■群馬県渋川市において小林製工運送が名目上運営する、実質・大同特殊鋼渋川工場の廃棄物最終処分場が深刻な地下水汚染を引き越していることが問題となっています。この処分場は管理型最終処分場とは名ばかりで、地下水と廃棄物を遮水するシートや地層などなく、“言わば単なる大きな穴”というような場所に、猛毒の廃棄物を捨てていたので、地下深く猛毒が浸透し、取り返しのつかない地下水汚染を引き起こしています。
↑問題の廃棄物処分場。ご覧のように団地と遊園地に挟まれた場所に、猛毒の廃棄物が捨てられている。スカイランドパークという遊園地にも大量の有害スラグが投棄されている。もしかしたら、スカイランドパークの有害スラグから染み出した汚染水も、この処分場の地下水に紛れ込んでいるかもしれないが、全て大同特殊鋼由来の猛毒なので、大同としては文句も言えず自業自得という、笑うに笑えない状況だと言える。↑
↑2017年9月に撮影された最終処分場の様子。深さ150メートルの井戸から六価クロムに汚染された地下水が検出されているらしい。地下水が汚染されていれば、当然そこに至るまでの土壌全てが汚染されていることになる。皆様、忘れないで欲しい。この場所は地下深くまで土壌汚染・地下水汚染が広がっていることを。今、現場で行われている工事は、汚染土壌はそのまま放置して、その上にコンクリートなどで固めて遮水シートなどを設置しようとするものだ。汚染水はポンプでくみ上げて基準値以内に収まるのを待つという。なんとも自分勝手な対策だ。地下水脈は、どこをどう流れているかわからない、遠く吾妻川などに汚染水が流れ込んでいるかもしないが、“そんなの関係ない”とする、「自分さえ良ければいい」という大同特殊鋼ならではの対策工事と言える。↑
↑最終処分場から汲み上げられた汚染水を運ぶ3台のタンクローリーは、休みなく一日中走り回っている。↑
↑タンクローリーには次の記載がある。
積載物品名:浸出水
最大容量:14000L
最大積載量:14000kg↑
浸出水とは、廃棄物から染み出た汚染水のことを指すと思われます。この処分場は、地下水汚染事件を起こしその対策で水を汲み上げているのですから、当然浸出水には、猛毒が含まれています。廃棄物には固体や液体の区別はないので、この汚染水は、産業廃棄物です。しかも、その有毒濃度から特別管理産業廃棄物であることが疑われます。このトラックには産業廃棄物収集運搬の許可を得ているのでしょうか?
↑佐藤建設工業のスラグ運搬車もそうだったが、大同特殊鋼の廃棄物に係ると、貴族にでもなったかのように高飛車になり“我が物顔”のトラック運転をしでかすようだ。↑
大同特殊鋼様は確かに高額納税者かもしれませんが、貴族などの支配者では断じてありません。上n写真は右折車線に入るところですが、ゼブラゾーンを無視し、前の一般車の横をすり抜け、我先に右折しようとする“我が物顔”運転の様子が映し出されています。
この猛毒の汚染水は、途中小学校の上の道を通り抜け、大同特殊鋼渋川工場に運搬されています。特別管理産業廃棄物運搬する旨を車に表示し慎重な運転を心掛ける必要があります。もし万が一事故でも起こし、段下の小学校を汚染水まみれにしたら取り返しのつかないことになるからです。
■さて、先日群馬県議会で、この処分場についての質疑が行われたようです。質問を行った日本共産党から、大同スラグ問題を追及している当会に、質疑内容の通告がありました。当会は、特定の政党とは一切関係はありませんが、この処分場については、未だ情報が少なく有害スラグ問題が喫緊の課題であることから、質疑内容を取り上げてみたいと思います。
**********2017年10月24日 決算特別委員会総括質問 伊藤県議(日本共産党)
※当会注;答弁者は群馬県環境森林部長であるようだ。
伊藤)この最終処分場は、大同製鋼排出のスラグなどが埋め立て処分を長年されてきた。六価クロムによる地下水汚染が明らかとなった。この処分場では昨年も県の指導のもとに大規模な対策工事がされているが、まず汚染水の処理について伺う。
現在同処分場からは日量タンクローリー20台以上汚染水がくみ上げられているが、それを大同特殊鋼に運んで処理している。大同は廃棄物処理の認可を持っていない。このような処理はできないはずだが、処理している根拠は。
部長)小林製工運送株式会社が設置した最終処分場からの保有水等の処理にかかる法的根拠についての質問。一般廃棄物の最終処分場および産業廃棄物の最終処分場にかかる技術上の基準を定める環境省令、いわゆる基準省令と呼ばれているが、こちらの省令では、最終処分場には保有水等集排水設備により集められた保有水等について、排水基準等に適合させることができる浸出液処理設備を設けることとされている。また、この省令のただしがきにおいては、保有水等集排水設備により集められた保有水等を貯留するための十分な容量の耐水構造の貯留槽が設けられ、かつ、当該貯留槽に貯留された保有水等が当該最終処分場以外の場所に設けられた浸出液処理設備と同等以上の性能を有する水処理施設で処理される最終処分場にあっては、この限りではないとされている。
※当会注:この環境森林部長の答弁によると「当該貯留槽に貯留された保有水等が当該最終処分場以外の場所に設けられた浸出液処理設備と同等以上の性能を有する水処理施設で処理される最終処分場にあっては、この限りではない」との発言であるので、タンクローリーの汚染水運搬先は最終処分場ということになり、大同特殊鋼渋川工場は最終処分場の許可を有していなければならない。
伊藤)小林製工の最終処分場だ。産廃だ。大同特殊鋼はそこから運び込んできたものを処理できる免許を持っているか。
部長)さきほど申し上げた通り、小林製工運送株式会社の処分場から出た保有水等については、基準省令にもとづいて処理されている。
※当会注:環境森林部長は、大同特殊鋼渋川工場が最終処分場の許可を取得していると勘違いをしている模様で、何か質疑がかみ合っていない。もしくは最終処分場とはどういうものか理解していないのかもしれない?
伊藤)基準省令にもあっていない。県の指導であの処分場は小林製工運送がやっている、設置しているのも一般質問でも部長は何回も繰り返し指摘している。その違う会社の処分場から出てきたものを、その産廃の保有水や汚染水を産廃業者ではない大同特殊鋼が処理できるなんてことは、どこの法律にもない。そういうことを指導するなんていうのは、脱法行為どころか法律違反を教唆しているようなもの。絶対におかしい。
※当会注:汚染水の排出者が小林製工運送で、汚染水の処理業者が大同特殊鋼なので、汚染水が廃棄物にあたらないとする群馬県の解釈を警戒しての質問と思われる。たとえ排出事業者と受け入れ事業者が同じであっても、場所が離れているので、一般道を走るときには廃棄物収集運搬の許可が必要であり、大同特殊鋼が受け入れる汚染水は廃棄物となってしまう。
部長)さきほども答弁したが、この省令の但し書きにおいて、保有水等を貯留するための十分な容量の耐水構造の貯留槽が設けられ、かつ、当該貯留槽に貯留された保有水等が当該最終処分場以外の場所に設けられた浸出液処理設備と同等以上の性能を有する水処理施設で処理される最終処分場にあっては、これを認めているということだ。
※当会注:やはり環境森林部長は最終処分場とはどのようなものか理解していないのではないか?大同特殊鋼渋川工場の周りに最終処分場の許可が標記されているとする情報は未だ入っていない。渋川市在中の方で大同渋川工場の最終処分場の許可標記を見かけた方はぜひ当会にご一報願います。
伊藤)いいですか。タンクローリーの中にあるのは、今までの調査では、最高では2.3mg/l、環境基準の50倍にもなるような六価クロムが含まれている汚染水だ。そういう汚染水を大同特殊鋼は処理する免許も何も持っていないではないか。そういうのは脱法行為どころか(違法行為の)教唆だ。犯罪を教唆していると言わざるを得ない。
※当会注:やはり環境森林部長は最終処分場とはどのようなものか理解していない?ようだ。なぜなら、このあとも、部長からは大同特殊鋼渋川工場は最終処分場の許可を有しているとの発言はなかったからだ。それにしても地下水汚染の状況はかなりひどい。六価クロムの環境基準値は0.05mg/lだ。この汚染水はまぎれもなく特別管理産業廃棄物だ。
伊藤)次の質問。汚染が確認されたのは、この処分場のはるか地下の地下水。処分場の保有水ではない。05年の段階で汚染がわかっている。地下水が汚染されたのであれば、環境基準で定められている有害物質について、全部測定をしなければならない。特にこの産廃はスラグが埋められているのだから、フッ素の測定などは大変重要だ。なぜ測定しないのか。
※当会注:まず2005年の段階で汚染がわかっていながら、群馬県はなぜ汚染の事実を公表しなかったのか?役所ぐるみで汚染事故を隠ぺいしたと言われても仕方がない。
部長)地下水等の検査におけるフッ素の測定にかかる質問。いわゆる基準省令における産業廃棄物最終処分場の維持管理の技術上の基準においては、フッ素については地下水等の検査項目に含まれていない。しかし、この処分場の設置者である小林製工運送株式会社および排出者である大同特殊鋼株式会社は、県の指導により設置した場内の観測井戸において、フッ素も独自に検査している。この一部の地下水では、環境基準を超えるフッ素も検出されている。一方で、事業者等は県の指導にもとづいて現在基準を超過した地下水の流出を防止するための揚水井戸の増設、廃棄物と地下水を完全に遮断するための遮水シートの敷設工事等の措置を講じているところだ。これまで法定の下流観測井戸においてフッ素による地下水環境基準の超過はないことから、基準を超過する地下水の流出拡散を防止するための県が設置を指導した揚水井戸が効果を発揮しているものと考える。今後とも事業者等に対する指導を継続するとともに県民生活の安全安心の確保を第一に考え、法令に基づき厳正に対応していく。
※当会注:森林環境部長により「廃棄物と地下水を完全に遮断するための遮水シートの敷設工事等の措置を講じているところ」と触れられている。つまりこの工事が完了するまでは、単なる“大きな穴”に過ぎない。廃棄物と地下水が遮断されていないのだから、もはや「いわゆる基準省令における産業廃棄物最終処分場の維持管理の技術上の基準」など意味をなさない事を、森林環境部長ともあろう御仁が気づかないのか?環境省の基準で言えば、全ての地下水の基準が定められているのでそちらに従うべきであり、そこには六価クロムやフッ素、セレンなども規定されている。
地下水の水質汚濁にかかわる環境基準については、こちらをご覧ください。↓↓
http://www.env.go.jp/kijun/tika.html
↑ここで、当会が作成したこの処分場の想像断面図をご覧あれ。(あくまで当会の想像)。↑
環境森林部長が「これまで法定の下流観測井戸においてフッ素による地下水環境基準の超過はないことから、基準を超過する地下水の流出拡散を防止するための県が設置を指導した揚水井戸が効果を発揮しているものと考える。」として下流観測井戸から猛毒が検出されていないから県民の生活は安全・安心だとする発言をしている。ところがが、もはや12年も近く地下水汚染が隠ぺいされ、下流側観測井戸より深く廃棄物処分場が掘り下げられ、150メートルもの下から毒水の汲み上げているのだから、下流側観測井戸からは猛毒は検出されないだろう。
前掲の想像図をご覧いただくと、もはや汚染地下水レベルは下流側観測井戸の深さレベルから大きく下がり、とんでもない深い所に汚染地下水がある。周りの汚染土壌が撤去されない限り、汚染水は存在し続けることだろう。
大同特殊鋼の資金力で深く掘り下げ、群馬県環境森林部の「忖度」「二枚舌隠ぺい」が行われるとき、想像図のようなカラクリで県民を欺くなど容易いことなのだ。
伊藤)フッ素を測定していると言ったが、なぜフッ素については公表されてないのか。
部長)さきほども答弁したが、基準省令ではフッ素については地下水等検査項目とされていない。しかし事業者で独自に検査をしているものだ。
※当会注:大同特殊鋼スラグにはフッ素が環境基準値を超えて含まれている。そのスラグが起因してこの処分場につきフッ素の地下水汚染を引き起こしているとすれば、大同特殊鋼にとっては、是が非でも公表したくないハズ。公僕であるはずの県部長が「基準省令ではフッ素については地下水等検査項目とされていない」だの「しかし事業者で独自に検査をしているものだ。」などと、何でもいいから理由をつけ公表しないのは、環境森林部が、今年の流行語大賞の有力候補である、お馴染みの「忖度」をしている証だ。このことが公になれば、群馬県中にばら撒かれたスラグが地下水汚染を起こす恐れがあることになってしまうからだ。
伊藤)地下水が産業廃棄物の保有水ならばそれは部長の言うことは成り立つが、不透水層の外側、はるか下の地下水が汚染されている。そうなると土壌汚染が進んでいると考えなければいけない。土壌汚染が進んでいると考えれば、25種類の特定有害物質を全部調べるというのは、地下水を、環境を守っていく点では当たり前だ。これを業者がやっているものだからというのではなく、県がやらなければいけないものだ。
部長)県としては、今議員から指摘もあったが、今般、事業者等が本処分場で実施する定期の地下水検査、年2回やっている、これに合わせて県自ら水質検査のための地下水を採取したところだ。現在これについて分析中。
※当会注:伊藤議員はこの処分場は“単なる大きな穴・欠陥廃棄物処分場”という立場から質問をしている。片や群馬県は、この処分場に改善命令を出し、未だ廃棄物と地下水を遮断する工事が進行中の未完成な処分場と認めながら、維持管理基準は他の優良処分場の維持管理基準を適用するとするお得意のダブルスタンダード(二枚舌基準?)で議論しているので、質疑はどこまで行っても嚙み合わない。群馬県のお役人様の質の低下が露呈してしまった形だ。
伊藤)そういうことを05年からやらなきゃいけないはずだった。それがずっと引き延ばされて、昨年度もやられていないというのが異常。それを指摘しておく。全国的に産廃業者の許可申請に関する講習会に使われているテキストでは、地下水について、「地下水は一度汚染が発生すると原状復帰が困難であるため、新たな地下水汚染を発生させないよう未然防止対策を徹底させる必要がある。廃棄物の最終処分場では、埋め立てられた廃棄物による地下水汚染を防止するために、平成10年6月から地下水の水質検査を定期的に実施することが義務付けられた」と、平成10年の段階から地下水汚染がされたらだめなんだから、それを徹底的にやれと書かれている。にもかかわらず、県はフッ素についての測定を県独自に始めなかったというのは、本当に問題だ。
※当会注:この廃棄物埋立処分場には、スラグが「鉱さい」という分類の廃棄物として県に申請されて埋め立てられている。この処分場では2005年より地下水汚染事故が起きている。当時、その原因が「スラグ=鉱さい」であることが隠ぺいされずに、きちんと公表されていれば、その後、佐藤建設工業によって群馬県中に広くスラグ混合砕石がばら撒かれることはなかったかもしれない。
環境森林部が大同特殊鋼に「忖度」し、スラグの環境汚染に対し甘く処遇したことにより、頭に乗った大同特殊鋼は、小林製工運送を見限り、佐藤建設工業と組んで、天然石と有害スラグを混合して、「毒を薄めた」などと詐欺師も仰天のペテンの論理をかざして、県内至る所で猛毒をばら撒いたと思うと群馬県民として悔しくてならない。群馬県のフッ素汚染の原因には環境森林部の責任もあると言わざるを得ない。現役役人にとどまらず、OB役人に至るまで追及して、この責任の所在を明確にしてもらいたいものだ。
伊藤)三番目の質問。不透水層、管理型の処分場にとっては内部の水を外に漏らさないための不透水層の存在は最も重要。地下水が環境基準を大幅に超過している現状から考えると、この処分場にはもともと不透水層がなかったか、もしくは掘りぬいて埋め立てをおこなっていたと思われる。不透水層を確認したのか。
部長)本処分場の不透水層にかかる質問。本処分場については、昭和56年2月、当時の廃棄物処理法にもとづいて産業廃棄物処理施設設置届書が提出された。県では昭和56年当時の基準省令にもとづき設置届書の内容を審査し届け出を受理している。届け出・・における本処分場の遮水工は当時の基準にのっとったものであり、県の審査も適切なものだったと考えている。県ではその後定期的な監視を継続して実施している。本処分場の埋立容量を拡大するため遮水構造となる粘土層が掘り下げられていたことは平成16年6月に実施した県の立ち入り検査により確認している。このため県は、平成17年2月に廃棄物処理法にもとづき施設の改善命令および施設使用停止命令を発出した。その後県の命令にもとづいて改善工事にあたり、工事の・・ごとに実施状況を検査しており、同年6月改善工事の完了を確認後、使用の再開を認めた。今後とも事業者等に対する指導を継続し、県民生活の安全安心の確保を第一に考えて、厳正に対応していく。
※当会注:
↑情報公開資料請求で得た小林製工運送の最終処分場の断面図。↑
廃棄物の下に薄くロームと記された遮水層が記入されているが、あまりにも薄く遮水層など無いのと同様ではないか、はたまた作図上の方便でもともと遮水層など無かったのではないか?と疑われているそうだ。もっともこの遮水層より深く廃棄物を埋めていたので、責任逃れをしたい群馬県では、遮水層は備わっていたが、計画を逸脱して遮水層より深く廃棄物が埋められていたことにしたいのであろう。
県民としては、結果として地下水汚染を引き起こしたことが問題であり、やはり群馬県の監督は問題であり、汚染された土壌を撤去せずに遮水シートなどを設置する工事は、地下水汚染を見捨てて、廃棄物処分場の体裁を整えていることと同じだと考えられる。環境森林部長の「県民生活の安全・安心の確保を第一に考えて、厳正に対応していく。」とする発言を正しく遂行するためには、地下深く汚染された土壌を撤去する原状回復工事を先に命令しなければならない。
伊藤)現地は昨年度の工事でも不透水層のレベルよりはるか下を掘りぬいている。その掘りぬいている工事を確認しながら、不透水層があったのかないのか、深堀しすぎていたのかどうなのかそういうことを確認しなければ、どうして六価クロムによる地下水汚染が進んで行ったのか、メカニズムがわからないではないか。それはもちろんやっているだろう。
部長)(答弁に詰まる)…この処分場における現在の工事については、先日立入り検査をしたところ、群馬県土砂等による埋め立て等の規制に関する条例、いわゆる土砂条例にもとづき許可を受けた施工計画通りの掘削深度で工事が行われていることを確認している。地下水位には達していないことを確認している。
伊藤)聞いたことに答えて。産廃を取り除きながら掘り進んで行って、下の土壌改良をやっている。掘り進むときに産廃が不透水層より上にあったかどうか、あるいは不透水層もなかったのか、掘り抜いていたのか、そこを確認しなければ、管理型処分場を指導監督しているなんて言えないではないか。そこは全然やっていない。行政の怠慢だ。
※当会注:環境森林部廃棄物・リサイクル課の常とう手段として、対策に困るとゴマカシとして廃棄物処理法によらず、土壌汚染対策法など他の法律を持ち出す悪癖がある。今回はなんと群馬県土砂条例を持ち出す始末だ。環境森林部は何を考えているのか?例えば山の中を3000㎡の広さで堀り、そこに土砂を埋立ている事案と勘違いしているのではないか?群馬県では3000㎡の広さ以下であれば、許可なく廃棄物を埋め立てても良いのだろうか?それでは困るのだ。また、小林製工運送の処分場は間違いなく3000㎡以上の広さがあるが、廃棄物の埋立てに土砂条例を持ち出すのは土俵違いも甚だしい。廃棄物埋立処分場は、群馬県土砂条例ではなく、廃棄物処理法に基づく維持管理基準で管理して欲しいものだ。環境森林部はバカなのだろうか?どうやら群馬県では、山の中を間口3000㎡以下の広さで掘れば、有害な廃棄物を許可なく埋め立てても環境森林部長は咎めない方針らしい。となれば、これからはもう廃棄物処分場の許可を取得する人はいなくなるだろう。
伊藤)次の質問。すでに埋め立てられた廃棄物。汚染のレベルから見て、埋め立てられた廃棄物自体は本来であればこの処分場において処分することができなかった可能性が極めて高い。これを調査することはできる。今、上の方に移動して置いてあるのだから。調査するか。したのか。
部長)埋立て処分された廃棄物についての調査についての質問。管理型の最終処分場で埋立て処分ができる廃棄物は、埋立て処分する時点において金属等を含む産業廃棄物等にかかる判定基準を定める省令、いわゆる金属省令で定められる埋立て処分に関する基準に適合したものでなければならないとされている。これに違反をして処分した場合は、5年以下の懲役または1000万円以下の罰金が科せられる。本処分場においては大同特殊鋼渋川工場から排出された廃棄物の専用の処分場であり、排出事業者である大同特殊鋼株式会社渋川工場は金属省令にもとづく基準よりも厳しい環境基準を定めて廃棄物を排出しており、排出された検査結果では平成25年8月に廃棄物の受け入れを停止するまでの間、基準を超える有害物質は確認されていない。
※当会注:
PDF ⇒ 20101207_haikibutu_shorisisetsu_henkoukyoka_kyokasinseisho.pdf
↑この廃棄物処分場に埋め立てられていたものは、鉱さい(無害)、汚泥(無害)、ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず、ばいじん(無害粒状加工物)、がれき類(石綿含有廃棄物は含まない)、廃プラスチック類(石綿含有廃棄物は含まない)と無害な物ばかりで、大同特殊鋼の申告通りに埋め立てていれば、地下水汚染などおきるはずがない、なぜ群馬県森林環境部はこの廃棄物処分場だけを優遇するのか?↑
伊藤)ではなぜ汚染水の六価クロムの濃度が2.3などという高濃度の汚染が続いているのか。そこに汚染物質がなければそういう地下水汚染は起きないではないか。
部長)今回の地下水の環境基準値を超えたことについては、さまざまな要因が推測できるが、あくまでも推測の域を出ない状況だ。いずれにしても現在実施している土壌改良、遮水シートの敷設等の対策工事によって、汚染源は除去されるものと考えている。
※当会注:伊藤県会議員も指摘しているとおり、汚染水の六価クロムがあまりにも高濃度であり、汚染の原因が廃棄物処分場であるからには、そこに埋め立てられている廃棄物が原因と考えるほかはない。例えば、悪意の第3者が飛行機などで六価クロムをまき散らしたとでもいうのだろうか?また、廃棄物により地下水が汚染された問題では、原状回復処置を命令するのが基本であると考えられる。
土壌改良などの対策などはどの法律に明記されているのであろうか?また汚染土壌の原状回復なしに「遮水シートの敷設等の対策工事」を行っても、汚染源は除去されないのではないか?この場合に汚染源は汚染された土壌であると思われる。地下水が汚染土壌と接すると地下水も汚染されるのではないだろうか。環境森林部は何が何でも“臭い物には蓋”をしたいらしいが、蓋をしても汚染源は除去されない。
伊藤)だから、推測ではなくはっきりさせればいいではないか。廃棄された廃棄物が、その処分場の上位に移動されて置いてある、遮水シートの上に。それをサンプリングして検査する、そうすれば違反して埋め立てていたのか、高濃度のスラグを埋め立てていたのかどうなのかはっきりするではないか。調査を。
部長)現在排出されている廃棄物であれば、検査は可能だ。さきほども申し上げたが、本処分場は平成25年8月以降、廃棄物の受け入れを停止している。過去に埋め立て処分された廃棄物については、埋め立て処分から年数が経過し、もっとも直近のものでも4年以上が経過しているので、当該廃棄物が埋め立て処分に関する基準に適合していたかどうかを確認することは非常に難しい。
伊藤)どんな理屈か。そこにあるのだから調べるということがなぜ言えないのか。だいたい群馬の環境を守る立場にいるのではないのか。悪徳な法違反をしたかもしれない業者を守るのか。あるものを調べて判断すればいいではないか。県民はみんなそう思う。そういう立場で環境行政をやられたら、群馬の環境は守れない。
※当会注:フッ素の環境基準は平成13年から規定されている。六価クロムの環境基準規定はかなり古い。ましてやこの処分場は一時的に受け入れを中止しているが、現在も運営されている処分場である。受け入れ年月日など関係ないのではないか?大同特殊鋼が無害な廃棄物しか埋め立てないと申請して許可された廃棄物処分場であるのだから、申請通り無害な廃棄物が埋め立てられたか調べるのに、躊躇する必要はないと考えられる。伊藤議員も指摘しているとおり、またしても環境森林部は大同特殊鋼を守るため、悪知恵を総動員して廃棄物を調べないようだ。
調査をすれば、かなりの高濃度で六価クロムやフッ素が検出されると想像される。そうなれば、群馬県内の道路、農道、公園、学校の駐車場にばら撒かれた有害スラグから、取り返しのつかない土壌汚染や地下水汚染が広がるおそれが露呈してしまうであろう。環境森林部の責任問題にも発展しかねない問題だけに、あからさまに屁理屈をこねてもなお、誤魔化し続けるだろう。
伊藤)最後の質問。地下水汚染にかかわって、これが判明した以上、生活環境保全上の支障があると判断して対応しなければならなかったはずだ。なぜ05年の時点で判断して対処しなかったのか。工事を、搬入などをストップさせなかったのか。一般質問で聞いて、飲料に供する井戸があるなしが判断だと言ったが、法律でそんなことどこに書いてあるのか。地下水が汚染されたらそれがアウトなんだから、その段階で生活環境保全上の支障が生じたと判断するのが、この間の環境法体系が進めてきた地下水汚染を重視するという考え方ではないか。どうしてその時点で判断できないのか、今の時点でもできていないのはなぜか。
部長)生活環境保全上の支障が出ているという質問。現在事業者等は県の指導にもとづいて基準を超過する地下水の流出を防止するための揚水井戸の設置、廃棄物と地下水を完全に遮断するための遮水シート敷設工事の早期完成に向けた対策工事に取り組んでいる。これらの対策は土壌汚染対策法および同法にもとづくガイドラインに準拠したものであり、地下水汚染の除去および拡大防止に有効な対策であると考えている。現在、本処分場の廃棄物は、搬入されていない。他の管理型の産業廃棄物処分場で適切に処理されている。現状では処分場外の観測井戸の地下水に基準超過はないこと、フッ素の到達範囲とされている下流250m以内、また六価クロムの到達範囲とされている下流500m以内に飲用の井戸もないことから生活環境の保全上の支障は生じていない、したがって除去等の措置を命ずる状況にはないと考えている。県としては事業者等に指導を今後も継続するとともに、県民生活の安全安心の確保を第一に考えて法令にもとづき厳正に対応していく。
※当会注:なんと県の指導で汚染地下水をくみ上げる「揚水井戸の設置」をしているのだという。環境森林部長の発言には様々な疑問が浮かんでくる。それらを整理してみよう。
●疑問その1
この井戸で「基準を超過する地下水の流出を防止する」ことなど可能なのだろうか?地下水の底部はどこにあるかわかっているのだろうか?そこに遮水層でもあるのだろうか?その遮水層から横に汚染が広がることはないのか?誰がどう見ても、水をくみ上げるだけでは汚染地下水の流出は防止できないと思われる。
●疑問その2
また、汚染土壌はそのままに遮水シートで蓋をする工事を進めているようだ。“臭い物には蓋”をする対策で汚染土壌・汚染地下水はなくならない。現在も汚染水を満載したタンクローリーが走り回っていることが何よりの証拠なのではないか?
●疑問その3
この廃棄物処分場は現在も運営中だ。工場跡地など既に起こってしまった土壌汚染に対応する土壌汚染対策法をなぜ持ち出すのか?廃棄物処分場の地下水汚染の問題は廃棄物処理法に基づき、原状回復処置が基本であり、汚染土壌を撤去することにより地下水の汚染を防止しなければならない。このことは環境森林部長が発言の中で触れていた土壌汚染ガイドラインにも「1.1.1 土壌汚染対策法の目的」として記されている。それによると、まず「『①新たな土壌汚染の発生を未然に防止する』ために、廃棄物の処理及び清掃に関する法律により対処することになる。」と書かれている。汚染土壌を撤去により片づけなければ、更なる土壌汚染を招き、必然的に地下水汚染が広がることになる。
●疑問その4
「フッ素の到達範囲とされている下流250m以内、また六価クロムの到達範囲とされている下流500m以内に飲用の井戸もないことから生活環境の保全上の支障は生じていない」と述べているが、この水質汚濁防止法の規定は幾度かの追加改正条項があり、地下水が汚染されていれば、近くに飲用井戸が無いことで生活環境の保全上の支障は生じていないとすることは問題ではないだろうか?
●疑問その5
「県としては事業者等に指導を今後も継続するとともに、県民生活の安全安心の確保を第一に考えて法令にもとづき厳正に対応していく」などと発言しているが、第一に考えているのは自分たちの立場の保全と、大同特殊鋼様の利益ではないだろうか?
伊藤)一連の対応だが、05年の時点で地下水汚染がわかった時点できちんと対処していれば、05年から11年まで延々と有害スラグがこの廃棄物処分場に埋め立てられるということはなかったはずだ。そういう点では、県が最初からボタンの大きなかけ間違いをしたことは否めない。一連の対応について、ひとかけらの反省もないか。
部長)県としては今後も事業者等に対する指導を継続するとともに、県民生活の安全安心の確保を第一に考えて法令にもとづいて厳正に対応していく。
伊藤)ひとことの反省もない。県は法の精神に立って環境汚染に対して敏感に厳正に対処してなかったことが浮き彫りになった。このような業者に対して操業停止の措置も原状復帰の改善命令も住民に対する情報提供も怠ってきた。この責任は極めて重い。このような環境行政では一連の有害スラグ事件でも誤った方針しか出てこない。猛省を促す。
※当会注:2005年にこの処分場が地下水汚染を引き起こしていたのに、廃棄物の受け入れを中止せず、有害スラグなどを黙々と埋め立て続けていたことに、驚きと怒りを感じるのは伊藤県会議員だけではないはずだ。2005年の段階で群馬県森林環境部が行政処分をきちんと下していれば、群馬県中に有害スラグがばら撒かれる事件も起きなかったことであろう。
■最後に、ここで基本的な疑問を考えてみましょう。大同特殊鋼は元々、有害スラグを「鉱さい」という分類の産業廃棄物として最終処分場に埋め立てていました。その廃棄物をリサイクルするために天然石と混合して群馬県中に広く建設資材としてばら撒いていました。大同スラグが「鉱さい」という分類の産業廃棄物であることは、許可の申請を通じて群馬県も把握しています。そこで次の大きな疑問が湧いてきます。
大同特殊鋼は、なぜ廃棄物のスラグをリサイクルするのに許可を取らなかったのでしょうか?
群馬県環境森林部は、なぜ許可を得ないスラグのリサイクルを黙認したのでしょうか?
群馬県県土整備部は、なぜ許可を得ない不法リサイクル品の建設資材混入を推進したのでしょうか?
【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】
↑問題の廃棄物処分場。ご覧のように団地と遊園地に挟まれた場所に、猛毒の廃棄物が捨てられている。スカイランドパークという遊園地にも大量の有害スラグが投棄されている。もしかしたら、スカイランドパークの有害スラグから染み出した汚染水も、この処分場の地下水に紛れ込んでいるかもしれないが、全て大同特殊鋼由来の猛毒なので、大同としては文句も言えず自業自得という、笑うに笑えない状況だと言える。↑
↑2017年9月に撮影された最終処分場の様子。深さ150メートルの井戸から六価クロムに汚染された地下水が検出されているらしい。地下水が汚染されていれば、当然そこに至るまでの土壌全てが汚染されていることになる。皆様、忘れないで欲しい。この場所は地下深くまで土壌汚染・地下水汚染が広がっていることを。今、現場で行われている工事は、汚染土壌はそのまま放置して、その上にコンクリートなどで固めて遮水シートなどを設置しようとするものだ。汚染水はポンプでくみ上げて基準値以内に収まるのを待つという。なんとも自分勝手な対策だ。地下水脈は、どこをどう流れているかわからない、遠く吾妻川などに汚染水が流れ込んでいるかもしないが、“そんなの関係ない”とする、「自分さえ良ければいい」という大同特殊鋼ならではの対策工事と言える。↑
↑最終処分場から汲み上げられた汚染水を運ぶ3台のタンクローリーは、休みなく一日中走り回っている。↑
↑タンクローリーには次の記載がある。
積載物品名:浸出水
最大容量:14000L
最大積載量:14000kg↑
浸出水とは、廃棄物から染み出た汚染水のことを指すと思われます。この処分場は、地下水汚染事件を起こしその対策で水を汲み上げているのですから、当然浸出水には、猛毒が含まれています。廃棄物には固体や液体の区別はないので、この汚染水は、産業廃棄物です。しかも、その有毒濃度から特別管理産業廃棄物であることが疑われます。このトラックには産業廃棄物収集運搬の許可を得ているのでしょうか?
↑佐藤建設工業のスラグ運搬車もそうだったが、大同特殊鋼の廃棄物に係ると、貴族にでもなったかのように高飛車になり“我が物顔”のトラック運転をしでかすようだ。↑
大同特殊鋼様は確かに高額納税者かもしれませんが、貴族などの支配者では断じてありません。上n写真は右折車線に入るところですが、ゼブラゾーンを無視し、前の一般車の横をすり抜け、我先に右折しようとする“我が物顔”運転の様子が映し出されています。
この猛毒の汚染水は、途中小学校の上の道を通り抜け、大同特殊鋼渋川工場に運搬されています。特別管理産業廃棄物運搬する旨を車に表示し慎重な運転を心掛ける必要があります。もし万が一事故でも起こし、段下の小学校を汚染水まみれにしたら取り返しのつかないことになるからです。
■さて、先日群馬県議会で、この処分場についての質疑が行われたようです。質問を行った日本共産党から、大同スラグ問題を追及している当会に、質疑内容の通告がありました。当会は、特定の政党とは一切関係はありませんが、この処分場については、未だ情報が少なく有害スラグ問題が喫緊の課題であることから、質疑内容を取り上げてみたいと思います。
**********2017年10月24日 決算特別委員会総括質問 伊藤県議(日本共産党)
※当会注;答弁者は群馬県環境森林部長であるようだ。
伊藤)この最終処分場は、大同製鋼排出のスラグなどが埋め立て処分を長年されてきた。六価クロムによる地下水汚染が明らかとなった。この処分場では昨年も県の指導のもとに大規模な対策工事がされているが、まず汚染水の処理について伺う。
現在同処分場からは日量タンクローリー20台以上汚染水がくみ上げられているが、それを大同特殊鋼に運んで処理している。大同は廃棄物処理の認可を持っていない。このような処理はできないはずだが、処理している根拠は。
部長)小林製工運送株式会社が設置した最終処分場からの保有水等の処理にかかる法的根拠についての質問。一般廃棄物の最終処分場および産業廃棄物の最終処分場にかかる技術上の基準を定める環境省令、いわゆる基準省令と呼ばれているが、こちらの省令では、最終処分場には保有水等集排水設備により集められた保有水等について、排水基準等に適合させることができる浸出液処理設備を設けることとされている。また、この省令のただしがきにおいては、保有水等集排水設備により集められた保有水等を貯留するための十分な容量の耐水構造の貯留槽が設けられ、かつ、当該貯留槽に貯留された保有水等が当該最終処分場以外の場所に設けられた浸出液処理設備と同等以上の性能を有する水処理施設で処理される最終処分場にあっては、この限りではないとされている。
※当会注:この環境森林部長の答弁によると「当該貯留槽に貯留された保有水等が当該最終処分場以外の場所に設けられた浸出液処理設備と同等以上の性能を有する水処理施設で処理される最終処分場にあっては、この限りではない」との発言であるので、タンクローリーの汚染水運搬先は最終処分場ということになり、大同特殊鋼渋川工場は最終処分場の許可を有していなければならない。
伊藤)小林製工の最終処分場だ。産廃だ。大同特殊鋼はそこから運び込んできたものを処理できる免許を持っているか。
部長)さきほど申し上げた通り、小林製工運送株式会社の処分場から出た保有水等については、基準省令にもとづいて処理されている。
※当会注:環境森林部長は、大同特殊鋼渋川工場が最終処分場の許可を取得していると勘違いをしている模様で、何か質疑がかみ合っていない。もしくは最終処分場とはどういうものか理解していないのかもしれない?
伊藤)基準省令にもあっていない。県の指導であの処分場は小林製工運送がやっている、設置しているのも一般質問でも部長は何回も繰り返し指摘している。その違う会社の処分場から出てきたものを、その産廃の保有水や汚染水を産廃業者ではない大同特殊鋼が処理できるなんてことは、どこの法律にもない。そういうことを指導するなんていうのは、脱法行為どころか法律違反を教唆しているようなもの。絶対におかしい。
※当会注:汚染水の排出者が小林製工運送で、汚染水の処理業者が大同特殊鋼なので、汚染水が廃棄物にあたらないとする群馬県の解釈を警戒しての質問と思われる。たとえ排出事業者と受け入れ事業者が同じであっても、場所が離れているので、一般道を走るときには廃棄物収集運搬の許可が必要であり、大同特殊鋼が受け入れる汚染水は廃棄物となってしまう。
部長)さきほども答弁したが、この省令の但し書きにおいて、保有水等を貯留するための十分な容量の耐水構造の貯留槽が設けられ、かつ、当該貯留槽に貯留された保有水等が当該最終処分場以外の場所に設けられた浸出液処理設備と同等以上の性能を有する水処理施設で処理される最終処分場にあっては、これを認めているということだ。
※当会注:やはり環境森林部長は最終処分場とはどのようなものか理解していないのではないか?大同特殊鋼渋川工場の周りに最終処分場の許可が標記されているとする情報は未だ入っていない。渋川市在中の方で大同渋川工場の最終処分場の許可標記を見かけた方はぜひ当会にご一報願います。
伊藤)いいですか。タンクローリーの中にあるのは、今までの調査では、最高では2.3mg/l、環境基準の50倍にもなるような六価クロムが含まれている汚染水だ。そういう汚染水を大同特殊鋼は処理する免許も何も持っていないではないか。そういうのは脱法行為どころか(違法行為の)教唆だ。犯罪を教唆していると言わざるを得ない。
※当会注:やはり環境森林部長は最終処分場とはどのようなものか理解していない?ようだ。なぜなら、このあとも、部長からは大同特殊鋼渋川工場は最終処分場の許可を有しているとの発言はなかったからだ。それにしても地下水汚染の状況はかなりひどい。六価クロムの環境基準値は0.05mg/lだ。この汚染水はまぎれもなく特別管理産業廃棄物だ。
伊藤)次の質問。汚染が確認されたのは、この処分場のはるか地下の地下水。処分場の保有水ではない。05年の段階で汚染がわかっている。地下水が汚染されたのであれば、環境基準で定められている有害物質について、全部測定をしなければならない。特にこの産廃はスラグが埋められているのだから、フッ素の測定などは大変重要だ。なぜ測定しないのか。
※当会注:まず2005年の段階で汚染がわかっていながら、群馬県はなぜ汚染の事実を公表しなかったのか?役所ぐるみで汚染事故を隠ぺいしたと言われても仕方がない。
部長)地下水等の検査におけるフッ素の測定にかかる質問。いわゆる基準省令における産業廃棄物最終処分場の維持管理の技術上の基準においては、フッ素については地下水等の検査項目に含まれていない。しかし、この処分場の設置者である小林製工運送株式会社および排出者である大同特殊鋼株式会社は、県の指導により設置した場内の観測井戸において、フッ素も独自に検査している。この一部の地下水では、環境基準を超えるフッ素も検出されている。一方で、事業者等は県の指導にもとづいて現在基準を超過した地下水の流出を防止するための揚水井戸の増設、廃棄物と地下水を完全に遮断するための遮水シートの敷設工事等の措置を講じているところだ。これまで法定の下流観測井戸においてフッ素による地下水環境基準の超過はないことから、基準を超過する地下水の流出拡散を防止するための県が設置を指導した揚水井戸が効果を発揮しているものと考える。今後とも事業者等に対する指導を継続するとともに県民生活の安全安心の確保を第一に考え、法令に基づき厳正に対応していく。
※当会注:森林環境部長により「廃棄物と地下水を完全に遮断するための遮水シートの敷設工事等の措置を講じているところ」と触れられている。つまりこの工事が完了するまでは、単なる“大きな穴”に過ぎない。廃棄物と地下水が遮断されていないのだから、もはや「いわゆる基準省令における産業廃棄物最終処分場の維持管理の技術上の基準」など意味をなさない事を、森林環境部長ともあろう御仁が気づかないのか?環境省の基準で言えば、全ての地下水の基準が定められているのでそちらに従うべきであり、そこには六価クロムやフッ素、セレンなども規定されている。
地下水の水質汚濁にかかわる環境基準については、こちらをご覧ください。↓↓
http://www.env.go.jp/kijun/tika.html
↑ここで、当会が作成したこの処分場の想像断面図をご覧あれ。(あくまで当会の想像)。↑
環境森林部長が「これまで法定の下流観測井戸においてフッ素による地下水環境基準の超過はないことから、基準を超過する地下水の流出拡散を防止するための県が設置を指導した揚水井戸が効果を発揮しているものと考える。」として下流観測井戸から猛毒が検出されていないから県民の生活は安全・安心だとする発言をしている。ところがが、もはや12年も近く地下水汚染が隠ぺいされ、下流側観測井戸より深く廃棄物処分場が掘り下げられ、150メートルもの下から毒水の汲み上げているのだから、下流側観測井戸からは猛毒は検出されないだろう。
前掲の想像図をご覧いただくと、もはや汚染地下水レベルは下流側観測井戸の深さレベルから大きく下がり、とんでもない深い所に汚染地下水がある。周りの汚染土壌が撤去されない限り、汚染水は存在し続けることだろう。
大同特殊鋼の資金力で深く掘り下げ、群馬県環境森林部の「忖度」「二枚舌隠ぺい」が行われるとき、想像図のようなカラクリで県民を欺くなど容易いことなのだ。
伊藤)フッ素を測定していると言ったが、なぜフッ素については公表されてないのか。
部長)さきほども答弁したが、基準省令ではフッ素については地下水等検査項目とされていない。しかし事業者で独自に検査をしているものだ。
※当会注:大同特殊鋼スラグにはフッ素が環境基準値を超えて含まれている。そのスラグが起因してこの処分場につきフッ素の地下水汚染を引き起こしているとすれば、大同特殊鋼にとっては、是が非でも公表したくないハズ。公僕であるはずの県部長が「基準省令ではフッ素については地下水等検査項目とされていない」だの「しかし事業者で独自に検査をしているものだ。」などと、何でもいいから理由をつけ公表しないのは、環境森林部が、今年の流行語大賞の有力候補である、お馴染みの「忖度」をしている証だ。このことが公になれば、群馬県中にばら撒かれたスラグが地下水汚染を起こす恐れがあることになってしまうからだ。
伊藤)地下水が産業廃棄物の保有水ならばそれは部長の言うことは成り立つが、不透水層の外側、はるか下の地下水が汚染されている。そうなると土壌汚染が進んでいると考えなければいけない。土壌汚染が進んでいると考えれば、25種類の特定有害物質を全部調べるというのは、地下水を、環境を守っていく点では当たり前だ。これを業者がやっているものだからというのではなく、県がやらなければいけないものだ。
部長)県としては、今議員から指摘もあったが、今般、事業者等が本処分場で実施する定期の地下水検査、年2回やっている、これに合わせて県自ら水質検査のための地下水を採取したところだ。現在これについて分析中。
※当会注:伊藤議員はこの処分場は“単なる大きな穴・欠陥廃棄物処分場”という立場から質問をしている。片や群馬県は、この処分場に改善命令を出し、未だ廃棄物と地下水を遮断する工事が進行中の未完成な処分場と認めながら、維持管理基準は他の優良処分場の維持管理基準を適用するとするお得意のダブルスタンダード(二枚舌基準?)で議論しているので、質疑はどこまで行っても嚙み合わない。群馬県のお役人様の質の低下が露呈してしまった形だ。
伊藤)そういうことを05年からやらなきゃいけないはずだった。それがずっと引き延ばされて、昨年度もやられていないというのが異常。それを指摘しておく。全国的に産廃業者の許可申請に関する講習会に使われているテキストでは、地下水について、「地下水は一度汚染が発生すると原状復帰が困難であるため、新たな地下水汚染を発生させないよう未然防止対策を徹底させる必要がある。廃棄物の最終処分場では、埋め立てられた廃棄物による地下水汚染を防止するために、平成10年6月から地下水の水質検査を定期的に実施することが義務付けられた」と、平成10年の段階から地下水汚染がされたらだめなんだから、それを徹底的にやれと書かれている。にもかかわらず、県はフッ素についての測定を県独自に始めなかったというのは、本当に問題だ。
※当会注:この廃棄物埋立処分場には、スラグが「鉱さい」という分類の廃棄物として県に申請されて埋め立てられている。この処分場では2005年より地下水汚染事故が起きている。当時、その原因が「スラグ=鉱さい」であることが隠ぺいされずに、きちんと公表されていれば、その後、佐藤建設工業によって群馬県中に広くスラグ混合砕石がばら撒かれることはなかったかもしれない。
環境森林部が大同特殊鋼に「忖度」し、スラグの環境汚染に対し甘く処遇したことにより、頭に乗った大同特殊鋼は、小林製工運送を見限り、佐藤建設工業と組んで、天然石と有害スラグを混合して、「毒を薄めた」などと詐欺師も仰天のペテンの論理をかざして、県内至る所で猛毒をばら撒いたと思うと群馬県民として悔しくてならない。群馬県のフッ素汚染の原因には環境森林部の責任もあると言わざるを得ない。現役役人にとどまらず、OB役人に至るまで追及して、この責任の所在を明確にしてもらいたいものだ。
伊藤)三番目の質問。不透水層、管理型の処分場にとっては内部の水を外に漏らさないための不透水層の存在は最も重要。地下水が環境基準を大幅に超過している現状から考えると、この処分場にはもともと不透水層がなかったか、もしくは掘りぬいて埋め立てをおこなっていたと思われる。不透水層を確認したのか。
部長)本処分場の不透水層にかかる質問。本処分場については、昭和56年2月、当時の廃棄物処理法にもとづいて産業廃棄物処理施設設置届書が提出された。県では昭和56年当時の基準省令にもとづき設置届書の内容を審査し届け出を受理している。届け出・・における本処分場の遮水工は当時の基準にのっとったものであり、県の審査も適切なものだったと考えている。県ではその後定期的な監視を継続して実施している。本処分場の埋立容量を拡大するため遮水構造となる粘土層が掘り下げられていたことは平成16年6月に実施した県の立ち入り検査により確認している。このため県は、平成17年2月に廃棄物処理法にもとづき施設の改善命令および施設使用停止命令を発出した。その後県の命令にもとづいて改善工事にあたり、工事の・・ごとに実施状況を検査しており、同年6月改善工事の完了を確認後、使用の再開を認めた。今後とも事業者等に対する指導を継続し、県民生活の安全安心の確保を第一に考えて、厳正に対応していく。
※当会注:
↑情報公開資料請求で得た小林製工運送の最終処分場の断面図。↑
廃棄物の下に薄くロームと記された遮水層が記入されているが、あまりにも薄く遮水層など無いのと同様ではないか、はたまた作図上の方便でもともと遮水層など無かったのではないか?と疑われているそうだ。もっともこの遮水層より深く廃棄物を埋めていたので、責任逃れをしたい群馬県では、遮水層は備わっていたが、計画を逸脱して遮水層より深く廃棄物が埋められていたことにしたいのであろう。
県民としては、結果として地下水汚染を引き起こしたことが問題であり、やはり群馬県の監督は問題であり、汚染された土壌を撤去せずに遮水シートなどを設置する工事は、地下水汚染を見捨てて、廃棄物処分場の体裁を整えていることと同じだと考えられる。環境森林部長の「県民生活の安全・安心の確保を第一に考えて、厳正に対応していく。」とする発言を正しく遂行するためには、地下深く汚染された土壌を撤去する原状回復工事を先に命令しなければならない。
伊藤)現地は昨年度の工事でも不透水層のレベルよりはるか下を掘りぬいている。その掘りぬいている工事を確認しながら、不透水層があったのかないのか、深堀しすぎていたのかどうなのかそういうことを確認しなければ、どうして六価クロムによる地下水汚染が進んで行ったのか、メカニズムがわからないではないか。それはもちろんやっているだろう。
部長)(答弁に詰まる)…この処分場における現在の工事については、先日立入り検査をしたところ、群馬県土砂等による埋め立て等の規制に関する条例、いわゆる土砂条例にもとづき許可を受けた施工計画通りの掘削深度で工事が行われていることを確認している。地下水位には達していないことを確認している。
伊藤)聞いたことに答えて。産廃を取り除きながら掘り進んで行って、下の土壌改良をやっている。掘り進むときに産廃が不透水層より上にあったかどうか、あるいは不透水層もなかったのか、掘り抜いていたのか、そこを確認しなければ、管理型処分場を指導監督しているなんて言えないではないか。そこは全然やっていない。行政の怠慢だ。
※当会注:環境森林部廃棄物・リサイクル課の常とう手段として、対策に困るとゴマカシとして廃棄物処理法によらず、土壌汚染対策法など他の法律を持ち出す悪癖がある。今回はなんと群馬県土砂条例を持ち出す始末だ。環境森林部は何を考えているのか?例えば山の中を3000㎡の広さで堀り、そこに土砂を埋立ている事案と勘違いしているのではないか?群馬県では3000㎡の広さ以下であれば、許可なく廃棄物を埋め立てても良いのだろうか?それでは困るのだ。また、小林製工運送の処分場は間違いなく3000㎡以上の広さがあるが、廃棄物の埋立てに土砂条例を持ち出すのは土俵違いも甚だしい。廃棄物埋立処分場は、群馬県土砂条例ではなく、廃棄物処理法に基づく維持管理基準で管理して欲しいものだ。環境森林部はバカなのだろうか?どうやら群馬県では、山の中を間口3000㎡以下の広さで掘れば、有害な廃棄物を許可なく埋め立てても環境森林部長は咎めない方針らしい。となれば、これからはもう廃棄物処分場の許可を取得する人はいなくなるだろう。
伊藤)次の質問。すでに埋め立てられた廃棄物。汚染のレベルから見て、埋め立てられた廃棄物自体は本来であればこの処分場において処分することができなかった可能性が極めて高い。これを調査することはできる。今、上の方に移動して置いてあるのだから。調査するか。したのか。
部長)埋立て処分された廃棄物についての調査についての質問。管理型の最終処分場で埋立て処分ができる廃棄物は、埋立て処分する時点において金属等を含む産業廃棄物等にかかる判定基準を定める省令、いわゆる金属省令で定められる埋立て処分に関する基準に適合したものでなければならないとされている。これに違反をして処分した場合は、5年以下の懲役または1000万円以下の罰金が科せられる。本処分場においては大同特殊鋼渋川工場から排出された廃棄物の専用の処分場であり、排出事業者である大同特殊鋼株式会社渋川工場は金属省令にもとづく基準よりも厳しい環境基準を定めて廃棄物を排出しており、排出された検査結果では平成25年8月に廃棄物の受け入れを停止するまでの間、基準を超える有害物質は確認されていない。
※当会注:
PDF ⇒ 20101207_haikibutu_shorisisetsu_henkoukyoka_kyokasinseisho.pdf
↑この廃棄物処分場に埋め立てられていたものは、鉱さい(無害)、汚泥(無害)、ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず、ばいじん(無害粒状加工物)、がれき類(石綿含有廃棄物は含まない)、廃プラスチック類(石綿含有廃棄物は含まない)と無害な物ばかりで、大同特殊鋼の申告通りに埋め立てていれば、地下水汚染などおきるはずがない、なぜ群馬県森林環境部はこの廃棄物処分場だけを優遇するのか?↑
伊藤)ではなぜ汚染水の六価クロムの濃度が2.3などという高濃度の汚染が続いているのか。そこに汚染物質がなければそういう地下水汚染は起きないではないか。
部長)今回の地下水の環境基準値を超えたことについては、さまざまな要因が推測できるが、あくまでも推測の域を出ない状況だ。いずれにしても現在実施している土壌改良、遮水シートの敷設等の対策工事によって、汚染源は除去されるものと考えている。
※当会注:伊藤県会議員も指摘しているとおり、汚染水の六価クロムがあまりにも高濃度であり、汚染の原因が廃棄物処分場であるからには、そこに埋め立てられている廃棄物が原因と考えるほかはない。例えば、悪意の第3者が飛行機などで六価クロムをまき散らしたとでもいうのだろうか?また、廃棄物により地下水が汚染された問題では、原状回復処置を命令するのが基本であると考えられる。
土壌改良などの対策などはどの法律に明記されているのであろうか?また汚染土壌の原状回復なしに「遮水シートの敷設等の対策工事」を行っても、汚染源は除去されないのではないか?この場合に汚染源は汚染された土壌であると思われる。地下水が汚染土壌と接すると地下水も汚染されるのではないだろうか。環境森林部は何が何でも“臭い物には蓋”をしたいらしいが、蓋をしても汚染源は除去されない。
伊藤)だから、推測ではなくはっきりさせればいいではないか。廃棄された廃棄物が、その処分場の上位に移動されて置いてある、遮水シートの上に。それをサンプリングして検査する、そうすれば違反して埋め立てていたのか、高濃度のスラグを埋め立てていたのかどうなのかはっきりするではないか。調査を。
部長)現在排出されている廃棄物であれば、検査は可能だ。さきほども申し上げたが、本処分場は平成25年8月以降、廃棄物の受け入れを停止している。過去に埋め立て処分された廃棄物については、埋め立て処分から年数が経過し、もっとも直近のものでも4年以上が経過しているので、当該廃棄物が埋め立て処分に関する基準に適合していたかどうかを確認することは非常に難しい。
伊藤)どんな理屈か。そこにあるのだから調べるということがなぜ言えないのか。だいたい群馬の環境を守る立場にいるのではないのか。悪徳な法違反をしたかもしれない業者を守るのか。あるものを調べて判断すればいいではないか。県民はみんなそう思う。そういう立場で環境行政をやられたら、群馬の環境は守れない。
※当会注:フッ素の環境基準は平成13年から規定されている。六価クロムの環境基準規定はかなり古い。ましてやこの処分場は一時的に受け入れを中止しているが、現在も運営されている処分場である。受け入れ年月日など関係ないのではないか?大同特殊鋼が無害な廃棄物しか埋め立てないと申請して許可された廃棄物処分場であるのだから、申請通り無害な廃棄物が埋め立てられたか調べるのに、躊躇する必要はないと考えられる。伊藤議員も指摘しているとおり、またしても環境森林部は大同特殊鋼を守るため、悪知恵を総動員して廃棄物を調べないようだ。
調査をすれば、かなりの高濃度で六価クロムやフッ素が検出されると想像される。そうなれば、群馬県内の道路、農道、公園、学校の駐車場にばら撒かれた有害スラグから、取り返しのつかない土壌汚染や地下水汚染が広がるおそれが露呈してしまうであろう。環境森林部の責任問題にも発展しかねない問題だけに、あからさまに屁理屈をこねてもなお、誤魔化し続けるだろう。
伊藤)最後の質問。地下水汚染にかかわって、これが判明した以上、生活環境保全上の支障があると判断して対応しなければならなかったはずだ。なぜ05年の時点で判断して対処しなかったのか。工事を、搬入などをストップさせなかったのか。一般質問で聞いて、飲料に供する井戸があるなしが判断だと言ったが、法律でそんなことどこに書いてあるのか。地下水が汚染されたらそれがアウトなんだから、その段階で生活環境保全上の支障が生じたと判断するのが、この間の環境法体系が進めてきた地下水汚染を重視するという考え方ではないか。どうしてその時点で判断できないのか、今の時点でもできていないのはなぜか。
部長)生活環境保全上の支障が出ているという質問。現在事業者等は県の指導にもとづいて基準を超過する地下水の流出を防止するための揚水井戸の設置、廃棄物と地下水を完全に遮断するための遮水シート敷設工事の早期完成に向けた対策工事に取り組んでいる。これらの対策は土壌汚染対策法および同法にもとづくガイドラインに準拠したものであり、地下水汚染の除去および拡大防止に有効な対策であると考えている。現在、本処分場の廃棄物は、搬入されていない。他の管理型の産業廃棄物処分場で適切に処理されている。現状では処分場外の観測井戸の地下水に基準超過はないこと、フッ素の到達範囲とされている下流250m以内、また六価クロムの到達範囲とされている下流500m以内に飲用の井戸もないことから生活環境の保全上の支障は生じていない、したがって除去等の措置を命ずる状況にはないと考えている。県としては事業者等に指導を今後も継続するとともに、県民生活の安全安心の確保を第一に考えて法令にもとづき厳正に対応していく。
※当会注:なんと県の指導で汚染地下水をくみ上げる「揚水井戸の設置」をしているのだという。環境森林部長の発言には様々な疑問が浮かんでくる。それらを整理してみよう。
●疑問その1
この井戸で「基準を超過する地下水の流出を防止する」ことなど可能なのだろうか?地下水の底部はどこにあるかわかっているのだろうか?そこに遮水層でもあるのだろうか?その遮水層から横に汚染が広がることはないのか?誰がどう見ても、水をくみ上げるだけでは汚染地下水の流出は防止できないと思われる。
●疑問その2
また、汚染土壌はそのままに遮水シートで蓋をする工事を進めているようだ。“臭い物には蓋”をする対策で汚染土壌・汚染地下水はなくならない。現在も汚染水を満載したタンクローリーが走り回っていることが何よりの証拠なのではないか?
●疑問その3
この廃棄物処分場は現在も運営中だ。工場跡地など既に起こってしまった土壌汚染に対応する土壌汚染対策法をなぜ持ち出すのか?廃棄物処分場の地下水汚染の問題は廃棄物処理法に基づき、原状回復処置が基本であり、汚染土壌を撤去することにより地下水の汚染を防止しなければならない。このことは環境森林部長が発言の中で触れていた土壌汚染ガイドラインにも「1.1.1 土壌汚染対策法の目的」として記されている。それによると、まず「『①新たな土壌汚染の発生を未然に防止する』ために、廃棄物の処理及び清掃に関する法律により対処することになる。」と書かれている。汚染土壌を撤去により片づけなければ、更なる土壌汚染を招き、必然的に地下水汚染が広がることになる。
●疑問その4
「フッ素の到達範囲とされている下流250m以内、また六価クロムの到達範囲とされている下流500m以内に飲用の井戸もないことから生活環境の保全上の支障は生じていない」と述べているが、この水質汚濁防止法の規定は幾度かの追加改正条項があり、地下水が汚染されていれば、近くに飲用井戸が無いことで生活環境の保全上の支障は生じていないとすることは問題ではないだろうか?
●疑問その5
「県としては事業者等に指導を今後も継続するとともに、県民生活の安全安心の確保を第一に考えて法令にもとづき厳正に対応していく」などと発言しているが、第一に考えているのは自分たちの立場の保全と、大同特殊鋼様の利益ではないだろうか?
伊藤)一連の対応だが、05年の時点で地下水汚染がわかった時点できちんと対処していれば、05年から11年まで延々と有害スラグがこの廃棄物処分場に埋め立てられるということはなかったはずだ。そういう点では、県が最初からボタンの大きなかけ間違いをしたことは否めない。一連の対応について、ひとかけらの反省もないか。
部長)県としては今後も事業者等に対する指導を継続するとともに、県民生活の安全安心の確保を第一に考えて法令にもとづいて厳正に対応していく。
伊藤)ひとことの反省もない。県は法の精神に立って環境汚染に対して敏感に厳正に対処してなかったことが浮き彫りになった。このような業者に対して操業停止の措置も原状復帰の改善命令も住民に対する情報提供も怠ってきた。この責任は極めて重い。このような環境行政では一連の有害スラグ事件でも誤った方針しか出てこない。猛省を促す。
※当会注:2005年にこの処分場が地下水汚染を引き起こしていたのに、廃棄物の受け入れを中止せず、有害スラグなどを黙々と埋め立て続けていたことに、驚きと怒りを感じるのは伊藤県会議員だけではないはずだ。2005年の段階で群馬県森林環境部が行政処分をきちんと下していれば、群馬県中に有害スラグがばら撒かれる事件も起きなかったことであろう。
■最後に、ここで基本的な疑問を考えてみましょう。大同特殊鋼は元々、有害スラグを「鉱さい」という分類の産業廃棄物として最終処分場に埋め立てていました。その廃棄物をリサイクルするために天然石と混合して群馬県中に広く建設資材としてばら撒いていました。大同スラグが「鉱さい」という分類の産業廃棄物であることは、許可の申請を通じて群馬県も把握しています。そこで次の大きな疑問が湧いてきます。
大同特殊鋼は、なぜ廃棄物のスラグをリサイクルするのに許可を取らなかったのでしょうか?
群馬県環境森林部は、なぜ許可を得ないスラグのリサイクルを黙認したのでしょうか?
群馬県県土整備部は、なぜ許可を得ない不法リサイクル品の建設資材混入を推進したのでしょうか?
【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】