市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

元文科省幹部・佐野太の受託収賄裏口入学事件公判のその後…春の一斉反撃作戦に転じた佐野側の言い分とは

2021-05-08 23:24:00 | 【出張!オンブズマン】長野高専の闇
■文科省トップ幹部としての権力を濫用し、無能極まる同学同期のお友達・石原祐志を長野高専の校長に押し込んだ立役者と目される佐野太。二人揃って見事に失脚する原因となったのは、佐野太のバカ息子の医学部裏口入学に係る受託収賄事件でした。

 2018年7月に佐野太が電撃逮捕・起訴されてから2年が経ち、公判前準備の遅滞やコロナ禍を何とか乗り越えて、昨年7月6日にようやく東京地裁で初公判が開かれました。当会としても、群馬高専の悲劇にも繋がる文科行政腐敗の象徴的な事件であり、そして長野高専の様々な混乱と崩壊を招いた元凶が起こしたこの事件について、その真相と審理の行方を見定めたいと考えました。

 不都合が重なって初公判から第3回公判までの傍聴は叶いませんでしたが、昨年10月に第4回・第5回公判を傍聴し、佐野太の姿を直接目に納めることができました。

○2018年7月5日:補助金と天下りで教育行政を歪める文科省の官僚とそれに順応して教育の本質を見失った学校組織のトップ
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2686.html
○2020年7月8日:元文科省幹部・佐野太による受託収賄事件で逮捕から2年越しの初公判…開廷からなんと容疑全面否認!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3179.html
○2020年10月23日:元文科省幹部・佐野太による受託収賄裏口入学事件…10月5日第4回刑事公判傍聴記
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3224.html
○2020年10月23日:元文科省幹部・佐野太による受託収賄裏口入学事件…10月19日第5回刑事公判傍聴記
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3225.html

 その後は報道を追いながら公判審理の推移を見守っていたところ、今春にかけて佐野太側が無実を強くアピールする攻勢に出てきていることがわかりました。

■まず、今年3月22日の公判では、佐野太の息子本人が証人として出廷し、「ずっと裏口入学と言われ悔しい」と述べたようです。報道によると、今も東京医大に通っているようです。

 報道によると、浪人期の年末年始にフィリピンのセブ島に行った件については、「日本では気が緩んでだらけてしまう」という理由で、フィリピン人の英語講師から授業を受けたり、過去問を解いたりしていたなどと、一応の説明を付けたようです。しかし、受験本番を目前に、大金を払って国外の有名リゾート地に遊びに行った方が受験勉強に集中できるなどという理屈は、低級な庶民にはまったく理解できません。誰もが知る有名リゾート地なのですから、誘惑は日本の自宅より遥かに多いはずです。

 それに、フィリピン人の英語講師など、わざわざ「本場」に行かずとも、日本中の英語教室にゴマンといるはずです。しかも、現地のネイティブは、多少の英会話指導や英文添削程度こそできるかもしれませんが、日本の大学入試の英語について受験指導するには不向きなはずです。大学入試の過去問をセブ島で解かなければならない意味も分かりません。

 また、「俺ら間違いなく日本で一番幸せな浪人生だわ、受験やめよっかな」と意味深なツイートをした件については、本人がどう説明を付けたのか報道から窺い知ることはできません。

 このように、最高級文科官僚のボンボン息子本人は、一般庶民が理解に苦しむような理屈をおかしいとも自覚できず大真面目に披露しています。佐野太が大金を割いて雇ったという優秀なヤメ検弁護士は、もう少しまともなアドバイスができなかったのでしょうか。

■そして4月に入り、あわせて数日間がかけられる被告人質問が始まったようです。

 4月12日に開かれた公判では、会食の後に佐野太と東京医大理事長の間で交わされたメール内容が焦点になったようです。東京医大の臼井理事長(当時)から「できる限りの配慮をさせていただきます」というメールが送られ、佐野太から「今後ともよろしくご指導お願いします」と返されたという件について、被告人(佐野太)は「儀礼的なもので、言いがかり」と反論したようです。

 4月19日には、会食時の録音データの内容が焦点になったようです。東京医大理事長側が「ぜひうちに予約しておいでになって」と発言したことについては、被告人(佐野太)は「優遇を意味しているとは常人には理解不可能」と反論したようです。また、「文科省の当該支援事業の審査には、官房長といえども口出しや関与は一切できない」という説明をしたようです。

 さらに、4月28日の公判では、東京医大2次試験の前後にわたり、佐野太と東京医大の理事長が個人的に何度も電話を交わしていたことが焦点になりました。ここで佐野太側はより一層濃密に反論し、冤罪被害をアピールしたようです。電話については「一般的な話をしただけ」と説明し、特に合格発表直前に理事長にかけた電話については「理事長の声が聞き取れず会話が成り立たなかった」として、無問題だと強調したようです。

 さらに佐野太は、質問の終わりに「一言言いたい」と切り出したうえで、「誹謗中傷に必死になって耐えているが、精神的苦痛は極限に達しつつある」「息子の大学生活も茨の道になってしまった」「友人も同僚も親戚も失い、収入は激減し、生き地獄だ」と、自身と家族が受けてきたという社会的制裁の苛烈さを訴えたようです。

■しかしそもそも、公務員倫理の遵守に細心の注意を払わねばならない文科省最高級幹部の立場でありながら、自分の息子が受ける大学の理事長と楽しく会食し、「意味深」な会話の録音まで残され、受験前後で緊密に「意味深」な連絡を取っていたのは動かせない事実です。しかも、息子が受験直前にセブ島ツイートや「意味深」なツイートを繰り返していたのも事実です。「李下に冠を正さず」という諺に真っ向から挑戦するこうした行為の数々にはロクに説明も付けずにただ被害者性だけアピールする様子は、少なくとも庶民感情の面において、相当な不信感しか引き起こさないことは明らかでしょう。

 とはいえ、証拠のない部分についての真相は当事者のみぞ知ることであり、その社会的な判定は、検察が固めた主張と証拠を基にして裁判所がどう判断するかに任されることになります。

 何にせよ、「精神的苦痛は極限に達しつつある」「茨の道」「生き地獄」などと被害者性を強くアピールするのであれば、自らの所為で送り込んだ天下り石原祐志校長のせいで極限までの精神的苦痛を受け、茨の道を歩かされ、生き地獄を味わわされた長野高専関係者の方々にもしっかり目を向け、土下座して謝るべきです。

■本件については、引き続き公判の行方を追っていきたいと存じます。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※関連報道記事
**********テレ朝News 2021年03月22日16:47
「裏口入学と言われ悔しい」文科省音局長の息子証言




 元局長の息子は法廷で「裏口入学と言われ、悔しい」などと話しました。
 文部科学省の元局長・佐野太(61)は大学支援事業を巡り、東京医科大学に便宜を図る見返りに息子を合格させてもらった罪に問われています。
 22日の裁判では、今も大学に通う佐野被告の息子が証人として出廷しました。
 息子は「東京医科大は第3志望で私も父も本命ではなかった」「加点がなくても合格していたのでずっと裏口入学と言われ、とても悔しい」と述べました。
 また、「優遇されていると聞いたことはなく、父の潔白を信じている」と話しました。

**********m3.com 2021年3月22日
「裏口入学と言われとても悔しい」元文科局長の息子が主張
自身への加点「全く知らず」「父の潔白信じる」

 私立大学研究ブランディング事業に関して便宜を図る見返りに、息子を東京医科大学に不正に合格させてもらったとして受託収賄罪に問われている元文部科学省科学技術・学術政策局長の佐野太被告の公判が3月19日、東京地裁(西野吾一裁判長)で開かれ、息子に対する証人尋問が行われた。2018年4月に東京医大に入学し、現在も学生の息子は「裏口入学と言われ続けとても悔しい。自分が優遇されると聞いたことはなく、父の身の潔白を信じている」と主張し、自身への加点については「全く知らなかった」と答えた。
 佐野被告の息子は「自分は現役の時も浪人の時も一生懸命勉強してきた。加点がなくても合格していたにもかかわらず、裏口入学と言われ続けとても悔しい。SNSでの中傷にも必死に耐えてきた」と今の心情を吐露。「公判を通じて真実が明らかになることを願っている」と述べた。
 弁護側から、自身への加点をあらかじめ知っていたか問われると「全く知らなかった」と即答し、佐野被告から自身が優遇されると伝えられたことも、佐野被告と東京医大の臼井正彦理事長(当時)の関係を知っていたことも「全くない」と強調した。
 浪人時代の年末年始にフィリピンのセブ島へ行った理由については「日本で年末年始を過ごすと気が緩んでだらけてしまう」とし、フィリピン人講師から英語の授業を受けたり、過去問を解いたりしていたと説明した。
 東京医大の合格を知った時は「とてもうれしかったが、まだ本命の大学の試験が残っているので気持ちを切り替えた」と説明。その後、昭和大学の不合格が分かった際には「2浪するかどうかを迷った」と言い、佐野被告も2浪を容認する姿勢だったという。結局、正規に合格したのは東京医大だけで、帝京大学と東海大学は繰り上げ合格となった。東京医大を志望し、最終的に入学を決めた理由は「立地がよく、高校の野球部時代の先輩がいたから」などと説明した。
 医師を目指した動機は、野球部時代に何度も怪我を負い整形外科医を受診した経験や、佐野被告が病気を患った際に担当医が「家族にも優しい言葉をかけてくれた」ことだと答えた。
 検察側は、受託収賄ほう助罪に問われている医療コンサルタント会社元役員の谷口浩司被告の事務所で受験勉強をしていた経緯について質問。佐野被告の息子は、佐野被告と谷口被告の関係について「たまにゴルフに行く友人だと思っていた。詳しい話は聞いたことがない」と述べ、谷口被告から受けた受験に関するアドバイスについては「激励などは受けたが具体的には覚えていない」と答えた。
(小川洋輔:m3.com編集部)

**********産経新聞2021年4月12日18:40
文科省汚職「便宜依頼ない」 元局長、改めて否定
 私大支援事業で便宜を図る見返りに、次男を東京医科大に合格させてもらったとして、受託収賄罪に問われた元文部科学省科学技術・学術政策局長の佐野太被告(61)の公判が12日、東京地裁で開かれた。被告人質問で、東京医科大側からの便宜の依頼を「全くない」と改めて否定した。
 佐野被告は、東京医科大の前理事長、臼井正彦被告(79)=贈賄罪で公判中=と会食した後、臼井被告から「できる限りの配慮をさせていただきます」とのメールを受け、佐野被告は「今後ともご指導お願いします」と返していた。
 このやりとりを便宜供与の証拠の一つとする検察側の主張に対し、佐野被告は「儀礼的な文言で、こじつけや言いがかりだ」と反論した。

*********毎日新聞2021年04月12日20:55(最終更新)4月12日20:56)
文科省元局長「東京医科大に受験優遇求めず」 地裁被告人質問

東京地裁=米田堅持撮影
 文部科学省の私立大学支援事業を巡る汚職事件で、東京医科大に便宜を図った見返りに次男を同大に不正に合格させてもらったとして、受託収賄罪に問われた文科省元科学技術・学術政策局長の佐野太被告(61)は12日、東京地裁(西野吾一裁判長)で開かれた被告人質問で、受験で次男の優遇を大学側に求めたとする検察側の主張を改めて否定した。
 佐野元局長は、文科省官房長だった2016年9月に東京都内の飲食店で東京医科大理事長だった臼井正彦被告(79)=贈賄罪で公判中=と会食。この際に「次男の成績が上がれば東京近郊の医学部を目指したい」とは伝えたが、受験先はまだ決まっていなかったとした。会食後、臼井前理事長に「今後ともよろしくご指導お願いします」とメールを送ったが、検察側が指摘するような受験の優遇に関する趣旨ではなかったとし、「儀礼的なもの。言いがかりだ」と反論した。
 次男は17年2月の受験には不合格となった。佐野元局長は17年5月にも臼井前理事長と同じ飲食店で面会し、18年2月の入試で次男を不正に合格させてもらったとして起訴された。被告人質問は今後数日間予定され、検察側、弁護側双方からこの会合の趣旨や便宜の有無について質問が続くことになる。【遠山和宏】

**********m3.com 2021年4月12日
文科省元局長「東京医大理事長『うちにお越しを』は社交辞令」
息子の医学部受験や補助事業が話題に、加点相談は強く否定

 私立大学研究ブランディング事業に関して便宜を図る見返りに、息子を東京医科大学に不正に合格させてもらったとして受託収賄罪に問われている元文部科学省科学技術・学術政策局長の佐野太被告の公判が4月12日、東京地裁(西野吾一裁判長)で開かれた。佐野被告は、東京医大元理事長の臼井正彦被告と会食した際、息子の医学部受験のことが話題に上り、「うちにぜひお越しください」などと言われたことを明かしたが、「まさに社交辞令の一環だと思った」と述べ、加点などを持ちかけられたことは「全くない」と主張した。
★被告人質問始まる
 公判はこれまで佐野被告の息子ら関係者への尋問が行われていたが、今回から佐野被告本人への被告人質問が始まった(『「裏口入学と言われとても悔しい」元文科局長の息子が主張』を参照)。
 佐野被告の説明によると、佐野被告は立憲民主党の衆院議員の紹介で臼井被告や医療コンサルタント会社元役員の谷口浩司被告と知り合った。その後、谷口被告から「臼井理事長が佐野氏に会いたがっている」と3人での会食を提案されたため、「官僚として現場主義をモットーとしているので、臼井氏が理事長としてやっていることを勉強したい」との思いで、応じることにしたという。
 2016年9月8日、臼井被告、谷口被告と会食をした際、佐野被告が高校野球で活躍していた息子の自慢話をしたところ、臼井被告から「進路はどうするのか」と聞かれ、「(野球部を引退して)まだ受験勉強を始めたばかりだが、成績が上がれば医学部を目指している」と答えた。すると、臼井被告は「医学部や医師を目指すのはよいことだ。うちもよい大学だからぜひお越しください」と東京医大の受験を勧めたという。ただ、佐野被告は社交辞令だと感じ、「まだ勉強し始めたばかりでどうなるか分からない」と答えた。
 被告人質問で、弁護人から「会食時、合格点に達しなくても臼井氏によって合格させることができるという話をされたのか」と尋ねられると、佐野被告は「全く言われていない」と強く否定。「実質初対面で、不正をにおわせるのは常識では考えられない」と主張した。会食の場に、息子の高校野球での活躍が取り上げられた記事のコピーを持って行った理由は「(スポーツトレーナーをしている)谷口氏が同席するので、スポーツの話題になるだろうと思い、話題提供のために持参した。息子自慢であったことも否めない」と説明した。
★補助事業「一般論を助言」
 ブランディング事業については、その日の会食で、臼井被告から「(東京医大が)申請しているが、どうなったか」と尋ねられ、佐野被告は「全く知らない。私の所管ではない」と答えた程度で、便宜を図るよう依頼されたことはなかったという。
 会食後、臼井被告へのメールに「今後ともご指導お願いします」と書いたことについては、「目上の人へのメールには必ず入れている文言だ」と説明し、息子の受験に関する依頼との指摘に対しては「こじつけ以外の何物でもない。言いがかりだ」と反論した。
 佐野被告は会食後の9月20日、ブランディング事業の担当課長に採択に向けた日程や東京医大の結果を問い合わせた。11月7日には担当課長から東京医大が選定されなかったと報告を受けた。
 佐野被告は、臼井被告と谷口被告の3人で2016年11月11日に再び会食しているが、「公表はまだ先なので(不選定との)結果を話すことはできなかった」とし、一般論として「公募事業は、趣旨を理解しないとなかなか通らない。担当課に聞いて、よく勉強することが重要だ」と述べた。会食時に息子のことは話題に上がらなかったが、後日、臼井被告から、会費の領収証とともに東京医大の願書や要覧が送られてきたという。
★コンサル役員から「結果と合格ライン」
 佐野被告の息子は現役時、5大学の医学部を受験している。佐野被告は、このうち昭和大と東京医大の1次試験について、「谷口氏から、不合格という結果と息子の点数、合格ラインを教えてもらった」と説明。弁護人から、「加点によって合格にできる下限などを説明されたのか」と尋ねられると、「全くない」と強く否定した。佐野被告の息子は1浪して、東京医大に入学した。
 佐野被告は、谷口被告について「純然たる友達。ゴルフ仲間であり、おしゃべり仲間だ」と主張した。
 弁護人側による被告人質問は次回の公判でも続き、佐野被告の息子の浪人後のやり取りを巡って質問が行われる。弁護人側の質問が一通り終わった後、検察側からの質問に入る見通しだ。
(小川洋輔:m3.com編集部)

**********共同通信2021年4月19日 18時44分
東京医科大側の次男優遇を否定 文科省汚職で元局長
 私大支援事業で便宜を図る見返りに、次男を東京医科大に合格させてもらったとして、受託収賄罪に問われた元文部科学省科学技術・学術政策局長の佐野太被告は19日、東京地裁で開かれた被告人質問で、東京医科大側が次男を優遇して合格させたとの検察側の主張を否定した。
 この日は、佐野被告が東京医科大の前理事長臼井正彦被告と会食した際、同席の元医療コンサルティング会社役員谷口浩司被告が録音したデータを基に、弁護側が発言の趣旨を確認する形で進められた。
 佐野被告は、臼井被告の「ぜひうちに予約しておいでになって」との発言は「優遇を意味しているとは常人には理解不可能」と述べた。

**********時事通信2021年04月19日19時21分
元局長、不正入学の依頼否定 会食時の録音「一般論」―文科省汚職・東京地裁
 文部科学省の私立大支援事業をめぐる汚職事件で、受託収賄罪に問われた同省元局長、佐野太被告(61)らの公判が19日、東京地裁(西野吾一裁判長)であった。佐野被告は被告人質問で、東京医科大に息子の不正入学を依頼したとする録音内容について「一般論で、何か特定のことをお願いしたわけではない」と述べ、依頼の趣旨を否定した。
 録音は2017年5月、同省官房長だった佐野被告と同大前理事長、臼井正彦被告(80)=贈賄罪で起訴=の会食時、同席した医療コンサルタント会社元役員谷口浩司被告(50)=受託収賄ほう助罪で起訴=が行った。検察側は、便宜供与の見返りに不正入学を依頼した証拠とみている。
 佐野被告は、会食時に息子の入試成績の優遇を依頼するような発言は全くしていないと述べた上で、録音で臼井被告が「うちに予約しておいでになって」と発言したことについて「息子に対する優遇措置を意味しているとは常人には理解不可能だ」と反論した。
 支援事業制度を説明させるため、文科省の担当者を東京医大側に紹介したことはあったが、それ以外の依頼は受けていないとし、「息子の大学受験と支援事業を関連付けたことは一度もない。公募事業の選考は厳正な審査が行われ、官房長といえども口出しや関与は一切できない」と述べた。

**********m3.com 2021年4月20日
文科元局長「息子は先生のところに」発言を釈明
東京医大元理事長と会食、予約=優遇「常人には理解不可能」

 私立大学研究ブランディング事業に関して便宜を図る見返りに、息子を東京医科大学に不正に合格させてもらったとして受託収賄罪に問われている元文部科学省科学技術・学術政策局長の佐野太被告の公判が4月19日、東京地裁(西野吾一裁判長)で開かれた。佐野被告は、東京医大元理事長の臼井正彦被告との会食時に「息子は先生のところにやっぱり」などと述べたことについて、「先生のところ(東京医大)に受かるくらいの基礎学力をつけなくてはいけないと言いたかった」と釈明し、東京医大への不正入学を依頼したとの見方を強く否定した。臼井被告の「うちに予約しておいでに」との発言を佐野被告の息子への優遇を示唆するものだとの検察側の指摘に対しては、「常人には到底理解不可能だ」と反論した。
 弁護人から佐野被告への被告人質問は4月12日から続いている(『文科省元局長「東京医大理事長『うちにお越しを』は社交辞令」』を参照)。この日は、佐野被告の息子が東京医大などの医学部受験に通らず、浪人生活に入った直後の2017年5月に佐野被告、臼井被告、医療コンサルタント会社元役員の谷口浩司被告の3人で会食した際の録音データの内容について、佐野被告の認識が問われた。データは谷口被告が録音していたもので、検察側が不正を裏付ける証拠としている。被告人質問では、息子の医学部受験を巡るさまざまなやり取りについて佐野被告の見解が述べられた(以下、< >内は弁護人が示した録音データの反訳)。
<佐野被告:本当に申し訳ございません。またよろしくお願いします>
 佐野被告は臼井被告に謝罪した理由を「受験をがんばれと激励されていたが、現役で合格することができず、ふがいなく思った。役人は高飛車と思われるきらいがあるので、平身低頭を心がけ、謝るところから入るようにしていた」と説明。「よろしくお願いします、は儀礼的なあいさつであり、特定の何かを指しているわけではない。あえて敷衍すれば、息子は勉強をがんばるので見守ってくださいという意味になるのではないか」と述べた。
<臼井被告:あと5点10点はほしい>
<佐野被告:そうですね、本当に申し訳ございません>

 このやり取りについて、佐野被告は「もう少し点を取らないといけないという漠然とした話だと思う」と主張。会食時、息子の東京医大の1次試験の点数や合格ラインは「すっかり忘れていた」という。
<佐野被告:〇〇(※息子の名前)は先生のところにやっぱり、い、帝京をやめたというのは>
 佐野被告はこの発言が二つの文章に分かれていると説明。本当は「先生のところに受かるくらいの基礎学力を身につけなくてはいけない。基礎学力は医学を学ぶ基になる。勉強に対する姿勢も身につけなくてはいけない。(繰り上げで合格した)帝京大を蹴って1浪させたのは、そのためだ」と言うつもりだったところ、息子が浪人したことを臼井被告に伝えたかどうかが気になり、途中で「帝京をやめたというのは(臼井氏に伝えているのか)」と谷口被告に尋ねたという。
 「やっぱり」の後の「い」は、「1浪か医学部と言おうとしたのだと思う」と述べた。
<臼井被告:来年は普通にやってくれれば絶対に大丈夫。ぜひうちに予約しておいでになって下さい>
 この臼井被告の発言については検察側が不正をほのめかすものだと指摘しているが、佐野被告は「息子は現役時もそれなりの点数を取っていたので、励ましの言葉だと思った。東京医大に来てほしいという願望や歓迎と取ることができる。(予約が優遇を意味するとは)微塵も思っていない。常人には到底理解不可能だ」と強く否定した。
★医学部受験と補助事業「関連付けたこと一度もない」
 ブランディング事業を巡っては「公募事業の採択は選考委員会で厳正に審査される。(文科省の)官房長といえども、口出しや関与はできない」と強調。会食時に述べていた申請のノウハウは、(1)文科省の政策の方向性、(2)公募要領に書いてある趣旨、(3)山梨大学副学長を務めていた経験、(4)公然の事実――の4点を基にした発言であり、「許される範囲のものと認識している。述べたのは一般論であり、東京医大の申請に対するコメントではない」と述べた。その上で「息子の受験とブランディング事業を関連付けて考えたことなど一度もない」と強調した。
 佐野被告は2017年6月1日と6月3日、東京医大の申請書案を持参した谷口被告と会っているが、「申請書案の中身は見ていない」と説明した。
 公判は次回も弁護人による被告人質問が続き、次々回から検察側の質問に移る予定だ。
(小川洋輔:m3.com編集部)

**********m3.com 2021年4月28日
文科元局長「息子は正々堂々と合格、えん罪晴らしたい」
東京医大合格発表3日前に理事長と電話「会話成り立たなかった」

 私立大学研究ブランディング事業に関して便宜を図る見返りに、息子を東京医科大学に不正に合格させてもらったとして受託収賄罪に問われている元文部科学省科学技術・学術政策局長の佐野太被告に対する被告人質問が4月28日、東京地裁(西野吾一裁判長)であり、佐野被告は「息子は正々堂々と合格していたのに、いまだに裏口入学と誹りを受け続けている。真実を知っていただき、えん罪を晴らせるよう衷心より願っている」と述べ、改めて不正を否認した。2018年2月の東京医大の合格発表の3日前、当時の理事長の臼井正彦被告と電話をした際の会話の内容については「臼井氏の体調が悪そうで、ダミ声だったので、会話が成り立たなかった」と説明した。
 この日の被告人質問では、4月12日、19日から引き続き、弁護人が佐野被告と臼井被告らのやり取りを確認した(『文科元局長「息子は先生のところに」発言を釈明』『文科省元局長「東京医大理事長『うちにお越しを』は社交辞令」』参照)。
★加点の話「一切出ていない」
 2018年2月7日に東京医大の1次試験の合格発表の直後、佐野被告は医療コンサルタント会社元役員の谷口浩司被告に電話をかけ、夜には臼井被告にも電話をかけている。佐野被告はいずれも息子が1次試験を突破したことを報告するつもりで電話をかけ、臼井被告にはつながらなかったと説明した。翌2月8日朝、臼井被告から電話が来て「1次試験合格よかったですね」と伝えられたという。佐野被告は一連のやり取りで、加点や優遇の話は「一切言われていない」と強調した。
 2月10日に東京医大の2次試験があった後、2月13日夜に谷口被告から佐野被告へ電話があり、1次試験の合格者が450人いて、2次試験では70番までが正規合格、80番台が補欠合格となることを伝えられた。佐野被告は「息子の順位の話ではなく、一般的な話を伝えられた」と説明した。
 2月14日夕には谷口被告が佐野被告の職場を訪問。佐野被告は「東京医大の結果が出ているのであれば知りたい」などと考え、その場で臼井被告へ電話をかけたが、臼井被告がダミ声で滑舌が悪く、「話している内容がよく分からなかったので、(息子の結果を)聞き直しもしなかった」。最後に臼井被告から「合格発表を見てください」と言われたが、詳細は聞き取れなかったため、「まだ結果は出ていないのだろうと理解した」という。
★発表直後、理事長から「おめでとう」
 2月17日に東京医大の2次試験の合格発表があり、佐野被告の息子は合格。佐野被告が発表直後に臼井被告へ電話をかけ報告したところ、「おめでとうございます」と伝えられたため、「ありがとうございます」と返答した。このやり取りについて、佐野被告は「祝意を伝えられたのでお礼をした。特定の事柄、無論、優遇へのお礼では決してない」と述べた。
 大学側が開示した息子の成績は、加点による優遇がなくても合格圏内に入っていたとして、「息子は正々堂々合格しており、加点が賄賂にはならない」と主張。「人に知られて困るようなやましいことは一切していない」と訴えた。
 佐野被告は、息子の浪人時の秋以降の志望校について、第1志望が東京慈恵会医科大、第2志望が昭和大、第3志望が東京医大だと説明。2018年2月17日に東京医大の合格を知った際は「息子の努力が報われ喜んだが、息子には『さらに上を目指してがんばろう』と声をかけた」と述べた。2月26日には東京医大の入学金を納付した理由は「まだ2浪するかどうか迷いはあったが、とりあえず納めようと思った。(第2期募集の試験を控えている)昭和大に受かったら、そちらに行くつもりだった」と説明した。息子は昭和大の試験直前にインフルエンザに罹ったが、「はってでも(試験に)行ってこい」と言い、息子の健康を案じる妻と言い合いになったことも明かした。
★「息子の大学生活、茨の道に」
 佐野被告は弁護人質問の最後に「犯罪者扱いされ受けてきた社会的制裁について、一言言いたい」と切り出し、家族に対するSNSなどでの誹謗中傷に「必死になって耐えているが、精神的苦痛は極限に達しつつある。息子の大学生活も茨の道になってしまった。(佐野被告自身は)友人も同僚も親戚も失い、収入は激減し、生き地獄だ」と訴えた。
(小川洋輔:m3.com編集部)

**********NHK News Web 2021年4月28日 18時00分
東京医科大学不正合格汚職事件 文科省元局長 改めて無罪主張
 文部科学省の元局長が、東京医科大学に息子を不正に合格させてもらったとして起訴された汚職事件の裁判の被告人質問で、「息子は加点が無くても合格していたのに裏口入学のそしりを受け続け、家族の精神的苦痛は、極限状態に達しつつある」と訴え、改めて無罪を主張しました。
 文部科学省の元局長、佐野太被告(61)は、東京医科大学に便宜を図る見返りに息子を不正に合格させてもらったとして、受託収賄の罪に問われ、無罪を主張しています。
 佐野元局長は28日の被告人質問で、「息子は10点の加点がなくても正々堂々と合格していたので、加点が賄賂だったとは思っていない。立派に合格していたことは、成績開示でも明らかだ」と述べました。
 また、逮捕された後の生活について、「犯罪者扱いされ、息子は裏口入学のそしりを受け続けている。ネットでは、『まだ大学にいるのか』とか、『一家心中しろ』などといまだに書き込まれていて、私たち家族の精神的苦痛は極限状態に達しつつある」と訴えました。
 そのうえで「私は国家公務員の仕事に誇りを持って、粉骨砕身、尽くしてきたが、全うできず無念でならない。えん罪が晴らせるよう願っている」と述べ、改めて無罪を訴えました。
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