ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

09/11/14 県民の日にシネコン割引で「サイドウェイズ」

2009-11-15 23:58:32 | 映画(映画館、DVD、TVを含む)

映画の日やレディスデイなどで映画を観ようと隣駅前のMOVIXさいたまのサイトをちょくちょく覗いていたら、「お知らせ」の欄に11/14が埼玉県民の日で1000円に割引になるという見出しを発見。土曜日の夕方だし娘と一緒に観ることにしていた。ところが娘は風邪が長引いていてしんどいので寝ているという。雨が降りそうで寒い中を一人で自転車で出動!

「cinemacafe.net」の「サイドウェイズ」のページはこちら
以下、あらすじを引用、加筆。
「キャリアも私生活も冴えないシナリオライターの道雄(小日向文世)。20年前の留学生時代の親友・大介(生瀬勝久)の結婚式に出席するため渡米した彼は、独身最後の日々を謳歌したいという大介に乞われて、1週間のドライブ旅行に出かける。行き先の希望が相容れなかった二人だが立ち寄った昔のホームステイ先のママからパパの遺品の赤いムスタングを譲られ、さらに道雄が家庭教師として勉強を教えていた麻有子(鈴木京香)がナパ・バレーで働いていることを知らされる。大介が譲って彼女に会いにナパ・バレーをめざすが、予期せぬレストランで麻有子が画家を目指す年下の親友ミナ(菊地凛子)と一緒にいるところに遭遇。4人で盛り上がるうち・・・・・・。」

予告編で観たワイナリー風景が美しかったのと、小日向文世・生瀬勝久という舞台でも好感をもっている二人の人生の珍道中的なところが面白そうだったので観たのだが、大正解!
ナパ・バレーがカリフォルニア・ワインの聖地ということも知らないくらいワインに関心のない私だったが、愛好家の道雄が語るワインのうんちくもそれほどうるさく感じずにすーっと引き込まれていった。

昔の道雄と麻有子の恋が順調に始まらずに終わってしまったところから20年経って、二人ともいろいろな挫折と傷を引きずりながらの出会い。これがまたスムーズに気持ちが通い合わないところが観ているこちらをハラハラさせる。

一方で婚約者がいることを隠したまま大介とミナはあっという間にできてしまう。しかしこれも単なるハメはずしではなく、背伸びした結婚を前にした大介のマリッジブルーのなせる暴走というのだからこちらも実にせつない。
男二人が二人とも情けなくて可愛いのだ。
麻有子は御曹司との結婚に破れて突っ張って生きている。麻有子はワインのカベルネが好きで道雄はピノワールが好み。そのワインの特性に例えた二人の生きる姿勢の違いが面白く、さらに何を飲むかではなく誰と一緒に飲むかの方が大事だと気づいたことを告げる道雄のメッセージ。
ミナにフライパンで鉄槌をくだされた大介がさらにひと波乱を巻き起こすのが笑えるが、そこを乗り越えてようやく逆玉婚への覚悟を固めるシーンがまたまたよい。ちょっとムスタング君が可哀相ではあるけれど・・・・・・。

ミナの菊地凛子は日本人とのハーフの役。常にその時々を真っ直ぐに生きているタフな女の子という感じ。ちょっとニュアンスのずれる変な日本語で年上の3人を励ましてくれる存在感が実に可愛く有難い。
最後にそれぞれを思ってすれ違う道雄と麻有子の恋。それをミナのかける言葉で一気にハッピーな結末を観客に確信させる実に憎いエンディングであった。

第74回アカデミー脚色賞受賞作「サイドウェイ」(アレクサンダー・ペイン監督)を日本側の企画でリメイクした作品ということで「20世紀少年」などで現地班監督を務めてきた日本出身の米国人チェリン・グラックが監督を務め、オールロケ、オ-ル現地スタッフで作られた初めての作品だという。

映画の音楽を担当したのは「フラガール」と同じくジェイク・シマブクロ。彼のアコースティックな演奏とチョイスの1980年代のUSミュージックが耳にも心地よい。

あまりに面白かったのでプログラムでは情報量が少ないと日経BPムックのオフィシャルガイドブックまで買ってきて読んでいる。プロデューサーや監督のインタビューも面白い。ついでにカリフォルニア・ワイナリーの勉強もできるみたいだ(笑)

写真は「サイドウェイズ」の宣伝画像。