市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

サンパイ業界が熱いまなざしで見つめる岡田市制

2008-01-07 23:41:00 | 全国のサンパイ業者が注目!
国道18号の岩井交差点から、富岡方面に向かって県道を走ってゆくと、間もなく大きく左に大きくカーブして坂を上ってゆくと、左に道を分ける交差点があり、右手の道路わきにカラフルな看板が立っています。迷惑顔の可愛い動物達が描かれており、「ここを左折すると1キロ足らずでサイボウ処分場に着く」とあります。左折してみると、小さな川を渡ります。20mしか離れていない上流にもう一つ橋が見えます。すぐに上り坂となり、S字にくねった市道を登ると農免道路に出ます。長閑な丘陵地帯ですが正面になにやら巨大なムシロがぶら下がっています。一体これは何でしょう?

右手に回ってみると大きな字で「無法地帯」と書かれてあります。すぐ後ろに牧場がありますが、なんと道の反対側には、ポッカリあいた巨大な穴があります。これが将来計画も含めると100万トンもの廃棄物を持ち込めるサイボウ処分場です。
ではなぜここが「無法地帯」なのでしょうか。「無法地帯」誕生の経緯は、今から17年前まで遡らなくてはなりません。
高崎市と吉井町に隣接する岩野谷の大谷地区には、平成3年から、サンパイ場の計画が次々に浮上しました。昨年始めにサイボウ環境というペーパー会社が、管理型の一般廃棄物最終処分場の稼動を開始しましたが、計画は平成3年にスタートしました。当時は、大谷地区や岩井地区に合計7箇所の廃棄物処分場計画があり、ほとんどがサンパイ場でした。
サイボウ処分場は、当初、元市会議長で不動産業の故・中島延里氏が市内の業者と組んで計画したサンパイ場が発端でしたが、丘陵地帯の水源部にダイオキシンなどの有害物質が大量に持ち込まれると下流への影響が心配だとして、平成5年8月に地元の反対で一旦頓挫しました。
ところが、元議長はあきらめずに、その直後から、埼玉県の大宮(現さいたま市)に本社のあるサイボウ(旧埼玉防災)の故・結城文夫社長(当時)を引き入れ、管理型の一般廃棄物処分場を作ろうと画策し、実弾攻勢に転じたのです。平成7年2月には周辺500mにある80世帯に20万円ずつ金を配布したり、周辺300mに住む世帯の5分の4の同意書を、一部偽造して群馬県に提出し事前協議をクリアしたりして、違法行為を重ねつつ、安中市と協定を結び、群馬県との間で徐々に手続を進めていました。
地元では、廃棄物処理技術も持たないサイボウのようなペーパー会社の計画が行政に認められるわけはないと考えられていましたが、なぜか行政に評価され、サラ金業者の融資証明書が付けられていたにもかかわらず、どんどん廃掃法による手続が進みました。
処分場にゴミを搬入する道路もなかったのに、サイボウが市道の拡幅を市に申し入れ、反対者の地権者の土地をたくみに避けて道路用地を買収し、2億8千万円でハザマ組に道路工事を発注し、完成後ただちに安中市に寄附をしました。この道路工事に際して、サイボウは道路と隣接地権者の境界確定書を3通ほど、偽造したことが判明し、警察が捜査しました。中には既に亡くなった地権者の署名や印があり、当然、行政はインチキ文書だと見破れたはずですが、おどろくべきことに、サイボウの結城社長は、末期ガンで入院していたとして、高崎の測量会社の社長が有罪判決を受けました。ところが、判決は執行猶予付きで、判決の翌日には、どうどうと測量会社の社長は営業している始末。末期ガンのはずの結城社長も、大宮商工会で挨拶をしたりしていました。
一方、県道との交差点でも、境界確認が行われた事が判明しましたが、交差点に隣接する山林の地権者は、一度も境界確認が行われなかったのに、なぜ工事が進んだのか不審に思い、安中土木事務所に質問したところ、担当官は「ちゃんとこちらで立会いしてその土地との境界も確認した」といいました。ところが、安中土木事務所が示した地権者の名前は30年前になくなったおじいさんの名前でした。そこで、孫は警察に告訴し、安中土木事務所に境界確認の文書開示請求をしました。ところが、安中土木事務所は、「警察に当該文書を提出したので、条例で開示できない」として開示を拒否。理由をしつこくたずねた所、群馬県の土木部長と、群馬県警の幹部が結託して、仕組んだことが判明しました。もちろん、警察は孫の告訴状を受理することはありませんでした。
サイボウが処分場を作るはずでしたが、そのうち、長野の佐久平にあるイーステージという廃棄物処分会社の名前が取りざたされるようになりました。大谷地区に、同社の鈴木社長名で、区長宛に高額の寄附を申し入れる念書が出回ったのです。イーステージは、東京の市川環境エンジニアリングという廃棄物ビジネス大手の関連会社です。イーステージの鈴木社長の父親が、市川環境エンジニアリングの鈴木会長です。
結局、ハザマの道路工事も、イーステージが債務保証をして三井住友銀行が融資し、本体工事では32億円あまりを、やはりイーステージが債務保証をして、三井住友銀行、東京三菱銀行、八十二銀行、上田信金が協調融資団を構成して融資しました。イーステージをサイボウに紹介したのは、群馬県の環境局の林務部長だった中島信義(※当時は“林務部長”ということで、名前を林務[はやし・つとむ]だと思っていました)という男。つまり、群馬県はサイボウに事業遂行能力がないことを知って、許可を出していました。その背後には、巨額の利権が存在するからです。
処分場本体工事はもともとハザマがやる予定でしたが、銀行管理となった同社に代わって、イーステージと付き合いの深かった大林組が登場しました。あの談合事件を多発させた企業です。スーパーゼネコンの一つと言われていますが、なんと、工事現場事務所を畑に立てた際、農地転用手続きをまったくしていませんでした。また、道路占用許可もとらずに重機を市道に持ち込んで3ヶ月も勝手に作業をするなど、談合会社の体質を遺憾なく発揮。平成17年に造成を開始直後には、ズサンな水防対策のため、下流の水路に大量の土砂が流れ出し、水田に流入しても、「天災だから責任はない」などとして、復旧作業もしようとしません。
さらに、サイボウと大林組は、お粗末な廃水処理施設を建設してから、いざ下流河川への放流口を設置する段になったら、急に別のルートで放流すべく、最終段階で大幅に変更しました。本来であればこのような重大な変更は、しっかりと施設計画をすれば、ありえませんが、群馬県が法律違反を簡単に見逃してくれるのを承知しているサイボウと大林組は、好き勝手に計画変更が出来ると考えていたのでしょう。案の定、サイボウ=イーステージと結託している群馬県では、「軽微な変更だ」として、そのままスンナリ変更を認めたのです。
さて、こうして、平成19年初頭からサイボウ処分場が稼動し、計画段階では、焼却灰は持ち込まないと言っていた安中市は、岡田市長になったとたんにあれよあれよと焼却灰の持込を決定しました。今のところ、巨大な穴の底の方に少し焼却灰は埋め立てられていますが、将来的に100万ドンもの焼却灰が持ち込まれます。現在、自治体は焼却灰1トンの処分に平均3万5千円ほどカネを払っているので、サイボウ処分場の利権は単純計算でも350億円以上となります。民営ですから、得たいの知れない医療廃棄物等を夜陰に乗じて持ち込めばその10倍もの利益を生みます。いかに巨大な利権が絡むか想像を絶します。
しかも、大林組は、「本来なら自己補修型の遮水シートを使うところ、サイボウがイーステージの設計した仕様で処分場の建設を発注してきたので、数年で穴の開く従来のブリジストン製の遮水シートを使わざるを得なかった」と言っていることから、埋め立て後、数年以内には毒水が下流の岩井川に流れ込んだり、地下水を汚染してゆくことになります。
ところで、サイボウ処分場に隣接する牧場のオーナーは岡田市長の同級生ですが、サイボウが処分場を埋め立てたら、跡地を無償提供してもらう密約があるそうです。
数年前から、この牧場主と懇意の地元岩野谷五区の区長(現在、岩野谷の代表区長も兼務)がコスモス祭りと称して、県から補助金をもらって処分場の周辺で毎年9月にイベントをしています。処分場のすぐ横で、お祭りや、消費者の口に入れる牛乳を出荷するのですから、常識を超えていますが、行政や農協は何も言えません。
この牧場主は群馬県の農業基金から1億数千万円を借りて、処分場の周辺の土地を手当たり次第に買い占め、得体の知れない残土をダンプで持ち込んで、一生懸命それらの土地を盛土して造成していましたが、安易に埋め立てたため、昨年夏の雨期に1万数千トンもの廃棄物を練り込んだ残土が下流に流れ出し大問題を引き起こしました。下流耕作者からのクレームを受けて開催した説明会には、あの秋間ファームで一躍有名になった御仁も、牧場主側で参加したとか。
ところで、岡田市長は、サイボウ処分場の利活用に熱心ですが、大谷地区のサンパイ場計画推進にもなぜか熱心のようです。大林組と関係の深い関東建設をバックにした中島前市長もサイボウの処分場計画を熱心に進めていましたが、その他の大谷のサンパイ場計画はストップ状態でした。ところが、岡田市長に代わってから僅か1年半で、大谷地区に3件ものサンパイ場計画が浮上しています。
そのうち2件は管理型のサンパイ場で一般廃棄物も受け入れる予定だといい、あとの1件は安定型のサンパイ場。群馬県の廃棄物対策課は、前者は住民説明会を終えて、現在では事前協議の段階なり、後者は業者が地元説明会を画策しているとのこと。幸い、サイボウ処分場で懲りた常識ある住民らによる反対運動が起きていますが、札びらで切り崩してくる業者の攻勢に、状況は予断を許しません。
他方、岡田市長の采配で、安中市がサンパイ場の事前協議申請を熱烈歓迎する方向に方針転換したため、日本中のサンパイ業界で、安中市のことでもちきりとなっています。
このままでゆくと、近い将来、安中市は全国でも有数なサンパイ銀座になるかもしれません。十分に注意して監視していきましょう。

コメント
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