HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

男前の肖像シリーズ・ドラムと男前その4

2011-04-11 21:24:12 | JAZZ

なんとなくジャズを聴き始めた時に、目にする名前の一つに必ずアート・ブレイキーの
名前はあるのではないだろうか。レコ屋に行くとジャズのコーナーはアーティスト名で
仕切りがある以外に、楽器別にコーナーがあることに気付く訳で、「ドラム」のコーナーで
一際大きな場所を占めているのがアート・ブレイキーであるのだから。
そして『MOANIN'』を買って家に帰り「あっ、この曲知っている。」と、ちょっと嬉しくなったり
するのだが、そこから深みに入らないところがロック者である私の業の深さか。(笑)

掲載写真は61年に録音された『THE FREEDOM RIDER』。これはもう大好きなジャケットだ。
大写しになったシンバルと、目をつぶって自ら叩く音を確認しているであろう、穏やかな
表情のアート・ブレイキーの構図、というか1枚の写真の中で人とドラムが絶妙の比率で捉えられた
傑作ジャケットだと思う。おまけに咥え煙草。「煙草と男前」というジャンルでもノミネートされるだろう。

ウェイン・ショーターとリー・モーガンの曲がバランス良く配され、ブレイキー作のタイトル曲が
士気を高める。60年に発表されたマックス・ローチの『WE INSIST』は公民権運動を
後押しする機運を高めた盤として有名だが、この『THE FREEDOM RIDER』も同じような
ニュアンスを持つ。黒人差別撤廃運動である「FREEDOM RIDE」を実践する人をタイトルに
持つこの曲は、このアルバムに収録された他の4曲と違い、ブレイキーのドラムが激しく
炸裂し、同運動への支持表明を音で明確に表現したという点を了解すると聴く側の思い入れも
より一層深まるというものだ。

ただ、このアルバムがリリースした背景も知っておく必要がある。つまり様々な公民権運動に
触発されて録音した音を、すぐさまレコードにしたわけでなく、過去に録り溜めした音を
集めて盤にしていった何枚かのアルバムのうちの1枚であるというのが事実であるということ。
それでも、このアルバムの充実した内容の前では、それが何の曇りにもならないのが
素晴らしいところで、それはそのままアルフレッド・ライオンの審美眼の鋭さに通じる。

因みに、このアルバムの中で私が一番好きな曲はリー・モーガン作なのだが、残念ながらその曲は
2回のセッションの中で私の誕生日でない方の日に録音された曲なのであった。(笑)

コメント
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