ぱたの関心空間

関心空間と徒然なるままに。

ビルマVJ 消された革命@京都シネマ

2010-10-06 15:41:34 | 映画感想
ビルマ(ミャンマー)での、2007年の反政府デモに際して、ビルマ民主の声の記者達により隠し撮りされていた映像をもとに、デモに至る国内の状況をドキュメンタリータッチで再構成した映画。

2007年のビルマ反政府デモでは、やはりビルマ民主の声による、日本人ジャーナリスト長井健司さんが鎮圧に乗り出した軍により射殺された映像で印象に残っている人も多いだろうけれども、大きくニュースとして取り上げられるまでの、なかなか報道されないデモに至るまでのビルマの人々の戦いに目を向ける必要がある事に気づかされる。

恥ずかしながら、ビルマの歴史を良く知らない儂はが知っているのは、せいぜい今現在、この国が軍事政権下にあること、そして、軍事政権が進める民主化プロセス以外の民主化運動を認めないでいる事、かつて民主化の中心にあったNLDのアウンサンスーチー(すぅじぃじゃないぞ<わかるわ!)さんが長らく自宅軟禁状態にあり、活動を妨げられている事。くらいだ。1988年に数千人の犠牲者を出すような大規模な民主化運動があった事さえきちんとしらなかった。

他の民主化されていないい国とも共通する特徴として、政府は国内情勢が国外に漏れる事を極度に妨害する。自分たちを守るには当たり前のことだけど。それはすべからく国民への監視というシステムによって防ごうとする国家危機管理の一つの施策に過ぎないのかもしれないが、その網で漏らしてしまった情報が、あとでどんな大きな(政府にとっての)災厄となるか知っているので、締め付けは厳しくならざるを得ない。

結果、国民を支配するのは恐怖だ。

民主化運動前、話をしたがらない人々の様子、お互いがお互いを警戒し合うような空気。いつどこで自分も反政府の嫌疑をかけられ投獄されるかわからない恐怖。そして、そのような情報が国外に漏れることはないから、救われる事もないという閉塞感。
ましてや、一度大きな挫折を味わった人々が、また立ちあがる勇気を持てることは稀だろう。

長井健司さんが亡くなる数日前まで撮っていた映像を見た事があるが、その中でガイドをしていた男性が、極度に怯えている様子が映っていたのを覚えている。
それは、そのガイドさんの性格的なものもあったのかもしれないが、にしてもなんでそんなに?周りに人もいるやん、と当時の儂は感じたのだが、映画を見た後なら理解できる気がする。

それでも立ち上がる人々。
そして...

一体何度不毛な悲劇を人間は繰り返すのか。
どうしようもなく、虚しさを感じる。

世界には民主化されていない国も多く、その国々の多くで人々の人権は著しく侵害されていることも多いのだ。報道されなければ儂らはなかなかそれに気づく事も出来ない。北朝鮮しかり、中国(チベットやウィグルの件)もしかりだ。

まだまだ、この世界は未熟なのだなぁ。残念だけど。
この状況に、有効ななんのアイディアも持てないでいる自分に歯ぎしりをする。

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