パンダ イン・マイ・ライフ

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音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

建築業界『鉄の骨』

2011-09-04 | book
池井戸潤が、建設談合を扱った「鉄の骨」を読んだ。07年5月から09年4月まで雑誌に掲載され、09年10月に単行本として発刊された。

富島平太は、中堅ゼネコン「一松組」に大卒で入社して3年目の若者だ。その彼が、建築現場から入札を担当する業務課に変わらされた。区役所の道路工事で、入札の現実を見せつけられる。次に大口の地下鉄の入札の情報が入る。うごめく、建築業者、フィクサー、政治家たち。本音と建前の中で、この業界はあると著者。

その間、平太の母親が脳梗塞で倒れ、ガールフレンドの萌は、勤める銀行のエリート行員交際を迫られる。会社と家族、異性、さまざまな試練が平太に降りかかる。そして、迫る検察の談合摘発の手。最後まで目の話せない展開はさすがだ。

制度としての入札、ゼネコンという仕組み。題材としては、非常にヘビー。これ以上の踏み方はいろいろあるのだろうが、この作者に一貫した、中小の会社を応援する姿勢が心地よい。
コメント
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