■10月25日当会が東京ガスに確認したところ、今回の未付臭ガス供給問題で、未付臭ガスの処理に際して安中市北野殿のバルブセンターにある放散塔から夜間こっそりと大気中に大量の生ガスを放出した件で、東京ガスは実は一部の地元住民にだけ、作業前に説明をしていたことがわかりました。
この住民は、東京ガスが4年前に高圧導管を北野殿地区に敷設した際、東京ガスの強引な姿勢に我慢がならず、実力行使で阻止しようとしました。その苛烈な行動に東京ガスは恐れおののいて警察に通報したほどでした。
今回、東京ガスによれば、深夜のガス放出作業に取り掛かる際に、その住民にだけ、工事着手を伝えたというのです。すなわち住民として、実力行使で東京ガスにプレッシャを掛けない限り、東京ガスは住民にきちんと説明をしてくれないのです。
■たまたま10月25日には東京新聞も東京ガスを取材し、翌26日の朝刊群馬版にその内容記事が掲載されました。
**********東京新聞2013年10月26日群馬版
東京ガス 4万立方メートル上空へ放出
無臭ガス供給問題 住民報告は1週間後
東京ガスが九月下旬に通常はガス漏れ対策のために付けているにおいが消えたままのガスを供給した問題で、安中市野殿のガス中継施設で約四万立方メートルの無臭ガスを上空へ放出していたことが分かった。社内の保安規定で緊急時の迅速な広報を定めているが、住民らに報告したのは約一週間後で、東ガスは遅れを陳謝している。 (菅原洋)
無臭ガスが供給された問題は九月十八日に発生。ほぼ丸一日、前橋、高崎、渋川三市の約八万二千件に届いた。安中市磯部のガス中継施設で配管検査中に社員がバルブを閉じた際、においを付けるポンプが連動して自動停止する仕組みを知らなかったために起きた。
ガスを上空に放出したのは磯部の施設から東へ数キロにある野殿の中継施設で、周辺に民家が点在。無臭ガス問題の復旧作業の一環として、二十日未明から約十時間、高さ約三十メートルの「放散塔」から放出した。放出量は平均的な家庭が1ヵ月に使う分の千二百五十倍。住民への健康被害はなかった。
東ガスによると、においを付けるポンプの停止中に通過したガスで、改めてにおいを付けるのは困難で、放出しか方法がなかったという。東ガスが空中にガスを放出するのは異例で野殿の中継施設では初めてだった。
東ガスは放出について九月二十五日に安中市に、翌日に住民に報告。しかし、今月九日に無臭ガス問題を発表した際には放出の事実を公表しなかった。
東ガス広報部は「ガスは空気より軽く、上空で拡散するため、爆発などの危険はない。しかし、放出作業は騒音も出るので、事前や直後に住民に報告しなかったのは配慮が足りず、申し訳なかった」と謝罪している。
経済産業書によると、放出はガス事業法で想定しておらず規定がないが、同省ガス安全室は「一般論で言えば、住民への説明は当然だ」と指摘している。
**********
■このように、東京ガスは新聞記者の取材に対しては、野殿バルブステーションの放散塔から放出された生ガスが約4万㎥だということを説明していることがわかります。ところが、当会の公開質問状で同様の質問をしたところ、完全に黙殺されてしまったのです。
新聞社に発表したと思われる「約4万立方メートル」という放出した生ガスの容積も、当会には秘匿しっ放しです。もっとも、この4万立方メートルという数字の根拠も示されていないので、東京ガスはマスコミに適当に説明した可能性もあります。
既に当会のブログでお知らせしたとおり、当会の試算では、内径50センチの高圧導管の断面積は0.19635㎡ですから、磯部~下小塙間の全長16.2kmのパイプラインの容積は0.19635㎡×16200m=3180.87㎥となります。
滞留していた生ガスの放出量が約4万立方メートルであれば、滞留時の圧力は約40000÷3180.87=約12.575気圧となります。この圧力は、約1.2メガパスカル(Mpa)に相当します。
東京ガスではガスの送出は高圧導管、中圧導管、低圧導管を経て行われるとしています。
高圧導管は、ガスの工場から都市ガスを輸送するためのパイプで、ガス圧は1Mpa以上。太さは一般的に直径65cm~75cm。都市ガスは、このパイプからガバナーステーションを通って中圧導管に運ばれます。
中圧導管は、高圧導管からガバナステーションで分岐して、各地区へ都市ガスを送るパイプラインで、ガス圧は0.1Mpa以上、1Mpa未満。太さは一般的に直径10cm~75cm。都市ガスはこの導管から地区ガバナを通って低圧導管に運ばれます。
低圧導管は、1件1件の顧客に都市ガスを供するパイプで、ガス圧は0.1Mpa未満。太さは一般的に直径5cm~30cm。
また、ガバナステーションは、ガスの工場から高圧で送出されたガスを減圧して、中圧導管に送り出す施設です。
こうしてみると、東京ガスが群馬幹線の高圧ガス導管を使って1.2Mpaで送出していることになると、供給量に相当余裕があったことになります。
にもかかわらず、東京ガスは、群馬幹線によるガス供給がストップすると、藤岡経由で供給される別ルートのガス供給量では能力が足りず、直ちにガス不足を招くので、一刻も早く付臭ガスの供給を再開するために野殿バルブステーションから未付臭ガスを大気中に投棄したという説明をしているのです。どう考えても東京ガスの説明はこじつけとしか思えません。
■もし、東京ガスがこの圧力で常時、磯部~下小塙間の群馬幹線(全長16.2km)のパイプラインを運用していたとなると、まるまる24時間、無付臭のまま高崎、前橋、渋川地区に供給されていたガス量は、10月10日付の上毛新聞や読売新聞記事によれば同9日の東京ガスの記者会見時の発表に基づき、推定約60万立方メートルだったことから、24時間で、群馬幹線内に滞留していたガスの15倍の容積のガスが消費されたことになります。
となると、磯部~下小塙間の道路に埋設されている内径50cmの高圧ガス導管内を移動するガスの速度は、16.2km×15倍/24時間=10.125km/時となり、毎時10kmで移動していることになります。
東京ガスは以前当会に対して、パイプラインを移動する高圧ガスの速度は秒速数メートル程度だと説明していました。毎時10km(秒速3m)では少し遅すぎる気がします。となると、大気放出した生ガス量の計算根拠を再確認する必要があります。
それには、信越化学脇にある磯部バルブステーションで、何気圧のガスを帝石側から受け取っていたのか、チェックする必要がありますが、東京ガスの秘密体質は、住民がいくら質問しても応じないでしょう。
【ひらく会情報部・東京ガス未付臭ガス放散事件調査班】
この住民は、東京ガスが4年前に高圧導管を北野殿地区に敷設した際、東京ガスの強引な姿勢に我慢がならず、実力行使で阻止しようとしました。その苛烈な行動に東京ガスは恐れおののいて警察に通報したほどでした。
今回、東京ガスによれば、深夜のガス放出作業に取り掛かる際に、その住民にだけ、工事着手を伝えたというのです。すなわち住民として、実力行使で東京ガスにプレッシャを掛けない限り、東京ガスは住民にきちんと説明をしてくれないのです。
■たまたま10月25日には東京新聞も東京ガスを取材し、翌26日の朝刊群馬版にその内容記事が掲載されました。
**********東京新聞2013年10月26日群馬版
東京ガス 4万立方メートル上空へ放出
無臭ガス供給問題 住民報告は1週間後
東京ガスが九月下旬に通常はガス漏れ対策のために付けているにおいが消えたままのガスを供給した問題で、安中市野殿のガス中継施設で約四万立方メートルの無臭ガスを上空へ放出していたことが分かった。社内の保安規定で緊急時の迅速な広報を定めているが、住民らに報告したのは約一週間後で、東ガスは遅れを陳謝している。 (菅原洋)
無臭ガスが供給された問題は九月十八日に発生。ほぼ丸一日、前橋、高崎、渋川三市の約八万二千件に届いた。安中市磯部のガス中継施設で配管検査中に社員がバルブを閉じた際、においを付けるポンプが連動して自動停止する仕組みを知らなかったために起きた。
ガスを上空に放出したのは磯部の施設から東へ数キロにある野殿の中継施設で、周辺に民家が点在。無臭ガス問題の復旧作業の一環として、二十日未明から約十時間、高さ約三十メートルの「放散塔」から放出した。放出量は平均的な家庭が1ヵ月に使う分の千二百五十倍。住民への健康被害はなかった。
東ガスによると、においを付けるポンプの停止中に通過したガスで、改めてにおいを付けるのは困難で、放出しか方法がなかったという。東ガスが空中にガスを放出するのは異例で野殿の中継施設では初めてだった。
東ガスは放出について九月二十五日に安中市に、翌日に住民に報告。しかし、今月九日に無臭ガス問題を発表した際には放出の事実を公表しなかった。
東ガス広報部は「ガスは空気より軽く、上空で拡散するため、爆発などの危険はない。しかし、放出作業は騒音も出るので、事前や直後に住民に報告しなかったのは配慮が足りず、申し訳なかった」と謝罪している。
経済産業書によると、放出はガス事業法で想定しておらず規定がないが、同省ガス安全室は「一般論で言えば、住民への説明は当然だ」と指摘している。
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■このように、東京ガスは新聞記者の取材に対しては、野殿バルブステーションの放散塔から放出された生ガスが約4万㎥だということを説明していることがわかります。ところが、当会の公開質問状で同様の質問をしたところ、完全に黙殺されてしまったのです。
新聞社に発表したと思われる「約4万立方メートル」という放出した生ガスの容積も、当会には秘匿しっ放しです。もっとも、この4万立方メートルという数字の根拠も示されていないので、東京ガスはマスコミに適当に説明した可能性もあります。
既に当会のブログでお知らせしたとおり、当会の試算では、内径50センチの高圧導管の断面積は0.19635㎡ですから、磯部~下小塙間の全長16.2kmのパイプラインの容積は0.19635㎡×16200m=3180.87㎥となります。
滞留していた生ガスの放出量が約4万立方メートルであれば、滞留時の圧力は約40000÷3180.87=約12.575気圧となります。この圧力は、約1.2メガパスカル(Mpa)に相当します。
東京ガスではガスの送出は高圧導管、中圧導管、低圧導管を経て行われるとしています。
高圧導管は、ガスの工場から都市ガスを輸送するためのパイプで、ガス圧は1Mpa以上。太さは一般的に直径65cm~75cm。都市ガスは、このパイプからガバナーステーションを通って中圧導管に運ばれます。
中圧導管は、高圧導管からガバナステーションで分岐して、各地区へ都市ガスを送るパイプラインで、ガス圧は0.1Mpa以上、1Mpa未満。太さは一般的に直径10cm~75cm。都市ガスはこの導管から地区ガバナを通って低圧導管に運ばれます。
低圧導管は、1件1件の顧客に都市ガスを供するパイプで、ガス圧は0.1Mpa未満。太さは一般的に直径5cm~30cm。
また、ガバナステーションは、ガスの工場から高圧で送出されたガスを減圧して、中圧導管に送り出す施設です。
こうしてみると、東京ガスが群馬幹線の高圧ガス導管を使って1.2Mpaで送出していることになると、供給量に相当余裕があったことになります。
にもかかわらず、東京ガスは、群馬幹線によるガス供給がストップすると、藤岡経由で供給される別ルートのガス供給量では能力が足りず、直ちにガス不足を招くので、一刻も早く付臭ガスの供給を再開するために野殿バルブステーションから未付臭ガスを大気中に投棄したという説明をしているのです。どう考えても東京ガスの説明はこじつけとしか思えません。
■もし、東京ガスがこの圧力で常時、磯部~下小塙間の群馬幹線(全長16.2km)のパイプラインを運用していたとなると、まるまる24時間、無付臭のまま高崎、前橋、渋川地区に供給されていたガス量は、10月10日付の上毛新聞や読売新聞記事によれば同9日の東京ガスの記者会見時の発表に基づき、推定約60万立方メートルだったことから、24時間で、群馬幹線内に滞留していたガスの15倍の容積のガスが消費されたことになります。
となると、磯部~下小塙間の道路に埋設されている内径50cmの高圧ガス導管内を移動するガスの速度は、16.2km×15倍/24時間=10.125km/時となり、毎時10kmで移動していることになります。
東京ガスは以前当会に対して、パイプラインを移動する高圧ガスの速度は秒速数メートル程度だと説明していました。毎時10km(秒速3m)では少し遅すぎる気がします。となると、大気放出した生ガス量の計算根拠を再確認する必要があります。
それには、信越化学脇にある磯部バルブステーションで、何気圧のガスを帝石側から受け取っていたのか、チェックする必要がありますが、東京ガスの秘密体質は、住民がいくら質問しても応じないでしょう。
【ひらく会情報部・東京ガス未付臭ガス放散事件調査班】