HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

NEW FACE

2012-08-27 20:36:43 | 日本のロック・ポップス

世間は前田あっちゃんに夢中だけど(私も好き)、根がキンキーなので
僕は松本あっちゃんを聴くことにするよ。

「1曲目は男気爆発、『ロッケンロール』!!。」
トータス松本の自信に満ちた、そんな声が聞こえてきそうな会心の一撃。

今年の2月にサム・クックのアルバム「TWISTIN' THE NIGHT AWAY」の
完コピ・アルバムのリリースで、日本のロック・ファン、ソウル・ファンのド肝を抜いた
トータスが、今度は2枚組のオリジナル・アルバム「NEW FACE」をリリースした。

ジャケットを見て、まずはニッコリ。カット数こそ少ないものの、容易にオーティス・
レディングの、その名も「SINGS SOUL BALLADS」を想起させるのがよい。
アルバムは全編これ、ロックとソウルのテイストが溢れた楽しい曲ばかりで
購入してから3回ほど聴いたが、全く飽きがこない。

トータスの功績は、例えばミッシェル・ガン・エレファントがお茶の間とまでは言わないが
日本の婦女子や若人にパブ・ロックの面白さを、恒久的でなかったにせよ伝えることが
できたのと同等以上のものがある。勿論、トータスが伝えるのはソウル・ミュージックの
楽しさである。

トータスが演奏するハーモニカの響きは、容易にスティービー・ワンダーのそれを
思い起こさせるし、モータウンやスタックス、或いはハイといった認知度の高い
レーベルが持っていた雰囲気をそこかしこで再現し、アルバムのバラエティー度を高める。
勿論、ファンクもブギーもある。そこに、トータス流の阿呆らしくも面白く、時に切ない歌詞が
載るのだから、日本人であることを大いに楽しめるソウル・ミュージックといえば、
コレなのだ。

美味しいとこ取りとか、表層を撫でただけとか言わせたいヤツには
言わせておけばよい。マニアックに攻めるのもいいが、その度が過ぎたヤツが
その世界を広めることが出来た例が少なかったのは、歴史が示す通りである。

2枚組みのうち、1枚目の収録時間は34分40秒、2枚目は39分6秒。
つまり、本来は1枚のCDに収録できる時間である。思い起こせば、かつてのLPは
両面あわせて40分前後であった。今回のトータスのアルバムは、1枚の収録時間が
今時にしては短いので、あっという間に聴き終えてしまい、昔ながらのレコードを
楽しんでいるような感覚にさせるのも、気が利いている。大体、CD時代になってからの
新譜は収録時間が長いだけで、印象の薄い曲が多すぎるのだ。
誰のナニとは言わないけれど。

アルバムの最後に収録されたSuperflyとのデュエット曲『STARS』も、この位置で
聴くとまた違った印象があり、この曲が隠し持つソウル・マナーに打ちひしがれる。

初回盤はボーナスDVDが添付されていて、昨年の弾き語りツアーの中から5曲を
見ることができる。弾き語りと言っても、アコースティック・ギターだけでなく、ピアノも
弾くし、曲によってはドラムとハイハットを足で踏みながらエレキを弾くのだから
これは楽しい。大体、ウルフルズ時代の名曲『すっとばす』を一人で演奏するなんて
想像もしたことがなかったのだから。

河内のオッサンもきっと気に入るであろう今回のアルバム、
「ええ加減、聴かなあかんで、自分。」(笑)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする