パンダ イン・マイ・ライフ

ようこそ panda in my lifeの部屋へ。
音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

どら焼きの「あん」

2013-08-04 | book
ドリアン助川の『あん』を読んだ。2013年2月刊行。助川は1962年生まれ。プロフィールは詩人・作家、そして道化師とある。
「どら春」でどら焼きを焼く千太郎。そこに、76歳の吉井徳江がやってくる。罪を侵し、服役した千太郎は、日々もがき苦しんでいる。そんな中で徳江の「あん」は評判を呼ぶ。しかし、そこにハンセン病という偏見が店を襲う。徳江のまがった指とゆがんだ顔。

自分は生きている意味があるのか。そんな問いかけに、徳江も千太郎も中学生のワカナも悩む。

人はそれぞれ生きる過程は異なる。生きる時間も違うし、能力も運命も寿命も異なる。2歳で亡くなる子供もカナリアも意味を持って生まれてきているとドリアン。

最初から緊張感あふれる文体。今にも消えそうな登場人物。でも、皆懸命に生きている。それがひしひしと伝わる。その主人公がどら焼きの「あん」なのだ。



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