ちょっとショッキングなニュースである。大学進学大手予備校で全国展開する、代々木ゼミナール(通称;代ゼミ)が事業を大幅に縮小する。27校中20校を閉鎖するとのことである。受験生の多くが自分の学
力を知るために受けている、代ゼミ展開の全国模試も中止するとのことである。最盛期を知る者にとっては、隔世の感がある。
代ゼミの事業縮小は、やはりなんといっても少子化が背景にある。が、それだけではない。最近の学生は、浪人してまで大学に入りたくないのである。受験生に占める浪人生は、7万人程度の7%程度にまで落ちている。
この20年で、大学の定員が450万人から700万人へと増えているのである。人口の年齢分布を見れば、少子化の到来は素人で予測できたのに、無作為に大学増設を容認してきたことが大きい。
田中真紀子が文科大臣として、はんこ押さなかった駄々っ子姿は、ある意味正しい。根回しもなく出口だけ押さえたのは、笑い話である。
大学進学の意味が少なくなり、若者に気概がなくなったことも大きい。系列からの進学も含めて、私立大学の64%は推薦入学であるということである。しかも、私立大学の46%が定員割れしている。
東京大学ですら7割は現役である。公立大学の多くも圧倒的に、現役が多い。到底信じられない現象である。
代ゼミは、文科系が得意の予備校である。浪人してまで文系に進学する学生がいなくなった。少子化により競争がなくなったためである。
代ゼミは資金は潤沢で、経営者の世代交代で大ナタを振るったのである。500人と言われる職員の雇用対策は二の次である。
菅直人は首相としての資質が欠ける人物であったが、「少子化対策は20年遅れて取り組むことになった」という、自民党への嫌味な表現は正しい。自民党政権に戻って、少子化対策は相変わらずその場しのぎでしかない。
目先の人気取り政策に明け暮れる政権では、即効性のない少子化対策は置き去りにされてきたのである。
政治は、間断なく次世代の育成対策をしなければならない。