イスラエルのリブニ法相とパレスチナの和平交渉担当者のアリカット氏は、ワシントンでケリーアメリカ国務長官の立ち合いで和平交渉を行った。2週間以内に本格交渉に入り、来年4月末までに「2国家共存」に向けての議題とすることを合意した。
交渉内容が良く解らないのは、この二国間の常である。アメリカがパレスチナ側に立つことは考えられない。パレスチナ支援の姿勢を見せていた、エジプトのモルシも倒れてしまい、パレスチナは深刻な経済封鎖状態にある。
イスラエルは交渉直前に104人の政治犯を釈放している。この104人は1993年のオスロ合意で釈放されるはずだった人物たちである。クリントンアメリカ大統領の仲介で行われたオスロ合意で、ラビン首相もアラファト議長もこの時の和平合意を評価されて、ノーベル平和賞を受賞している。
程なくラビンは自国の右翼青年にに暗殺された。アラファトは生き延びたものの、事実上イスラエル軍に包囲されて、殺害されたに等しい最期であった。この間に、オスロ合意は実行されることがなかったのである。今回のイスラエルの104名の釈放は、99年に釈放予定を14年も遅らせたことになる。
パレスチナの要求の一つが、イスラエルの西岸地区への入植の凍結である。もう一つが、第三次中東戦争次期の国境を戻すことである。イスラエルの要求は、国連などへ国家としての主張の中止である。いずれも相手側にとって極めて困難な要求である。
シリア情勢も行き詰まったままである。複雑に絡み合った宗派間の対立は、イスラエルにとってもアメリカにとっても糸口がつかめない状況にある。アメリカがシリアの反政府勢力支援に踏み切ったようであるが、イスラエルはアサドを支援している。
圧倒的な軍事力を誇るイスラエルは、パレスチナとの和平は国家の存亡にかかわる問題である。厄介であるが、イランやヨルダンやイラクなどの反イスラエルのイスラム国家と対峙する以前の問題だからである。
しかし中東各国は覚めた目でこの交渉を見ている。イスラエルを信用していないからである。オスロ合意以下の結果になってしまうであろう。