■障害者雇用促進法は、国や自治体、民間企業等に一定割合以上の障害者の雇用を義務づけています。これを「法定雇用率」といいます。国や地方自治体には、率先して障害者雇用に取り組むために、民間企業に比べて高い法定雇用率が課されています。ところが2018年8月に国レベルでこの法定雇用率が水増しされている実態が発覚しました。続いて、地方自治体でも同様に水増しの実態が明らかにされました。我らが群馬県でもご多分に漏れず、デタラメな運用をしていましたが、最近、群馬県行政の人事管理を巡り、実に不透明な実態が県庁3階で起きていることが判明したのです。当会のこれまでの調査結果と対応について取り急ぎご報告します。
↑
県庁3階会計局。↑
↑
県庁3階会計局職員配置図。↑
2018年9月22の朝刊に群馬県の障害者雇用水増しについての調査結果が掲載されていました(末尾の参考情報参照)。そこには「169人の水増し」とあり、理由について「ガイドラインに対する理解が不十分だった」と県総務部人事課の釈明が記されていました。
この障害者雇用水増し問題は、2018年8月に国レベルで発覚した雇用に関する不祥事で、省庁及び地方自治体等の公的機関において、弱視とか健康診断で異常が発見された職員など障害者手帳の交付に至らない、即ち障害者に該当しない者を自己申告で障害者として雇用し、障害者の雇用率が水増しされていたもので、他県が早々に調査結果を公表する中、群馬県は「調査中」との回答を繰り返していましたが、この日ようやく公表に至りました。
このように当時の大澤知事は障害者雇用促進を公約に掲げていましたが、それに反することを県自体がやっていたのでした。県労働政策課の障害者就労支援係が民間企業に対して、障害者雇用促進に係る働きかけも行なっており、障害者手帳などがないと雇用数に算入できないことは県としても承知していたはずですが、秘密主義が対応する行政内では、水増しというズサンな事務が横行していたわけで、不誠実な群馬県行政を象徴しています。
こうした最中、当会の調査により、脳機能障害を持つ幹部職員が、さながら認知症同然であるにもかかわらず10年間も高給を支給され、再任用後も閑職ながら法外な報酬を受け取っている実態が判明しました。そのため、当会では事実関係を確認すべく、次の内容の公開質問状を山本一太知事に提出しました。
*****
知事あて公開質問状*****
ZIP ⇒ 20200205j.zip
令和2年2月5日
〒371-8570
前橋市大手町1-1-1
群馬県知事 山本一太 様
〒371-0801
前橋市文京町一丁目15-10
市民オンブズマン群馬
代 表 小川 賢
事務局長 鈴木 庸
公 開 質 問 状
県庁で進められている障害者雇用促進に関連して、県庁の会計局に勤務している平成30年3月末退職の再任用職員(男性)について、次のとおり質問いたしますので、令和2年2月14日(金)までに文書にて回答願います。
1.この職員は会計局のどの部署にいつから再任用職員として配置されているのか。(途中、異動があれば、その年月日と異動前後の部署名も含む)
2.この職員の平成30年3月末退職時の所属部署と職位は何か。
3.この職員は、かつて10年ほど前に病気で倒れたことがあると思うが、その後から現在に至るまで、どのような後遺症の診断結果の報告を貴殿は受けているのか。(途中、診断結果に変動があれば、その年月と前後の診断結果も含む)
4.現在、県庁では障害者の雇用を積極的に進めているが、この職員は、障害者雇用促進の人数としてカウントされているのか。
5.この職員の月額給与総額(ボーナスを含めた年間総給与を12カ月で割った額)は概ね次のどれか?
「10万円未満」
「10万円以上~15万円未満」
「15万円以上~20万円未満」
「20万円以上~25万円未満」
「25万円以上~30万円未満」
「30万円以上~35万円未満」
「35万円以上~40万円未満」
「40万円以上」
6.この職員に、期末手当・勤勉手当、及び、職制上の段階、職務の級等による加算措置として、役職加算、管理監督者加算など、どの手当や加算が支給されているか。
7.この職員は、平成31年に車輛運転による物損事故を起こしていると思うが、貴殿は事故報告をうけているか。報告をうけている場合、貴殿はどのような対応措置をとったか。
8.県庁には業績評価制度があると思うが、この職員の過去16年間の業績評価シートの内容はどのようなものだったのか。
9.県庁は障害者雇用として、チャレンジウイズぐんまという制度があり、障害者の方に文書の配送や宛名貼などの業務をやっていただいていると思うが、この職員もその制度に基づく雇用なのか。
10.チャレンジウイズぐんまの制度で雇用されている障害者の方の給与レベルは、概ね次のどれか。
「10万円未満」
「10万円以上~15万円未満」
「15万円以上~20万円未満」
「20万円以上~25万円未満」
「25万円以上~30万円未満」
「30万円以上」
11.県庁における障害者の雇用については、人事課の所掌だと思うが、人事課には障害者が配属されているか。配置されていない場合、その理由はなぜか。
県民に信頼される公平な県庁のため、以上を調べてご回答いただきますよう何卒宜しくお願い申し上げます。
以 上
**********
■すると、回答期限ギリギリで、県総務部人事課から次の回答がFAXで送られてきました。
*****
ファクシミリ送信票*****
ZIP ⇒ 20200214fax.zip
<群馬県庁 総務部 人事課 Fax:027-223-3100 2020年2月14日(金)17:00 P001/002>
送信日時 令和2年2月14日 17時00分
送 信 先 市民オンブズマン群馬 代表 小川 様
発 信 者 群馬県総務部人事課企画係 TEL 027-897-2658(直通)FAX 027-223-3100
件 名 公開質問状への回答について
送信枚数 A4 1枚(本票を除く)
<群馬県庁 総務部 人事課 Fax:027-223-3100 2020年2月14日(金)17:00 P002 /002>
人第30052-10号
令和2年2月14日
市民オンブズマン群馬
代表 小川 賢 様
群馬県知事 山本 一太
( 人 事 課 )
公開質問状への回答について
令和2年2月5日付け公開質問状について、下記のとおり回答します。
記
質問1~質問9
(回答)公開質問状の「会計局に勤務している平成30年3月末退職の再任用職員(男性)」については、特定することができませんので、1から9までの質問については、回答できません。
質問10
(回答)「10万円以上~15万円未満」に該当します。
質問11
(回答)個人情報に該当するため、回答を差し控えます。
**********
■どうやら退職時期がズレていたようなので、あらためて次の公開質問状を一太知事に再提出しました。
*****
知事あて公開再質問状*****
ZIP ⇒ 20200217j.zip
令和2年2月17日
〒371-8570
前橋市大手町1-1-1
群馬県知事 山本一太 様
〒371-0801
前橋市文京町一丁目15-10
市民オンブズマン群馬
代 表 小川 賢
事務局長 鈴木 庸
公 開 再 質 問 状
県庁で進められている障害者雇用促進に関連して、県庁の会計局に勤務している平成29年3月末あるいは平成31年3月末退職の再任用職員(男性)について、次のとおり質問いたしますので、令和2年2月21日(金)までに文書にて回答願います。
1.この職員は会計局のどの部署にいつから再任用職員として配置されているのか。(途中、異動があれば、その年月日と異動前後の部署名も含む)
2.この職員の平成29年3月末あるいは平成31年3月末退職時の所属部署と職位は何か。
3.この職員は、かつて10年ほど前に病気で倒れたことがあると思うが、その後から現在に至るまで、どのような後遺症の診断結果の報告を貴殿は受けているのか。(途中、診断結果に変動があれば、その年月と前後の診断結果も含む)
4.現在、県庁では障害者の雇用を積極的に進めているが、この職員は、障害者雇用促進の人数としてカウントされているのか。
5.この職員の月額給与総額(ボーナスを含めた年間総給与を12カ月で割った額)は概ね次のどれか?
「10万円未満」
「10万円以上~15万円未満」
「15万円以上~20万円未満」
「20万円以上~25万円未満」
「25万円以上~30万円未満」
「30万円以上~35万円未満」
「35万円以上~40万円未満」
「40万円以上」
6.この職員に、期末手当・勤勉手当、及び、職制上の段階、職務の級等による加算措置として、役職加算、管理監督者加算など、どの手当や加算が支給されているか。
7.この職員は、平成31年に車輛運転による物損事故を起こしていると思うが、貴殿は事故報告をうけているか。報告をうけている場合、貴殿はどのような対応措置をとったか。
8.県庁には業績評価制度があると思うが、この職員の過去16年間の業績評価シートの内容はどのようなものだったのか。
9.県庁は障害者雇用として、チャレンジウイズぐんまという制度があり、障害者の方に文書の配送や宛名貼などの業務をやっていただいていると思うが、この職員もその制度に基づく雇用なのか。
10.県庁における障害者雇用促進の施策については、人事課の所掌だと思うが、人事課には障害者雇用に該当する職員が配属されているか。配置されていない場合、その理由はなぜか。
県民に信頼される公平な県庁のため、以上をあらためて調べて誠実にご回答いただきますよう何卒宜しくお願い申し上げます。
以 上
**********
■再質問状への回答は、やはり期限日の2月21日にFAXで届きました。
*****
ファクシミリ送信票*****
ZIP ⇒ 20200221.zip
<群馬県庁 総務部 人事課 Fax:027-223-3100 2020年2月21日(金)17:00 P001/002>
送信日時 令和2年2月21日 17時00分
送 信 先 市民オンブズマン群馬 代表 小川 様
発 信 者 群馬県総務部人事課企画係 TEL 027-897-2658(直通)FAX 027-223-3100
件 名 公開再質問状への回答について
送信枚数 A4 1枚(本票を除く)
<群馬県庁 総務部 人事課 Fax:027-223-3100 2020年2月21日(金)17:01 P002 /002>
人第30052-11号
令和2年2月21日
市民オンブズマン群馬
代表 小川 賢 様
群馬県知事 山本 一太
( 人 事 課 )
公開再質問状への回答について
令和2年2月17日付け公開再質問状について、下記のとおり回答します。
記
質問1
(回答)会計局審査課に平成31年4月1日付けで配置されており、年度途中で国費・決算係から審査・指導係に配置されています。
質問2
(回答)退職時(平成31年3月31日付け)における所属は教育委員会事務局特別支援教育課であり、職位は次長です。
質問3
(回答)任命権が異なるため、人事課は把握していません。
質問4~質問7、質問10
(回答)個人情報に該当するため、回答を差し控えます。
質問8
(回答)人事管理上の支障があるため、回答を差し控えます。
質問9
(回答)当該職員は、チャレンジウィズぐんまにより雇用された職員ではありません。
**********
■これでは、質問と回答の関係がよくわからないと思いますので、Q&Aを対比させてみました。県人事課の
回答(A)を
赤字で示してあります。
**********
令和2年2月17日
〒371-8570
前橋市大手町1-1-1
群馬県知事 山本一太 様
〒371-0801
前橋市文京町一丁目15-10
市民オンブズマン群馬
代 表 小川 賢
事務局長 鈴木 庸
公 開 再 質 問 状
県庁で進められている障害者雇用促進に関連して、県庁の会計局に勤務している平成29年3月末あるいは平成31年3月末退職の再任用職員(男性)について、次のとおり質問いたしますので、令和2年2月21日(金)までに文書にて回答願います。
1.この職員は会計局のどの部署にいつから再任用職員として配置されているのか。(途中、異動があれば、その年月日と異動前後の部署名も含む)
(A)会計局審査課に平成31年4月1日付けで配置されており、年度途中で国費・決算係から審査・指導係に配置されています。
2.この職員の平成29年3月末あるいは平成31年3月末退職時の所属部署と職位は何か。
(A)退職時(平成31年3月31日付け)における所属は教育委員会事務局特別支援教育係であり、職位は次長です。
3.この職員は、かつて10年ほど前に病気で倒れたことがあると思うが、その後から現在に至るまで、どのような後遺症の診断結果の報告を貴殿は受けているのか。(途中、診断結果に変動があれば、その年月と前後の診断結果も含む)
(A)任命権が異なるため、人事課は把握していません。
4.現在、県庁では障害者の雇用を積極的に進めているが、この職員は、障害者雇用促進の人数としてカウントされているのか。
(A)個人情報に該当するため、回答を差し控えます。
5.この職員の月額給与総額(ボーナスを含めた年間総給与を12カ月で割った額)は概ね次のどれか?
「10万円未満」
「10万円以上~15万円未満」
「15万円以上~20万円未満」
「20万円以上~25万円未満」
「25万円以上~30万円未満」
「30万円以上~35万円未満」
「35万円以上~40万円未満」
「40万円以上」
(A)個人情報に該当するため、回答を差し控えます。
6.この職員に、期末手当・勤勉手当、及び、職制上の段階、職務の級等による加算措置として、役職加算、管理監督者加算など、どの手当や加算が支給されているか。
(A)個人情報に該当するため、回答を差し控えます。
7.この職員は、平成31年に車輛運転による物損事故を起こしていると思うが、貴殿は事故報告をうけているか。報告をうけている場合、貴殿はどのような対応措置をとったか。
(A)個人情報に該当するため、回答を差し控えます。
8.県庁には業績評価制度があると思うが、この職員の過去16年間の業績評価シートの内容はどのようなものだったのか。
(A)人事管理上の支障があるため、回答を差し控えます。
9.県庁は障害者雇用として、チャレンジウイズぐんまという制度があり、障害者の方に文書の配送や宛名貼などの業務をやっていただいていると思うが、この職員もその制度に基づく雇用なのか。
(A)当該職員は、チャレンジウィズぐんまにより雇用された職員ではありません。
10.県庁における障害者雇用促進の施策については、人事課の所掌だと思うが、人事課には障害者雇用に該当する職員が配属されているか。配置されていない場合、その理由はなぜか。
(A)個人情報に該当するため、回答を差し控えます。
県民に信頼される公平な県庁のため、以上をあらためて調べて誠実にご回答いただきますよう何卒宜しくお願い申し上げます。
以 上
**********
■当会は一太知事に公開質問したのですが、回答はなぜか人事部からだけで、教育委員会からは何も返事がありません。
また、公務員の給与や勤務評価にかかる情報がなぜ個人情報だから、とか、人事管理上支障があるから、などという理由で不開示となる理由も理解できません。
そこで、当会では本日2月28日午前、次の内容の職員措置請求書(=住民監査請求書)を県監査委員あてに提出しました。
*****
職員措置請求書*****
ZIP ⇒ 20200228zivcpesxoj.zip
群馬県職員措置請求書
群馬県知事及び教育委員会に関する措置請求の要旨
第1 請求の要旨
1 誰が(請求の対象となる執行機関又は職員)
知事部局(総務部人事課、会計局)および教育委員会。
2 いつ、どのような財務会計上の行為をしたか(又はしなかったか)
昨今、事業所における障害者の雇用率が問題になっています。事実、県庁においても2018年9月、169人の水増しが発覚したところです(事実証明書1)。県は是正に努力しているといいますが、2019年12月26日に群馬労働局の発表によれば、群馬県内の公的機関51団体の障害者の雇用率は依然として法定(県・市等2.5%、教委2.4%)以下のところ19団体もあり、とりわけ知事部局は全国ワースト3です(事実証明書6)。
県は「ガイドラインに対する理解が不十分だった」と見え透いた言い訳をしましたが、他県が早々に調査結果を公表する中、群馬県は「調査中」との回答を続けた挙句、ようやく公表に至りました。県労働政策課の障害者就労支援係が民間企業に対して、障害者雇用促進に係る働きかけも行なっており、障害者手帳などがないと雇用数に算入できないことは県としても承知していたはずです。
このようにデタラメな知事部局ですが、障害者の雇用においても杜撰な対応が行われています。
会計局審査課に1名の再任用職員(仮にA氏とする)がいます。A氏は2019年4月に退職し、退職時は教育委員会で次長職だった(事実証明書2)。当会の独自調査によると、A氏は10年ほど前に脳卒中で倒れ右半身にマヒが残りましたが職場復帰し、次長として、その後ずっと教育委員会特別支援教育課に在籍していました。
そして、前述のとおり2019年3月で定年退職し、その後再任用を希望し、かつて在籍したことのある審査課に配置されました。当初は国費・決算係に配置されていましたが、その後、2019年夏ごろ審査・指導係に配置替えとなりました。
県庁3階にある会計局は平時訪れる職員も少なく、2015年3月10日には、職務時間中に行政事務用に貸与したパソコンを使って自宅から持ち込んだアダルト動画のファイル名などを編集する操作を長期間にわたって行い、職務専念義務に違反したとして、県は会計局の補佐兼係長の50代男性を同日付で停職15日の懲戒処分にしたことがありました。しかし、そのアダルト動画の編集に没頭していた職務時間の給料の返納を求めなかったため、請求人が住民監査請求で県に回収させたことがありました。
ことほど左様に閑職をあてがう部署として、会計局は適しているらしく、再任用されたA氏も県庁3階の同局に配属となったようです。
事実、ときたま会計局を訪れる県の職員のかたがたも、A氏が殆ど寝ている様子しか見かけておらず、他に職員が誰もいないような時、A氏は、倒れてしまうのではないかと心配するくらい体を倒して寝ており、しかもよだれを垂らしている姿さえ目撃されているようです。
こうしたA氏の日常の勤務状況について、当然、審査課はじめ会計局の職員の皆さんは誰もが知っているはずですから、人事課に「なぜ、このような人物を回したのか?」と疑問に思い相談があって当然のはずです。
にもかかわらず、すでに再任用されて1年がまもなく経過しようとしているにもかかわらず、人事課はA氏のことについて、請求人の公開質問に対し「個人情報だから」という理由でまともに回答しようとしません(事実証明書1~4)。
しかも、こうした勤務状況が、A氏が10年前に発症した病気の後遺症であるならば、障害者手帳を持っていることでしょうから、障害者の雇用枠として採用している可能性があります。ところが、人事課は「A氏は業務支援ステーション『チャレンジウィズぐんま』の雇用枠ではない」ことは認めたものの、障害者かどうか、給与レベルはどの程度なのか、など、請求人からの確認要請に対して、「個人情報だ」として秘匿しています(事実証明書3・4)。
人事課がなぜA氏のことを庇うのか、請求人には計り知れませんが、なんらかの背景があることがうかがえます。
一方、A氏が2019年3月まで在籍していた教育委員会では、次長として勤務していました。次長と言えば、管理職手当も付く要職ですが、なぜかA氏が所属していた特別支援教育課では、「主監」という管理職ポストが追加されていました(事実証明書5)。
A氏の病歴や行政評価についても、人事課に公開質問しましたが、個人情報だということで一切回答が得られません。当会の調査によれば、A氏は半身不随の不自由な身でありながら車で県庁に通勤することもあり、事実昨年も物損事故を起こしたようです。しかしA氏はそのことを職場に報告せず、たまたま県の生協の車両保険を付保していたことから事故が発覚したようですが、このことについても人事課は個人情報ということで口を閉ざしています。
請求人は、A氏を糾弾するものではなく、出世半ばで病に倒れた事情については、不運であり気の毒であると思います。しかし、それと血税の無駄遣いとは別の話です。A氏はきちんとふさわしい環境で正しい治療を受けるべきであり、能力に応じた業務に従事し、それに見合った報酬を受け取るべきです。
3 それはどのような理由で違法又は不当であるのか
地方自治法第2条の14項に定める「地方公共団体は、その事務を処理するに当たっては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」とする基本理念に違反しており、違法不当である。
また、地方公務員法第35条に定める「職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない」とする勤務時間中の職務専念義務に違反しており、違法不当である。
4 その結果、群馬県にどのような損害が生じたのか
A氏に対して、およそ10年前に発症してから今日に至るまで、いったいいくらの給与や諸手当が支給されたのか、人事課に聞いても、個人情報だからとして回答してもらえません。また、教育委員会在籍当時についても、「所管が異なるから」としてやはり回答が得られません。
さらに、業績に見合った給与や手当が支払われているのかどうか確認しようとしましたが、人事課はやはり「個人情報だから」として、回答さえしようとしません。
請求人の推測によれば、A氏は再任用職員として、毎月給与30万円程度得ており、さらに期末勤務手当まで支給されており、退職前の10年間、教育委員会に次長として配属されていた当時は、毎月50万円以上の給与と期末勤務手当が支給されていたものと想像されますが、人事課が回答してくれないため、勝手に推測するほかはありません。
したがって、群馬県がチャレンジウィズぐんまのスキームで障害者のかたがたに支払っているとする給与レベル「10万円以上~15万円未満/月」を基準とすれば、年間少なくても(30-15万円/月)×12カ月=150万円/年が再任用期間中のこの1年間にA氏に過大に支払われることになります。さらに期末勤務手当などが加算されるとみられます。
また、教育委員会における約10年間では、同様に(50-15万円/月)×12カ月=420万円/年が毎年A氏に過大に支払われ続けたことになります。さらに、A氏を配置することで、もうひとり主監を追加配置したことにより、少なくとも50万円/月×12カ月=600万円/年の追加費用がA氏のために毎年無駄に費やされたことになります。
よって、群馬県には、A氏の再任用期間であるこの1年間で少なくとも150万円、さらに、それ以前の10年間で少なくとも4200万円+6000万円の損害が生じました。
5 監査委員にどのような措置を講じることを求めるのか
監査委員におかれては、群馬県知事に対し、本件不正行為につき実態の把握と本件不正行為の原因究明、責任の明確化、および再発防止に取り組む義務をきちんと行使するよう勧告し、さらに総務部人事課および教育委員会の歴代幹部らに上記相当額の損害をA氏から回収したりそれが不可能な場合は自ら賠償したりする義務を負わせるよう、勧告することを求めます。
第2 請求者
・住所 群馬県前橋市文京町一丁目15-10
・氏名 市民オンブズマン群馬
代表 小川 賢(自署・押印)
・連絡先(電話番号等) 027-224-8567(事務局長 鈴木庸)
地方自治法第242条第1項の規定により、別紙事実証明書を添えて、必要な措置を請求します。
令和2年2月28日
群馬県監査委員あて
=====
別紙=====
事実証明書1 令和2年2月5日付群馬県知事あて公開質問状
事実証明書2 令和2年2月14日付人事課からの回答FAX
事実証明書3 令和2年2月17日付群馬県知事あて公開再質問状
事実証明書4 令和2年2月21日付人事課からの回答FAX
事実証明書5 群馬県職員録(平成30年4月1日現在)273ページ抜粋
事実証明書6 群馬県の障害者雇用水増しに関する報道記事綴り
ZIP ⇒ uqpl.zip
**********
■これが受理された場合、今後、請求人である当会に対して証拠の追加提出や陳述の機会が与えられることになりますが、監査委員が果たしてどのような判断を下すのか、注目していきたいと存じます。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
※参考情報「群馬県の障害者雇用水増しの実態を報じた記事綴り」
**********上毛新聞2018年9月22日
県、障害者雇用水増し 半数の169人
◎「ガイドライン理解不足」
中央省庁や地方自治体による障害者雇用率の水増しが相次いで発覚した問題で、群馬県は21日、昨年6月1日時点で障害者雇用数に計上した職員346人のうち、169人の障害者手帳や診断書が確認できなかったと発表した。346人とは別に8人が手帳を所持していたが、これを算入しても雇用率は県知事部局1.96%、県企業局0.81%、県教育委員会1.39%で、法定雇用率(県2.3%、県教委2.2%)を下回った。
障害者手帳や指定医による診断書など厚生労働省のガイドライン(指針)が定める書類が確認できなかったのは、知事部局39人(報告した雇用数97人)、県教委125人(同229人)、企業局5人(同9人)。病院局は11人全員が確認できた。
県人事課によると、内臓疾患や難聴、体が不自由といった自己申告などがあれば手帳を所持している場合と同様の事務処理が以前から行われていた。その理由を同課は「ガイドラインに対する理解が不十分だった」と釈明した。
一方、昨年度に報告する対象だった障害者が知事部局で5人(身体3人、精神2人)、県教委で3人(身体2人、精神1人)いることが判明した。
昨年度の雇用率は知事部局2.73%、企業局2.26%、県教委2.48%で、障害の程度や勤務形態を踏まえるといずれも法定雇用率を達成していた。再計算すると知事部局は16人、企業局は5人、県教委は93人が不足していた。
問題を巡っては、多くの自治体が調査結果をすでに公表している。報道陣に対応が遅いと指摘された大沢正明知事は、「プライバシーの問題もあり、慎重の中でもスピード感を持つよう指示してきた。県教委を含め全て発表できる段階まで取り組んだため時間がかかった」と説明した。
◎当事者や家族、企業 憤り、不信広がる
「がっかり。同時に憤りを感じる」。県身体障害者福祉団体連合会の杉田安啓会長(69)=高崎市=は県の調査結果を厳しい表情で受け止めた。県と連携し障害者の社会参加に取り組む立場。ショックは大きく、再発防止の徹底を求めた。
障害のある子どもがいる西毛地域の50代女性は「言葉にならない。うそをつかれていたと感じる」と不信感をあらわにした。障害者雇用について「他人ごとでなく、理解し受け入れてくれる社会に変わってほしい」と訴えた。
県は不適切な算定をした原因について「国のガイドラインへの理解不足があった」などと説明。障害者の就労支援に当たる社会福祉法人アルカディア(太田市)の中田駿理事長(71)は「ガイドラインの認識不足では済まされない問題。根本には、障害者への理解不足があるのではないか」と指摘した。
県は障害者の採用に積極的な企業の表彰や登録制度を設けるなど、就労拡大の旗振り役の立場を取ってきた。登録制度に参加し、障害者14人を雇用するクリーニング業、第一ドライ(安中市)の堤一彦社長(66)は「県は障害者雇用に力を入れていたので、しっかりやっていると思っていた」と驚いた様子で話した。
有識者には障害者雇用の在り方そのものを再考すべきだとする意見もある。群馬医療福祉大(前橋市)の新藤健太助教(障害者就労)は「法定雇用率といった数字を追い掛けるのではなく、本人の意欲を大事にして、健常者と分け隔てなく採用できる環境を整えるべきだ」と強調する。
**********産経新聞2018年9月22日07:01
群馬県、障害者雇用水増し 169人不正算入 制度の理解不足
中央省庁などが雇用する障害者数を水増ししていた問題を受け、内部調査を進めていた県は21日、知事部局と企業局、県教育委員会で平成29年6月1日時点の職員に占める障害者の比率が法定雇用率(2・2~2・3%)を下回っていたと発表した。県全体では、国のガイドラインに示された障害者手帳などの確認ができない身体障害者ら169人を不正算入していたことが分かった。
県は昨年、群馬労働局に対し、29年6月時点で雇用している障害者を346人と報告していたが、改めて調査を行った結果、障害者手帳が確認できない職員が半数近くを占めることが発覚した。
県はこれまで、身体障害者手帳の有無を確認せず、本人の自己申告などで障害者として算入していた。県人事課は「全体的な制度に対する理解不足が原因だった」と説明している。今回の事態を受け、大沢正明知事は「今後は法定雇用率に近づけるため、しっかり前進させねばならない」と話した。
**********産経新聞201年10月18日07:08
群馬県、障害者雇用へ12月に選考
障害者数の雇用割合の水増しが発覚した県は、不足した採用枠を補うため、身体障害者を対象とした平成30年度の選考考査を追加実施すると明らかにした。
県によると、募集するのは行政事務職員で、来年4月1日に5人程度を採用する予定。身体障害者手帳を所持し、障害の程度が1~4級、採用時点で18~35歳で、県内に居住する身体障害者が対象という。
選考試験は12月9、10日の2日間に行い、今月24日から申し込みを受け付ける。締め切り日は申し込み方法によって異なり、インターネットは11月13日、郵送は11月14日(消印有効)。
県の担当者は「今回の追加選考だけで直ちに不足を補えるわけではないが、受験者へのPRなどを通してできることをやっていきたい」としている。
**********日経2018年10月22日22:00
障害者雇用水増し、北関東3県が再点検結果公表
北関東3県の労働局は22日、各県と市町村、教育委員会など地方自治体に関係する障害者雇用の再点検結果を公表した。各県の知事部局では茨城県で35人、群馬県で36.5人分の国の指針に反した水増し分があった。企業や自治体は一定割合の障害者を雇うよう義務づけているが、3県の自治体を合計すると400人近い水増しがあった。
2017年6月1日時点の集計値を再点検した。各県の教育委員会では、茨城で58人、群馬で123.5人、栃木で58.5人。市町村関連では茨城で10人、群馬で48人、栃木で7人の誤計上がそれぞれ判明した。一方、栃木県は知事部局で計上漏れがあり障害者雇用数が1人増えた。
再点検前は多くが法定雇用率を達成していたが、茨城県や群馬県の知事部局のほか、栃木県や群馬県の教育委員会などで当時の法定雇用率を下回っていたことになる。
**********上毛新聞2018年11月1日
障害者雇用 県、159人水増し 3市も不適切算入
障害者雇用の水増し問題で、群馬県は31日、今年6月1日時点で障害者雇用数に計上した職員332人のうち159人を、障害者手帳を確認しないなど不適切に算入していたと発表した。上毛新聞の取材に応じた27市町村のうち、前橋、高崎、太田の3市が同様の不適切な算入があったと回答。7市町は雇用率が法定(2.5%)を上回ったと国に報告していたが、再点検の結果、下回ったという。
県は332人とは別に、10人が手帳を所持していることを確認したが、雇用率は県1.90%、県教育委員会1.41%といずれも法定(県2.5%、県教委2.4%)を下回った。
**********上毛新聞2019年12月27日
県内の公的機関 障害者の雇用率法定以下 知事部局は全国ワースト3
県や市町村など群馬県内の公的機関51団体のうち19団体で、職員に占める障害者の割合(6月1日時点)が法定の雇用率(県や市など2.5%、教委2.4%)を下回っていたことが26日、群馬労働局のまとめで分かった。前年に比べて未達成は3団体減ったものの、県知事部局は1.99%にとどまり、都道府県別で3番目の低さだった。障害者雇用水増し問題の発覚後、全国的に雇用の促進が図られているが、本県では一層の取り組みが求められそうだ。
未達成だったのは、県の知事部局と企業局、県公立大学法人に加え、前橋や高崎、太田などの12市町。教育委員会は対象となる5教委のうち、県教委など4教委が達成できていなかった。県教委の雇用率は1.34%と特に低かった。
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