市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

八ッ場ダム物語/巨額利権の間接恩恵?かみつけ信組への資本注入

2009-03-01 14:13:00 | 八ッ場ダム問題

■八ッ場ダムの代替地分譲基準連合交渉委員会委員長が理事長をしているかみつけ信用組合について、2009年1月26日の東京発のロイター電等によると次のように報じられています。

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全信組連が5信組に資本支援へ 3月末までに数十億円 公的資金は使わず
 信用組合の中央機関の全国信用協同組合連合会(全信組連)が経営の厳しい五つの信用組合に対して、資本支援を検討していることが1月26日に、わかった。
 支援を検討しているのは、城北(東京都文京区)、半原(神奈川県愛川町)、かみつけ(群馬県高崎市)、三河(愛知県蒲郡市)、滋賀県(滋賀県甲賀市)の合計5つの信組。5信組は、全信組連の資本支援制度に申請。全信組連は、2月中にも正式決定し、3月末までに合計50億円程度を資本注入する見通しだ。全信組連は支援金を自己資本で補い、今年度中は改正金融機能強化法による公的資金を活用しない方針。
 全信組連は毎年、経営が苦しくなった信組の劣後ローンや優先出資証券を引き受ける形で、5信組程度を資本支援してきた。金融危機の影響で今年度は支援要請が増える可能性もあるとみて、今月末に約350億円の自力増強も予定している。このため、現在見込んでいる50億円程度の支援総額であれば、公的資金の活用は必要ないと判断した。
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■このように、組合員や預金者の利益保護のために、上部組織による資本注入が行われるわけですが、今回の全信組連の場合は、農林中金を下部組織である農協が支えるのとは逆のケースに当たります。しかし、この場合も、トータルで見れば、同じ組織内での資本の移動になるわけで、経営悪化が理事長ら幹部による杜撰によるものであれば、公的資金は使わないとはいえ、安易に資本注入をするのはいかがなものかという意見も出ることでしょう。

 とりわけ、八ッ場ダムの買収交渉の総代表者として、不透明な取引が取りざたされている御仁が理事長をしているかみつけ信組の場合は、資本注入をするにあたり、外部による理事長の行動について、厳格な監査が求められるのではないでしょうか。

■かみつけ信組のホームページには、CSRの一環として「反社会的勢力に対する基本方針」が次のように掲げられています。

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【反社会的勢力に対する基本方針】
当組合は、社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力の介入に毅然として立ち向かい、断固排除していくことで、社会的責任を果たし公共の信頼性を維持するとともに、業務の適切性及び健全性の確保に努めます。
1.反社会的勢力による不当要求に対して、理事長以下、組織全体として対応します。
2.反社会的勢力による不当要求に対応する役職員の安全を確保します。
3.反社会的勢力による不当要求に備え、平素から外部専門機関と緊密な連携関係を構築します。
4.反社会的勢力とは、取引関係を含めて一切の関係をもたず、不当要求は拒絶します。
5.反社会的勢力による不当要求に対しては、民事と刑事の両面から、あらゆる法的手段で対応します。
6.いかなる理由があっても、事案を隠蔽するための反社会的勢力との裏取引、資金提供等は絶対に行いません。   以上
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 この場合の反社会的勢力は、組織暴力を意味していると思われますが、そうした外部勢力のみならず、まずは内部勢力である理事長自身が社会的責任を果たしているかどうかを、自問自答し、合わせて外部監査によるチェックを受けることが先決だと思われます。

■なお、同理事長は、後援会長として支援していた前群馬県知事が落選後も、引き続き、理事長職に留まるとともに、八ッ場ダムの水没関係五地区連合対策委員会委員長として、行政や業者に影響力を行使しています。水没関係各地区にそれぞれ50億円規模のカネをばらまく件についても、ちゃんと総元締めとしての地位を確保しているからです。参考までに、2008年11月17日付の群馬建設新聞は次のように報じています。

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来月に検討部会設立(八ッ場ダム水没5地区) 基金事業見直し案協議
 県特定ダム対策課は、八ッ場ダム建設により水没する5地区に対し、基金事業の見直し案の説明会を行っており、今月中旬には川原湯地区に建設が予定されているエクササイズセンター(案)の行政案が示された。同施設は、計画当初の観光会館などを一体化させたもので、規模はRC造3階建て・延べ床面積2550㎡を計画。敷地内には足湯やサイクルセンター駐輪場など、運動や健康を全面に出した施設となる。来月にも設立される水没5地区の代表者で作る「まちづくり検討部会」で協議される。同施設以外にも計画されているハード事業などに関しても検討が行われる。
 同施設は、平成4年度に示された当初計画にあった観光会館を見直した施設。クアハウスやサイクルセンターなどを一体的にしたもので、クアハウスについては足湯に変更されている。
 エクササイズセンターの規模は、RC造3階建て・延べ床面積2550㎡を見込み、50㎡の足湯や120㎡のオープンデッキで構成。内部には、フィットネスルームとしてトレーニングルームおよびスタジオ(261㎡)をはじめ、ロッカー室(89㎡)やエステティックサロン(127㎡)、健康管理室(70㎡)、待合室(76㎡)などが計画されているほか、ビジターセンターとして展示・インフォメーション(400㎡)やレクチャールーム(200㎡)が配置される。また、テナントスペースや30台分の駐車場なども設置される。
 併設されるサイクルセンターは、駐輪場や自転車修理室などを予定している。
 建設場所は流動的となっているが、当初計画案では新たな川原湯温泉駅の南側に計画されていた。施設の運営・管理方法についても同検討部会で協議され、組合方式や指定管理者方式、株式会社方式など、さまざまな選択肢の中から最適な方法を決定する。
 同課は「運営方法や施設内容など、大きな方向性を部会の中で早期に検討してもらえれば」と本紙の取材に回答した。
 同検討部会は、水没5地区の代表者3人ずつの計15人で構成され、八ッ場ダム水没関係五地区連合対策委員会(萩原昭朗委員長)の下部組織として位置付けられる。オブザーバーに国や県、町。アドバイザーに群馬大学の赤石教授が参加する。
 なお、基金事業の見直し案では、川原湯・川原畑地区に川原湯地区駐車場整備(A1250㎡、A500㎡、A1450㎡をそれぞれ3カ所整備)やダムサイト公園整備事業(休憩所と売店整備)を予定。林・横壁・長野原地区には、JR長野原草津口駅周辺整備事業(駅舎整備と駐車場整備)、住民総合センター整備事業、文化遺産周辺整備事業(L200m・W1.5mの散策路整備や案内看板などの整備)、芝生広場等整備事業、道の駅(林)整備事業(道の駅建物や駐車場、共同浴場などの整備)がそれぞれ計画されている。
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■このように、八ッ場ダムの巨額公共事業をめぐり、ひとたび利権を左右するポジションにつくことができれば、国や県や市町村など行政はもとより、政治家や業者、果ては金融業界まで動かせることができることがわかります。あとは好き放題に何をしても、そうした関係者らが、尻拭いをしてくれるのが、こうした行政を舞台にした構図なのです。そして、食い散らかされた利権の最終的な尻拭いは、結局、納税者が負担することになります。安中市土地開発公社51億円横領事件にも共通する群馬県行政ならではの特徴といえるでしょう。これではいくら納税しても、国や地方公共団体の借金は膨れる一方です。

【ひらく会情報部】

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