市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

1900万円横領でも刑事告発できない群馬県サッカー協会の事情について県教委に35の質問

2010-09-16 12:59:00 | 他の自治体等の横領事件とタゴ51億円事件
■ワールドカップサッカーで日本代表のサムライ・ジャパンの活躍が日本中を沸き立たせていた今年6月下旬に、群馬県サッカー協会では、サッカー少年の登録料など1900万円を横領するという事件がおきました。

 その後の経緯と、事件の背景について、当会では8月12日に群馬県庁を訪れて、群馬県教育委員会などの関係者からヒヤリングをしました。その時の関係者の証言から、この事件を分析してみました。
■この由々しき事件について報じた平成22年6月29日の上毛新聞によれば、群馬県サッカー協会の2009年度決算で、約1900万円の使途不明金が見つかり、金を流用したとされる前事務局長が協会に対し「消費者金融に借金があった」として、数十回にわたって現金を引き出していたことを認め、協会は特別委員会を設置し、全容解明を進めている、ということでした。

 さらに、協会関係者によると、前事務局長は今年3月に退職するまで経理を担当、通帳やキャッシュカードを一人で管理しており、選手の登録料などを使い込んでいたとみられ、協会は6月28日に、社団法人を所管する群馬県教委に経緯や事実関係を説明したところ、群馬県教委は「不適切な経理処理があったことはまことに遺憾。再発防止に努めてほしい」と話した、というものでした。

■その後、平成22年7月1月付で、次の記事が上毛新聞で報じられました。

**********
県サッカー協会 08年度以前も不明金
前事務局長流用を否定 数年で3000万円以上か
 県サッカー協会の2009年度決算で、約1900万円の使途不明金が見つかった問題で、08年度以前も不明朗な金があることが30日、複数の関係者の話で分かった。額は過去数年間で少なくとも3千万円に上るという。09年度の不明金の流用を認めている前事務局長の男性は、上毛新聞社の取材に「08年度以前の流用はない」と述べた。
 協会によると、前事務局長は04年から事務局長に就き、1人で経理事務を担当していた。協会は08年度以前の不明朗な金について精査し、前事務局長に事情を聴く方針。
 前事務局長は30日、流用した金を飲食代などの遊興費や生活費、消費者金融への返済に充てたことを認め、「流用したのは09年度だけ」と語った。
 流用の際は「1回10~20万円程度を、週に何回か引き出していた」と説明。私的流用について「知らないうちに続けてしまった。大事な金を使い込んでしまい、大変申し訳ない。必ず返し、関係者にも謝罪したい」と述べた。
(平成22年7月1日上毛新聞)
**********

■こうした経緯を踏まえて、当会は平成22年8月12日に、群馬県庁を訪れ、関係者からその後の経緯と、この事件の背景について聴取しました。その結果、次のことが判明しました。

(1) 社団法人群馬県サッカー協会を管轄している部署は、群馬県教育委員会の総務課で、補助金の窓口となっているのは同スポーツ健康課。

(2) 群馬県サッカー協会に関しては、スポーツ健康課から直接サッカー協会に補助金を出しているのではなく、群馬県体育協会を経由して補助金が支給されている。体育協会はいわゆる野球やサッカー、バスケットなどいろいろな競技の競技団体があり、それらの強化費について体育協会から配分している形をとっているという。

(3) 体協経由で補助金が支払われているが、実際には、群馬県スポーツ健康課から体協に出ている補助金の実績報告として、どの団体にどういうカネがいったというのは、体協から報告を受けており、確認もとっているという。

(4) 群馬県サッカー協会については昨年度(平成21年度)125万円くらいだった。それについては、体協のほうで、同協会から実績報告を受け検査をしている。体協に対する県からの補助金という形になるので、体協のほうには一応実績報告で確認しているという。

(5) つまり、体協が補助金を配っている主体として県教委に報告するので、当然、サッカー協会でのカネの使途は県でも把握しているという。ちなみに、群馬県体育協会は公益法人の財団法人扱いで、一方、サッカー協会は社団法人となっているという。

(6) なお、過去5年間にさかのぼって補助金の交付実績、報告内容、内訳等の関連情報を見たい場合は、群馬県教育委員会スポーツ健康課で、情報開示請求をすれば入手できるという。

(7) 補助金の交付先団体のため、群馬県サッカー協会からは、公益法人としての事業報告が県教委に提出されており、公益法人の決算報告の場合は閲覧に付すことになっているので、いつでも閲覧が可能になっているという。

■そこで、県民としてこの事件について素朴な疑問をぶつけてみました。

Q1:事件の報道しか知らないが、まだ調査中の段階でとりあえず明るみに出たのはいくらか?
A1:1900万円くらい。

Q2:2003年ごろ事務局長を、今回の御仁に代えた当時にも、不祥事があったという記事が報じられた。今回のT事務局長になったが、また今度の事件が起きたということだが、内部調査の結果、どうやら横領額が1900万円以外にまだ3000万円くらいにありそうだということだ。今調査中というが、協会として、警察への告訴は本人が弁償するといっているので、まだ告訴はしていないということで理解はよろしいか?
A2:その3000万円というのは県教委として、とくに新聞報道は見ていないが、基本的には昨年度の決裁において1900万円ほどの使途不明金が見つかったということで、その報告はいちおう聞いている。それ以外に過去にさかのぼって調べているということで、その報告は確定次第こちらもいただくことになっているが、まだ報告されていない。また、新聞報道されたという、過去にもそういうことがあったということについては、協会にもきいたが、今の役員はそのことはよく分からないといっている。

Q3:上毛新聞にでていたが?
A3:それがどこから出た情報だということがわからないので、取材に応じた人がそういった形でしかサッカー協会ではわからないということ。サッカー協会自体が法人化されたのは平成20年4月からだ。その前は言ってしまえば任意団体だった。そのころの会計の話だが、取材に応じた人が確実なソースなのかどうかは、わからない。少なくとも同協会役員の話ではないと思う。

Q4:根拠がないわけではないのだろうが、それを裏付ける資料もとっていないのだろうか?(サッカー協会は)民意団体だからということで?
A4:任意団体だから県は把握していない。決算報告もいただいていないから。

Q5:同協会のホームページには人事組織表があったが、実際には事務局長1名と、女性のスタッフ1名くらいしか事務局には常勤していないようだ。会長以下、理事や監事にはそうそうたる方々が名前を連ねているようだが。国会議員も複数名、名前をつられている。あのメンバーには県のOBはいないのか?
A5:県のOBはいないと思う。要は、サッカーをやっていた人が殆ど役員をしている。谷津先生などは別かもしれないが、そのほかはサッカーに携わっていた人だと思う。顧問とか、そういう形で入っていたと思う。役員には県のOBはいない。また、有償で金が支払われている役員もいないと思う。事務局長と女性スタッフには人件費が出ている。それ以外はたぶん役員も殆ど無償で、会議の時の交通費くらいは出ている程度。

Q5:今回ネコババされたカネの由来は?
A5:登録料が多い。選手として登録する金。審判も含めて。協会のほうの説明では、登録料を預かるときと、全日本の上部団体に納めるときの間にタイムラグがあり、どうもその間にカネを流用していたらしい。過去はそのへんがうまくに巧妙になされていたようだが、毎年、毎年、それだけ額が流用されていたら多分つぶれていたので、昨年が突出して多かったので発覚したのではないかと思う。ちょっとその辺も調査報告も詳しく受けてみないと分からないが。

Q6:調査のためのタスクフォースを設置するといっているが?
A6:調査委員会には、監督官庁である県は入っていない。調査委員会の中に税理士と弁護士も入れるということで、つまり、外部の人間を入れるという委員会ということでこちらとしては指導している。

Q7:いつ頃調査結果が出る予定なのか?
A7:2、3ヶ月で出る。秋風が立つことには出てくるはず。

Q8:そういう(調査結果の)資料も連絡が来るのか?
A8:そうだ。口頭での報告ではなく、文書で提出するようにということは指導しているので、連絡が来れば、ということ。

Q9:そういう資料は開示されるのか?
A9:公益法人が備え付けて閲覧に付すという書類の中には含まれないので、開示請求という対象になる。

Q10:事務局長はどうやって選ぶのか?
A10:人選にあたっては、(県の)指導外の部分になるので、事務局長を雇います、ということは、(協会から)こちらに相談はない。その辺の経緯はわからない。

Q11:補助金を出した時にカネには色はついていないが、ズサンな運営されていることから、横領されたのでは?その分は公金だし、サッカー選手、サッカー少年などいろいろ登録していると思うが、それがあのような形で、不祥事が起きたのは、どういうふうに見ているのか?とりあえず関連資料を調べるという方針。あとは再発防止に向けての特段の対策も含めて、いまはタスクフォースまかせなのか?
A11:そうだ。その(調査)結果を待っているところだ。ただ、いつ(調査結果が)出てくるかということは、この間も先日電話をしたりしているが、まだ(調査が)終わらないということなので。

Q12:(協会の事務所の)場所は?
A12:公社ビルのなかにある。大渡橋を渡ったところ。

Q13:県民センターに聞いたら、そこではないといったが?
A13:昔は別の場所にあった。(県では協会にたいして)賃料をとっている。要は、サッカー協会自体が、県が作った協会でもないので、そういう賃料の(免除などの)計らいはない。もともとサッカーをやっている人たちで立ち上げた社団法人。

Q14:(途中に)体育協会が入っているが。そこがバリアになって、懐に手を突っ込んで監督しにくいということはないか?
A14:体育協会には県の職員が出向している。ただ、体育協会を通さないということはない。体育協会は強化費で、カネを出しているが、傘下としてのそういった関係はない。だからこちらも(体協の)話を聞く時には(体協)会長の同席を求めないし、断りをするということもない。特にその辺は体育協会もいろいろな団体を持っているので、サッカーに限らず、ボクシングや柔道などいろいろな競技は全部、体育協会の傘下にある。

Q15:サッカー協会は企業からの賛助金は募っていたのか?
A15:若干もらっていたのかも。決算書を見れば分かる。

Q16:どうしてこれまでばれなかったのか?
A16:21年、22年、これはちょっとおかしい年だが、これを見ている限り分からない。要はやはり通帳の流れとか。決算上は当然あっている。これを見る限りでは分からない。入れた時点のカネになるので、たとえば登録料についても当該年度分、次年度分が混ざっている。そこのところもカネの動きがよく分からない原因。

Q17:キャッシュフローが把握されないので、こうした事件がおきたのか?
A17:企業から入ってくるのは、たいした金額ではない。サッカー協会自体が、自主事業的なものが殆どない。一つぐらいやっている程度。チャレンジカップくらいかな。登録料などを使って、こういう各団体、高校生だとか少年の団体に、お金を流してそこで運営する形だ。だからサッカー協会、たとえば、サッカーの大会をサッカー協会が直営でやることはない。協会の下部の少年団とかそういったところが運営してそこにカネを出している。

Q18:会場をかりて事業収入とか、そういった事業はほとんどやっていなかったのか?
A18:それができればプロの世界でザスパしかない。プロとの関係はない。サッカー協会というのは、要はザスパがあるがその運営はしていない。収入としては、そういう営業収入というのは殆どない。日本サッカー協会があるが、日本サッカー協会自体がプロの団体のみならず、アマチュア団体の育成も含めて金が来る。

Q19:サッカーくじからのカネも入るのか?
A19:そういうカネも流れてくるとは思うが。群馬県の収入というのは、4万円というのはむこう(体協)の間違い。これはゼロ。体協からの金を勘違いして計上しているところが有る。それは確認した。むこうも確認をして、多分スポーツ少年団というところにカネがはいっているのがあって、それを勘違いしているところがある。支出としては、要は大会運営費などで、サッカー協会独自ではないが、そういうときにはさっき言った少年団に金を出して、そこで支出して大会を運呈している。当然協会自体、事務局長一人とスタッフ一人だけ。大会などの運営まではできない。他に、日本協会との窓口的な業務も若干ある。

Q20:それにしても、登録収入は多額だ。登録料を払ってこんな使いかたをされたのでは、会員からの怒りも相当なのでは?
A20:かなり協会のほうにも苦情というかそういう話はあるかと思う。当然こちらとしても補助金は、検査が直接ないし、体協の分も、いちおう適法な使い道をしているので、そこのところでは、あれだが、県民のサッカー好きな少年からのお金をあずかっているので、それがこれだけ不正に使われたということ自体は、重大なことだ、という話はしている。要は告訴も含めて検討してくれという話はしている。

Q21:それでも、もたもたしていて、「本人が返すから」といっているのでまだそこまで踏み切っていないとか?
A21:そういうことになる。報道とかで。そのあと弁護士と相談しているという話はきいている。ただどういう対応をとるかという方針までは聞いていない。

Q22:公金、浄財、こどもの夢を預かった金が、1900万円のなかに含まれているともいえる。T事務局長は、当然ギャンブルや飲み屋に使ったのだろうが、そういうところは見えてこないのか?
A22:そうだ。

Q23:そこを調べるべきだ。安中の51億円などはそういうカネで同僚や市の幹部を接待して、あとは、自分がツケを払っておくからといっていた。このように、カネで地位をつなぎとめていた可能性もあり、本当は変なカネをもらって、妙な配慮をしたひとが周囲にいたとも限らない。はやく警察に踏み込んで、帳簿を調べて本人を締め上げて白状させて、膿を出し切らないといけない。
A23:そういうことだが、警察でないと強制的なことができない。

Q24:その警察だが、気になるのは谷津先生や佐田先生とか、自民党のタヌキらがいるので、警察も捜査の矛が鈍ることは安中の事件で十分に証明済みだ。県は直ぐに県連から声がかかるので、それを知っていて自分たちが処理するとか、谷津先生が音頭をとっているなどと、軽率なことは言えないが、早く司直に踏み込ませて帳簿改ざんされないうちに、事実を白日の下にさらすべきだ。もうだいぶ日が経っており、本人のまわりに鼻薬をかがされている人がいればもうダメ。そうするとまた群馬県の横領事件の結末はこうなんだ、と広く世間に、やっぱりそうだというイメージをあたえてしまうのでは?
A24:1900万円からのカネなので、(警察に告訴しなくて)いいのかということは素直に思う。公務員の場合は、このあいだ、県のほうでも懲戒免職をやったが、50万円くらい親睦会費的なところを流用して、本人は返金したが、それでもクビになった。だから返せばいいという話ではないし、返せる額かどうかというのは、その辺、横領した人の資産状況は分からないが。

Q25:普通の県民にとって1900万円などの大金はどうして返せるのか、返せるメドが立つのかなど、到底信じられない。(協会が)それを信じているとなると、当会の懸念したとおり、なんやかんやで1900万円のうち使途不明になっている。安中の場合は14億円以上が使途不明金。当会がチェックしたところでは、20億円以上使途不明。今の市幹部にもカネが渡ったとかいう話だ。いずれにしても、公金である補助金がきちんと使われたということか?
A25:公金のぶんだって、色をつけたわけではない。補助金で渡った金に対して、使った金に色をつけるしかない。我々としてはちゃんとこういうところに支出していれば、あっていれば、それをいろとしてみるしかない。そこのところでは確認をしている。

Q26:サッカーの振興、大会の補助費だろうが、きちんと定義は互いに決めてやって、その証拠というのもきちんと確認しているのか?
A26:確認しているということで報告されている。支出先も確認しているということ。つまり実際スポーツ健康課までは全部来ない。体協に対しては、間接補助者なので、これに対しては(検査を)やるが、そこから先、体協からこちらに報告があるところについて、そこのところの書類は出てきていない。当然、各協議団体は何十にもなるが、補助金の使途について全部確認しているのかということについては、スポーツ健康課に確認する必要がある。

Q27:もらっているのと、確認するのとは別。領収書はもらってくらいでいいが。
A27:預金は数千万円あるが、殆ど固定資産がない。ちょうどこの事件発覚がそういう時期だった、サッカーが盛り上がった時に水を指すような事件だった。時期の問題ではないかもしれないが。普通あってはいけないことだが。

Q28:役員名簿があるが、このなかに県の関係者はいるのか?
A28:誤解を揚げると困るが、所属先・群馬県庁とあるが、この人は県庁の人として(協会に)行っているわけではなく、単にサッカーをしている人として、県庁にもサッカーチームがあるので、高崎市役所の人もそうだが、要は公務員の立場で言っているのではなくサッカー選手、サッカーに関わる人としてやっているだけで、役員自体には報酬がない。

Q29:しかし、理事という役員だから、方針をきめたりしているのか?
A29:県庁を代表しているわけではなく、サッカーをしている人として、県のほうから派遣しているのではない。将棋協会の中に将棋好きな人が入っているということだ。

Q30:しかし、選ばれるときには多分互選や推薦でやると思うが、そのときに?
A30:別に県庁に選出依頼がきているわけではない。申し送りで順番に来るのだと思う。各人のサッカー暦に着目して人選しているようだ。

Q31:誰が選ぶのか?サッカーの仲良しネットワークのなかで人選されるのでは?
A31:そうだ。だから、小学校の先生もいるし、今サッカーをやっている人の中から選ぶ。だから、ほとんどのひとが熱意を持ってやっている。

Q32:だから、今度の不祥事件の怒りをぶつける相手がない?
A32:これが公開できる資料だ。このなかで、発覚したということについて、監査報告の中で言っている。要は1900万円計上してとりあえず貸付金処理としている。欠損金にすると取れなくなるからだ。要は将来(ネコババしたT事務局長から)絶対取るということで、個人にやったということ。それが、一応、決算上にのっとって決算上に残さないと取れないということ。

Q33:民事で取れれば取れればよいが、連帯責任となるのではないか?割り勘でいこうやという話になり、無関係の理事まで巻き添えとなる。不退転の決意で(T事務局長を)締め上げれば白状するものだ?
A33:もともと、報酬もらっている役員がいない。補助金も殆どが事業で使われている。国のように、何千万円ずつもらっている理事がいれば、(それを原資に)毎年返せるが、(協会は)そういう団体ではないので難しい。

Q34:むしろ、そうやって子どもの夢をうばったという責任感は(理事の間に)あると思う。なまじ安中公社の理事のように、あまり高額ではないが、カネをもらっていたにもかかわらず公社の理事などの関係者は、誰一人ビタ一文損害賠償金を払わない。結局、市民に公金で尻拭い。とりはぐれた場合、理事は「申し訳ないが自分はこれくらい出すよ」ということになりかねない。出すのはよいが、(事件の真相が)うやむやになるのはよくない。だから、たとえばこのまだレポートが出てこないが、このひとが、自分勝手に、消費してしまったわけだから、次年度引き続いて補助金を出していいものかどうかということ。本来はそこで、きちんとはっきりと改善されることが確認できるまで出さないのが本来の姿と思う。本年度予算は決まっているので既に出してしまっているかもしれないが。だって、発覚する時はまだ誰もしらなかったはずだが?
A34:その辺の流れはこちらではわからない。要はスポーツ振興課から、体協が補助金をもらって扱っているので。その辺はこちらの具体的なカネの話はわからない。

Q35:大渡公社で(群馬サッカー協会)事務局の後任者に聞くのがベストか?
A35:補助金の支出はスポーツ健康課に確認できる。体協まで金が行っているかは分かる。25Fにある。ではこの資料をコピーしたいということか?【当会:そうです。】こちらが総会の資料なので多分同じもので決算でとっている。事業報告は同じ。3月31日までの事業報告がある。こちらのほうが、分かりやすいと思う。

■ということで、群馬県教育委員会の関係者は、青少年の健全な精神を育むためのサッカー振興を踏みにじった今回の出来事について、我々市民の目線レベルでの疑問や怒りを充分理解できている様子でしたが、問題解決に向けた積極的な姿勢や施策については、結局、群馬県サッカー協会自身による調査結果を待つだけであり、まったく腰が引けていました。これでは、真相究明と再発の根絶はおぼつかないでしょう。

 この件については、追って、当会も直接サッカー協会から事情を聞くなどして、真相を掘り下げてみたいと思っています。

【ひらく会情報部】

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長野県建設業厚生年金基金で発覚した22億円横領事件と安中公社タゴ51億円事件

2010-09-12 23:55:00 | 他の自治体等の横領事件とタゴ51億円事件
■横領事件というものは、いつも突然にマスコミ報道を賑します。9月12日、20億円を超える横領事件が報じられました。

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年金基金掛け金21.9億円不明 事務長着服か、連絡取れず 長野県建設業厚生年金基金
 長野県建設業厚生年金基金(長野市大字南長野南石堂町1230)は9月12日、会員の建設会社の従業員から集めた年金掛け金のうち計約21億9000万円が不明になっていると発表した。掛け金の通帳を管理していた男性事務長(52)は9月9日から連絡が取れず行方不明となっている。同基金は事務長が着服した可能性もあるとして、9月11日に長野県警長野中央署へ被害届を提出した。
 また、基金設立の母体となった長野県建設業協会(同)の幹部らは近く調査委員会を設け、関係者から詳しく事情を聴く方針。協会関係者によると、基金を所管する厚生労働省も不明金の発生を把握、同基金に調査を求めているという。
 複数の関係者によると、不明金の存在は8月下旬に発覚。本来、基金に入るべき加入事業所などからの掛け金が、2006年ごろから一部不明になっている可能性が高い、という。
 同基金は厚生年金に上乗せする分を加入している建設会社から集めて運用しており、基金の口座は事務長が1人で管理していた。同基金側は「事務長が1人で決済し、通帳と印鑑も管理していた。システムに問題があった」としている。
 同基金によると、不明金の存在は平成22年8月下旬に発覚。本来基金に入るべき加入事業所などからの掛け金のうち、一部に不明金が出始めたのは2006年6月から。掛け金は地元金融機関の口座に集めた後、手数料を除いた全額を毎月、運用している生命保険会社に送金することになっていたが、一部は入金されていなかった。
 同基金によると、基金側が建設会社の従業員らから集めた掛け金を振り込んでいる大手生命保険会社から今年8月、「月によって入金が大幅に少なくなる」と入金不足の指摘があり、関東信越厚生局が9月に計3回の監査をして発覚した。
 掛け金の入金は事務長が1人で行い、通帳や印鑑も管理していた。経緯を聴くと、事務長は不明金について「2006年4月に長野県建設業協会飯田支部から掛け金を返してほしいと言われ、返金していた」と説明。38回、同支部口座に計21億9千万円を振り込んだことを証明する受付書類も示し、同支部に別途管理させていたと説明。しかし、9月9日までの調査で、事務長が入金記録としていた計38枚の銀行の「振込受付書」は、銀行に照会して確認した結果、いずれも偽造と判明、約21億9000万円分に上る同支部への振り込み入金はなかったことが分かった。(別の報道では、事務長は「飯田の加入者から、給付率が低いので独自に運用したいと申し出があり、いったん集めた資金を返していた」として、加入会社に返金したと説明したということだが、同基金が調べたところ、返還金として県内支部に送金していたはずの金が、支部側の口座に振り込まれておらず虚偽とわかって、発覚が遅れた、としている。)
 厚生年金基金は、公的年金業務の一部を代行するとともに、掛け金を上乗せして運用、給付している。長野県建設業厚生年金基金は、長野県建設業協会が1986(昭和61)年に準備委員会を立ち上げ、1987年設立した。
 同基金発行の「基金だより」(7月号)によると、今年5月末現在の加入事業所数は377事業所、加入員数は6864人、年金受給者数は1万556人。本年度予算では、年度末の年金資産を206億5700万円と推計している。(今年3月末時点で建設会社381社、加入員は6889人、運用残高=年金資産は約209億円とする報道もあり)。
 9月12日に記者会見した同基金理事長の佐々木力・長野県建設業協会会長は「会員の皆さまに大変なご迷惑をお掛けした」と謝罪した(同基金理事長の佐々木力・長野県建設業協会会長は取材に対し、「詳しいことは調査中だ」とする報道もある)。2006年当時に理事長を務めていた中沢英・前会長は、「そのような話は一度も聞いたことがなかった」としている。
**********

■このニュースを聞いて、次のことが思い浮かびました。

 まず最初に思い浮かんだのは、群馬県にもある群馬建設業厚生年金基金のことです。なにしろ、群馬県では、青森県住宅供給公社のアニータ14.5億円事件をはるかに上回る安中市土地開発公社51億事件が発生している土地柄であり、最近では、群馬県サッカー協会を舞台に1900万円(未確定)の横領事件が発覚したばかりです。

■今回の横領の舞台となった建設業厚生年金基金とは、国の指導監督のもとで、事業主と加入員の代表によって運営されています。

 厚生年金基金の代議員会は、事業主が選定した代議員と、加入員から互選された代議員で構成されています。基金の規約変更、予算、事業計画、決算、業務報告等の重要事項は、この代議員会の議決を経なければなりません。

 理事会は、選定、互選代議員の中からそれぞれ選出された理事によって構成され、代議員会で決められたことを実行する機関です。監事は、事業主と加入員が選定した代表各1名で構成されています。なお、最高責任者として、理事長が選ばれています。また、当厚生年金基金では、理事会・代議員会とは別に「資産運用検討委員」を設置しています。

 こうした情報をホームページできちんと公表している建設業厚生年金基金もありますが、大半はホームページを持っていないようです。

■長野県建設業厚生年金基金を監督する厚生省の関東信越厚生局の管内厚生年金基金一覧表(平成22年4月1日現在)を見ると、群馬県内には、次の厚生年金基金があります。
・群馬県トラック事業
・佐田建設
・群馬県病院
・群馬県機械工業
・群馬県食品製造
・群馬県自動車販売

 ところがなぜか、群馬県建設業厚生年金基金の名称が一覧表には見当たりません。また、群馬県建設業厚生年金基金の母体である群馬県建設業協会の加盟社である佐田建設だけが、独自に厚生年金基金を持っているのです。八ッ場ダムを筆頭とする群馬県の建設業界の利権をめぐる伏魔殿ぶりを象徴する現象なのかもしれません。

■さて、今回の長野県建設業厚生年金基金の報道はまだ流されたばかりですが、この報道を見ると、当会が真相を追及してきた安中市土地開発公社をめぐるタゴ51億円事件との類似性を感じる点が、いくつかあります。反対に、そうでない点もあります。以下に、それらの点について整理してみます。

<タゴ事件と類似する(可能性もある)点>
①20億円を超える巨額横領であること。(ただし、青森のアニータ14.5億円横領事件や、高知土佐山村の収入役13.5億円横領事件を凌駕していますが、タゴ事件の51億円に比べると半分以下ではある)
②発覚したあと事務長が行方をくらましてから、警察に被害届を出すまで時間がかかっていること。(ただし、この事件では9日に発覚して2日後の11日に警察に届けているが、タゴ事件では、発覚後警察に届けるまでに半月かかった)
③長期にわたり、担当者を同じポジションに配置していたこと。(ただし、この事件では犯行期間が4年間だが、タゴ事件では15年間だった)
④たった一人にカネの出入りの管理を任せていた、ということにしていること。(ただし、これは言い逃れであり、この事件でも、他に担当者がいたはず。タゴ事件でも上司や同僚がいたのに単独犯とされた)
⑤ということで、捕まってもカネの行方を白状せず、巨額使途不明金として処理されること。(今後のこの事件の報道の推移を見てみないと、確たることは言えないが)
⑥監査機能がマヒしていること。
⑦事務長の周囲に共犯者の存在をうかがわせること。(単独犯では横領金を使いきれない。52歳の事務長とやらは、建設業協会からの出向者だろうから、それも年齢からしてある程度のキャリアを持っていたかもしれないので、土建業界との癒着が疑われる。ちなみに長野も群馬も土建王国)
⑧勝手に組織の印鑑などを使って、銀行の書類を偽造したこと。(ただし、偽造した書類を銀行に持ち込んだのか、それとも、組織の内部説明で偽造書類を使うのが目的だったのかは不詳)
⑨穴埋めは公金になる(かもしれない)こと。
⑨ともに利権目当ての組織であること。(この事件の舞台になった建設業厚生年金基金の母体の建設業協会は土建屋の互助組織で、会長とか役員は、土建屋の社長であり、専従職員の長が事務長という体制。一方、安中市土地開発公社も、市長をはじめ市の幹部、OB、議員ら政治家の利権共有組織といえる。つまり、両方とも組織ぐるみ)

<タゴ事件とは類似しない点>
①公金ではないこと。(ただし、公的制度のもとでのカネの流れではある)
②事務長の氏名が公表されないこと。
③加入者の運用のため、一次返還が許されていたこと。
④雲隠れしていること。(タゴ事件の場合、一時は逃げたように見せかけたが、超巨額の犯行額に加えて、政治家や公務員らが関与し、タゴ一族も逸早く弁護士対策をとったため、雲隠れをする必要がなかった)

■このように、長野県建設業厚生年金基金の場合は、事件発覚直後のため、まだ情報不足なので、十分な比較検討ができませんが、今後のこの事件の顛末が次第に判明するについて、単独犯行で幕引きするのか、横領金の使途は明らかになるのか、など、真相追及、再発防止、責任の所在の明確化がはたして行われるのかどうか、注目していきたいと思います。

【ひらく会情報部】

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315円の領収書を380円の簡易書留で送ってきた首都高が45億円損害賠償をギブアップした理由

2010-09-09 23:38:00 | 首都高炎上とタゴ運輸
■平成20年8月3日(日)早朝に発生した多胡運輸所有のタンクローリーが、東京都板橋区熊野町の首都高5号線下り線と中央環状線外回りの合流地点で横転炎上した事件で、当会は事件2周年を記念して、首都高が損害賠償を多胡運輸やその関係企業に請求したかどうかを確認するために、情報開示請求を出しましたが、9月2日付で、首都高から「不開示」通知が届きました。

 通知には、「不開示」手数料として、315円の請求書が同封されていたので、さっそく、同社の支払いました。そこで、さっそく9月7日に窓口で315円を支払いました。

 その場で、領収書をくれるかと思いきや、「あとで郵送します」というので、待っていたところ、9月8日の消印で、領収書が9月9日に配達されました。



上:首都高の橋本社長名で届いた315円の領収書。下:380円の簡易書留で送られてきた。

■315円の領収書をその場でくれず、380円の簡易書留で送ってきた首都高の常識を疑いたくなりますが、首都高がまだ「官」の体質のままだということが、よくわかります。

 そのような体質の企業であるからこそ、タンクローリー横転炎上事故を起こした多胡運輸にたいして45億円と一時は発表した損害賠償請求の矛先が、いつのまにかウヤムヤになったのかもしれません。

 これと同じ現象が、平成7年に発覚した安中市土地開発公社51億円巨額詐欺横領事件でも見られました。多胡運輸の社長の実兄であるタゴが、51億円ものカネを自由自在に扱えたわけがないのに、警察の捜査の結果、タゴ一人の単独犯行とされ、使途不明金が14億円以上も残ったまま幕引きされました。この事件が発覚直後は、当会にも巨悪政治家の名前が取りざたす情報が寄せられ、警察にも通報しましたが、すべて空振りに終わったのでした。

 ところが、13年後に、タゴの実弟の経営する多胡運輸が首都高で起こした大事故により、タゴ一族のバックに巨悪政治家のファミリー企業の存在が浮き彫りになりました。まさに、天網恢恢の出来事でした。この2つの大事件・大事故の推移がともに一致することで、当会は、この2つの大事件・大事故の背景に存在する共通点をはっきりと認識できたのでした。

■きたる9月14日には民主党の党首選挙が行われます。昨年8月の衆院選で民主党が政権政党になってから、これまでの群馬県の動きを見ると、中曽根派が民主党候補の支援に動いたり、前群馬県知事が民主党の比例代表候補に擁立されたりしています。

 9月14日の民主党の党首選挙の結果次第では、民主党の分裂の可能性についていろいろ取りざたされています。一方、先日の自民党参議院議員会長選挙で中曽根弘文がクジで選ばれたり、この選挙のしこりで森義朗が自民党町村派に三行半を突きつけるなど、自民党にも分裂の兆しをうかがわせる動きが出ています。

 そうなると、民主党と自民党から分裂した一派が新らしい政治勢力を結成する動きが一気に加速する可能性も否定できません。その動きを占うにあたっても、今回の首都高の対応、すなわち、民主党政権下になっても、相変わらず巨悪政治家の息のかかった多胡ファミリー企業に対して、損害賠償請求を出せないでいる首都高の姿勢は注目に値します。

■当会は、これまで首都高が多胡運輸及びその取り巻きのファミリー企業に対して、毅然として損害賠償請求を行うことを期待して、信じてきました。ところが、今回の情報公開請求の結果、315円かけたにもかかわらず、不開示=開示拒否の結論を出してきた首都高には、本当に失望させられました。

 そしてまた、日本の政治風土というものは、政権がどんなにかわろうとも、その底流にあるものは不変であることを思い知る結果となりました。9月14日以降の動き次第では、それがはっきりと見えてくるでしょう。


首都高本社9階ロビーの壁に貼ってある首都高のシンボルマーク。
「ひと・まち・くらしのネットワーク」と銘打って、「トライアングルストリーム」と呼ばれているが、タゴ・ホクブ・イデミツの三角勢力に牛耳られないようにしてもらいたい。



【ひらく会情報部】

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多胡運輸への損害賠償請求を「不存在」と言えず「不開示」として開示を拒否した首都高の事情

2010-09-06 22:23:00 | 首都高炎上とタゴ運輸
■平成20年8月3日(日)早朝、東京都板橋区熊野町の首都高5号線下り線と中央環状線外回りの合流地点で発生した首都高史上最大の物損事故。その2周年を記念して、当会は平成22年8月3日に、首都高に対して、事故を起こした多胡運輸及びその荷主らに損害賠償請求を行っているかどうかを確認するために、情報開示請求を出していました。

 その後、ちょうど1カ月した9月3日に、首都高から通知が、簡易書留で送られてきました。


**********
【首都高からの通知】
総務第33号
平成22年9月2日
市政をひらく安中市民の会 事務局長 小川 賢 様
     首都高速道路株式会社 代表取締役社長 橋本 圭一郎
首都高速道路株式会社が保有する情報の開示について(通知)
 平成22年8月3日付けで受理しました開示の求めについて、下記のとおり不開示とすることとしましたので、通知いたします。
     記
1 開示の求めがあった情報の名称及びその件数
 平成20年8月3日(日)早朝に発生した多胡運輸所有の大型タンクローリーによる横転炎上事故で、同年10月14日に記者会見した佐々木克巳社長は「損害が経営に与える影響は小さくない。賠償請求をきちんとやりたい」と述べた件に関して、これまでに首都高が多胡運輸やガソリン等を運搬した荷主らに対して為した賠償請求にかかる一切の情報。
 以上1件。
2 不開示とした情報とその理由
(1)不開示とした情報
 これまでに当社が多胡運輸やガソリン等を運搬した荷主らに対して為した賠償請求にかかる一切の情報。
(2)不開示とした理由
 首都高速道路株式会社が保有する情報の開示に開する規則第6条の規定に基づき存否を含めて応答できない。
(参考) 首都高速道路株式会社が保有する情報の開示に開する規則(抜粋)
第6条 開示の求めに対し、当該開示の求めに係る保有情報が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるときは、会社は、当該保有情報の存否を明らかにしないで、当該開示の求めを拒否することができる。
3 手数料等の額
(1)手数料等の額
 315円(消費税及び地方消費税を含みます。)
〔手数料等の内訳〕
 開示の求めに係る手数料 315円(1件。消費税及び地方消費税を含みます。)
(2)手数料のお支払い方法
 銀行振込
<振込先> みずほコーポレート銀行 本店
      普通預金 xxxxxxx
      首都高速道路株式会社
 なお、銀行振込手数料は開示を求めた方のご負担となります。
(3)お支払い期限
 本通知をお受け取りになってから30日以内にお支払いください。
     以 上


【不開示手数料にかかる首都高からの請求書】
No.2010-289
請  求  書
平成22年9月1日
市政をひらく安中市民の会事務局長 小川 賢 殿
     千代田区霞が開1丁目4番1号
      首都高速道路株式会社
      代表取締役社長 橋本 圭一郎(社印)
下記金額を請求します。
  金額315円
ただし、保有情報の開示手続にかかる開示の求めに係る手数料として
  納入期限 開示決定通知書を受け取ってから30日以内
  振込先  みずほコーポレート銀行本店
       普通預金XXXXXXX
       口座名義首都高速道路株式会社
  ※なお、振込み手数料は、各自ご負担願います。
**********

■このように、首都高からは、多胡運輸あるいはガソリン等を運搬した荷主らに対して損害賠償をした経緯を示す情報については、これまでは「不存在」という回答でしたが、今回は「不開示」という返事が来ました。

 これは首都高の情報開示の規則第6条により、「存在」あるいは「不存在」なのかを答えるだけで、不開示情報を開示することになるため、「不開示」、つまり「開示拒否」という理屈だということです。

■ということは、次の2つのケースが想定できます。

ケース1:
 既に、多胡運輸あるいは元請のホクブトランスポート、さらには荷主の出光興産に、なんらかの請求書を送っている場合。

ケース2:
 まだ、多胡運輸あるいは元請のホクブトランスポート、さらには荷主の出光興産に、依然として請求書を送っていない場合。

■当会が開示請求した情報内容は、「平成20年8月3日(日)早朝に発生した多胡運輸所有の大型タンクローリーによる横転炎上事故で、同年10月14日に記者会見した佐々木克巳社長は『損害が経営に与える影響は小さくない。賠償請求をきちんとやりたい』と述べた件に関して、これまでに首都高が多胡運輸やガソリン等を運搬した荷主らに対して為した賠償請求にかかる一切の情報」というものでした。

 すなわち、「損害賠償請求をきちんとやりたい」という佐々木社長の記者会見での首都高の決意表明を信じて、きちんと「損害賠償」したのかどうか、きちんと利用者に「情報開示」してもらうことが目的でした。

 しかし、その期待は、見事に裏切られたのでした。

■なぜ、首都高は、「不開示」という形で、開示拒否をしてきたのでしょうか。その原因としていくつかの要因や背景が考えられます。

 まず、平成20年10月14日に記者会見した佐々木社長にかわり、今の橋本圭一郎社長は、今年、平成22年6月15日の閣議で了承され、民間から新しく登用されました。

 高速道路会社各社には、それまで代表権を持つ取締役会長と代表取締役社長の2つのポストが存在していました。新しい人事では、会長と社長を兼任させ、さらに民間からの登用としました。

 高速道路会社は、05年の公団民営化で、高速道路の管理運用を担う民間会社として誕生、民営化前の旧日本道路公団出身者や官僚OBが役員として就任していましたが、この人事で一掃され、新たに民間の経営手法やセンスが導入されることが期待されたのでした。当会も、この人事に期待して、今回の情報開示を行いました。

■首都高の社長に就任したのは、三菱銀行、三菱自動車を経て、フィッチ・レーティングスジャパンCEOからアサツーディ・ケイ顧問だった、橋本圭一郎氏(50)でした。

 橋本氏の素晴らしいキャリアであれば、それまでの天下りの役人出身の社長や会長と異なり、民間のセンスをもって、首都高に多大な損害を与えた史上最高額の損害の回復のための賠償請求について、きちんと経緯と道筋を発表していただけるはずです。

 他方で、今回、当会の開示請求日から、回答日までちょうど1ヶ月を要したことから、首都高内部でも相当、対応に苦慮して、回答方針案の策定に逡巡した様子が伺えました。しかし残念ながら、首都高は、最終的に、開示拒否とする結論に決しました。その背景には、やはり、国交相の意向が大きく民間出身の新社長の判断に影響を与えていたことが想像されます。

■さらに、今回は「不存在」ではなく、損害賠償をしたか、しないかを悟られまいとして、「不開示」という極めて曖昧な形での回答を首都高が選択しました。これは、やはり、当時、膨大な数の首都高利用者に対して迷惑を与えた首都高にとって、損害賠償請求にかかる情報が、2年経過しても「不存在」、つまり「まだ請求をしない」ということになると、当然、利用者の批判にさらされることになるため、「それは絶対に避けたい」という意向が大きく働いたと見られます。

 あるいは、既に請求をしたが、その金額が、平成20年10月14日に記者会見した当時に発表した「45億円」という金額には程遠く、僅かばかりの金額で、事を納めようとしているため、「不存在」を選択しない場合には、そうした請求書が「存在」していることになるため、その賠償金額を公表したくないため、「不開示」という形での開示拒否を選択した可能性も、勿論、否定できません。

■しかし、当会は、首都高はやはり、ケース2だと思います。

 つまり、首都高は、あれだけの巨額な損害を被ったのに、多胡運輸やそれを支えてきた元請会社や荷主には、きちんと賠償請求をすることができないのだと考えられます。

 そのため、事故直後に拳を振り上げてみたが、当会が指摘してきた、多胡運輸を取り巻くさまざまなバリアーのため、結局、何もできなかったものと想定されます。

 このことは、政権交代で、自民党から民社党になっても、群馬県では以前として、中曽根派をはじめとする自民党の意向が強く、民社党としても、先日の参議員選で、中曽根派の前群馬県知事を担いで、中曽根派の政治パワーを利用せざるを得ない状況にあることを示しています。

 現在、「八ッ場ダム」という世紀のムダ公共事業が群馬県で進んでいますが、昨年の衆院選では事業中止をマニフェストで標榜していた民主党の対応が、その後大きくぶれてきていることが、そのことをなによりも雄弁に物語っているのです。

■首都高では、6月10日に平成22年3月期の決算報告を行い、同社のホームページ上でも公開していますが、約45億円と発表されたタンクローリー横転炎上事故の損害についてはどこにも、何も書かれていません。

 首都高が、本件について、多胡運輸に賠償請求しなくても経営上、問題ないのであれば、この事故以降、同種の物損事故が発生した場合、損害賠償は一切する必要がないか、あるいは、できないことを意味します。その理由については、今回の情報開示請求の結果を見て、あらためて、推察したいと思います。

■おそるべし、多胡運輸。おそるべし、多胡ファミリー。
 2年前に発生した首都高での多胡運輸所有のローリー横転炎上事故は、15年前に発覚した安中市土地開発公社を舞台にしたタゴ51億円巨額詐欺横領事件が風化してきた状況のなかで、一つの「天啓」ともいえる出来事でした。

 勿論、我々安中市民の多くは、この出来事を「天罰」として捉えていますが、タゴ一族は、そうは考えていなかったことでしょう。安中市の影の収入役だった兄が起こした51億円事件は、結局安中市の公金で尻拭いが続いています。兄の横領金のうち、14億円を超える使途不明金の行方について、安中市民の間では、タゴ一族や政治家らに流れたということは揺るがしがたい事実として認識されています。

■今回は、弟の会社が起こした巨額物損事故の尻拭いを、結局、首都高利用者に転嫁するわけで、首都高からの請求さえ思いとどまらせることのできるタゴ一族の実力について、あらためて、首都高の関係者の皆様も、その威力とバックの威光に認識を新たにさせられたことでしょう。

 なお、損害賠償の請求権は、民法により3年間のうちに、損害請求に関してアクションを行わないと時効になってしまいます。当会では、来年の夏に時効が到来するよりも以前に、もういちど、首都高に対して、本件と同じように、情報開示請求をする予定です。

【ひらく会情報部】


※<参考資料>
今年6月10日付で、首都高が発表した平成22年3月期の決算書です。
これを見る限り、多胡運輸やその荷主らに、首都高がこれまでに損害の賠償請求をした経緯を示す情報は見当たらないと断言できるのではないでしょうか。

**********
平成22年3月期 決算情報
平成22年6月10日
会社名:首都高速道路株式会社     上場取引所非上場
URL: http://www.shutoko.jp
代表者:(役職名)代表取締役社長(氏名)佐々木克巳
問合せ先責任者:(役職名)財務部長(氏名)中山 尚信   TEL(03)3502-7311㈹
定時株主総会開催予定日:平成22年6月29日
有価証券報告書提出予定日:平成22年6月29日
                    (百万円未満切捨て)
1.22年3月期の連結業績(平成21年4月1日~平成22年3月31日)
(1)連結経営成績                        (%表示は対前期増減率)
       営業収益    営業利益    常利益     当期純利益
       百万円  %  百万円  %  百万円  %  百万円  %
22年3月期 499,162  62.6 5,036  24.3 4,973   7.9  1,873 △42.4
21年3月期 306,973 △31.0 4,052  59.2 4,608  47.9  3,252  59.6
       1株当たり 潜在株式調整後   自己資本    総資産    売上高
       当期純利益 1株当り当期純利益 当期純利益率  経常利益率  営業利益率
         円銭   円銭        %       %      %
22年3月期   69.40   -          5.4      1.0      1.0
21年3月期   120.46   -         10.2      0.9      1.3
(2)連結財政状態
         総資産    純資産    自己資本比率   1株当たり純資産
         百万円    百万円        %      円 銭
22年3月期   445,795    35,827       7.9        1,308.24
21年3月期   548 883    33 944       6.1        1238.83
(参考)自己資本  22年3月期  35,322百万円 21年3月期     33,448百万円

(3)連結キャッシュ・フローの状況
       営業活動による 投資活動による 財務活動による 現金及び現金同等物
       キャッシュ・フロー キャッシュ・フロー キャッシュ・フロー 期 末 残 高
         百万円       百万円       百万円       百万円
22年3月期    135,728     △13,235     △112,326      44,272
21年3月期   △84,414     △17,434      86,953      34,106

2.23年3月期の連結業績予想(平成22年4月1日~平成23年3月31日)
(%表示は対前期増減率)
      営業収益     営業利益    経常利益    当期純利益  1期純爺益
    百万円   %  百万円   % 百万円   % 百万円   %    円銭
通期 328 000 △34.3  1200  △76.2  500  △89.9  300  △84.0    11.11
(注)第2四半期連結累計期間の連結業績予想につきましては、業績目標管理を年次のみで行っていることから、開示を省略しております。

3.その他
(1)期中における重要な子会社の異動(連結範囲の変更を伴う特定子会社の異動) 無
(2)連結財務諸表作成に係る会計処理の原則・手続、表示方法等の変更(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更に記載されるもの)
  ①会計基準等の改正に伴う変更     有
  ②①以外の変更           無
(3)発行済株式数(普通株式)
  ①期末発行済株式数(自己株式を含む) 22年3月期 27,000,000株 21年3月期 27,000,000株
  ②期末自己株式数           2年3月期 -株   21年3月期 -株


(参考)個別業績の概要
1.22年3月期の個別業績(平成21年4月1日~平成22年3月31目)

(1)個別経営成績                        (%表示は対前期増減率)
          営業収益     営業利益      経常利益     当期純利益
       百万円   %  百万円    %  百万円   %   百万円   %
22年3月期  497,014  62.8  2,529  △0.6  2,370 △4.8   440 △77.9
21年3月期  305,241 △31.1  2,544   99.7  2,491  99.2 .1,989  101.8

         1株当たり      株式調整後
         当期純利益   1株当たり当期純利益
             円銭      円銭
22年3月期        16.31     -
21年3月期      73.67     -

(2)個別財政状態
         総資産     純資産    自己資本比率   I株当たり純資産
               百万円       百万円        %      円 銭
22年3月期   437,356      31,422       7.2        1,163.79
21年3月期   540,894      30,981       5.7        1,147.47
(参考)自己資本     22年3月期  31,422百万円 21年3月期   30,981百万円

2.23年3月期の個別業績予想(平成22年4月1日~平成23年3月31日)
(%表示は対前期増減率)
      営業収益     営業利益    経常利益   1株当たり当期純利益
    百万円   %  百万円   % 百万円   %  百万円   %    円銭
通期 325,200 △34.6  900  △64.4 200  △91.6 100  △77.3    3.70

※ 業績予想の適切な利用に関する説明、その他特記事項
1.前述の連結業績予想及び個別業績予想に記載している数値は、当社が現在人手している情報を基礎とした判断及び仮定に基づいており、判断や仮定に内在する不確実性及び今後の事業運営等による変動可能性に照らし、将来における当社の業績と異なる可能性があります。
  なお、上記の不確実性及び変動可能性を有する要素は多数あり、次のようなものが含まれます。
 ・経済情勢の変動
 ・自然災害等の発生
 ・訴訟に閲するリスク
  以上の不確実性及び変動要素全般に関する詳細については、当社の有価証券報告書をご参照下さい。
2.本資料の諸計数については、現在会計監査人による監査中であり、今後、変更する可能性があります。

1.経営成績
(1)経営成績に関する分析
①当期の経営成績
 当連結会計年度におけるわが国経済は、世界金融危機と世界同時不況といった最悪期を乗り越え、輸出、生産においては持ち直しの動きが見られるようになったものの、企業収益は大幅に減少し、雇用情勢は極めて厳しい状況となるなど、低迷基調で推移しました。このような経済状況の下、当社においては、平成22年3月28日に中央環状新宿線(3号渋谷線~4号新宿線間4.3km)を新たに開通させるなどの事業を展開してまいりました。この開通等により、首都高速道路ネットワークの利便性の向上、アクセス強化が図られております。
 利用交通量は、普通車は対前期比1.1%増、大型車は5.7%減となり、全体としては前期より0.4%増の408.7百万台(112.0万台/日)となっております。また、高速道路事業以外の事業として、5箇所の都市計画駐車場等の駐車場事業、首都高速道路上の20箇所のパーキングエリアの運営及び管理等を展開してまいりました。
 この結果、当連結会計年度の営業収益は、道路資産完成高の増等により前期比62%増の499,162百万円となり、営業利益は前期比24%増の5,036百万円、経常利益は前期比7%増の4,973百万円、法人税等を控除した当期純利益は前期比42%減の1,873百万円となりました。
②主な事業セグメント別の状況
[高速道路事業]
(ア)営業収益
 当社グループは、首都高速道路のネットワーク整備の推進と営業路線の清掃・点検等の適正な管理を24時間365日体制で実施しており、営業路線延長は299.3kmとなっております。
 料金所周辺での渋滞緩和やお客様のキャッシュレス化による利便性の向上等を図るため、従来からETCの普及に努めてきたところです。具体的には、「ETC宅配サービス」によるETC車載器の廉価販売や、曜日別時間帯別割引等を実施してまいりました。その結果、ETCの利用率は、平成22年3月平均が87.5%となり、前年同月比で4.5%の増となっております。
 また、お客様サービスの一層の向上のため、ホームページに設けたグリーンポストやお客様満足度調査等を通じて得られたお客様の要望や意見を各種改善に反映し、サービス向上に努めてまいりました。
 さらに、お客様に、より安全・快適に首都高速道路をご利用いただくため、走行環境の改善やパーキングエリアのリニューアル等を行ってまいりました。
 このような状況の中で、営業収益のうち、料金収入等は景気低迷の影響等により大型車の交通量が減少したことに加え、経済対策等に伴う料金引き下げによる割引の拡充等に伴い割引のご利用が増加した結果、241,707百万円(前年同期比2%減)となりました。
 高速道路の新設については、首都高速道路の最大の課題である渋滞を解消すべく、中央環状新宿線(3号渋谷線~4号新宿線間4.3km)を平成22年3月28日に開通させるとともに、中央環状線の最終区間である
 中央環状品川線(3号渋谷線~湾岸線間9.4km)の平成25年度中の開通に向け事業推進に努めるなど、5路線27.5kmの整備を行ってまいりました。
 また、高速道路の改築等については、出入口増設等事業として王子南出入口の整備等、地震災害時の安全強化のため支承・連結装置の耐震性向上対策等の防災安全対策を継続して行うとともに、舗装の打ち替え等営業中路線において必要となる構造物等の更新を行ってまいりました。
 当連結会計年度の高速道路事業営業収益のうち、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構(以下「機構」といいます。)への債務引渡しに伴う道路資産完成高は、中央環状新宿線(3号渋谷線~4号新宿線間)の開通等により前年同期比473%増の250,021百万円となりました。
 当連結会計年度の高速道路事業営業収益は491,729百万円(同69%増)となりました。
(イ)営業利益
 道路資産完成原価が前期を上回ったこと等により、高速道路事業営業費用は前期比69%増の487,620百万円となり、当連結会計年度の同事業営業利益は前期比33%増の4,108百万円となりました。
[駐車場事業]
(ア)営業収益
 都市計画駐車場及び高架下等駐車場において、長期安定的な定期顧客の獲得とお客様にご利用しやすい料金の設定等の取組を行いました。また、新規駐車場の開設を行ってまいりました。
 当連結会計年度の同事業営業収益は前期比1%滅の2,770百万円となりました。
(イ)営業利益
 主に駐車場の管理費用の支出等により、駐車場事業営業費用は前期比2%増の2,267百万円となり、当連結会計年度の同事業営業利益は前期比13%減の502百万円となりました。
[受託事業]
(ア)営業収益
 レインボーブリッジにおける臨港道路海岸青海線及び東京臨海新交通臨海線、都道首都高速11号線の耐震性向上工事の施行等をはじめ、国、地方公共団体等の委託に基づく道路の新設、改築、維持、修繕等を実施した結果、当連結会計年度の同事業営業収益は前期比71%減の3,599百万円となりました。
(イ)営業利益
 営業費用は前期比72%減の3,485百万円となり、当連結会計年度の同事業営業利益は前期比50%減の113百万円となりました。
[その他の事業]
(ア)営業収益
 休憩所等事業として、首都高速道路上の20箇所のパーキングエリアにおいて、お客様が気軽に立ち寄れる都市型パーキングエリアの実現を目指し、芝浦PAにはコンビニエンスストアとカフエ、また、南池袋PAでは自動販売機型コンビニエンスストアの誘致等各PAでリニューアル施策を行ってまいりました。
 また、高架下賃貸施設の運営及び管理等を行ってまいりました。
 この結果、当連結会計年度の同事業営業収益は前期比30%増の1,400百万円となりました。
(イ)営業利益
 休憩所施設の管理費用の支出等により、営業費用は前期比18%増の1,092百万円となり、当連結会計年度の同事業営業利益は前期比95%増の307百万円となりました。

③次期の見通し
 平成23年3月期の通期業務見通しとしては、高速神奈川6号川崎線の殿町から大師ジャンクションまでの開通を平成22年10月に予定しており、これにより既に開通している川崎浮島ジャンクションから殿町出入口の区間と合わせて高速神奈川1号横羽線(横浜方向)と高速湾岸線が接続し、川崎市街から羽田空港や東京湾アクアライン(千葉方面)へのアクセスが向上するなど、高速神奈川6号川崎線が一層便利になります。また、ネットワーク整備の要となる中央環状線については、平成21年度の3号渋谷線~4号新宿線間の開通による新宿線の全線開通に続き、品川線(3号渋谷線~湾岸線間9.4km)の平成25年度中の開通に向け、事業推進に努めてまいります。
 また、お客様の安全・安心の確保を最優先とし、早期の適切な時期の補修により構造物の重大な損傷を防ぐ予防保全の技術や、鋼構造物等の補強や改良による構造物の長寿命化の技術を取り入れ、効率的な維持管理に引き続き取り組んでまいります。
 次期の連結の営業収益としては、高速道路事業において料金収入が2,441億円、道路資産完成高が606億円、高速道路事業以外の事業の収益と合わせて、合計3,280億円を見込んでいます。この結果、経常利益は5億円、当期純利益として3億円を見込んでいます。
(2)財政状態に関する分析
①資産、負債、純資産の状況に関する分析
 総資金は、445,795百万円となり、前連結会計年度末に比べ103,087百万円減少となりました。仕掛道路資産の119,441百万円減少が主な要因であり、これは建設中高速道路の進捗による増加130,580百万円及び中央環状新宿線等の機構へ引き渡しによる減少250,021百万円によるものです。
 負債は、前連結会計年度末に比べ104,970百万円減少し、409,968百万円となりました。主な要因は、道路建設関係社債及び道路建設関係長期借入金の新規発行・借入れによる142,008百万円の増加と、機構の債務引受けによる250,608百万円の減少になります。
 純資産は、前連結会計年度末に比べ1,882百万円増加し、35,827百万円となりました。これは主に、当期純利益1,873百万円の計上による利益剰余金の増加になります。
 以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の6.1%から7.9%となりました。

②キャッシュ・フローの状況に関する分析
 当期の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益4,700百万円に加え、非資金項目である減価償却費が6,332百万円、仕掛道路資産の減少額が122,920百万円となったこと等から、135,728百万円の資金収入(前期は資金支出84,414百万円)となりました。・
 当期の投資活動によるキャッシュ・フローは、主に、料金所施設、ETC設備等の設備投資を行ったことにより、13,235百万円の資金支出(前期は資金支出17,434百万円)となりました。
 当期の財務活動によるキャッシュ・フローは、道路建設関係長期借入れによる収入74,920百万円、道路建設関係社債(政府保証債及び普通社債)の発行による収入66,930百万円等による収入があった一方、機構の債務引受けによる道路建設関係社債及び道路建設関係長期借入金の減少額250,608百万円等があり、112,326百万円の資金支出(前期は資金収入86,953百万円)となりました。
 以上の結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、期首に比べ10,166百万円増加し、44,272百万円となりました。

2.企業集団の状況

 当社グループ(当社及び連結子会社15社)は、高速道路事業、駐車場事業、受託事業及びその他の事業の4部門に関係する事業を行っており、各事業における当社及び関係会社の位置付け等は、次のとおりであります。

(1)高速道路事業
 高速道路事業においては、首都圏の1都3県(3政令指定都市を含む。)(注1)において、平成18年3月31日に当社が機構と締結した協定、道路整備特別措置法(昭和31年法律第7号)第3条の規定による許可及び同法第4条の規定に基づき、高速道路(注2)の新設、改築、維持、修繕、災害復旧その他の管理等を行っており、また、開法第9条の規定に基づき、当該高速道路の道路管理者の権限の一部を代行しております。
 当事業において、以下の業務については、当社から下記の連結子会社に委託しております。

 料金収受業務  首都高トールサーピス西東京㈱、首都高トールサービス東東京㈱、首都高トールサービス神奈川㈱
 交通管理業務  首都高パトロール㈱、首都高カー・サポート㈱
 維持修繕業務  首都高技術㈱、首都高メンテナンス西東京㈱、首都高メンテナンス東東京㈱、首都高メンテナンス神奈川掬、首都高電気メンテナンス㈱、首都高ETCメンテナンス㈱、首都高機械メンテナンス㈱
(注)1.東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、横浜市、川崎市、さいたま市
   2.高速道路株式会社法第2条第2項に規定する高速道路をいいます。

(2)駐車場事業
 駐車場事業においては、都市計画駐車場事業及び高架下等駐車場事業を行っております。
 そのうち都市計画駐車場事業については、当社が運営及び管理を行っております。また、高架下等駐車場事業については、連結子会社である首都高速道路サービス㈱が運営及び管理を行っております。

(3)受託事業
 受託事業においては、当社における高速道路事業と併せて施行することとされた他の道路の新設、改築、維持、修繕等を国、地方公共団体等の委託に基づき実施しております。

(4)その他の事業
 その他の事業においては、休憩所等事業及び高架下賃貸施設事業等を行っております。
 休憩所等事業については、高速道路の休憩施設等の運営及び管理等を行っており、そのうち11箇所の休憩所内商業施設は、連結子会社である首都高速道路サービス㈱が運営及び管理を行っております。また、高架下賃貸施設事業については、当社が高速道路の高架下を利用した賃貸施設の運営及び管理を行っております。
 なお、当社グループでは、連結子会社である首都高保険サポート㈱及び首都高パートナーズ㈱を通じて、損害保険代理店事業等及び労働者派遣事業等も行っております。

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八ッ場ダム推進でアブク銭にあずかりたい国交省職員の気持ちを体現したもう一つの協立測量事件(その5)

2010-09-05 23:26:00 | 八ッ場ダム問題
■さて、この事件の発覚は、実は別件の贈収賄事件から判明したものです。その別件の事件が発覚しなかったら、斎藤烈事件も日の目を見ることはなかったことでしょう。

 その事件とは、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の建設工事の測量業務を巡る競売入札妨害(不正入札)事件のことです。当時の平成18年5月17日の新聞報道記事等の情報を見てみましょう。


土木測量会社「協立測量㈱」(本店 杉並区上荻1-15-1)の玄関入り口。同社の事務所は、丸三ビルの4階にある。

**********
国土交通省関東地方整備局OBで「協立測量」社長逮捕
 警視庁捜査二課と築地署などは、平成17年5月17日、国土交通省関東地方整備局北首都国道事務所(埼玉県草加市)が発注する圏央道の測量業務の予定価格を業者に教えたとして、同事務所の元副所長で財団法人「公共用地補償機構」相模事務所長の伊藤久数容疑者(56)=同県川越市、と、土木測量会社「協立測量㈱」(本店 杉並区上荻1-15-1)社長の海老原秀行容疑者(66)=横浜市、同専務阿部善宏(46)=練馬区=の3人を競売入札妨害(偽計)の疑いで逮捕した。同課は17日未明、同社を家宅捜索。同事務所と関東地方整備局(さいたま市)を同日午前に家宅捜索。その他自宅など約10カ所も家宅捜索した
 捜査2課の調べでは、同事務所副所長として測量業務委託の設計書審査などを担当していた伊藤容疑者は昨年3月、圏央道工事の埼玉県幸手市上高野周辺工区の用地測量業務の指名競争入札で、入札予定価格が 1470万円であることを事前に海老原容疑者らに電話で漏らし、公正な入札を妨害した疑い。伊藤、阿部両容疑者は容疑を認め、海老原容疑者は「副所長に価格を打診しただけ」と否認しているという(海老原も容疑を認めているという報道もある)。
 調べでは、入札は2005年3月に電子入札で行われ、1度目の入札では参加した10社すべてが予定価格を上回り、同日に再度行われた2度目の入札で協立測量が予定価格1470万円をわずかに下回る1450万円で落札した。1回目の入札でも予定価格に一番近い応札だった。
 圏央道は、国交省や旧日本道路公団が事業主体で、神奈川、東京、埼玉、茨城、千葉の1都4県を結ぶ総延長約300キロの自動車専用道路。
 伊藤久数は国土交通省関東地方整備局北首都国道事務所の元副所長で、1968年に旧建設省に入省し、工事用地の買収、調査業務を担当する「用地畑」を歩み、2003年4月から同事務所副所長を務めた。2005年3月に退官し、同年4月から国交省認可の財団法人「公共用地補償機構」相模事務所次長として、用地買収などを担当。また、「入札・契約手続運営委員会」の委員で、指名業者などを決める権限を持ち、設計や積算価格を審査する立場にあり、予定価格を知りうる役職。
 伊藤から予定価格を教えて貰っていた海老原容疑者も関東地方建設局(当時)の用地調整官で、平成9年3月に旧建設省と退職、平成11年(1999年)に協立測量に天下っていた。伊藤と同じ部署の先輩・後輩の関係。なお、海老原は、社団法人日本補償コンサルタント協会の理事もしている。
 協立測量専務の阿部善宏容疑者(46)も、伊藤容疑者が副所長になる前からの約10年来の付き合いがあったという。
 捜査2課では、ほかの事業でも不正な入札や、金品の授受があった疑いがあるとみて追及する。
 民間の信用調査会社によると、同社は昭和39年(1964年)8月設立、資本金1000万円(1500万円という報道もある)、従業員約70名(約65人という報道もある)、年商約6億 5000万円。
 この協会のホームページによると、補償コンサルタント業を営む個人又は法人の所属職員の資質の向上及び補償コンサルタント業務の進歩改善を図り、広く社会公共の福祉の増進に寄与することを目的に、「補償コンサルタント」を会員として、建設大臣の許可を得て設立された公益法人。「補償コンサルタント」とは、公共事業に必要な土地等の取得若しくは使用、これに伴う損失の補償又はこれに関連する業務の受託又は請負を行う者をいう、とある。
 伊藤容疑者は2003年4月~2005年3月、測量業務の入札で阿部容疑者に予定価格を漏らした見返りに、温泉や女性コンパニオンを同伴する旅行の接待を受けたり、ゴルフ代金をつけ回すなどした疑い。接待は約50回総額500万円に達し、両容疑者とも容疑を認めている。
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■収賄側の元国交省副所長と協立測量の元専務は平成18年6月6日に再逮捕されました。

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500万円接待は収賄 元国交省副所長を再逮捕
 首都圏中央連絡自動車道(圏央道)をめぐる不正入札事件で、警視庁捜査2課は6日、予定価格を教える見返りに総額500万円相当の接待を受けたとして、収賄容疑で国土交通省の元北首都国道事務所副所長伊藤久数(57)=埼玉県越谷市、贈賄容疑で協立測量(東京)の元専務阿部善宏(46)=東京都練馬区=の両容疑者を再逮捕した。  伊藤容疑者は飲食店で接待を受けた際や電話などで、約10件の入札予定価格を漏えいしていたという。捜査2課は繰り返しの接待を悪質と判断し「わいろ」と認定した。警察庁によると、警察が摘発した接待による贈収賄事件で、わいろと認定された金額としては過去最高とみられる。
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■続いて、平成18年9月20日付けの判決記事を見てみましょう。

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国交省元副所長に有罪 圏央道接待汚職で東京地裁
 国土交通省発注の首都圏中央連絡自動車道(圏央道)などの測量をめぐる接待汚職で、収賄と競売入札妨害罪に問われた同省北首都国道事務所の元副所長伊藤久数被告(57)に対し、東京地裁(川本清巌裁判長)は平成18年9月20日、懲役3年、執行猶予3年、追徴金約478万円(求刑懲役3年、追徴金約478万円)の判決を言い渡した。
 検察側は論告で「20年以上にわたって測量業者と癒着し、副所長当時の2年間だけでも計44回も利益供与を受けた」と指摘。伊藤被告は罪状を認め、弁護側は「反省している」として刑の執行猶予を求めていた。
 判決によると、伊藤被告は副所長当時の2003年4月から昨年4月にかけ、圏央道などの測量業務の入札で、協立測量(東京)が落札できるように、おおよその予定価格を漏らすなどした。
 さらに、その謝礼として協立測量の元専務阿部善宏被告(47)=贈賄罪などで公判中=から、1泊10万円以上のコンパニオン付き温泉旅行など、繰り返し過剰な接待で計約478万円相当の利益供与を受けた(この他にもゴルフ接待や無担保融資などもしていたという情報もある)。
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■このように、八ッ場ダム工事は、国交省の職員にとって、おいしい話に半永久的にありつける願ってもない事業であり、これからも手を変え品を変え、時の政権に取り入り、我々の税金を絞り取ろうとして悪知恵を働かすに違いありません。なにしろ、いくら賄賂やコンパニオン付き旅行やゴルフ接待を受けても、執行猶予で済むのですから、役人ほど割のいい職業は他にありません。

【ひらく会・八ッ場ダム問題研究班】

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