goo blog サービス終了のお知らせ 

そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

チェルノブイリ法、原発被害の補償の困難さ

2014-08-27 | 政治と金

NHKの「ETV特集」で原発事故 国家はどう補償したのか~チェルノブイリ法23年の軌跡~が放送された。1986年4月26日、チェルノブイリ原発事故が起きた。膨大な量の放射性物質が放出され、広い地域が汚染されたが、ソビエトはこれを国家機密事項に、隠ぺいした。
事故の5年後の1991年に、被災者を保障するために『チェルノブイリ法』が制定された。国家の過ちを全面的に認めるもので、「国が被災者の生活と健康を世代を越えて守り、被害の補償を続ける」と規定されている。国民には何の罪もない、国家が保障するというものである。
例えば、・医療費の無料と年一回の無料検診 ・年金の補償と給与などの上乗せと有給休暇の追加 ・あらゆる生活保障 ・年一回の保養所への旅行 ・食料を買う権利の保障 
・大学入学の優先 ・被災者の子供に月4000円支給 ・公共交通機関の無料 ・移転希望者の保障等々、微に入り細に入る項目にわたり保障している。
同時にチェルノブイリ法は、年間1ミリシーベルトを超える地域住民の救済を謳っている。
極めて高い理想を掲げている、チェルノブイリ法であるが、程なくソビエト連邦の崩壊で、モスクワからの援助はなくなり、ウクライナが引き継ぐことになった。ウクライナ政府は、213万2千人の登録者を補償しなければならなくなった。

Photo 独立後のウクライナは政変が絶えることなく、保障と財政の板挟みになり、法に沿った補償は激減している。裁判に持ち込んで勝利しても、補償はなされていない。10年前までは60%だった実現度は、4年前には14%まで迄落ちている。そして現在の内戦である。今年の補償はさらに低くなっているものと思われる。
福島は、チェルノブイリの被害範囲の認定と、補償の質を学ばなければならない。とりわけ被災地域の認定と補償の内容と対象者についてウクライナの国情はあったとしても、放射能被害の補償は困難であると、チェルノブイリ事故が物語っている。チェルノブイリは、廃炉に100年を見込んでいる。日本の福島はチェルノブイリ事故を、教訓としなければならない。
日本再稼働へ向けて積極的であるが、被災者や地域の認定には後ろ向きであり、廃炉の道程についてもあまりにも楽観的すぎないか。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

羅臼港

春誓い羅臼港