市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

タゴ51億円事件発覚から15年・・・捜査の端緒の犯行状況に関する捜査報告書

2010-05-23 19:50:00 | 安中市土地開発公社事件クロニクル
■今から15年前の平成7年5月17日に安中市土地開発公社内部で密かに発覚した史上空前絶後の巨額横領事件で、警察が最初に捜査したのは、元職員タゴが平成2年4月16日に開設した特別会計口座以降、公社理事長印と安中市長印を自由自在に駆使して、偽造書類を作成・行使しまくって群馬銀行から借入れた計13回の融資のうち、公社から社会教育課に異動する直前の平成7年3月31日に、群馬銀行から2億5千万円を水増しして借り入れて、横領した事件でした。

 6月2日(金)午前中に小川市長が安中警察署で署長に面談し告発の相談をした後、6月2日(金)午後に元職員タゴが安中警察署に出頭し、取調べを受けました。その後、6月3日(土)にタゴの直属上司であり公社の事務局次長で建設部都市計画課長補佐の高橋弘安が安中警察署で事情聴取を受け、続いて同日、子度は群馬銀行安中支店次長の清水昭行が事情聴取を受けました。この6月3日の事情聴取で入手した3月31日の2億5千万円の横領に関する関係資料を整理して、安中警察署は6月5日(月)付けで捜査報告書を作成しました。

 なお、この後、6月6日(月)に群馬銀行安中支店長の松井誠が警察の事情聴取を受けています。

 それでは、平成7年3月31日の犯行についての関係資料をまとめた捜査報告書の内容を見てみましょう。

**********
【捜査報告書】
平成七年六月五日
     群馬県安中警察署 司法警察員 巡査部長 上原薫
群馬県安中警察署長 司法警察員 警視 大熊信行 殿
公文書偽造同行使詐欺事件捜査報告書
 被疑者 本籍 群馬県安中市安中一丁目二三
     住所 群馬県安中市安中一丁目二三番三二号
       無職(元安中市役所職員) 多胡邦夫
         昭和二七年三月三〇日生(四三歳)
 右者にかかわるみだし被疑事件について、被疑者が本年三月三一日群馬銀行安中支店から詐取するに際し、
 ○公有地取得事業資金借入の債務保証について
 ○公有地取得事業資金の借入について(依頼)
 ○金銭消費貸借契約証書
について
 ○群馬銀行安中支店
 ○安中市土地開発公社
 ○安中市役所財政課
からそれぞれ保管中の右公文書の任意提出を受けその偽造状況を明確にするため、それらの公文書のコピーを作成したので添付し報告します。

【安中市土地開発公社の起案】
安土開発第   号
平成7年 3月  日
安中市長 小川勝寿 様
     安中市土地開発公社 理事長 小川勝寿
   公有地取得事業資金借入の債務保証について(依頼)
 標題のことについて、公共用地取得に伴う事業費として下記のとおり借入を行いたいので、安中市の債務保証をいただきたくご依頼申し上げます。
     記
1.借入金額   9,612,000円
2.借入年月日 平成 7年 3月31日
3.借入方法  証書借入
4.借入期間  平成 7年 3月31日から
        平成12年 3月31日まで
5.借入利率  年利 3.90%
6.價遠方法  期日一括返済

1.借入金額   4,362,000円
2.借入年月日 平成 7年 3月31日
3.借入方法  証書借入
4.借入期間  平成 7年 3月31日から
        平成12年 3月31日まで
5.借入利率  年利 3.90%
6.償還方法  期日一括返済


【安中市土地開発公社の控】
安土開発第  号
平成7年 3月  日
群馬銀行安中支店長様
     安中市土地開発公社 理事長 小川勝寿
   公有地取得事業資金の借入について(依頼)
 標題のことについて、公共用地取得費及び事業費として、下記のとおりご融資下さいますよう申込みいたします。
     記
1.借入金頷    9,612,000円
2.借入年月日  平成 7年 3月31日
3.借入方法   証書借入
4.借入期間  平成 6年 3月31日から
        平成12年 3月31日まで
5.借入利率  年利 3.90%
6.償還方法  期日一括返済
7. 本件借入金額は、安中市の当公社あて平成6年度借入分の債務保証額の範囲内である。

1.借入金額    4,362,000円
2.借入年月日  平成 7年 3月31日
3.借入方法   証書借入
4.借入期間   平成 7年 3月31日から
         平成12年 3月31日まで
5.借入利率   年利 3.90%
6.償還方法   期日一括返済
7. 本件借入金額は、安中市の当公社あて平成6年度借入分の債務保証額の範囲内である。


【群馬銀行安中支店の控】
安土開発第 52号
平成7年 3月27日
群馬銀行安中支店長様
     安中市土地開発公社 理事長 小川勝寿(公印)
   公有地取得事業資金の借入について(依頼)
 標題のことについて、公共用地取得費及び事業費として、下記のとおりご融資下さいますよう申込みいたします。
     記
1.借入金額   253,612,000円
2.借入年月日  平成 7年 3月31日
3.借入方法   証書借入
4.借入期間   平成 7年 3月31日から
         平成12年 3月31日まで
5.借入利率   年利 4.0%
6.償還方法   期日一括返済
7. 本件借入金額は、安中市の当公社あて平成6年度借入分の債務保証額の範囲内である。

1.借入金額    4,362, 000円
2.借入年月日  平成 7年 3月31日
3.借入方法   証書借入
4.借入期間   平成 7年 3月31日から
         平成12年 3月31日まで
5.借入利率   年利 4.0%
6.償還方法   期日一括返済
7. 本件借入金額は、安中市の当公社あて平成6年度分の債務保証額の範囲内である。


【財政課の控】
安土開発第 52号
平成7年 3月  日
安中市長 小川勝寿 様
     安中市土地開発公社 理事長 小川勝寿(公印)
   公有地取得事業資金借入の債務保証について(依頼)
 標題のことについて、公共用地取得に伴う事業費として下記のとおり借入を行いたいので、安中市の債務保証をいただきたくご依頼申し上げます。
     記
1.借入金額   9,612,000円
2.借入年月日 平成 7年 3月31日
3.借入方法  証書借入
4.借入期間  平成 7年 3月31日から
        平成12年 3月31日まで
5.借入利率  年利 3.90%
6.價遠方法  期日一括返済

1.借入金額   4,362,000円
2.借入年月日 平成 7年 3月31日
3.借入方法  証書借入
4.借入期間  平成 7年 3月31日から
        平成12年 3月31日まで
5.借入利率  年利 3.90%
6.償還方法  期日一括返済


【群馬銀行安中支店の控】
金銭消費貸借契約証書
     平成7年3月31日
株式会社群馬銀行御中
               群馬県安中市安中一丁目23番13号
           住 所    安中市役所内
           借 主  安中市土地開発公社
               理事長 小川勝寿(公印)
           住 所 安中市安中一丁目23番13号
           保証人     安中市長小川勝寿(公印)
           住 所
           保証人
第1条(借入要項)
 借主は、別に差し入れた銀行取引約定書の各条項のほかこの約定を承認の上、貴行から次の要項によって金銭を借入れ、これを受領しました。
 1.金   額 金弐億五千九百六拾壱万弐千円也
 2.使   途 公共用地取得費及び事務費
 3.最終弁済期 平成12年 3月31日
 4.弁 済 方法 期日一括返済

 5.利   息 年4.00%の割合(年365日の日割計算)
 6.利息支払方法 平成7年3月31日に1日分利息徴求し以後毎年3月、9月各月末日に前6ヶ月分後取りする。.
 7.損 害 金 この約定による債務を履行しなかったときは、支払うべき金額に対し年14%の割合(年365日の日割計算)の損害金を支払う。


【財政課の控】
金銭消費貸借契約証書
     平成7年3月31日
株式会社群馬銀行御中
               群馬県安中市安中一丁目23番13号
           住 所    安中市役所内
           借 主  安中市土地開発公社
               理事長 小川勝寿(公印)
           住 所 安中市安中一丁目23番13号
           保証人     安中市長小川勝寿
           住 所
           保証人
第1条(借入要項)
 借主は、別に差し入れた銀行取引約定書の各条項のほかこの約定を承認の上、貴行から次の要項によって金銭を借入れ、これを受領しました。
 1.金   額 金九百六拾壱万弐千円
 2.使   途 公共用地取得費及び事務費
 3.最終弁済期 平成12年 3月31日
 4.弁 済 方法 期日一括返済

 5.利   息 年 3.9%の割合(年365日の日割計算)
 6.利息支払方法 

 7.損 害 金 この約定による債務を履行しなかったときは、支払うべき金額に対し年14%の割合(年365日の日割計算)の損害金を支払う。

**********

■私たちが、これらの借入文書を始めて目にしたのは、タゴが懲役15年の実刑を宣告された平成8年4月8日の刑事判決から約4ヶ月後でした。しかし、その際はわずか1週間の刑事記録閲覧期間しか許可されず、当会の8名のメンバーにとっては、高さ2mにも及ぶ膨大な刑事記録に目を通すだけで精一杯だったのでした。

 それでも、事件発覚後に新聞報道で報じられた難解な行政文書の用語から推測していた文書の内容が、こうして全容を知ることができたため、その後の事件の詳細についての理解が格段に進んだのは事実です。

■この13回目の犯行では、公社が市長の債務保証で群馬銀行に提出した金銭消費貸借証書が、群馬銀行の控(正当な原本)と安中市財政課の控(偽造文書)とで、全く書き直されていることが分かります。

 群馬銀行の控には、金額欄に「金弐億五千九百六拾弐万弐千円也」とあるのに、財政課の控の金額欄には「金九百六拾弐万弐千円」とあり、利息支払方法の欄には、群銀の控では「平成7年3月31日に1日分利息徴求し以後毎年3月、9月各月末日に前6ヶ月分後取りする。.」とタゴではない何者かの手書きの筆跡があるのに、財政課の控には何も書かれていません。

 また、利息の欄では、群銀の控には「年4.00%」と書かれているのに、財政課の控には「年3.9%」と食い違う数字が書いてあります。

 さらに、群銀の控には、保証人の安中市長の公印が押印されていますが、財政課の控には、公社理長の公印だけで、保証人の市長公印は押されていません。

 群馬銀行が保管する金銭消費貸借証書と、安中市財政課が保管する金銭消費貸借証書のこうした食い違いに警察は当然注目したはずです。なぜ、このような杜撰な手続きがまかりとおっていたのか。警察はその後、この点に注目して捜査を本格化したのでした。

【ひらく会情報部】

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タゴ51億円事件発覚から15年・・・捜査の端緒になった捜査報告書

2010-05-22 14:45:00 | 安中市土地開発公社事件クロニクル
■5月17日の夕方に巨額横領金額のあることが判明してから2週間で、タゴが平成2年4月16日に開設した特別会計口座より以前の公社正規口座に関する帳簿類や関連文書を廃棄した安中市は、警察の捜査が入らないうちに、5月31日付けでタゴを懲戒免職しました。

 タゴに一人で罪をかぶってもらう必要があった安中市のタゴ事件関係者らは、横領金の使途など真実の実態をタゴにしゃべらないように、あらかじめ口止めをしたり、口合わせをした可能性があります。実際に、5月31日にタゴに懲戒免職を言い渡した後、安中市の幹部らは、タゴ本人に警察への出頭を促しており、出頭するときは電話をするように、タゴに指示を出しています。

 それではまだ不十分だと思ったのか、タゴの上司の高橋事務局次長は、タゴを懲戒免職にした後も、念を押すために、タゴの自宅を訪れていたことが警察の調べで明らかになりました。おそらく高橋次長は、タゴに今後の安中市の事件対応方針を伝えて、対外的にタゴを悪者にするが、決して悪いようにはしないことを直接伝えようとした形跡があり、警察も一時そのことで高橋次長を追及した経緯があります。

■ところで、安中市民の多くがタゴ事件のことを始めて知ったのは平成7年6月3日(土)の上毛新聞などの朝刊記事でした。このタイミングは、安中市長が6月2日(金)午前に安中警察署に告発の相談に訪れた後、同日午後にタゴが安中警察署に出頭した翌日であり、安中市・公社の弁護士らが、安中市民のみならずマスコミにたいしても情報管制をしていたことが分かります。

 実際に、警察がこの前代未聞、空前絶後の巨額横領事件の捜査の端緒としたのは、平成6月2日(金)午前に安中市長が安中警察署を訪れ、署長に告発の相談をした時点であるとしています。言い換えると、安中市の幹部らは、事件発覚の5月17日から6月2日までの半月もの間、事件のことはごく一部の市職員の間でしか、知らさずにいたことになります。

 平成7年6月2日に警察で、小川勝寿安中市長(当時。現在は故人)は、「5月18日都市計画課の高橋課長補佐等が私に、群馬銀行安中支店から公社の残高証明を取り寄せたら10億円余りの貸付金額であるはずのところが47億円あまりになっている」と供述しました。つまり、小川市長は、平成7年5月18日には既に巨額横領された事実を知り、弁護士らを手配し、都合の悪い証拠を隠滅しておきながら、5月31日にタゴに犯行の事実確認を行って認めたので懲戒免職にした、と言っていますが、その間に小川市長が、どのような行動をとったのかは、警察に言っておらず、6月14日になって、ようやく上申書なるものを警察に提出したのでした。

 このため、タゴ事件関係者らにとっては、事件発覚後、半月間という時間的な余裕が生じ、この間をフルに活用して、弁護士らのアドバイスにより、タゴ事件の真相の隠蔽と口裏合わせに十分な時間を割くことができました。

 このため、その後、警察が捜査を開始した後も、関係者らの供述にウソが多く、誰が本当のことを言っているのかさっぱり分からず、まるでタゴ事件関係者の全員の言うことが、ウソで固めた供述であるという感想を抱いたほどです。

 また、事件発覚から程なくして、当会には市民から「この事件のバックには中曽根派の政治家が絡んでいる。既にタゴはその政治家の自宅に3回ほど駆け込んで事件の始末を相談している」という情報が寄せられ、捜査への圧力が懸念されました。当会では、きっとタゴを単独犯として事件の幕引きが図られるにちがいないと、タゴ事件の展開を予想しておりましたが、その後の経緯を見るとまさにそのとおりになっていったのでした。

【ひらく会情報部】

**********
【捜査報告書】※原文は縦書き
平成七年六月六日
     群馬県安中警察署 司法警察員 警部 中川伸
群馬県安中警察署長 司法警察員 警視 大熊信行 殿
有印公文書偽造、同行使、詐欺被疑事件捜査報告書
 被疑者 本籍 群馬県安中市安中一丁目二三番
     住居 群馬県安中市安中一丁目二三番三二号
       無職(元安中市役所、安中市土地開発公社職員) 多胡邦夫
         昭和二七年三月三〇日生(四三歳)
 右の者に対する表記被疑事件につき捜査したところ左記のとおりであったから報告します。
     記
一 捜査の端緒
 本年六月二日、安中市土地開発公社理事長であり、安中市長の小川勝壽が安中署を訪れ、署長に建設部都市計画課の職員で安中市土地開発公社の事務局員をしていた多胡邦夫が公文書を偽造して土地開発公社が群馬銀行安中支店から借り入れる事業資金借入申込書などに勝手に金額を書き加えて借り入れしていた事が判り、本人もその事を認めているので五月三一日で懲戒免職にしております。
 と話したことによる。
二 捜査の経過
(1) 小川理事長の供述内容
 小川理事長は、署長及び本職に土地開発公社は私が理事長を務め、公共用地等の取得管理等を業務としており、事業費などは市が保証して金融機関から借り入れをしていますが、公社の事務を担当していた多胡君が勝手に理事長名の借入申込書や貸借証書を偽造して金額を上乗せして、その上乗せ分の金額をこれまた勝手に開設した群馬銀行安中支店の公社の口座に振込んでいました。
 五月一八日都市計画課の高橋課長補佐等が私に
 群馬銀行安中支店から公社の残高証明を取り寄せたら一〇億円余りの貸付金額であるはずのところが四七億円あまりになっている。群馬銀行安中支店で確かめたら理事長名の借入書類等を多胡が偽造していたらしい。
 と報告してきたので五月三一日に市役所の応接室で助役、収入役等を立ち合わせ本人に聞いたら、群馬銀行安中支店に公社名で特別会計口座を開設したこと、理事長名で借入申込書等を偽造したこ等を認めました。
 私はこの事冥を本人から確認したので五月三一日付けで懲戒免職にしました。
 と供述した。
(2)  被疑者多胡邦夫の供述
 小川理事長が安中警察署を訪れ、前記供述をした同日である、六月二日に被疑者多胡邦夫が安中警察署に出頭したので取調べたところ
 私は安中市役所の都市計画課開発係に併任して、安中市土地開発公社職員をも務めていましたが、公社の事業資金の借り入れの際に借入金額を変えるなどして群馬銀行安中支店に借り入れを申し込み前後一五~六回にわたり、総額三五億円ぐらいを公社の特別会計口座に振込んでもらい騙し取っています。このことが判って懲戒免職になりましたが、いろいろ考えた末、正直に話をして処罰を受けようと思って出頭しました。
 私は公社で経理などを長年担当していました。
 公社は事業資金を金融機関から借り入れていますが取引先の群馬銀行安中支店に提出する借入申込書、金銭消費貸借契約証書の金額欄を偽造して群馬銀行安中支店に提出して融資を受け、正規の口座と私が勝手に作った特別会計口座に振り分けて入金してもらって騙し取っていました。
 騙し取ったお金は、骨董品、ゴルフ会員権、株、外車等を買ったり、自宅の増改築や競馬等に使っています。
 私が、最後にこのような事をしたのは本年三月三一日でこのときには正規の借入金に二億五千万円を上乗せした借入申込書や金銭貸借証書を群馬銀行安中支店に提出して三月三一日に融資を受け、二億五千万円は私が勝手に開設した安中市土地開発公社特別会計口座に入金してもらいました。
 等と供述した。
(3) 安中市土地開発公社事務局次長の供述
 平成七年六月三日に公社の事務局次長で建設部都市計画課課長補佐の高橋弘安から事情聴取したところ、五月二四日に公社の監査が行われるので、監査の資料として群馬銀行安中支店から借入金残高証明書を取り寄せたら、借入残高は一〇億一、七〇〇万円位のはずが、四七億六、五〇〇万円余りとなっていたので驚いて開発係主任の竹内と群馬銀行安中支店に行って確かめたら、清水次長が「その金額に間違いありません。」と言うので持参して行った借入申込書等と群馬銀行安中支店で保管している公社の借入申込書等とを照合してみたら金額が明らかに違っていました。
 公社で群馬銀行安中支店から最後に借り入れをしたのが、平成七年三月三一日ですが、このときの借入申込書等を比較したら公社で保管しているものは、借入金額九六一万二、〇〇〇円で群馬銀行安中支店で保管しているものは、二億五、九六一万二、〇〇〇円となっていて正規の借入金額に二億五、〇〇〇万円が上乗せされた借入申込書、貸借証書であることが判りました。
 この他にも借入金額が一致しないものがありましたので群馬銀行安中支店が保管していた借入申込書等を調べたら金額の頭部分に、あらかじめ余白を作っておいて後で同じ筆跡で書き加えた様で、無理をして金額を書き加えたため、わずかですが文字が小さくなっていることがわかりました。
 さらに清水次長の説明で、群馬銀行安中支店に公社の私共の知らない特別会計口座があり、この口座に上乗せされた億単位の金が振込ふれていて多胡邦夫が払い戻していることや払戻請求書の筆跡が多胡邦夫の筆跡であることが判りました。
 市役所に戻ってこのことを小川市長に報告し、その後、五月二四日、二六日、二九日、多胡から事情を聞いたのですが、のらりくらりしており、五月三一日に市役所の応接室で小川市長等と共に本人から事情をきいたら、金銭消費貸借契約書などの書類を偽造したこと等を認めました。
 と供述した。
(4) 群馬銀行安中支店次長の供述
 平成七年六月三日に群馬県安中市安中三丁目一九番二五号に所在する群馬銀行安中支店次長清水昭行から事情聴取したところ、安中市土地開発公社の口座の印鑑票を確認すると、昭和五五年四月一五日開設、口座番号二九四九三七と、平成二年四月一六日開設口座番号○五八九六〇四とがあり、いずれも届出印鑑は、安中市土地開公社理事長印であり、口座番号○五八九六〇四の印鑑票の「おなまえ」欄の記載の最後が特別会計と記戴されています。
 公社への融資は、安中市が債務保証をしており、その額は、毎年三月の市の予算議会で議決を受けた議決書抄本を四月の新年度に届けてもらって融資を継続しています。
 公社への融資は、この範囲内で実行しています。
 多胡邦夫さんは、安中市土地開発公社に動務していて、融資事務等を担当しており、私も度々銀行で応対しています。
 公社への融資は、私共と多胡さんとで打ち合せを行った後に多胡さんが借入申込書を持参し、これに私共で貸出申請書を添えて支店長の決裁を経た後、本店審査部に貸出申請書の複写を送り本店の決裁を受け、決裁されると本店のコンピューターに入力になり、支店のコンピューターでそのことが判ります。
 そして金額を記載し、借主保証人の印を押した金銭貸借証書を多胡さんが持参して融資を受けた金の振込み先の口座番号と金額を指示するので、そのとおりに手続きしていました。
 一番新しい融資は、公有地取得事業資金の借入について、という平成七年三月二七日付の借入申込書により、平成七年三月三一日に二億五、九六一万二、〇〇〇円、四三六万二、〇〇〇円を融資していますが、私共では当然この時の関係書類が正当な手続きを経て作成されたものであると信じて関係手続きをして、多胡さんの指示どおりに公社の特別会計と称している口座に二億五、〇〇〇万円を振込み、残りの金額を公社の他の口座に振込みました。
 この時の借入申込書や金銭貸借証書が、多胡さんによって偽造されたものならば、私共が騙されたものと言えると思います。
 と供述した。
(5) 群馬銀行安中支店長の供述
 平成七年六月六日に群馬銀行安中支店長松井誠から事情聴取をしたところ、本年三月三一日に公社に融資を実行した件については、栗田代理から事前に報告を受け承知し、必要な手続きを経て融資を実行したものです。
 この時の借入申込書などを多胡さんが偽造したものでしたら私共で多胡さんに騙された事になります。
 私共と公社の信頼関係を著しく裏切った多胡さんは悪質でありますので、是非、厳重な処分をお願いします。
 と供述した。
三 安中市土地開発公社と被疑者多胡邦夫の身分
 安中市土地開発公社は、公有地の拡大の推進に関する法律により、昭和五五年に安中市が設立
したもので名称は、安中市土地開発公社であり、事務所は群馬県安中市安中一丁目二三番一三号、安中市役所建設部都市計画課内に所在し、理事長には安中市長である小川勝壽が就任している。
 安中市事務分掌規則によれば建設部都市計画課開発係、計画係が土地開発公社に関すること、公有地拡大に関する法律に関することを分掌すると規定されており、公社職員は公有地の拡大の推進に関する法律第一六条第五項に、土地開発公社の役員及び職員は、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなすと定められている。
 被疑者多胡邦夫は、建設部都市計画課開発係主査、安中市土地開発公社主査という立場で、本件借入申込書、金銭貸借証書を偽造したものである。
四 証拠物
 群馬銀行安中支店から提出を受けた文書番号 安土開発第五二号平成七年三月二七日付けの安中市土地公社理事長小川勝壽から群馬銀行安中支店長に宛てた公有地取得事業資金の借入について(依頼)と題する文書一通及び平成七年三月三一日付け借主安中市土地開発公社理事長小川勝壽、保証人安中市長小川勝壽のそれぞれ公印が押捺された株式会社群馬銀行宛ての金銭消費貸借契約証書一通
五 犯罪事実 別紙のとおり
六 逮捕、捜索の必要性
 被疑者は長年に亘って同種犯行を繰り返したもので、騙取金額も多額であることから逃走、証拠隠滅の虞れがあり、また、本件関係場所を捜索して証拠書類等を押収する必要がある。
七 捜索すべき場所、差し押えるべき物
 別紙のとおり

別紙
 捜索し又は検証すべき場所、身体若しくは物
   安中市安中一丁目二三番三二号 被疑者(多胡邦夫)方居宅及び附属建物
別紙
 捜索し又は検証すべき場所、身体若しくは物
   安中市安中一丁目一二番一一号 珈琲ぶれいく 店舗
別紙
 捜索し又は検証すべき場所、身体若しくは物
   安中市安中一丁目一二番一一号 珈琲ぶれいく 店舗南側倉庫
別紙
 捜索し又は検証すべき場所、身体若しくは物
   安中市安中一丁目二三番一三号 安中市役所 都市計画課
別紙
 捜索し又は検証すべき場所、身体若しくは物
   安中市安中一丁目二三番一三号 安中市役所 財政課
別紙
 捜索し又は検証すべき場所、身体若しくは物
   安中市安中一丁目二三番一三号 安中市役所 秘書課
別紙
 捜索し又は検証すべき場所、身体若しくは物
   安中市安中一丁目二三番一三号 安中市役所 社会教育課
別紙
 捜索し又は検証すべき場所、身体若しくは物
   普通乗用自動車 群馬三三な五八一七号
別紙
 捜索し又は検証すべき場所、身体若しくは物
   普通乗用自動車 群馬三三ち七七四三号
別紙
 捜索し又は検証すべき場所、身体若しくは物
   普通乗用自動車 群馬三三は三六五六号
別紙
 捜索し又は検証すべき場所、身体若しくは物
   軽四輪貨物自動車 群馬四一う九一五五号
別紙
 差押えるべき物
   本件に関係ある
    金銭出納帳・手形・小切手などの有価証券、見積書・注文書・納品書・請求書・領収証・契約書類・預貯金通帳及び証書・振込依頼書・入出金伝票・キャッシュカード・キャッシュカード利用明細書、印鑑、名刺、書留手紙、黒布製の手提げ袋、家計簿、日記、メモ類、その他・書類・用紙類。
 差押えるべき物
   本件に関係ある
    ワープロ及びフロッピー、借入書類・伝票・用紙類・簿冊、勤務命令・出勤・出張等の簿≒・書類、預貯金通帳及び証書・振込依類書・入出金伝票、名刺、書留手紙、金銭出納帳、手形・小切手などの有価証券、見積書・注文書・納品書・請求書・領収証・契約書類、キャッシュカード・キャッシュカード利用明細書、日記・メモ類、その他書類・用紙類
別紙
 差押えるべき物
   本件に関係ある
    ワープロ及びフロッピー、借入書痕・伝票・用紙類・簿冊、名刺、金銭出納帳、手形・小切手などの有価証、券、見積書・注文書・納品書・請求書・領収証・契約書類、メモ類、その他書類・用紙類。(被疑者の珈琲ぶれいく、自宅等)
別紙
 差押えるべき物
   本件に関係ある
    ワープロ及びフロッピー、借入書類・伝票・用紙類・簿冊、勤務命令・出勤・出張等の簿冊・書類、預貯金通帳及び証書・振込依頼書・入出金伝票、名刺、書留手紙、金銭出納帳、手形・小切手などの有価証券、見積書・注文書・納品書・請求書・領収証・契約書類、キャッシュカード・キャッシュカード利用明細書、日記・メモ類、その他書類・用紙類。(社会教育課)
別紙
 差押えるべき物
   本件に関係ある
    公印使用簿、決裁関係書類、簿冊、名刺、金銭出納帳、その他書類・用紙類。(秘書課)
別紙
 差押えるべき物
   本件に関係ある
    ワープロ及びフロッピー、借入書類・伝票・用紙類・簿冊、金銭出納帳、手形・小切手などの有価証券、見積書・注文書・納品書・請求書・領収証・契約書類、メモ類、その他書類・用紙類。(財政課)
別紙
 差押えるべき物
   本件に関係ある
    ワープロ及びフロッピー、借入書類・伝票・用紙類・簿冊、勤務命令・出勤・出張等の簿冊・書類、預貯金通帳及び証書・振込依頼書・入出金伝票、名刺、書留手紙、金銭出納帳、手形・小切手などの有価証券、見積書・注文書・納品書・請求書・領収証・契約書類、キャッシュカード・キャッシュカード利用明細書、日記・メモ類、その他書類・用紙類。(都市計画課)
別紙
  事実
 被疑者は、安中市役所建設部都市計画課の主査として勤務し、安中市土地開発公社(理事長小川勝壽)の職員も併任して、右公社が行う用地の取得・用地交渉・契約事務等に従事していたものであるが、右公社が、同公社の事業資金の融資を群馬銀行安中支店から受けていることを奇貨として、融資名下に金員を騙取しようと企て、平成七年三月二〇日ころ、群馬県安中市安中一丁目二三号所在の右都市計画課内において、同課備付けのワープロを使用して、借入金額が「9,612,000円」となる正規な「公有地取得事業資金借入について」の理事長名の依頼書を作成し、必要な決裁を受けた後、行使の目的をもってほしいままに、右同様な方法で、新たに借入金額が「259,612,000円」となる安中市土地開発公社理事長小川勝寿名義の依頼書を作成し、理事長小川勝寿名の横に同課保管にかかる「安中市土地開発公社理事長印」と刻された同理事長の公印を盗捺し、もって、同公社が群馬銀行安中支店に対し、公有地取得時取得資金の借入について依頼する旨の同公社理事長作成名義の公文書である依頼書一通を偽造したうえ、そのころ、安中市安中三丁目一九番二三号所在の群馬銀行安中支店において、同店融資担当の栗田繁樹に対して、融資の申込みを行うに際して、右偽造にかかる依頼書が真正に作成された公文書であるがごとく装って、提出行使し、更にそのころ、右都市計画課において、融資を受けるに必要な借入金額が「九百六拾壱万弐千円」となる正規な理事長名の金銭消費貸借契約書を作成し、必要な決裁を受けた後、行使の目的をもってほしいままに、あらかじめ入手しておいた金銭消費貸借契約証書の用紙を使用して、住所・借主欄に「群馬県安中市安中一丁目23番13号、安中市役所ない、安中市土地開発公社、理事長小川勝寿」、住所・保証人欄に「群馬県安中市安中一丁目23番13号、安中市長小川勝寿」とそれぞれゴム印で記入し、金額欄の空欄に「弐億五千九百六拾壱万弐千円也」、使途欄に「公共用地取得資金及び事務費」、最終弁論期間の空欄に「123 31」、弁済方法欄に「期日一括返済」、証書作成日欄の空欄に「7 3 31」などと、それぞれペンで記入した上、理事長名小川勝寿の横に、同課保管にかかる「安中市土地開発公社理事長印」と刻された同理事長の公印を盗捺し、さらに同秘書課において、安中市長小川勝寿名の横に、情を知らない同課員をして、「群馬県安中市長之印」と刻された安中市長の公印を押印させ、もって、同公社が群馬銀行安中支店に対し、融資を受けるために提出する安中市土地開発公社理事長及び安中市長作成名義の公文書である金銭消費貸借契約証書一通を偽造したうえ、同年三月三一日、右群馬銀行安中支店において、右栗田に対し、右証書が真正に作成されたもののごとく装って、知恵出行使し、二億五九、六一万二、〇〇〇円の融資金の振込みを依頼し、同人をして、その旨誤信させ、即時同所において、融資名下に二億五、〇〇〇万円を被疑者開設の同支店の安中市土地開発公社、理事長小川勝寿特別会計名義口座に、九、六一二、〇〇〇円を安中市土地開発公社開設の同支店の安中市土地開発公社理事長小川勝寿名義口座にそれぞれ振り込ませて、これを騙取したものである。
*********


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タゴ51億円事件発覚から15周年・・・事件発覚当時の様子を振り返る

2010-05-21 12:06:00 | 安中市土地開発公社事件クロニクル
■タゴ51億円巨額横領事件発覚から15周年の節目となる今月ですが、既報のとおり、タゴ復権に向けた動きが急に増えています。ところで、15年前の事件発覚当時の様子は、市民の間にまったく知られていません。当会は、事件が市役所の内部で発生した5月17日から約10日程度経過してから、「巨額横領事件が市役所内でおきたらしい」という情報を得ました。その直後の6月3日の新聞報道で、多くの市民が始めてこの横領事件のことを知ったのです

 とくに、事件が内部発覚した5月17日から、タゴの懲戒免職までの5月31日までの14日間については、市役所の誰からも何も発表が無く、まさに空白の2週間だったのです。


 その後、裁判を通じて、刑事記録を閲覧できたため、この空白の2週間に何がおきていたのかについても、安中市が上申書なるものを安中警察署に提出しており、これに、不完全ながら安中市役所の都合から見た2週間が記載されています。

■安中市の都合に合わせて任意にかかれたものなので、あまり信用できませんが、5月17日から5月21日までの様子を見てみましょう。

**********
●平7・5・17
  群馬銀行安中支店から公社借入金残高証明47億6596万円を取得した。24日の監査、30日役員会に備えるべく取得した。
●平7・5・18 11時10分
  高橋、竹内、群馬銀行へ訪問。融資課長栗田、融資担当次長清水、渉外次長山添に対し、「残高とあわないので明細があったら見せてほしい」と言ったところ、貸出明細照会票を出した。
 「金銭消費貸借契約書を見せてほしい」。「このとおりある」と言って袋の中に入っていた証書を見せた。金額欄の「金」と正規の数字の間の狭いところに 偽造の金額が割り込ませるように加筆され、改ざんがされていた。「本人の字かどうかもわからない。いかにもつけ加えているではないか」と言ったところ、「本部の監査でも本人の筆跡に間違いないということで検査はすんでいる」と支店長が答えた。
 半期に一回利息を払うところ、「総額が異なるのであれば7・3・31に支払った利息では足りないのではないか」と費したところ、「間違いなく頂いている。もう一つ安中市土地開発公社理事長湯浅正次 特別会計口座番号058-969という口座がある」とのことだった。「そんなはずはない」と述べると、「平2・4・16開設の特別会計がある」とし、口座開設時に記入した普通預金印鑑票を見せてきた。「だれが作ったのか」と費すると、清水融資課長が「多胡さんが作っております」と答えた。普通預金印鑑票は多胡の筆跡だった。
 「特別会計口座に幾らあるか」と聞いたところ、2億7500万円あった。引き出しできないようにしてくれと頼み、過去の資料を本部から取り寄せるなどして全部見せてほしいと依頼し、12時40分帰庁。高橋が竹田主任、加部部長に相談。市長に報告。
 銀行に連絡し、6時に群馬銀行を訪問。市長は安中市商工会青年部通常総会終了後、市長も7時に訪問。
 松井支店長、清水次長、山崎次長、加部事務局長、・高橋次長、竹内主任出席。
 預金取引履歴明細表の2枚だけを出してきた。払い出しの伝票の原本を見せてもらった。
 公社の借入金台帳と照合した。金銭消費貸借契約書も見た。狭いスペースに書き込みがなされているので、明らかにおかしいと指摘した。
 借入は31本あり、金額欄の数字の頭についているものが12本あった。その前の金銭消費貸借契約書も公社の台帳とつき合わせてチェックした。履歴明細表に記載してある金銭消費貸借契約書は原本が存在した。「多湖の指示により、特別会計に振り分けた」との説明があった。「それはおかしい」と指摘した。市からの依頼書はなかった。
 市長到着。説明を求めたところ、「湯浅市長の特命で、特別会計口座を作った」と松井支店長が説明。「特命など聞いていない。特命の依頼書などないはず」
 「四月に、田崎に公社の残高を書いた書類を渡したのになぜおかしいと言わなかったのか」
 銀行側の資料は、明細書が二枚、伝票も一部だったので翌日の昼までに本部の資料も全部調査するということだった。
●平7・5・19 1時
  銀行から(清水次長か)全部揃ったという連絡があったので、群馬銀行に四時頃来庁を依頼。
  市長、助役、収入役、加部局長、高橋が対応した。第一応接室に次長二人が来た。支店長は支店会議で来られないとのことだった。
  市長が、「こんな重大な事件で支店長か来ないのはどういうことだ」と言った。
  履歴表の2枚目以降の部分を持ってきた。伝票の一部をもってきた。契約証書の写しを四~五枚受け取った。経緯についての説明があった。「200回以上引き出されている。Cというのが現金です。残高はこれだけです」「コジョウ・タゴ」の振込票を持ってきた。
  市長は、「こんなに額が出ているなら、特命を何で確認しなかったのか」と問いただす。
●平7・5・22
  公社調査
●平7・5・23
  公社調査
**********

■このように、5月17日(水)に、横領額の漠然とした規模が尋常でないことが関係者の間で認識され、5月18日(木)が騒乱の一日だったことがわかります。ところが翌19日(金)になると、途端に上申書の記載量が減り、5月20日(土)、21日(日)の週末をはさんで、さらに急速に記述が少なくなっていきます。

 この間、小川勝壽(おがわ・しょうじ)市長(当時。現在は故人)は5月21日に、シングルプレーヤーでもある元職員タゴと、後閑にある太平洋ゴルフコースでゴルフに興じていました。このことを後日、市議会で追及されると、「タゴが自殺を図らないように監視するためだった」などと訳の分からない説明をしていました。

 一方で、小川市長は、この事件の深淵を知っていたと見えて、対応と処理について自分の手には負えないことを悟り、ただちに、別の開発プロジェクト(当然、タゴも関係)で接触のあった東京の弁護士らに相談して、自らが理事長を努める安中市土地開発公社から着手金・報酬金として1億円の支払いを約束し、契約を締結しています。

■その二人の弁護士、田邊勝己、菰田優にとっては思わぬ大仕事が舞い込んだわけで、張り切って安中市役所に乗り込んで、おろおろする小川市長ら公社幹部や職員を前に、てきぱきと指示をだしたに違いありません。

 その指示の中には、公社の帳簿類の取り扱いや、この事件の市民への秘匿など、平成7年6月14日付けの安中市から安中警察署長への上申書にかかれた「既に公社並びに市側の資料の提出、公社職員の事情聴取に全面的にご協力いたしておりますが、今後もさらに真相究明のため、ご協力いたします。」「いずれにせよ、捜査内容や起訴事実の確定は捜査当局の専権事項であり、市及び公社は如何なる要請にも全面的にご協力いたすことを重ねて明言いたします。」などという姿勢とは180度異なる行動をとっていました。

■このうち公社関連の帳簿類の取り扱いでは、小川市長・理事長と弁護士らが上申書で「平成2年4月16日以降の犯行分と思料しております」と言っているように、平成2年4月16日以前の帳簿を全部勝手に廃棄処分してしまったのでした。事実、タゴ事件が発覚した平成7年5月17日の直後、安中市役所の西庁舎の2階の都市計画課兼安中市土地開発公社の窓から、夜中に、大量の行政文書を投げ下ろす異様な音に近隣住民が気付いており、後日そのことを当会にも通報がありました。ドスン、ドスンいう異様な物音に目が覚めて、窓から西庁舎を見ると、数名の職員が手分けして、二階の窓から下に止めていた庁用車の軽トラックの荷台に向かって投げ下ろし、荷台が行政文書でいっぱいになったら、軽トラックはどこかに走り去ったということです。市民の間では、軽トラの行き先はゴミ焼却炉のある清掃センターだったとの見方が大半でした。


タゴ事件での横領事実を押し隠そうと、平成2年4月16日以前の行政文書を慌てて焼却処分した安中市土地開発公社が2階に入っていた安中市役所の西庁舎。

 こうして弁護士の指導で、この途方も無い事件の証拠隠滅に狂奔した悪夢の2週間でしたが、平成7年6月2日(金)午前中に小川市長が安中警察署に告発するまでは、タゴ関係者にとっては、さぞかし悪夢の半月間だったことでしょう。

 6月5日から捜査を開始した警察も、平成2年4月16日以前の資料の大半が無いため、捜査に難航したようすが、捜査記録から伺えます。

■こうして、タゴが平成2年4月16日に特別会計口座として横領金を管理するための専用口座を設ける以前は、正規の口座で横領していたため、タゴ事件関係者にとっては、それらがバレることをぜひとも避けたかったので、それ以前の公社の帳簿を大量に廃棄して証拠隠滅を図ったものと思われます。

 とりあえず、タゴ事件発覚とその直後の騒乱の3日間である平成7年5月17日、18日、19日の状況を分析してみました。以降、時系列的に分析を行っていきます。

【ひらく会情報部】

<参考資料>※赤字は当会のコメントです。
【上申書】(群馬県安中警察署受付7.6.14第110号)
 住所 群馬県安中市安中一丁目二三番一三号
          上申人 安中市 市長 小川勝壽
 住所 群馬県安中市安中一丁目二三番一三号
          上申人 安中市土地開発公社 理事長 小川勝壽
 住所 東京都港区虎ノ門一丁目一五番一一号 虎ノ門SSビル五階
          右上申人ら代理人 弁護士 田邊勝己
                   同   菰田 優
              電 話 ○三(三五〇七)○六三三
 住所 群馬県安中市安中一丁目二三番三二号
          被疑者 多胡邦夫
上申の趣旨
 被疑者多胡邦夫については、平成七年六月二日、既に逮捕済みでありますが、さらに後記のとおり刑法第一五五条第一項、第一五八条第一項、第二四六条第一項の有印公文書偽造、同行使、詐欺罪に該当する余罪が存するものと認められるので、捜査の上、厳重に処罰されたく、上申します。(なぜか、横領罪、背任罪などが入っていない。弁護士の策略か)
上甲の理由
一 安中市及び安中市土地開発公社は、今回の被疑者多胡邦夫の公文書偽造、同行使、詐欺事件について、既に平成七年六月二日小川勝壽安中市長が御署に赴き口頭にて告発を行ったものでありますが、今回、安中市及び安中市土地開発公社の立場を明確にするため、本上申に及びます。
二 今回の事件は、群馬銀行を被害者とする詐欺事件でありますか、公社職員による悪質な犯罪であり、公社としても道義的責任を痛感しております。平成七年五月一七日の借入残高証明書取得後の事件発覚以来事実解明に努め(←これはウソ。努めたのは証拠隠滅のほう)、迅速なる調査の結果、平成七年五月三一日には被疑者を懲戒免職といたしましたが、従来通り捜査機関に全面的にご協力申し上げることをお約束いたします。既に公社並びに市側の資料の提出、公社職員の事情聴取に全面的にご協力いたしておりますが、今後もさらに真相究明のため、ご協力いたします。
 他方、安中市及び安中市土地開発公社は市民に対し、疑惑解明の結果を報告し、説明する義務を負っております。事実、これまでの報道の中には横領事件と間違えている(←公金着服だから横領事件。報道は正しい)のではないかと思われるものや、非難を市及び公社に集中させるものが目立ちました。今後は、捜査当局にご協力申し上げる中で、捜査に支障のない範囲で、安中市としても真相を明らかにして参りたい(←結局15年経過しても、安中市からはいまだに事件の真相解明がされていない)と思料いたしております。
 また、今回の直接の逮捕事実は、平成七年三月三一日の詐欺の分のみと聞き及んでおりますが、被疑者は平成二年四月一六日、「湯浅市長の特命により、表面に出せない土地を先行取得するため」との欺罔行為により、全く架空の「安中市土地開発公社理事長湯浅正次特別会計」名義の被疑者自身の口座を開設し、以後一三回に亘り多額の金員を公社借入金名目で借り入れ、同口座から現金を引き出す方法で金員を詐取していたものであります。それ以前についても犯行を重ねていたようでありますが、客観的資料に基づき、市及び公社の立場として告発可能なものは平成二年四月一六日以降の犯行分と思料しております。(←なぜ、こうも勝手に、平成2年4月16日以前の犯罪は関係ない、と言いたがるのだろうか)
 いずれにせよ、捜査内容や起訴事実の確定は捜査当局の専権事項であり、市及び公社は如何なる要請にも全面的にご協力いたすことを重ねて明言いたします。
三 捜査当局のご参考になるか否かは別として、市及び公社が被疑者を懲戒免職にするまでの事実経過を別紙時系列表にまとめましたので添付いたします。
 右別紙時系列表について付言すれば、市及び公社は、公社側の最初の事情聴取の段階での被疑者の弁解について重大な関心を寄せております。被疑者が全くの虚偽の事実を述べたのであれば群馬銀行行員に対する名誉毀損罪にも該当する悪質な行為であります。被疑者を許すことはできません。他方、市及び公社は今回の事件に共犯者はいないと信じておりますが(←なぜ、こうも勝手に、共犯者不存在宣言を軽々しくやりたがるのだろうか。タゴから金品をもらった人物は多数いるのに。共犯者といえば、タゴの親友の金融マンや、経理チェックをしてこなかった上司、それからタゴの親族ら、該当候補者がゾロゾロいるのに)、群馬銀行の管理体制については疑問を抱いております。刑事的には被害者側の落ち度の問題であろうかと思料いたします。この点についても、捜査上ご協力できることがあればお申し付け下さい。
一 以上、厳正なる捜査のうえ、被疑者を厳罰に処していただきたく上申する次第であります。
  平成七年六月一四日
    上申人ら代理人 弁護士 田邊勝己
            同   菰田 優
群馬県安中警察署長 殿

<別紙>
【時系列表】※原文は縦書き
  被疑者 多胡邦夫  昭和二七年三月三〇日生
■昭四五・ 六
  入庁
■昭五四・一〇
  建設都都市計画課主事
■昭五五・ 四
  安中市土地開発公社設立(理事長 湯浅正次)時に同公社職員を併任
■平二・四・ 一
  高橋次長就任。経理チェックを強化。
■平二・四・一六
  「安中市土地開発公社理事長湯浅正次特別会計」名義の多胡個人の口座開設。栃木県小山支店から転勤してきた伊藤試支店長代理が担当して開設。市長の特命事項を処理するために表に出さない土地を先行取得するために使うという理由。その後、借入として一三回、約三六億三千万円。
■平七・四・ 一
  教育委員会社会教育科社会教育係長に転任。清水裕之が入れ替わりに公社職員(市都市計画課と併任)として任命される。
■平七・四・一二又は一八
  群馬銀行安中市派出所の田崎操が公社を訪れ、竹内に対し「公社の融資の残高を教えてほしい」上司の高橋次長かいないので、「翌日来て下さい」と答えた。翌日高橋が「群馬銀行は借入残高を承知しているので、なぜ聞くのか」と田崎に対し言ったところ、「いろいろの調べに使いたい、できれば他行分、も教えて下さい」と言った。他行分の明細は教えられないか、公社全体の総額と群馬銀行のものは教えてもよいとしで、公社の借入金総額約一九億円と群馬銀行の約一〇億一七〇〇万円の借人分を書面でその日のうちに竹内が派出所に届けた。その時には、銀行からなんら返答はなかった。
■平七・四・一九
  高橋次長、竹内主任、清水が群馬銀行安中支店に挨拶に行った。山添次長、栗田が対応に出た。多胡が転勤になったので、挨拶に来たと述べた。
■平七・五・ 八
  多胡 一四八五万円現金引き出し(五/二三頃判明)
■平七・五・一七
  群馬銀行安中支店から公社借入金残高証明四七億六五九六万円を取得した。二四日の監査、三〇日役員会に備えるべく取得した。
■平七・五・一八 一一時一〇分
  高橋、竹内、群馬銀行へ訪問。融資課長栗田、融資担当次長清水、渉外次長山添に対し、「残高とあわないので明細があったら見せてほしい」と言ったところ、貸出明細照会票を出した。
 「金銭消費貸借契約書を見せてほしい」。「このとおりある」と言って袋の中に入って、いた証書を見せた。金額欄の「金」と正規の数字の間の狭いところに 偽造の金額か割り込ませるように加筆され、改ざんがされていた。「本人の字かどうかもわからない。いかにもつけ加えているではないか」と言ったところ、「本部の監査でも本人の筆跡に間違いないということで検査はすんでいる」と支店長が答えた。
 半期に一回利息を払うところ、「総額が異なるのであれば七・三・三一に支払った利息では足りないのではないか」と費したところ、「間違いなく頂いている。もう一つ安中市土地開発公社理事長湯浅正次 特別会計口座番号○五八-九六九という口座がある」とのことだった。「そんなはずはない」と述べると、「平二・四・一六開設の特別会計がある」とし、口座開設時に記入した普通預金印鑑票を見せてきた。「だれが作ったのか」と費すると、清水融資課長が「多胡さんか作っております」と答えた。普通預金印鑑票は多胡の筆跡だった。
 「特別会計口座に幾らあるか」と聞いたところ、二億七五〇〇万円あった。引き出しできないようにしてくれと頼み、過去の資料を本部から取り寄せるなどして全部見せてほしいと依頼し、一二時四〇分帰庁。高橋が竹田主任、加部部長に相談。市長に報告。
 銀行に連絡し、六時、に群馬銀行を訪問。市長は安中市商工会青年部通常総会終了後、市長も七時に訪問。
 松井支店長、清水次長、山崎次長、加部事務局長、高橋次長、竹内主任出席。
 預金取引履歴明細表の二枚だけを出してきた。払い出しの伝票の原本を見せてもらった。
 公社の借入金台帳と照合した。金銭消費貸借契約書も見た。狭いスペースに書き込みがなされているので、明らかにおかしいと指摘した。
 借入は三一本あり、金額欄の数字の頭順についているものが一二本あった。その前の金銭消費貸借契約書も公社の台帳とつき合わせてチェックした。履歴明細表に記載してある金銭消費貸借契約書は原本が存在した。「多胡の指示により、特別会計に振り分けた」との説明があった。「それはおかしい」と指摘した。市からの依頼書はなかった。
 市長到着。説明を求めたところ、「湯浅市長の特命で、特別会計口座を作った」と松井支店長か説明。「特命など聞いていない。特命の依頼書などないはず」
 「四月に、田崎に公社の残高を書いた書類を渡しだのになぜおかしいと言わなかったのか」
 銀行側の資料は、明細書が二枚、伝票も一部だったので翌日の昼までに本部の資料も全部調査するということだった。
■平七・五・一九 一時
  銀行から(清水次長か)全部揃ったという連絡があったので、群馬銀行に四時頃来庁を依頼。
 市長、助役、収入役、加部局長、高橋が対応した。第一応接室に次長二人が来た。支店長は支店会議で来られないとのことだった。
 市長が、「こんな重大な事件で支店長か来ないのはどういうことだ」と言った。
 履歴表の二枚目以降の部分を持ってきた。伝票の一部をもってきた。契約証書の写しを四~五枚受け取った。経緯についての説明があった。「二〇〇回以上引き出されている。Cというのが現金です。残高はこれだけです」「コジョウ・タゴ」の振込票を持ってきた。
 市長は、「こんなに額が出ているなら、特命を何で確認しなかったのか」と問いただす。
■平七・ 五・二二
  公社調査
■平七・ 五・二三
  〃
■平七・ 五・二四 午前中、公社監査。二時、多胡に事情聴取。高橋・竹田・竹内 「残高は何だ」
  多胡「これは違う。俺がやったのではない。不正の事実はあるがこんなに多くない」
  伊藤支店長代理が主犯というニュアンスで「伊藤が絡んでいる話なので、伊藤代理と話をする。二六日までに連絡する。伊藤の他にもいる。名前は出せない」と弁解した。
■平七・ 五・二六
  高橋・竹田・竹内 多胡に事情聴取。
  多胡「伊藤に連絡を取ったが、仕事中でニ八日の日曜に会うことになっている。そこで話をつける」
  リミットは市長の指示により、二九日と通告。銀行次長に伊藤の件を話し、調査をお願いした。
■平七・ 五・二九 九時
  高橋・竹田・竹内 多胡に事情聴取。
  多胡「二九日伊藤と会ったところ、額は違うし、この金は別口座にプールしている。それで、返済すれば一億円くらいになる。伊藤も自宅を売却し残りも俺が払えば済む。伊藤から銀行に電話を入れてもらい、支店長と相談したうえで、自分が行って話をつける」ということだった。伊藤は一二時ころ支店長と会うと言っていたと言った。
  三時に多胡が銀行に行くということだった。三時には高橋が同席すると言った。そこで教育課に三時頃多胡が退席したかを確認したところ、三時から休みをもらったと教育課の者が言ったので、役所のすぐ前にある多胡の家を見に行った。
  丁度その時、多胡は車で出ていった。その前に、安中支店次長に「多胡が行ったら電話くれ」と頼んでいたところ、四時二〇分頃、銀行(山添)から電話あり、「多胡が来ていない」とのことだった。
  慌てて高橋、竹内が銀行に行った。伊藤から電話あったかと聞いたところ、一切ないとのことだった。支店長が伊藤に確認したところ、二月の結婚式以来会っていないと言われたそうである。
  市役所に樵り、市長に報告し、銀行を呼んだ。
  五時に多胡から電話があり、「係長はどうした」「銀行に行った」と答えたところ、「じゃあいい」と切られた。その間、役所、自宅にも戻っていなかった。
  七時
  支店長、次長二人か来、庁。市長が疑問点の指摘をし、相手が答える形で話し合いが行われた。市側、銀行側、双方テープを取りながら会話をした。
  再度、伊藤氏の件を話した。伊藤本人に確認してくれと要請。
  「多胡本人を呼んでこい」ということになったが、本人が所在不明。
  六時頃、子供だけ家にいた。「お父さんもお母さんいない」とのことだった。
  七時三〇分頃、再度本人を呼びに行ったところ、子供もいなかった。
  公社職員は、頻簿等の調査をしながら、一一時くらいまで多胡の帰ってくるのを待っていた。
  一一時頃、高橋宅に奥さんから電話かあり、「本人は出られない。本人は錯乱状態で話を初めて聞いた」「いまどこにいるんだ」「遠いところにいる」「とにかく明日出てこい」子供も一緒にいるとのことだった。
  一一時三〇分、市長に連絡。職員全員に連絡し、一二時頃集合。身内にも連絡。
  二時三〇分まで捜索したが、見つからない。


手前がタゴ邸。後方が市役所本庁舎。安中市民のうちで最も市役所に近い場所に住んでいたタゴなのに、なぜ安中市はタゴの動静を見張るため、すぐ目の前のタゴ自宅に職員を張り付かせておかなかったのだろうか。

■平七・五・三〇 朝
  高橋宅に電話あり、「今日は行けない、明日には帰るので、三一日午後話をしたい」
  一時三〇分、帰宅したらしく、多胡の懇意にしている■■■■■が本人から事情聴取していた。小諸に行ったという話で、自殺を図った。左手の手首にキズバンがはってあった。ホース、を買った。共犯者はいないらしい。
■平七・五・三一
  一二時三〇分頃、「家にいる。弁護士とアポイントが取れた」との電話か高橋にあった。
  四時、懲戒免職を言い渡し、本人から確認書を取得。本人に出頭を促す。
  出頭するときは電話をしろと言った。
■平七・六・ 一
  市としても警察に事前に捜査依頼することを決定。
■平七・六・ 二 午前
  市長が警察へ告発の相談に行った。

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タゴ事件発覚15年後の今日締め切られる安中市役所前のタゴ邸の競売とタゴ配偶者の心変わり

2010-05-18 16:08:00 | 土地開発公社51億円横領事件
■ちょうど15年前の今日、安中市政のずさんさを象徴するかのような前代未聞、空前絶後の51億円巨額詐欺横領事件が安中市土地開発公社内部で発覚しました。それから15年、単独犯とされた元職員タゴも昨年9月に正式に出所し、土地開発公社で元職員を管理・指導する立場にあった幹部や上司の監督責任は誰一人追及されることなく、現在に至りました。

 また、タゴに擦り寄り、不審な記載の文書に疑問を抱かず、タゴのその場しのぎのでたらめな融資話を信じ込み、ずさんな融資を繰り返して犯行額を膨らませた群馬銀行にも大きな責任がありますが、結局、安中市も群銀も責任をとらず、24億5千万円の和解金は、公社による103年ローンの返済というかたちで、市民が尻拭いさせられているのが実情です。


安中市役所の目の前にあるタゴ邸。この2棟が競売入札にかけられているが、敷地は多胡の妻名義のままなので、落札者は直ちに2棟とも解体を求められている。
 4年前に合併後の安中市長に就任した岡田義弘・元公社理事監事は、さっそく安中市土地開発公社の理事長にも就任しましたが、大きな損害を安中市・公社を及ぼした元職員タゴに対して、本気で和解金とほぼ同額の損害賠償金の全額回収をやろうという意欲ある姿勢が、未だに市民には見えてきません。

■このような状況下に、安中市役所の目の前にあるタゴの自宅が競売に掛けられています。当会は、この競売に参加して落札し、タゴの自宅を、安中市巨額横領事件記念館として保存しようと計画しましたが、残念ながら財政的な事情で入札参加を断念しました。

 入札は、先週5月11日(火)から、今日の5月18日(水)午後5時まで、前橋地方裁判所高崎支部民事執行係で行われています。開札は来週5月25日(火)午後9時に、高崎支部の売却場で行われて、その後、6月10日午後5時までに、落札者との間で最終条件が協議されて、合意に至れば、特別売却が行われる予定です。

■この一連の競売手続きで注目されるのは、前橋地裁高崎支部の執行官が、元職員タゴや配偶者らに直接面談したり電話連絡をとっていることです。昨年9月に晴れて正式出所したタゴが、すでに14億円以上といわれている使途不明金や、この15年間に処分せずにいた資産の保全に動き出したと見るべきでしょう。

 また、タゴの配偶者は、刑事裁判で裁判長に「全財産をもって償う」などと殊勝なことを言っていましたが、その後15年間で、まだ財産を処分せずにおり、とくに、岡田市長が公社理事長としてかねがね公言している「タゴ自宅跡地」の獲得について、タゴの配偶者が土地の売り渡しに応じないと、公社理事会で報告していました。今回のタゴ自宅の競売入札公告を見ても、相変わらず、タゴの配偶者は、土地は自分のものだから、タゴの自宅の建物を競売で競り落とした者は、直ちに2棟の建物を解体して更地にするように求めています。

 こうした変則的な競売が行われる背景には、いったい何があるのでしょう。タゴ自宅を競り落としても、敷地の所有権はタゴの配偶者が握っているわけで、しかもタゴ自宅を手に入れてもすぐに解体しなければならず、解体費用がかかります。

 となると、今日の午後5時に締め切りの競売入札には、タゴ一族しか参加する意義が無いことが分かります。タゴの実弟などが最低価格で競り落として、その僅かなカネはタゴ事件の損害賠償金として国庫や安中市に入りますが、タゴ一族にとっては、安中市役所の目の前の土地と建物が名実ともに一族所有になるからです。

■本来であれば、タゴ一族が、今回の競売で競り落とした建物を解体して、その土地と一緒に、タゴ事件の賠償のかたに安中市民に無償で提供しなければならないはずです。そして、タゴ一族には終生、51億円巨額横領事件で安中市と安中市民が被った損害の補償をしてもらわないと、タゴ事件の本当の解決は果たせないのです。

 果たして岡田市長が今回の競売でどう動くのか、注目したいと思います。

【ひらく会情報部】


市役所の本庁舎のすぐ目の前にあるタゴ邸。タゴがかつて勤務していた税務課の窓から自宅まで20mたらず。51億円余りを横領した安中市土地開発公社のある西庁舎までは約50m。

※参考資料(文中、A=タゴの配偶者B=タゴ
≪タゴ自宅の競売入札公告≫
平成21年(ヌ)第25号
期間入札の公告
     平成22年4月15日
     前橋地方裁判所高崎支部民事執行係 裁判所書記官 小川聡
別紙物件目録記載の不動産を下記のとおり期間入札に付します。
    記
入札期間:平成22年5月11日から
     平成22年5月18日午後5時00分まで
開札期日:日時 平成22年5月25日午前9時00分
     場所 前橋地方裁判所高崎支部売却場
売却決定期日:日時 平成22年6月1日午前10時00分
       場所 前橋地方裁判所高崎支部民事執行係
特別売却実施期間:平成22年5月28日午前10時00分から
         平成22年6月10日午後 5時00分まで
買受申出の保証の提供方法:
 下記のいずれかによる。
(1)当裁判所の預金口座に金銭を振り込んだ旨の金融機関の証明書。
(2)銀行,損害保険会社,農林中央金庫,株式会社商工組合中央金庫,全国を地区とする信用金庫連合会,信用金庫又は労働金庫の支払保証委託契約締結証明書。
買受申出の資格の制限(民事執行規則33条):☆印を付した物件は農地であるので,権限を有する行政庁の交付した買受適格証明書を有する者及び買受けについて農地法上の許可又は届出を必要としない者に限り,買受申出をすることができます。
一般の閲覧に供するため,物件明細書・現況調査報告書・評価書の各写しを平成22年4月15日から当庁物件明細書等閲覧室に備え置きます。

物件番号/売却基準価額(円)・買受可能価額(円)/一括売却/買受申出保証額(円)/平成21年度固定資産税(円)/平成21年度・都市計画税(円)
1,2 /1,140,000・912,000/一括/228,000/71,428/10,203
1/670,000/-/-/-/-
2/470,000/-/-/-/-
備考/-

【物件目録】
平成21年(ヌ)第25号
物 件 目 録
1 所   在  安中市安中一丁目字本宿2378番地1
  家屋番号   2378番1の2
  種   類  居宅
  構   造  木造瓦葺2階建
  床 面 積  1階   64.59平方メートル
         2階   68.73平方メートル
  (現況)
  床 面 積  1階  約89.59平方メートル
         2階   68.73平方メートル
  下記の附属工作物が存在する。
    ステンレス製犬小屋(約3.6平方メートル)
2 所   在  安中市安中一丁目字本宿2378番地1
  家屋番号   2378番1の3
  種   類  居宅 物置
  構   造  木・鉄骨造瓦葺2階建
  床 面 積  1階   42.50平方メートル
         2階   46.36平方メートル

【物件明細書】
平成21年(ヌ)第25号
物 件 明 細 書
     平成22年 2月15日
     前橋地方裁判所高崎支部民事執行係
     裁判所書記官 小 川   聡
1 不動産の表示
  【物件番号1,2】
   別紙物件目録記載のとおり
2 売却により成立する法定地上権の概要
   なし
3 買受人が負担することとなる他人の権利
   なし
4 物件の占有状況等に関する特記事項
  【物件番号1,2】
   本件所有者が占有している。
5 その他買受けの参考となる事項
  【物件番号1,2】
   本件建物のために,その敷地(地番2378番1,所有者■■■■)につき使用借権が存する。買受人は,敷地利用権の設定を要する。
《注 意 書》
1 本書面は,現況調査報告書,評価書等記録上表れている事実等を記載したものであり,関係者の間の権利関係を最終的に決める効力はありません(訴訟等により異なる判断がなされる可能性もあります)。
2 記録上表れた事実等がすべて本書面に記載されているわけではありませんし,記載されている事実や判断も要点のみを簡潔に記載されていますので,必ず,現況調査報告書及び評価書並びに「物件明細書の詳細説明」も御覧ください。
3 買受入札占有者から不動産の引渡しを受ける方法として,引渡命令の制度があります。引渡命令に関する詳細は,「引渡命令の詳細説明」を御覧ください。
4 対象不動産に対する公法上の規制については評価書に記載されています。その意味内容は「公法上の規制の詳細説明」をご覧ください。
5 各種「詳細説明」は,閲覧室では通常別ファイルとして備え付けられています。
添付:物件目録

【現況調査報告書】
    平成21年(ヌ)第25号
    平成21年11月30日受理
    平成22年 1月 5日提出
現況調査報告書
   前橋地方裁判所高崎支部
   執行官 湯 澤 孝 光(印)
(注)チェック項目中の調査結果は,「■」の箇所の記載のとおり

<物 伴 目 録>
    平成21年(ヌ)第25号
物 件 目 録
1 所   在  安中市安中ー丁目字本宿2378番地1
  家屋番号   2378番1の2
  種   類  居宅
  構   造  木造瓦葺2階建
  床 面 積  1階   6 4.59平方メートル
         2階   6 8.73平方メートル
2 所   在  安中市安中一丁目宇本宿2378番地1
  家屋番号   2378番1の3
  種   類  居宅 物置
  構   造  木・鉄骨造瓦葺2階建
  床 面 積  1階   4 2.50平方メートル
         2階   4 6.36平方メートル

(建物用(複数〉)
不動産の表示    「物件目録」のとおり
住居表示      群馬県安中市安中一丁目23番32号
建物        物件1
 種類,構造及び床面積の概略
     □公簿上の記載とほぼ同一である
     ■公簿上の記載と次の点が異なる
     □種類:
     □構造:
     ■床面積:1階約89.59㎡
 物件目録にない付属建物
     ■ない   種 類:
     □ある   構 造:
           床面積:
 占有者及び占有状況
     ■建物所有者
      上記の者が本建物を空家の状態で占有している
     □「占有者及び占有権原」のとおり
 その他の事項
執行官保管の仮処分
     ■ない         地方裁判所   支部 平成 年( )第   号
     □ある     保管開始日  平成 年 月  日
敷地        「目的外土地の概況」のとおり
土地建物の位置関係 ■土地建物位置関係図のとおり
住居表示      群馬県安中市安中一丁目23番32号
建物        物件2
 種類,構造及び床面積の概略
     ■公簿上の記載とほぼ同一である
     □公簿上の記載と次の点が異なる(□主たる建物 □附属建物)
      □種 類:
      □構 造:
      □床面積:
 物件日録にない付属建物
     ■ない   種類:
     □ある   構造:
           床面積:
 占有者及び占有状況
     ■建物所有者
      左記の者が本建物を空家の状態で占有している
     □「占有者及び占有権原」のとおり
 その他の事項
執行官保管の仮処分
     ■ない       地方裁判所   支部 平成 年( )第   号
     □ある   保管開始日  平成 年 月  日
敷地    「目的外土地の概況」のとおり
土地建物の位置関係 ■土地建物位置関係図のとおり
(注)チェック項目中の調査結果は,「■」の箇所の記載のとおり

(目的外土地用(単独))
所在        群馬県安中市安中一丁目字本宿
地番        2378番1
地目        ■宅地
地積        481.60㎡
所有者       ■A
その他の事項
■関係人(A(建物所有者)・B(土地所有者)の陳述/)□提示文書(  )の要旨
 占有権原     ■使用借権
 占有開始時期   昭和59年11月18日新築
 最初の契約等 契約日 昭和59年11月18日
        期 間 昭和59年11月18日から
             □平成 年 月  日まで  年間
             ■期間の定めなし
 更新の種別    □合意更新 □自動更新 □法定更新
 現在の契約等 期 間 平成 年 月  日から
             □平成 年 月  日まで  年間
             □期間の定めなし
 契約等当事者 貸主   ■土地所有者 口その他の者(    )
        借主   ■建物所有者 □その他の者(    )
 地代・支払時期等 毎月 金    万円(毎月   末日限り   当月分支払)
 地代 前払  □ない □ある(金   円     分まで)
 敷金・保証金 □ない □ある(□敷金   円 □保証金   円)・
特約等     □ない
地代滞納    □ない □ある(平成 年 月  日現在   約 万円)
契約解除    □ない □ある(      )
訴訟提起等   □ない      地方裁判所   支部 平成 年( )第   号
        □ある   □係属中 □終局(                 )
その他     ■件外土地所有者で本件建物所有者であるBの妻Aから,新所有者に対しては本件建物二棟の撤去を求める旨の陳述をしている。
執行官の意見  ■上記のとおり □「執行官の意見」のとおり
(注)チェック項目中の調査結果は,「■」の箇所の記載のとおり

(関係人の陳述等用)
関係人の陳述等
→陳述者(当事者等との関係):
■ B(債務者兼所有者)
(タゴの)陳述内容等:
1 本建物の居宅(受命物件1)と居宅物置(受命物件2)の二棟は,平成11年頃から今も空家の状態になっています。私が空家にて占有し第三者には貸していません。
2 二棟の家を建てるときには,義父の所有していた土地上に建てましたが,地代などの支払いはなく無償で建てさせて貰ったのです。妻が相続をした後も無償で建てさせて貰っています。犬小屋と門や自転車置場は私が建てたものですが,壊れています。西側の部屋の床にある開閉口は床下収納庫です。(添付写真⑤参照)現在妻とは別の所に住んでいます。

→陳述者(当事者等との関係):
■ A(件外土地所有者)
(タゴの配偶者の)陳述内容等:
1 本件二棟の建物は,10年以上空家になっています。建物内にある家具類は私ら家族の物です。
2 本建物を建てる当時は父が所有していた土地(件外土地)で地代の支払いや期限の定めなく無償で建てさせて貰いましたし,私が相続をした後も同様で現在まで無償で建てさせていますが,新所有者には,私が所有する土地ですから建物が建っていることは出来ませんので撤去をして貰います。西隣地の居宅には,兄が住んでいて私の土地(上記土地)を無償で出入りなどの通路として使わせています。
      以 上
(注)チェック項目中の調査結果は「■」の箇所の記載のとおり

(執行官の意見用)
執行官の意見
■下記のとおり
1 受命物件1の居宅及び受命物件2の居宅・物置は,空家で施錠されていたので,解錠技術者に解錠させて立会人を立ち会わせ評価人と共に立入り調査を実施した。上記各建物内には動産類が残置されていた状態で所有者及び第三者が占有している状況は伺えなかった。
  当職が10年前に調査をした物件で,建物内は数点の動産類が搬出されていたが内部は何ら変わっていなかった。また,門及び自転車置場である工作物が壊れた状態になっていた。
  各玄関廊下上に立ち入り調査をした旨の文書を差し置くと共に所有者の住所地あてに同様の文書を送付して占有関係等の回答を求めたところ,所有者Bから電話があり占有関係等の聴取がとれ,二棟の建物は空家の状態で上記人が占有している旨の陳述が得られた。
2 上記各二棟の建物の敷地である件外土地2378番1の土地は,上記人の妻であるAが所有し,同土地上に使用借権にて建っている。
  同人に面談が出来て,二棟の建物を建てた時及び同人が相続をした後も使用借権にて建てさせている旨の陳述が得られた。
  なお,本件二棟の建物に関し,新所有者に対して敷地として使用させなく,同建物二棟の撤去を求められることになると思料される。
  また,西隣地(2378-3)にある居宅に住んでいる同人の兄が出入り等として件外土地を通路として無償で利用させている状況でもある。
その他
1 二棟の建物の敷地である件外土地の西側に接している2378番2・地積24㎡,同2377番3・地積31㎡,同2376番6・地積3.00㎡,同2376番5・地積5.94㎡の各地目公衆用道路の所有者は安中市である。
2 受命物件1の附属工作物・ステンレス製犬小屋豹3.6㎡が存在している。
                 以 上
(注)チェック項目中の調査結果は,「■」の箇所の記載のとおり

(調査経過用)
調査の経過
調査の日時/調査の場所等/調査の方法等
21年12月2日(水)14:30-15:00/物件所在地物件1・2/空家・外部調査・外部写真撮影・C不在・隣人に面談
21年12月2日(水)15:55-16:05/前橋地方法務局高崎支局/全部事項証明書及び閉鎖登記簿勝本交付申請(件外土地)
21年12月8日(火)14:50-16:00/物件所在地物件1・2/解錠(物件1・2)・立入調査(評価人立会人同行)内部写真撮影
21年12月8日(火)17:00-17:30/執行官室/照会文書作成発送
21年12月14日(月)9:15-9:30/執行官室/債務者Bから電話聴取
21年12月14目(月)16:20-16:50/件外土地所有者方/Aに面談
(特記事項)
□ 平成 年 月  日
  目的物件は不在で施錠されていると予想されたので,立会人及び解錠技術者を同行して臨場した。
■ 平成21年12月 8日
  目的物件は不在(空家)で施錠されていたので,立会人Dを立ち会わせ,技術者に解錠させて建物内に立ち入った。
□ 平成 年 月  日
  休日・夜間執行許可の提示をした。
(注)チェック項目中の調査結果は,「■」の箇所の記載のとおり

<登記された土地の位置図>略
<登記された建物の各階平面図>1階、2階とも略
<土地建物位置関係図>略
<建物間取図>略
<建物屋内外写真>略

【評価書】
     平成21年(ヌ)第25号
     平成21年12月8日現地調査
     平成22年2月5日評  価
        鑑評第22-2370号
前橋地方裁判所高崎支部御中
評  価  書
     評価人 不動産鑑定士 近藤 仁

第1 評価額
 一括価格: 金1,140,000円
 内訳価格: 物件1 金670,000円
       物件2 金470,000円
 1 一括価格は、物件1、2の各不動産について、一括売却(民事執行法61条本文)を行うことを前提とした場合の合計価格である。
 2 内訳価格は、配当等の判断のために一括価格の内訳として算出した価格である。
 3 物件1、2の価格は敷地利用権付建物としての価格である。
第2 評価の条件
 1 本件評価は、民事執行法により売却されることを前提とした適正価格を求めるものである。したがって、求めるべき評価額は、一般の取引市場において形成される価格ではなく、一般の不動産取引と比較しての競売不動産特有の各種の制約(売主の協力が得られないことが常態であること、原則として買受希望者が事前に物件に立ち入ることができないこと、引渡しを受けるために法定の手続をとらなければならない場合があること、瑕疵担保責任がないこと等)等の特殊性を反映させた価格とする。
 2 評価は目的物件の調査時点における現状に基づいて行うものであり、調査日以降発生した物件の現状変更については考慮していない。
 3 現地での物件調査は目視可能な部分に限定され、物件に関する情報提供の内容も、民事執行法58条4項に定める場合を除いて公開された資料に基づくものである。
<評価に当たって確定した事項>
 1 物件1の評価数量は現況概測数量による。物件2の評価数量は登記数量による。
第3 目的物件
  現況欄に記載のない事項については、ほぼ登記記載と同じ
 番号/所在等/登記/現況
 1/所在:安中市安中一丁目字本宿2378番地1、家屋番号:2378番1の2、種類:居宅、構造:木造瓦葺2階建、床面積:1階64.59㎡、2階68.73㎡、所有者:B/床面積:1階約89.59㎡
 2/所在:安中市安中一丁目字本宿2378番地1、家屋番号:2378番1の3、種類:居宅物置、構造:木・鉄骨造瓦葺2階建、床面積:1階42.50㎡、2階46.36㎡、所有者:物件1に同じ
番号
 特記事頃:特になし。
第4 目的物件の位置・環境等
 1 対象土地の概況及び利用状況等
 (件外土地)
 位置・交通:JR信越本線安中駅の南西方約2.3km(直線距離以下同)、市立安中小学校まで約1km、安中市役所に隣接して位置。
 付近の状況:安中市中心部の戸建住宅を中心に事業所等も介在する住宅地域。地勢は平坦で、日照等は普通。利便性や接近性に恵まれているので今後も住宅地域として熟成していくものと予測。
 主な公法上の規制等(道路の幅員等の個別的な規制を考慮しない一般的な規制):
  都市計画区分:非線引都市計画区域
  用途地域:第1種住居地域
  建ぺい率:60%
  容積率:200%
  防火規制:なし
  その他の規制:特になし
 画地条件(規模、形状等):
  規模:481.60㎡
  間口:約4.2m 奥行:最大約41m
  形状:L字型状不整形
  その他:平坦地勢
 接面道路:南西側が有効幅員約4~5m舗装市道にほぼ等高にて接面(地番2378-2、2376-5は安中市所有の登記地目:公衆用道路)。
 土地の利用伏況及び隣地の状況等:建物所有者Bが物件1、2の建物の敷地として使用占有している。利用権原は使用借権。隣地は宅地。
 供給処理施設:
  上水道:無
  都市ガス:無
  下水道:無
 特記事項:
  <上水道について>本土地について安中市水道課によると、以前は引込まれていたが現在は利用申請はされていない。配管状況については定かではないとのことであった。従って、買受人は市道の公設管から再引込が必要となることが考えられることに留意。
  <件外土地の概況>所在:群馬県安中市安中一丁目字本宿地番:2378番1
 特記事項:地目:宅地
      地積:481.60㎡
      所有者:A
      占有権原:使用借権
      占有開始時期:昭和59年11月18日新築
      最初の契約等:契約日:昭和59年11月18日
             期間:昭和59年11月18日から期間の定めなし
      契約等当事者:貸主:土地所有者
             借主:建物所有者
      その他:件外土地所有者で本建物所有者であるB妻Aから、新所有者に対しては本建物二棟の撤去を求めることになると思料される。
         以下余白
 2 建物の概況及び利用状況
(物件 1)
 区分/主たる建物
 建築時期及び経済的残存耐用年数:
  建築年月日(登記記載):昭和59年11月18日新築
  経済的全耐用年数:約26年
  経過年数:約25年
  経済的残存耐用年数:約1年
 仕様:構造:木造
    屋根:瓦葺
    外壁:吹付
    内壁:板貼、布及びビニールクロス他
    天井:合板、ビニールクロス他
    床:畳、フローリング、カーペット他
    設備:電気、給排水、衛生
    その他:普通、コンクリート基礎
 床面積(現況):1階:約89.59㎡
        2階は登記にほぼ同じ
 現況用途等:現況用途:住居(空家)
       聞取り:建物関取図の通り
 品等:中品等上位
 保守管理の状態:劣る
 建物の利用現況:建物所有者が空家の状態で占有している。
 特記事項:附属工作物(ステンレス製犬小屋約3.6㎡)がある。

(物件 2)
 区分/主たる建物
 建築時期及び経済的残存耐用年数:
  建築年月日(登記記載) 平成2年11月2日新築
  経済的全耐用年数    約23年
  経過年数        約19年
  経済的残存耐用年数   約4年
 仕様:構造:木・鉄骨造
    屋根:瓦葺
    外壁:吹付
    内壁:京壁、ビニールクロス、合板他
    天井:合板、ビ二ールクロス他
    床:畳、フローリング、コンクリート他
    設備:電気、給排水、衛生、シャッター他
    その他:普通、コンクリー≒基礎
 床面積(現況);登記にほぼ同じ
 現況用途等:現況用途:居宅・物置(空家)
       間取り:建物関取図の通り
 品等:中品等
 保守管理の状態:劣る
 建物の利用現況:建物所有者が空家の状態で占有している。
 特記事項:特になし。
第5 評価額算出の過程
 1 基礁となる価格
 ①件外土地
  更地価格を算出し、これに建付減価を行って建付地価格を求めた。
   物件番号:件外土地
   標準画地価格:(円/㎡)ア:33,400
   個別格差イ:0.83
   地積(㎡)ウ:481.60
   建付減価補正率エ:0.90
   市場性修正率オ:0.95
   建付地価格(円)ア×イ×ウ×エ×オ=カ:11,415,000
  ア 標準面映価格(公示価格等からの規準)
     地価公示 安中-1
    標準地価格    時点修正 標準化補正  地域格差  標準両地価格
     43,400 円/㎡ ×96/100 ×100/103.0 ×100/122.0 ≒ 33,400円/㎡
    ◇時点修正:公示価格等の価格時点から評価日までの推定変動率である。
    ◇標準化補正:接道状況を考慮。             +3.0
    ◇地域格差:環境条件や接近条件等を考慮。        +22.0
  イ 個別格差:形状、間口奥行、供給処理施設の状況等を考慮。 ▲17
  エ 連行減価補正率:敷地と建物との適合状況等を考慮。    ▲10
  オ 市場性修正率:残置物の存在による市場性の低下を考慮。   ▲5
 ②物件1、2(建物)
  当該建物の再調達原価を、現在の建物建築費の推移動向、消費税の課税等も考慮した上、標準的な建築費に比準して求め、これに耐用年数に基づく方法並びに観察減価法を併用した減価修正を行って、建物価格を判定した。
   物件1
   物件番号:1
   再調達原価(円/㎡)ア:176,000
   現況延床面積(㎡)イ:158.32
   現価率ウ:0.032
   附属物(円)エ:0
   市場性修正率オ:1.00
   建物の価格(円)ア×イ×ウ×エ×オ≒カ:892,000
  ウ 物件1 現価率は下記数値に基づく定率法に観察減価法を併用して下記のとおり査定した。
   経過年数:約25年
   経済的残存耐用年数:約1年
   残価率:3%
   保守管理の状況不良による補正:▲5%
    ・現価率=0.034×(1-0.05)≒0.032
  エ 附属物:物件1の附属工作物犬小屋は建物価格に含めた。
  オ 市場性修正率:無

  物件2
  物件番号:2
  再調達原価(円/㎡)ア:146,000
  現況延床面積(㎡)イ:88.86
  現価率ウ:0.052
  附属物(円)エ:0
  市場性修正率オ:1.00
  建物の価格(円)(ア×イ×ウ+エ)≒カ:675,000
  ウ 物件2 現価率は下記数値に基づく定率法に観察減価法を併用して下記のとおり査定した。
   経過年数:約19年
   経済的残存耐用年数;約4年
   残価率:3%
   保守管理の状況不良による補正:▲5%
   ・現価率=0.055×(1-0.05)≒0.052
  オ 市場性修正率:無

2 評価額の判定
  前記により求めた価格に、土地については敷地利用権等価格を控除し、建物については敷地利用権等価格を加算し、競売市場修正等を施して、下記のとおり評価額を求めた。
 ① 敷地利用権価格
   物件番号/建竹地価格(円)ア/敷地利用権割合等イ/範囲(㎡)ウ/敷地利用権価格(円)ア×イ×ウ≒エ
   件外土地/11,415,000/0.10(使用借権)/295.00~481.60/699,000
   件外土地/11,415,000/0.10  使用借権 186,60~481.60/442,000
   (合計)     1,141,000
   ※敷地利用権の及ぶ範囲を件外士他の全ての範囲(481.60㎡)とし、その内物件1の敷地利用権の及ぶ範囲を約295㎡、物件2の敷地利用権の及ぶ範囲を約186.60㎡と判定した。
 ② 内訳価格及び一括価格
   物件番号/基礎となる価格(円)(1①カ、1②カ)ア/敷地利用権価格の控除及び加算(円)(2①エ)/市場性修正率ウ/競売市場修正率エ/占有減価率オ/敷金等カ/評価額(円)(ア土イ)×ウ×エ×オ-カ
   1/892,000/+699,000/0.70/0.60/-/-/670,000
   2/675,000/+442,000/0.70/0.60/-/-/470,000
                一括価格(合計)/1,140,000
   ウ 市場性修正率:使用借権建物としての市場性の低下を考慮。▲30%
   オ 占有減価:無
   カ 敷金等:無
第6 参考価格資料
   地価公示価格等:安中-1
   所在:安中市安中二丁目宇池尻2504-4「安中2-2-18」
   価格:43,400円/㎡
   位置:JR信越本線安中駅の南西方約2.6km
   価格時点:平成21年1月1日
   地積:194㎡
   供給処理施設:水道、下水
   接面街路:東3.7m市道
   用途指定等:非線引都市計画区域、2中専(建ぺい率60%、容積率200%)
   地域の概要:中規模一般住宅が建ち並ぶ住宅地域。
第7 附属資料
 1 位置図
 2 土地公図写
 3 地積測量図(参考)
 4 建物図面・各階平面図
 5 建物間取図
 6 土地建物位置関係図
        以上


主の帰還も間近いタゴ邸。
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事件発覚後15年目で旧タゴ喫茶店を買い取った?電気店が引きずるタゴ事件のDNA

2010-05-17 17:27:00 | 土地開発公社51億円横領事件
■安中市役所から程ない距離にあり、国道18号線に面したタゴの配偶者が経営していた元喫茶店「珈琲ぶれいく」は、一旦、競売に掛けられて、一時、韓国料理店が借りていましたが、その後、隣の洋服屋のスケルトンとともに、空家になっていました。その後、スケルトンはペット用のアクセサリーショップとなっていましたが、「珈琲ぶれいく」の方は空家のまま、㈱拓建の貸家看板が掲示されていました。

 ところが、先日5月の連休に、突然、内装工事が始まり、元喫茶店の看板に「コバヤシテレビ」という文字が描かれました。どうやら地元の電気店がここを買い取ったようです。


タゴが勤務中、市役所を抜け出し、妻と一緒に客に珈琲を入れていた旧タゴ喫茶店「珈琲ぶれいく」。看板が架け替えられた。(いずれも5月4日撮影)
 コバヤシテレビといえば、タゴが安中市土地開発公社を舞台に、警察の捜査で判明しただけでも総額51億1249万9616円をネコババした地方自治体としては空前絶後、前代未聞の巨額詐欺横領事件で、タゴに、家電製品を一手に販売していた有限会社の電気店です。

 警察の捜査資料によれば、平成元年頃から事件発覚直前の平成7年3月5日まで合計78万9984年の購入契約をタゴと結んでいたことになっています。内訳は次のとおりです。

  平成元年頃    冷蔵庫   20万円くらい
  平成5年11月 1日 コタツ    7万0620円
  平成6年 7月30日 炊飯器    4万9955円
  平成6年 7月30日 冷蔵庫   24万5140円
  平成6年 8月31日 洗濯機等   9万1979円
  平成7年 5月 5日 ステレオ  12万6690円


タゴ喫茶店裏手に、タゴが建てた骨董倉庫がある。これもコバヤシテレビが買い取った?


タゴが買い漁った(実際にはタゴの親友でかんら信金だった石原保がすべて仲介した)骨董品を収納するために1億円かけて建てた骨董倉庫。湿気を嫌う骨董品のために、内張りは総桐。

■こうして、安中市民の誰もが知っているタゴ事件のシンボルである元喫茶店を店舗として再使用するには、相応の覚悟が必要ですが、やはり、タゴ事件でタゴ一族と関係した業者にとっては、タゴ事件のDNAを共有した経緯があるだけに、タゴ事件を想起させるシンボリックな建物をしようすることに、特段のこだわりも無いようです。


韓国料理店サランバンだったころの名残の案内板。


兵どもの夢のあと。手前が、タゴに1着数十万円の高級背広を一手に販売していた元スケルトンの店舗。


売物件の看板ももはや用済み。



タゴ喫茶店だった「珈琲ぶれいく」当時の名残のある室内。改装前の、これが見納め。

 今日は5月17日。15年前の今日は何があったのか、思い出して調べてみました。

▼5月15日(金)
 群銀に行き、公社の預金残高証明をもらった際、借入金残高証明ももらえることを確認できた。

▼5月16日(火)
 群銀の山添次長が、公社の高橋弘安係長に「公社の決算理事会があるから」ということで、貸出金の残高証明を頼まれた。5月24日の公社監査、30日の公社役員会に備えるための依頼だった。なお、高橋弘安係長は親戚に不幸があり、午後3時に早退した。

▼5月17日(水)
 群銀の山添が借入残高証明を公社に持参した。借入残高は47億6596万円。この日公社の高橋弘安係長は忌引で休み、清水裕之はカゼで午後早退、竹内も竹田も不在だったので、TAがこの書類を受け取り金庫に入れておいた。夕方、竹内が戻り残高内容を知った。

■安中市が事件発覚後半月以上経過してから安中署に提出した上申資料なので、どこまで本当か分かりませんが、どうやら公社の竹内清孝主任が、巨額の残高内容を知ったのは、5月17日、つまり15年前の今日だったことになります。そして、翌日から安中市土地開発公社やタゴ事件関係者にとって、長くて短い日々が、5月末まで続いたのでした。

 もちろん、この時点では安中市民は誰一人として、その後の市政を揺るがし、15年後の今もなお、安中市政に大きな負の遺産として影を落としている事件がひそかに発覚していようとは、誰一人として知る者はいなかったのでした。

 いよいよ、15年前の明日は、タゴ事件という、とんでもない騒動が安中市役所の土地開発公社内で密かに繰り広げられたのでした。そして、15年後の今でも、明日は大変な日になることを、ほとんどの市民は知らされていないのです。

【ひらく会情報部】

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