3/1は映画の日だが日曜日。玲小姐さんと昼からの「少年メリケンサック」を観ようと1時間半前に待ち合わせしたら甘かった。電光掲示板には×印。せっかくなので何か観ようと時間の近いものでなんとかなるものをということで「チェンジリング」にした。
クリント・イーストウッド監督の映画も実は初めて。「ミリオンダラー・ベイビー」はやはりボクシングを見たくないのでパスだし戦争二部作も戦争ものは敬遠だった。
「マンマ・ミーア」を観た時に予告編を見てサスペンス物という印象を持っていた。どっちでもいいかぁという感じ。日経新聞の映画評では5つ星だったという友人からの情報だけが背中を押した。
ストーリーの導入部をMOVIXのサイトより引用。
1928年、シングルマザーのクリスティン・コリンズ(アンジェリーナ・ジョリー)は、ロサンゼルス郊外で9歳の息子ウォルター(ガトリン・グリフィス)と暮らしていた。ある土曜日、彼女は同僚に泣きつかれて断り切れずに休日を返上して仕事へと向かう。暗くなって彼女が帰宅すると、家で一人で留守番をしているはずの息子の姿はどこにもなかった。・・・・・・
その他の主な出演者は以下の通り。
ジョン・マルコヴィッチ、ジェフリー・ドノヴァン、コルム・フィオーレ、エイミー・ライアン、マイケル・ケリー、マイケル・ケリー、ジェイソン・バトラー・ハーナー
タイトルのすぐ後に「トゥルー・ストーリー」という字幕が出て初めて認識した。これは期待できるかも?
息子を探してと頼んだロサンゼルス市警は24時間は捜査しないことになっているという。当時の警察の腐敗しきった姿が次々と描かれていく。批判の高まりの中で警察の威信を取り戻すべくクリスティンの息子が見つかると再会の場面をマスコミに大大的に宣伝させるが、息子ではなかった。
5ヶ月会わないだけで息子がわからなくなるはずがない。警察は彼女がシングルマザーであることで強圧的に黙らせようとあらゆる手段をとってくる。彼女は警察の連れてきた子がウォルターではないと担任教師や歯科医の証言も得たりしながら必死に探し始めるが、警察は彼女を精神病院に押し込めるという今では考えられないこともした。
そこで出会った娼婦(エイミー・ライアン)が彼女を励まし、警察に不都合なことを黙らせるための強制入院があることを教える。警察の腐敗を糾弾する長老派教会の牧師(ジョン・マルコヴィッチ)を先頭に支援者たちが彼女を救い出す。
一方でカナダからの不法滞在の子どもが逮捕されたことで子どもの大量殺人事件が発覚。担当刑事が上司に逆らって自分の良心にもとづいた仕事をしたことでクリスティンの息子も巻き込まれている可能性も見えてきた。
この二つの事件を暴いていく展開にぐいぐいと引き込まれた。ただのサスペンス劇ではなかった!
クリスティンは電信電話会社で中間管理職として働きながらひとりで子どもを育てているだけで1920年代としては稀有な女性なのに、息子への愛情と責任を貫くという母親としての全うさで警察に屈しなかった。アンジェリーナ・ジョリーは女戦闘士というイメージが強かったが、このストーリーの中でも毅然と闘っていた。なんとカッコいいことよ。
ジョン・マルコヴィッチは「クリムト」以来だが、権力と闘う牧師としての存在感が妙にあって好感度アップ!
ジェイソン・バトラー・ハーナーの殺人を繰り返してしまった犯人像にはまるで現代でもいるような病んだ精神を感じてしまう。アメリカでは死刑にも遺族などが立ち会えるということをショーン・ペンが死刑囚を演じた映画でも見たことがあるが、今回もいろいろ考えさせられる。
警察の人権侵害を告発する裁判でも勝って大きく社会を変える事にもつながったが、クリスティンは息子が生きていることを信じて生きていくというエンディング!!
これは本当に観てよかった映画だった。プログラムをしっかり読むと廃棄期限のきていた公判記録をチェックしていた情報提供者が脚本家に連絡をくれて掘り出された実話だという。歴史の闇に埋もれてしまわなくて本当によかった。
ただ劇的な話というだけでなく、クリスティンの不屈の生き方、犯人を憎んでしまう心の闇との闘いも含めて人の心の清濁含めた多面性をもドラマにしてしまっているところが素晴らしかった。
クリント・イーストウッドが出ていた映画はほとんど観ていないが、監督として本当にいい仕事をしていると思った。次回作が予告編で出ていたが、その作品にはご本人もアジア人の少年たちと関わる老人の役で出演している。そちらも観たいなぁと思ってしまっている。
この映画の予告編、女性を泣かせるメロドラマっぽい先入観を持たせる出来のよくないものだと観終わってから痛感しました。
当初観るつもりだった「少年メリケンサック」がいっぱいで近い時間だったので消去法で選んで観たら、大正解!日経新聞の愛読者の友人の情報だけが背中を押してくれたのがよかったです。
アメリカは好きじゃない国ですが、人々を守るために闘うクリスチャンもいてくれて、こういうところに捨てたもんじゃないぞと思わされます。
もっと ウエットな作品という印象だったものですから。
アンジェリーナ・ジョリーの毅然とした戦う姿にも
声援を送りたくなりますが、なにより コリンズ夫人の訴えに
きちんと耳を貸し 手を差しのべてくれる牧師の存在が
心強く、気持ちよく見終える事の出来る作品でした。
母は強し!それで毅然と権力に屈しないという闘いぶりが見事でした。そしてただの社会派映画ではなく、アンジェリーナが当時のエレガントな衣裳を着こなすキャリアウーマンぶりも目のこやしになりました。最初はクローシュというツバの小さい帽子なのに最後に少しツバの広い帽子に変わるあたりにも変化を感じ取ったりしてました。私は帽子好きですが、クローシュタイプが似合わないのが残念。
★hitomiさま
すぐに観に行って楽しんでいただいてよかったです。おすすめした甲斐がありました。
「禅 ZEN」を観て録画の「道元の冒険」もすらすらというのはさもありなんです。私も映像でいいから「道元~」もう一度観たいと思いますが機会があるといいなぁ。
まったく眠くもならず、飽きさせず、2時間超引張っていったのはさすがです!
ワタシも、お帽子に注目。もの凄く彼女に似合うね!
「硫黄島からの手紙」「父親たちの星条旗」よかったです。「デッドマンウォーキング」も印象強かったです。