっつけ仕事でもいいよ。
おじいちゃんなんだから。」なんてことも考えていた自分を恥ずかしく思っている。
それくらい、ストーンズの新作「BLUE & LONSOME」は格好いい盤であった。
確かに3日間で録音が終わった、なんていうとそんな考えが浮かんでこなくもないが、
最初のインスピレーションを大事にし、テイクを重ねた結果生じる可能性のある慣れあいや
惰性といったものを全く感じさせない緊張感が素晴らしい。
選曲も良いし、何よりボーカルを含めた各楽器の録音状態やギターやハーモニカ、それに
ストーンズ・サウンドの要であるドラムの音の作り方に至るまで完璧ではないだろうか。
今の私はECの熱心な聴き手ではないが、全12曲中2曲参加している彼のギターは一聴して
それとわかるので、ECのファンも喜んでいるだろう。
アルバム・タイトルにもなったリトル・ウォルターの曲のイントロのギターの刻み一つ
とっても、オリジナルに忠実でありながら2016年にブルーズを伝承するという行為の
尊さと意義を感じるといったら大袈裟か・・・。
ストーンズでさえブルーズの伝承をやっているのだから、後進は更に精進しなければならない
或いは、ストーンズでなければこれは成し得ないのか・・・なんてことを考えるのは
私のストーンズ者としての甘い側面なのだが、今回は傑作盤のリリースに免じて御容赦
願いたい。(笑)
先にアルバムの曲名を知った時、私家版でこれのオリジナルを集めたCDRを作ろうと
考えた。リトル・ウォルターはコンプリート・レコーディング集を所持しているし、これは
楽勝かと思ったが、エディ・テイラーの該当曲収録盤が無いことに気付きあっさり頓挫。
しかし、オールデイズ・レコードが掲載写真右の盤で原曲や別のブルーズ・マンによる
演奏を集めたCD「BLUES & LONESOME ROAD」を出してくれたおかげで、すぐに
聴き比べが可能になった。
これは2枚組でディスク2には初期のストーンズがカバーした曲のオリジナルを25曲も
収録してあり、しかも値段は税抜き1500円と破格。これは嬉しい。
ストーンズの今回の盤を気に入ったなら、こちらも手にいれて原曲の良さを知りそれを
踏まえてストーンズの盤を再度聴いてストーンズの凄味を味わうという無限ループの天国に
ハマるのも一興。
最後に収録されている『I CAN'T QUIT YOU BABY』を聴いて、ブルーズに借りたのは
題材でその実はオリジナリティーの塊だった「鉛の飛行船」に思いを馳せるのも良し。
ともかく。BLUES IS ALRIGHT.
件のアルバムは今朝のP・バラカンのプログラムで3曲聞いただけなのですが、
ちょっとヤクザないい音していますな。
彼は「Exile on・・・」以来久しぶりの好きなアルバムと言っていましたが、へえそうなのかと感じた次第。
もちろんまだ聴いていないのだが、おらは昔カットアウト盤で買った、あのぷりぷりおっさんの
『Everybody Knows About My Good Thing』などを取り上げるのはおもしろいなあ、と思いました。
また、Magic Samの命日は12月1日なので、ストーンズの演奏とは言え
この時期に彼の曲を世界中の皆さんが聞いてくれるのは彼を偲ぶ上ではよかろう、とも考えました。
>オールデイズ・レコードCD「BLUES & LONESOME ROAD」
この2枚目というのは、昔PヴァインかVIVIDが出していた「Stones Classic」と同じものかしら?
「ヤクザないい音」って、正にその通りです。
バラカンさんは「EXILE ON. . .」以降は好きで無いことを
度々口にしていますが、そんな彼を納得させたというのはやっぱり凄い盤なのでしょう。
そういえば、件のリトル・ジョニー・テイラーの曲は
「BLUES & LONESOME ROAD」では、敢えて71年の
収録タイトル曲でなく、その元ネタの63年録音の
『PART TIME LOVE』を収録していて唸りました。
で、この2枚目は過去にPヴァインから出ていた盤とは
全く違っていて、ストーンズの英米リリースされた初期
3作までの盤でカバーされた曲の元曲を収録しています。