長く病気療養をされていた雀右衛門さんが23日午後3時55分、肺炎のため亡くなったとのこと。こんな日がくるのではないかと怖れていたが、とうとうその日が来てしまった。
雀右衛門さんの自伝『私事(わたくしごと)―死んだつもりで生きている』も読ませていただき、従軍し、戻ってこられてもう一度役者になられ、映画界で人気スターになったのに、歌舞伎界に戻り、女形としての再スタートを切って・・・・・という波乱万丈の人生を送られたこと、その人生を振り返る謙虚なお人柄に惚れ込んでしまっていた。
歌舞伎座さよなら公演が始まった当初は、まだまだお元気な姿を舞台で見せてくださっていたが、新しい歌舞伎座に建て替えるうちに、富十郎さん、芝翫さんに続いて次々と人間国宝の役者さんがこの世を去ってしまわれた。
こうして世代交代はすすんでいくのだろう。
ご冥福を祈り、続く世代が芸の継承をしていくことを信じている。
冒頭の写真は『演劇界』2005年11月号の表紙の画像。豊後道成寺を踊られる雀右衛門さん。この舞台では、踊り納めた後で、肩で大きく息をされていたっけ。それでも本当に最後の最後まで可愛い色気の漂う立女形さんでした。
最後の女五右衛門で南禅寺山門の上で鳥が運んできた天紅の文を天地逆に持っているのに気がつかれていなかったのが双眼鏡でしっかり見えてしまい、胸がいっぱいになったことも記憶しています。
役者さんの誕生日チェックは『演劇界』付録のカレンダーをしっかりと活用されているようですね。そうですか、友右衛門さんのお誕生日でしたか。
うちの父は、母との結婚記念日に亡くなりました。忘れられない日になってしまいました。
先に亡くなられた方たちに、自分もいつか会えるという感覚が身近になってきている昨今です。