ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

08/02/23 国立劇場文楽第二部①「二人禿」「中将姫雪責」

2008-02-28 23:59:25 | 観劇

2/23に観た国立劇場文楽第二部も2回に分けて書くことにする。
【二人禿(ににんかむろ)】
桜咲く京島原の郭。二人の禿が遊ぶ様子を大夫5人と三味線4梃で賑やかに見せる。人形役割と浄瑠璃は以下の通り。
禿=吉田勘弥、吉田清三郎
竹本南都大夫、竹本文字久大夫、豊竹始大夫、豊竹睦大夫、豊竹希大夫
野澤喜一朗、鶴澤清志郎、豊澤龍爾、鶴澤寛太郎
羽根つきや手毬で遊ぶ様が可愛らしかった。羽子板は宝船の模様でおめでたい。赤い着物の可愛らしい着物の下になんとこっぽり下駄を履いて赤い脚絆のようなもの(若衆方がつけているようなもの)をつけた可愛らしい足が覗く。文楽でも子どもだったら女でも足があるのかぁ、やっぱりこっぽり下駄が大事なのかなぁ、下駄の音もしっかり入っているしなぁとか、やたら足に注目してしまった。
朝から2つの舞台のチケットとりで少々遅刻したため、あまり集中できなかったのが残念。3人使いが2組、場所を入れ替わったりする時に足を踏む音が大きいのに揃っていなかったのがやや耳障りに聞こえてしまった。これは揃える方がいいんじゃないのかなぁ?と素朴に疑問をもった。

【鶊山姫捨松(ひばりやまひめすてのまつ)】並木宗輔=作
<中将姫雪責の段>(全五段の三段目)
「中将姫伝説」を踏まえた昨年3月の新作歌舞伎「蓮絲恋慕曼荼羅」を観て、「中将姫雪責」を楽しみにしていたところだ。最近の文楽公演は、歌舞伎で上演された演目にゆかりのある演目を絶妙なタイミングで上演してくれる感じがしている。そうだとしたら企画者を褒め称えたい。

人形役割と浄瑠璃は以下の通り。
中将姫=吉田文雀 父豊成卿=桐竹紋豊
浮舟=吉田玉英 桐の谷=吉田清之介
岩根御前=吉田玉也 大弐広嗣=桐竹亀次
奴角内=吉田幸助 奴宅内=吉田玉佳
前 竹本千歳大夫 豊澤富助
切 豊竹嶋大夫 竹澤宗助 胡弓 豊澤龍爾

あらすじは以下の通り。
藤原豊成卿の館で争う2人の侍女。中将姫に味方する桐の谷と継母岩根御前についている浮舟だ。そこに岩根御前と大弐広嗣が現われ、桐の谷を追い払う。長屋王子の乳母をつとめた岩根御前と広嗣は王子が帝を調伏して天下をねらう企みに加担している。二人は調伏の邪魔になる観音の尊像が盗ませ、その疑いを中将姫にかけ、姫を拷問。責め殺そうとしているのだ。
割竹を手にした奴二人に庭に引き立てられてきた中将姫は、既にその企みを知っているのだが、継母への義を通して黙って耐えている。二人の奴は姫に同情しているが、岩根御前が手加減をすると殺すと脅すので仕方なく割竹をふるっている。それでも健気な姫に岩根御前は自ら割竹をふるおうとする。桐の谷が枝折戸を破って入り止めると、浮舟が出てきて激しくもみあう。それを止めに入った時に、急所に竹が当たって息絶える中将姫。
浮舟に姫殺しの罪をなすりつけて岩根御前たちは王子の館に逃げていく。中将姫は死んだふりをやめて起き上がる。桐の谷と浮舟は姫を逃がすために敵を欺いていたのだ。そこに父豊成卿が出てきて娘に詫びる。帝に危害が及ばぬように知らぬふりをしていたのだ。姫は父との名残を惜しみながら鶊山へと落ち延びていく。

冒頭の侍女2人が雪を蹴立てて争う場面は、介錯が下から雪を巻き上げているのに感心。あくまで文楽は横から観る舞台だからこういう仕掛けが楽しいのだ。
奴2人の幸助と玉佳が割竹をシャラシャラと響かせるがこの音が実に効果的なんだと思った。さらに2人の奴が本当につらそうな様子で嫌々責めているのにもほだされる。侍女2人の諍いの隙をみて逃げ出す様に共感。命だけ助かればこんな女主人には仕えたくないだろう。
文雀の遣う中将姫が白い下着姿で責めに合う風情がたまらない。割竹で叩きまくられるし、岩根御前に髪のたぶさをつかんで引きずり回されるし・・・。これは生身の役者ではなく、人形だからこそ、ここまでの責めと被虐の切なさが胸に迫るのじゃないだろうかと感じ入る。
嶋大夫は顔をまっ赤にしての大熱演。嶋大夫の時はお茶を持ってきたお弟子が大夫をずっと見守っている(住大夫の時はお茶を出した後、客席からは見えにくい位置で控えていたのが下手の前方だったために見えた)。胡弓の音色が哀れを誘う。
「中将姫伝説」のサイトのご紹介
写真は筋書より「中将姫雪責の段」の写真を携帯で撮影。
2/11第一部「冥途の飛脚」はこちら
2/23第二部②「壺坂観音霊験記」はこちら
2/23第三部「義経千本桜」はこちら