市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

【磯貝不正側溝】住民監査請求を却下した安中市監査委員に情報開示請求!

2024-06-12 23:37:33 | 県内の税金無駄使い実態



安中市による破壊検査の結果集計表。全ての結果が「不可」となっている。鉄筋の径は規格よりも遥かに細く、バラツキがある上に縦方向の鉄筋は異型でなく単なる丸棒(出所:安中市)

■群馬県内の道路インフラの安全性の信頼を大きく損ねた磯貝建材による群馬県型側溝(GPU)の製品偽装問題は、その後も引き続きメディアが報じており、その衝撃は止みそうにありません。

**********朝日新聞デジタル2024年6月11日10:45
磯貝建材、自己破産申請へ 偽装側溝問題
 群馬県発注の道路工事で規格を偽装したコンクリート側溝が見つかった問題で、偽装側溝を製造した磯貝建材(群馬県安中市)が事業停止し、自己破産申請の準備に入ったことがわかった。信用調査会社の帝国データバンク群馬支店によると、負債総額は少なくとも2億円を超える見込み。
 同支店によると、磯貝建材は1937年創業。公共土木工事に使われるU字溝などのメーカーとして、2021年7月期には年売上高約8億4700万円を計上していた。
 だが昨年9月、県は同社の偽装側溝が県発注工事に使われていたことを公表した。2月に甘楽町の林道整備工事で品質が劣ると見られるコンクリート側溝が見つかり、調査の結果、中に入っている鉄筋が県の定めた規格と比べて細く、本数も少ないことが確認された。
 同社は問題発覚前にM&A(合併・買収)で経営陣が創業家から代わっており、偽装を始めた時期や理由について「3月の社長交代以前のことは分からない」と説明したとされる。
 偽装公表後、売り上げは激減。安中市発注工事でも偽装側溝が使われていたことが発覚するなど、先行きの見通しが立たないことから事業の継続を断念したという。(杉浦達朗)
**********

 この問題は、原因(真相)究明と責任の所在の明確化、そして再発防止策が重要ですが、道路インフラの安全性を担保するためには、規格通りの側溝に交換することが必要です。そのための費用は、責任の所在を明らかにすることで、当然原因者である製造者の磯貝建材が負担しなければならないはずです。また、検査を省略して不正の温床を助長させた群馬県にも責任の一端が問われるべきです。

 しかし、群馬県は未だに真相解明や責任の所在の明確化に二の足を踏んでおり、当会の情報開示請求にも極めて消極的です。そうした中、安中市が独自で非破壊検査と破壊検査を実施しました。これらは既に群馬県が実施していますが、なぜか、情報共有がなされていないようです。そのため、当会は、これ等の検査にかかる費用を安中市が負担するのではなく、群馬県が負担すべきであと考え、4月16日付で住民監査請求を行ない、6月6日付で監査結果通知が交付され、6月8日に配達記録付き郵便で届けられました。この経緯は、以下のブログ記事を参照ください。
○2024年6月10日:【磯貝不正側溝】県とは別に独自に非破壊・破壊検査を自前で実施した安中市に住民監査請求した結果、なんと「却下」

 ところが、このタイミングで、上記のとおり、磯貝建材が自己破産申請手続きを開始する準備を進めているとメディアが報じたのです。

 このままだと、側溝の取り換えに必要な費用が原因者から回収できなくなります。せめて、安中市が実施した非破壊検査・破壊検査の費用は、事前に群馬県からの検査結果の情報を得ていれば、余計な支出をせずに済んだわけで、本当に必要だったのかどうかを問うため、当会は住民監査請求をしたわけです。

 ところが、安中市監査委員は、「棄却」ではなく、あっさりと「却下」の判断を下して、当会の住民監査請求を切り捨ててしまいました。

■安中市監査委員2名のうち、田島龍一氏は、市内で公認会計士・税理士事務所を営んでいますが、その経歴たるや、目を見張るものがあります。

 ネット情報等によると、同氏は、安中市2丁目にある田島屋本店を実家にもち(事務所も同じ住所)、公認会計士・税理士の両方の国家資格を持ち、関東信越税理士会や安中ロータリークラブの会員です。新島学園から同志社大学経済学部に進み、在学中、1973年米国ホイットマン大学への留学を経て、同志社大を1974年に卒業後、1977年に監査法人サンワ東京丸の内事務所(現・有限責任監査法人トーマツ)へ入所し、6年間会計監査業務を担当、1982年に公認会計士登録を果たし、1983年、国際税務コンサルティング部に移り、国際税務・組織再編税務等に従事しました。1990年、勝島敏明税理士事務所(その後、税理士法人トーマツを経て、現・デロイト・トーマツ税理士法人)開設とともに転籍し、組織再編チームの長として海外から日本へ、及び日本から海外へのM&A税務デューデリジェンスや日本国内での合併・分割等の組織再編税務相談業務に従事し、税理士法人トーマツの代表社員を歴任しました。2008年に、実家に戻り、公認会計士・税理士田島龍一事務所を群馬県安中市に開設し、現在に至っています。

 もう一人の監査委員である高橋由信氏は、安中市議会議員で、現在8期目のベテランです。

 そのプロフィールを拝見すると、同氏は1956年、安中市岩井に生まれ、1975年、県立安中高等学校を卒業し、1953年に安中手話サークル設立とともに手話通訳及び指導を開始しました。1955年に安中市青年団連合会会長、第9回群馬県洋上大学への参加を経て、1988年に仲間と共に地域づくり団体「未来塾」を創立しました。1991年に安中市議会議員に初当選を果たし、2010年には安中市長選挙に立候補し次点となりました。その後再び市議に返り咲き、2022年に安中市議会副議長、2023年4月の安中市議会議員選挙で8期目の当選を果たして、現在、安中市監査委員、高崎安中消防組合監査委員、総務文教常任委員会委員として活動しています。この間、ボランティア歴47年の経験から、群馬県地域づくり協議会理事、地域づくり団体「未来塾」運営委員、安中聴覚障害者協会相談役、安中手話サークル役員手話検定2級取得の資格を有しています。

 このように、市議会から選任された高橋由信氏の監査委員としての資質や実績はともかく、税理士と公認会計士としての田島龍一氏の赫々たる経歴は、まさに監査委員の職能にふさわしいと言えるでしょう。

 なぜなら、税理士は税のスペシャリストとして、納税者に代わって確定申告や相続税申告を作成する「税務書類の作成」や税務調査の立ち合いを行う「税務代理」、様々な税金についての相談に回答する「税務相談」が主な業務として挙げられますが、「公平な税負担により、住みやすい豊かな暮らしを守ること」が税理士の社会的使命であるからです。

 また、公認会計士は、会計の専門家として、各国の制度によって業務の範囲と比重は異なるものの、共通して会計監査(財務諸表監査)を独占業務としています。主な業務には、財務情報が適正に表示されているかどうかについて、独立した立場から意見を表明する財務諸表監査が挙げられます。これは、上場会社などの社会的に影響力の大きい会社に義務付けられており、虚偽の財務情報によって投資者や債権者などの利害関係者が損害を被ることを防ぐための重要な役割を担っています。これは、行政に義務付けられた監査を、市民の目線で行う監査委員としての役割に合致するものです。

■そのため、当会では、今回の磯貝建材製の不正側溝にかかる実態調査として、非破壊検査と破壊検査を安中市が独自に支出したのは、果たして適切であったのかどうか、国際税会計コンサルティング業務に精通した田島龍一・監査委員であれば、しっかりと調査し、判断していただけるに違いないと期待していたのも事実です。

 だからこそ、たまたま、監査委員事務局で、5月の定例監査のため、出席した田島委員と高橋委員と話す機会があったので、非公式ながら口頭で、この住民監査請求の重要性を熱っぽく説いたのでした。

■しかし、誠に残念ながら、当会の住民監査請求は、門前払い同然の「却下」という結果に終わりました。そこで、今回の住民監査に関して、監査委員はどの程度のレベルの労力を費やして、監査業務を実施したのか、検証する必要性を感じ、6月10日に次の開示請求書を安中市監査委員あてに提出しました。

*****6/10安中市行政文書開示請求書*****
                        令和6年6月10日
           行政文書開示請求書
 安中市監査委員 田島龍一様・高橋由信様
                   郵便番号 379-0114
                   住  所 安中市野殿980
                   氏  名 小川 賢
                   電話番号 090-5302-8312
 安中市情報公開条例第6条第1項の規定により、次のとおり行政文書の開示を請求します。
<開示を請求する行政文書の内容又は件名>
 令和6年6月6日付安監委発第66001号「安中市職員措置請求書について(通知)」に関する次の情報。
①4月16日の請求書提出以降、現在に至るまで、監査委員2名がそれぞれ本件の監査に割いた時間
②本件の監査の過程で、ヒヤリングや聴取をした関係先(請求人のほか、副市長ら市幹部、契約検査係など関係市長部局関係者、群馬県県土整備部など知事部局関係者、市顧問弁護士など)
③本件の監査の過程で、請求人が提出した資料以外に、関係先から収集し、監査の判断に用いた文書があれば、それらの内訳(聴き取りメモも含む)
④地方自治法第242条第7項及び第8項に定める請求人の証拠の提出及び陳述と市長その他の執行機関又は職員(関係職員等)の陳述や同席について、どのように判断したのか、また、その根拠
**********

 当会では、この開示請求により、監査委員がどの程度、真剣にこの住民監査請求に取り組んだのかどうか検証したうえで、住民訴訟に踏み切るかどうか、検討する所存です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※関連情報
**********JC-NET 2024年6月12日
磯貝建材(株)(群馬)/自己破産へ コンクリ二次製品鉄筋偽装 倒産要約版
 群馬に拠点をおく、磯貝建材(株)が自己破産の準備に入ったことが判明した。負債総額は約2億円。
 以下要約。
【倒産要約版 JC-NET版】
1 破綻企業名   磯貝建材(株)
2 本社地     群馬県安中市簗瀬620-1
3 代表      長谷川裕貢
4 設立      1937年4月.(昭和12年/業暦:87年)
5 資本金     1000万円
6 事業      コンクリ二次製品製造販売
          U字溝、歩道用ブロック、側溝蓋など
7 売上高     2021年7月期、約8.5億円
          2023年7月期、約4億円
8 破綻      2024年5月31日.
          事業停止/自己破産申請の準備中
9 委託弁護士   伊藤博昭弁護士(TH総合法律事務所)
          電話:03-6911-2500
10 裁判所     未定 
11 負債額     約2億円
12 破綻事由    同社はコンクリ二次製品メーカー。U字溝、歩道用ブロック、側溝、側溝蓋など製造していた。2023年3月に現代表が創業家から買収、しかし、同年に群馬県発注工事の側溝で県の指定以外の鉄筋が使用されていることが発覚、同年9月に県が40ヶ所で鉄筋の大きさなどに偽装があっとして公表し、同社の信用は失墜、受注は激減し、先行きの見通しも立たないことから、今回の事態に至った。追、買収前から鉄筋偽装が常態化していたようだ。
[2024年6月12日]

**********日経クロステック2024年05月21日
鉄筋偽装の側溝が40カ所判明、群馬県に続き安中市の発注工事でも
 群馬県安中市の建材メーカー、磯貝建材が鉄筋の太さなどを偽装したコンクリート製側溝を出荷していた問題で、市発注工事の40カ所で偽装製品が使われていたことが分かった。市が2024年5月10日に明らかにした。

安中市による破壊検査で、鉄筋の径が規格を満たしていないと判明した側溝(写真:安中市)
 磯貝建材の製品を巡っては群馬県が23年9月、県発注工事で偽装側溝が使われていたと発表している。群馬県型落蓋式側溝(GPU)として県の承認を受けていた同社製品が、規格を満たしていないと判明した。この発表を受け、安中市も市発注工事で偽装製品の使用について調査した。
 市が工事関係資料を残している過去5年間に施工した磯貝建材の側溝の延長は約3.1kmに上る。全ての工事区間を網羅するよう各区間から1~3カ所を抽出して非破壊検査を実施。計99カ所の検査箇所のうち、35カ所で鉄筋の径が規格を満たさないことが分かった。
 非破壊検査で判別できなかった偽装を見抜くため、市は残り64カ所から5カ所を選んで破壊検査を実施。その結果、5カ所全てで規格を満たさない鉄筋が見つかった。直径が規格では6.35mmのところ4mmしかなかった鉄筋を20本、4mmのところ3.2mmだった鉄筋を11本確認した。市は全ての箇所で偽装製品が使われている可能性が高いと見ている。

安中市が5カ所で実施した破壊検査の結果(出所:安中市)
(青野昌行)
**********
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【磯貝不正側溝】県とは別に独自に非破壊・破壊検査を自前で実施した安中市に住民監査請求した結果、なんと「却下」

2024-06-10 01:18:07 | 県内の税金無駄使い実態

6月8日の正午少し前に届いた安中市監査委員事務局からの封筒

■磯貝建材が自己破産申請の準備に入ったという衝撃ニュースが地元紙の朝刊で報じられた6月8日の昼前に、筆者の自宅に薄青緑色の封筒が配達証明付き郵便で届きました。見ると、安中市監査委員事務局とあります。開封してみると、案の定、住民監査請求の結果通知が同封されていました。

 早速目を通してみたところ、冒頭の「監査の結果」として「本請求を却下する」と書いてあります。また、「理由」として、全部でたったの21行しか記載されていません。本当にきちんと監査をやったのかどうか、極めて疑わしい結果通知です。





*****6/6住民監査結果通知*****
                        安監委発第66001号
                         令和6年6月6日
請求人 安中市野殿980番地
      小 川 賢 様

                    安中市監査委員 田 島 龍 一
                    安中市監査委員 高 橋 由 信

            安中市職員措置請求書について(通知)

 令和6年4月16日付けで提出のあった措置請求について、監査した結果を下記のとおり通知します。
                   記
1 監査の結果
 本請求を却下する。

2 理由
 住民監査請求は、安中市の長若しくは職員による違法・不当な公金支出等により、安中市が被害を被ったと認められることが請求の要件である。
 本請求内容は、市内に所在する磯貝建材(株)による群馬県型側溝の強度偽装事件に関し、安中市において、すでに実施済である非破壊検査業務及び破壊検査業務費用の弁済を群馬県に対し求めること。第三者委員会設置により経緯や責任の所在などを調査することの2点である。
 群馬県型側溝承認制度は、品質確保及び受注者の品質規格証明業務と監督員の確認業務の省力化を図ることを目的とした制度であり、磯貝建材(株)の当該製品は、平成29年度から県の承認を受けている。
 1点目の検査費用弁済要求について、市は、県からの情報収集に努め、本事件に係る補償及び請求の法的根拠等について弁護士に相談するなど、不当に財産管理を怠っているとは認められない。また、対応の遅延により、安中市契約規則第50条に規定する履行の追完、損害賠償の請求等の機会を逸する可能性が生じるため、市予算での検査実施はやむを得ないものと解する。
 2点目の第三者委員会設置については、検査結果を踏まえ、今後検討されるものであり、現段階において違法・不当な公金支出には当たらないと判断される。
 以上の理由により、本請求を却下とする。
 本請求に係る監査結果は以上であるが、次のとおり意見を申し添える。
 市民の安全と適正な予算執行は行政の責務である。当該側溝設置個所の継続的な安全確認及び県や他市の動向を注視し、本市対応について市民に広く知らしめることを望むものである。
**********

■今回の安中市職員措置請求(住民監査請求)は、筆者が4月16日に以下の内容の措置請求を提出したことが端緒です。

*****4/16安中市職員措置請求書*****
          安中市職員措置請求書

1 安中市長に関する措置請求の要旨
 2023年9月6日付の上毛新聞記事によると、「地元業者が規格外の側溝使用した問題受け、工事場所の調査に乗り出す 群馬・安中市」との見出しで「群馬県発注の道路工事で、規格外の側溝が使われていた問題を受け、安中市の岩井均市長は5日、過去に市が発注した工事について、該当する側溝の有無に関する調査に乗り出したことを明らかにした。側溝を納入した建材業者が地元業者のため、実態を把握する調査が必要と判断した。同日開かれた市議会決算審査特別委員会で報告した。今回の調査は、工事関係の書類が保存されている期間(国庫補助事業10年、市単独事業5年)が対象。工事した場所を把握した上で、現場で破損などがないかを確認する。同時に側溝が規格を満たしているかどうかも確認。規格を満たしていない場合には、契約約款に基づき、受注者に対し、再度工事を指示する方針。同業者の側溝をめぐっては、鉄筋の太さや本数、形状などで県の規格を満たしていない側溝が、県発注の道路工事で少なくとも32カ所(計約3キロ)で使われていたことが判明している。(宮崎秀貴)」とする報道が為された。
 このため、請求人は、規格外の側溝を納入した地元業者の製品が、どのようなかたちで安中市発注の道路工事に使用されたのかを確認すべく、2023年10月4日、同19日および2024年3月1日の3度にわたり、安中市長に対して条例に基づき関連情報の開示請求を行った。その結果、不当な財務会計上の行為又は怠る事実を以下のとおり確認したので、これを是正することにより市民全体の利益と安全を守るべく、住民監査請求を行う。
⑴ だれが(請求の対象となる職員等)。
  安中市長。
⑵ いつ、どのような財務会計上の行為を行ったのか
  規格外の製品を製造・納入した地元業者である磯貝建材㈱の製品「GPU3型側溝」が、安中市発注の公共工事に使用されたことに関連して、それらの製品が規格を満たしているかどうか、事故の未然防止のため確認する必要があるとして、安中市が2023年10月16日から同11月2日にかけて非破壊検査業務を実施した。
  そして、安中市はその費用1,331,000円(税込み)を安中市の一般会計「2-1-5-3-1-12節 委託費(予備費から充当)」から支出した。
⑶ その行為は、どのような理由で、違法又は不当なのか
  本件は、本来、GPU3型側溝の規格を定めた群馬県が、製造者に対して、規格に合致した製品を製造・納入するよう検査・指導・監督すべきであり、今回、磯貝建材製の規格外の側溝が2023年2月に甘楽町での県営の林道工事で使用が発覚したことを端緒に、群馬県知事が2023年9月1日の記者会見で公表したものであるから、当然に、群馬県に費用負担を申し入れるべき事案である。
  にもかかわらず、そうした手続きを怠り、安中市の一般会計から支出し、しかも現在に至るまで、群馬県に費用負担の申し入れの相談すら行っていない。
⑷ その結果、どのような損害が市に生じているのか
  すでに、令和5年度の決算が閉められており、この支出が損害として確定してしまった。
⑸ どのような措置を求めるのか(是正等措置を求める内容及び対象者)
  監査委員会は、安中市長に対して、市長が、以下の事項を速やかに実行するよう、勧告する。
  ①群馬県に対して、至急、安中市が支出した1,331,000円と相当な経費(人件費その他、金利も含む)の弁済を求める。
  ②なぜ、磯貝建材製の規格外の側溝が市内の公共事業で使われたのか、第三者委員会を設置し、経緯と影響を調査し、真相究明と責任の所在の明確化を通じて再発防止をはかる。
⑹ 財務会計上の行為から1年を経過している場合は、その正当な理由
  該当しない。

2 請求人
  住  所 安中市野殿980
  電話番号 090-5302-8312
  氏  名 小川 賢 (自署)

 地方自治法第242条第1項の規定により別紙事実証明書を添え必要な措置を請求します。

令和6年(2024年)4月16日

安中市監査委員 殿


別紙:事実証明書
1 安中市行政文書開示決定通知書(令和5年10月17日安財第193004号)
2 安中市行政文書開示決定通知書(令和5年10月24日安財第206004号)
3 安中市行政文書開示決定通知書(令和6年3月12日安財第346003号)
**********

 この2日後、たまたま筆者が安中市役所の新館2階にある監査委員事務局を訪れると、渡辺事務局長から「事務局で確認したら、非破壊検査の実際の支出額が121万円であることが判明した。なので、金額を修正してほしい」と言われました。さっそく、修正しましたが、証拠が必要なため、その後、行政課に直行し、非破壊検査費用の実際の支出額について、情報開示請求をしました。そして、5月1日に当該資料が開示されました。

 このため、監査委員事務局に対して、「ぜひ監査委員の前で陳述と追加証拠の提出の機会を設けてほしい」と要請しました。しかし、おそらく渡辺事務局長は、2名の監査委員に打診してみたのでしょうが、結果的に陳述の機会は、たまたま筆者が5月下旬に監査委員事務局を訪れた際に、毎月恒例の市の定例監査業務が行われるタイミングとあったため、たまたま事務局にやってきた2名の監査委員の前で、口頭で、この磯貝建材の不正側溝事件とその背後に見え隠れする疑惑について説明しました。

 しかし、これはあくまでも非公式で便宜的に行われたものなので、筆者は、きちんと文書で陳述書と追加証拠の提出をしておくべきと考えました。

 一方、5月10日に安中市が磯貝建材の不正側溝の破壊検査を行った結果について、報道されたことから、実際に破壊試験遂行のためいくら支出したのか、証拠を入手する必要が生じたため、5月19日に安中市に行政文書開示請求書を提出しました。

*****5/19市行政文書開示請求書*****
<開示を請求する行政文書の内容又は件名>
 「群馬県発注の道路工事で規格を偽装したコンクリート側溝が見つかった問題で、安中市は5月10日、市発注工事で同じ製造業者の側溝を検査したところ40カ所で偽装製品を確認したと発表した。工事請負業者に工事のやり直しを命じるか検討する。過去5年間に磯貝建材製側溝が使われた市道は約3・1キロで、ここから99カ所を抽出して県の規格に適合するか調べた。非破壊検査では35カ所、破壊検査では5カ所で規格で定めた強度を満たさない偽装製品が確認された。破壊検査では、鉄筋が県の規格6・35ミリに対し偽装製品は4ミリだった」との報道に関する以下のことが分かる情報。
①業者と交わした破壊検査業務契約の内容(契約書を含む)
②破壊検査業務契約の成果品(検査報告書を含む)
③2024年(令和6年)3月1日以降、現在までに、この問題で、群馬県(出先の安中土木事務所等を含む)と情報共有した経緯とその内容
④磯貝建材製品が納入された工事箇所の現地パトロールの報告書
⑤工事請負業者に工事のやり直しを命じるか検討することに関する市としての対応(昨年10月頃市内弁護士事務所での法律相談以降、法律相談をした経緯があればそれも含む)
⑥4月10日の記者発表内容
**********

 この結果、5月29日に上記③と⑤は不存在だとして、その他については部分開示されました。不存在とされたうち、③の「群馬県(出先の安中土木事務所等を含む)と情報ky法有した経緯とその内容」について、筆者は、きちんと、その旨を不存在通知書として明確に表明すべきと考えたので、証拠として市側にあらためてまし当該文書の作成をお願いした。

■そして、次の陳述書を5月29日に監査委員事務局に持参して提出しました。

*****5/29陳述書*****
               陳 述 書
                          令和6年5月29日
                   請求人 住所 安中市野殿980
                       氏名 小 川   賢

件名:磯貝建材不正側溝使用問題を巡る調査・試験等の費用支出に関する
   職員措置請求(住民監査請求)に伴う陳述及び追加証拠の提出について

 今回、安中市監査委員からの陳述等の実施にかかる通知はまだいただいていないため、監査委員が定める日時に陳述等を行っておりませんが、令和6年5月27日にたまたま監査委員事務局を訪れた際、監査委員の皆様に陳述等の機会について打診したところ、本日提出できる旨のご説明を賜りました。そのうえで、地方自治法(昭和22年法律第67号)第242条第1項の規定により、請求人が行った請求の要旨を補足すべく、同法第7項及び第8項に基づき、請求人として証拠の提出及び陳述を行います。
 今回、請求人が行った職員措置請求(住民監査請求)において、対象となる財務会計上の行為として、当初、非破壊検査費用について1,331,000円を計上しましたが、その直顔に、監査委員事務局から「その費用に掛かる金額は設計価格であり、実際に支出した契約金額は1,210,000円である」との指摘を受けました。そのため、急遽、事実証明書4に示す通り、追加の証拠を提出いたします。
 さらに、その後、請求人が確認したところ、安中市は、非破壊検査に加えて、破壊検査についても令和6年3月末までに実施し、同年5月10日付で記者発表をしました(事実証明書5の14頁目参照)。そのため、破壊検査に係る請負代金1,694,000円についても、本件住民監査請求に含めるべきと考え、ここに陳述及び追加の証拠を提出するものです。
 安中市の担当者の説明によると、非破壊検査も破壊検査も群馬県に電話ベースで情報共有をしており、非破壊検査については、群馬県が既に実施した業者に打診したところ、あいにく引き受けてもらえず、同じ種類の業務に携わる業者に委託して実施したとのことです。また、破壊検査についても、群馬県で既に実施しており、この時、群馬県が業務委託をしたのが安中土建であったことを県から知らされたため、実績があるとの判断で、安中市は破壊検査業務を安中土建に随契で発注したとのことです。
 また、安中市は、市が発注した公共工事で磯貝建材製の不正側溝の使用工事が施工された場所5カ所を絞り、そこから、擁壁など他の構造物への影響が少ない現場状況を勘案しながら、1個ずつ不正側溝を任意に選定し、掘り出したあと、安中土建の敷地内で破壊検査を行いました。その際、新たに入れた側溝として、前橋市にある株式会社佐藤コンクリートが製造した正規の側溝を使用しました。併せて、側溝の入れ替えで必要となる隣接の既設側溝や周辺土壌との隙間の養生に必要な工事を実施したことが判明しました。
 こうした背景を鑑みると、なぜ、群馬県が事前に磯貝建材製の不正側溝について非破壊検査や破壊検査を実施したにもかかわらず、その情報(調査報告書等を含む)すら県から取得しようとせず、同じ手順と手法で非破壊検査や破壊検査を実施したのか、理解しかねるところです。
 なぜなら、安中市の清水昭芳副市長は、2年ほど前までは群馬県県土整備部長であり、さらに、磯貝建材の前社長とも同じ高校の学友であったことから、磯貝建材のことについては、詳しく知ることのできる立場にあったからです。さらに、清水副市長の経歴を見ると、以下のとおりとなっています。
   ・2015年(平成27年)  群馬県 安中土木事務所所長
   ・2016年(平成28年)  群馬県 下水環境課長
   ※2017年(平成29年)  磯貝建材株式会社のU字側溝が群馬県GPUの承認
   ・2018年(平成30年)  群馬県 建設企画課長
   ・2020年(令和02年)  群馬県 技監
   ・2021年(令和03年)  群馬県 県土整備部長
   ・2022年(令和04年)  安中市 副市長
 以上の経歴から、安中土木事務所所長として、西毛広域幹線道路に関わり、安中市及び県内の建設業者と密接な関係がうかがえます。とりわけ、磯貝建材のU字側溝が群馬県GPU型側溝として承認され、工場での立会検査が免除となった2017年には県下水環境課長であり、所管する権限が、側溝との関連性をうかがわせています。
 昨年2月の磯貝建材の不正側溝の発覚以降、昨年9月1日の群馬県知事による記者会見で、早急に修復する重要性が示され、市町村にも情報共有をして、一刻も早くこの問題への対応措置をとることの重要性が説かれています。ところが、それからさらに8か月が経過しようとしているにもかかわらず、安中市は群馬県から、磯貝建材製の不正側溝に関する情報をほとんど得ておらず、しかも、得ようとする努力すら見えません。
 これは県土整備部長で、しかも安中土木事務所長を務めた経験のある副市長を擁する安中市としては、考えられない消極的な対応です。
 本来であれば、群馬県が制定したGPU型側溝を使用するまでもなく、JIS規格の側溝を使うよう設計指示をすれば、磯貝建材の製品を使う意味はありませんでした。
 GPU型側溝というのは、群馬県(G)で使用される特定のタイプのプレキャスト(P)コンクリート製U型側溝を示しているようです。これらには、歩道用のGPU2型や車道用のGPU3型など、用途に応じた様々な種類があり、GPU型側溝は、通常のU型側溝の排水機能に加えて、側溝底部及び側壁部から雨水を浸透させる貯留部を持っているとして、差別化しているような情報も耳にします。これにより、雨水をすみやかに下流に排出するだけでなく、地下水の補給や洪水のリスク軽減にも寄与する設計となっているというのでしょうが、群馬県に情報開示でそうした特徴について昨年10月以来、情報提供を求め続けていますが、未だにこの問題について「調査中」を理由に説明が得られていません。
 本来、プレキャストコンクリート製側溝はJIS A 5372で規定されており、機能別のバリエーションで以下のように区分されています。
  ・PU1:JIS A 5372に規定されているU形側溝を使用する場合で蓋無し
  ・PU2:上記のU型側溝に上蓋を被せたもの(歩行者までを考慮)
  ・PU3:上記のU型側溝に上蓋を被せたもの(2tまでの車両を考慮)
  ・PU4:JIS A 5372に規定されている落ち蓋式U形側溝(道路用鉄筋コンクリート側溝)の1種(歩行者までを考慮)
  ・PU5:JIS A 5372に規定されている落ち蓋式U形側溝(道路用鉄筋コンクリート側溝)の3種(T荷重を考慮)
 なぜ群馬県がわざわざGPU型という企画を設定し、それを推奨してきているのか、そして、なぜ県内の安中市を含む市町村の一部が、通常のJIS規格のPU型側溝でもよいのに、GPU型側溝を公共工事で使用しているのか、こうした背景には、やはり、群馬県の意向が反映されていることがうかがえます。
 群馬県は、既に磯貝建材製のGPU型側溝の強度試験にいち早くこっそりと取り組んでいますが、今回の不正側溝問題に関する対処方針や調査結果情報が迅速かつ円滑に市町村にも伝達されれば、安中市がわざわざ県と同じ要領で非破壊検査や破壊検査を実施する必要は無かったはずです。
 上述のとおり、市内に製造工場を有する磯貝建材製の不正側溝が、令和5年2月に甘楽町で発覚したのですから、少なくとも、それ以降に施工された工事には、磯貝建材製の不正側溝の使用が回避できた可能性があります。
 業界では、なぜ県が推奨する側溝として、県がお墨付きを与えた磯貝建材の製品を使ったのに、不正側溝が発覚したとして、請負業者がその瑕疵の責任をとらなければならないのか、という声が沸き上がっています。
 上述のとおり、群馬県が密かに随契で特定業者を通じて県外(埼玉県とも言われている)のコンクリート製品協同組合に加盟するメーカーに強度試験の実施を依頼しているという情報も飛び交っています。安中市に必要なのは、群馬県に対して、及び腰になるのではなく、積極的に、今回の不正側溝問題の真相や責任所在について、県と情報共有をして、安中市民の血税を使うことなく、この問題に適切に対処することがなにより求められている筈です。
                          以上

別紙:追加証拠としての事実証明書
4 安中市行政文書開示決定通知書(令和6年4月23日安財第023001号)
5 安中市行政文書開示決定通知書(令和6年5月20日安財第047001号)
**********

 そして、③の「県との文書による情報共有」に係る不存在通知書が5月30日に届いたのと、住民監査請求書の本文の誤字の修正について、追加の陳述書(2)と、5月31日に監査委員事務局に持参して提出しました。

*****5/31陳述書(2)*****
               陳 述 書 (2)
                          令和6年5月31日
                    請求人 住所 安中市野殿980
                        氏名 小 川   賢

件名:磯貝建材不正側溝使用問題を巡る調査・試験等の費用支出に関する職員
   措置請求(住民監査請求)に伴う陳述及び追加証拠の提出について(修正)

 令和6年5月29日付陳述書の中で、修正すべき箇所と、追記すべき箇所および関連する新たな提出証拠を以下に記しますので、よろしくご査収くださるようお願い申し上げます。

【1頁目上から21行目の修正】
修正前:した(証拠説明書5の14頁目参照)。そのため…
修正後:した(事実証明書5の14頁目参照)。そのため…

【1頁目上から25行目の追記】
修正前:情報共有をしており、非破壊検査については…
修正後:情報共有をしているのみで、文書でのやりとりは一切なく(事実証明書6参
照)、非破壊検査については…

【関連する新たな提出証拠】
別紙 事実証明書:
6 安中市行政文書不存在通知書(令和6年5月20日安財第047001号)

                          以上
*********

■以上が、今回の住民監査請求の一連の経緯です。

 それにしても、安中市は、市民の血税を有効利用するという意識が欠落しているとしか、言いようがありません。

 今から29年前の1995年6月3日に安中市土地開発公社を舞台にした51億円もの巨額詐欺横領事件で、多数の共犯者がいるにもかかわらず、元職員タゴの単独犯行とされ、結局、タゴへの巨額債権を行使することなく、タゴが昨年1月9日に死去したことをしった安中市は、今度は、迅速に債権放棄の手続きをしました。勿論、タゴの親族も、いち早く相続放棄の手続きを取っていました。

 タゴの弟が、タゴの横領金の一部を元手に、多胡運輸を立ち上げ、その後、ホクブ・トランスポート社(旧・高崎北部運送)の支援もあり、運輸事業を拡大しましたが、首都高5号線熊野町ジャンクションで、出光のアポロマークをつけた多胡運輸のタンクローリーが横転事故を起こしました。その後、この事故を巡り多胡運輸は、総額45億円の損害賠償を、首都高から提訴され、その後、保険で10億円余り充当されて減額されましたが、最終的には35億円の債務を負いました。しかし、損害賠償裁判の判決が出る前に、タゴの弟も亡くなり、多胡運輸はさっさと「㈱美正」に会社を譲渡し、破産手続きを取りました。

 このように、安中市が絡む事件では、いずれも公金で尻拭いが行われています。磯貝建材の不正側溝を巡る今回の事件は、29年前のタゴ51億円事件の再来ともみなすことができます。この重大事件に対して、どのように安中市が対処するのか、注目してきましたが、今回の住民監査請求の結果に接して、安中市の状況は、29年前と何ら変わっていないことを、筆者は痛感させられています。

 今回のこの住民監査請求の審査結果として、却下通知が安中市監査委員から送り付けられてきたので、7月9日までに、対応方針を決めることにします。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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【速報!】シナリオどおり?磯貝建材が破産手続開始…情報公開に及び腰の群馬県が示す隠蔽体質の悪質性

2024-06-08 14:17:17 | 県内の税金無駄使い実態

磯貝建材の自己破産申請の準備開始を報じる地元紙の記事

■本日の地元紙朝刊を見た当会は、「やはり、この手で来たか!」と思わずつぶやきました。なぜなら、当会がこれまで群馬県に出してきた情報開示請求や県警への告発に対するこれまでの行政側のノラリクラリの対応を見ると、この破産手続を円滑に行えるようにするためのお膳立てだったのでは、としか考えられないためです。

 まずは週末金曜日の夕方に発せられたネット記事、そして本日の地元紙の朝刊を見てみましょう。

**********上毛新聞2024年6月7日17:04
コンクリート製品製造の磯貝建材(群馬・安中市)が破産 県発注工事で規格偽装し信用失う

コンクリート製造の磯貝建材
 コンクリート製品製造の磯貝建材(群馬県安中市簗瀬)が5月31日に事業を停止し、自己破産申請の準備に入ったことが7日、分かった。帝国データバンク群馬支店によると、負債額は調査中。
 同社は1937年4月設立。公共土木工事に使用されるU字溝を主体に、歩車道ブロック、横断側溝などを製造していた。県内の中堅土木工事業者を主な対象として事業を拡大。災害復旧工事向けの案件を多く受注し、道路に関連した大型案件も寄与して2021年7月期の売上高は約8億4700万円を計上していた。
 しかし、同社の主要商圏となる西毛地区における公共工事や、同社製品が採用される現場が減少。23年3月に企業の合併・買収(M&A)で株主が創業家から変更し、新しい経営体制で経営再建を図ったが、同年7月期の売上高は約4億円に落ち込んだ。
 一方で同年2月に県発注の道路工事において、同社製の側溝が県の定める規格と異なる鉄筋が使用されていることが判明。調査の結果、偽装が発覚し、同年9月に開かれた県の定例会見で公表され、信用が失墜していた。売り上げは激減し、外部専門機関などとも協議したが、先行きの見通しが立たないことから事業継続を断念した。

**********上毛新聞朝刊2024年6月8日
県発注工事で規格外側溝 磯貝建材が破産準備
 県発注の道路故事で規格外の側溝が使われていた問題で、納入業者のコンクリート製品製造、磯貝建材(群馬県安中市簗瀬、長谷川裕貴社長)が5月31日に事業を停止し、自己破産申請の準備に入ったことが7日、分かった。帝国データバンク群馬支店によると、負債額は調査中。
 同社は1937年4月設立。公共土木工事に使用されるU字溝を主体に、歩車道ブロック、横断側溝などを製造していた。県内の中堅土木工事業者を主な対象として事業を拡大。災害復旧工事向けの案件を多く受注し、道路に関連した大型案件も寄与して2021年7月期の売上高は約8億4700万円を計上していた。
 その後は公共工事などが減少。昨年2月には県発注の道路工事で、同社が納入した側溝に粗悪品が見つかった。調査の結果、県が発注した林道や県道などで、鉄筋の太さや本数などが規格に満たない側溝が使われていたことが判明。安中市でも同様の側溝が確認された。
 売り上げが激減し、先の見通しが立たないことから、事業継続を断念した。
同社は昨年3月、創業家から都内の投資会社に売却されていた。
(林哲也)
**********

■群馬県内の土木行政の信頼性を揺るがせたこの事件は、昨年2月に甘楽町における県営の林道工事で、不成型の側溝が見つかり、業者から報告を受けた群馬県が、破壊検査をしたところ、見た目以外にも内部の鉄筋が規格と異なり、単なる細い針金で、しかも本数が不足していたことが判明したことから、内部で問題視されました。

 ところが、群馬県知事が記者発表したのは昨年9月1日でした。この間、まるまる半年間、群馬県はどのような対応策を検討していたのでしょうか。その疑問を問うべく、当会は、昨年11月1日付で群馬県に、次の内容の公文書開示請求書を提出しました。

*****11/1群馬県公文書開示請求書*****
                     令和5年11月1日
 群馬県知事 山本一太 様 あて
              郵便番号 371ー0801
              住所 群馬県前橋市文京町一丁目15-10
              氏名 市民オンブズマン群馬
              代表 小川 賢
              電話番号 090-5302-8312(連絡担当者名)本人
 群馬県情報公開条例(平成12年群馬県条例第83号)第12条第1項の規定により、次のとおり公文書の開示を請求します。
<開示を請求する公文書の内容又は件名>
 群馬県は9月1日、「県発注の道路工事で、規格で定めた強度に満たないコンクリート製側溝が32カ所で使われていた。建材メーカーの磯貝建材(安中市)が、製品を偽装して工事業者に納入していた。県は、工事を施工した22社に側溝の交換を指示した。調査対象は過去5年分で、これ以外にも規格外の製品が使われている可能性がある。県だけではなく、市町村発注の道路工事に使われている可能性もあり、県は市町村に今回の調査結果について情報提供した。磯貝建材の製品は、一定の品質を満たしている群馬県型側溝(GpU)として、2017年から県の承認を受けていた。承認を受けると、県による検査手続きの一部が省略される。今年2月、甘楽町の林道整備工事で、外見から品質が劣ると見られるコンクリート側溝が見つかった。詳細に調べたところ、中に入っている鉄筋が県の定めた規格と比べて細く、本数も少ないことが確認できた。そのため県は、過去5年間に、磯貝建材の製品が使われた34カ所の県発注工事を調査し、32カ所で『偽装側溝』が確認された。区間は合わせて約3キロだった」と発表した。ついては、次のことがわかる情報。
①県発注の道路工事で指定強度に満たないコンクリート製側溝(偽装側溝)が使われた32カ所の当該工事の契約日、工期、工事名、施工受注業者、金額、側溝の型式、仕様、数量
②当該工事を施工した22社に側溝の交換を指示した内容を記した文書。
③調査対象は過去5年分だが、これ以外にも規格外の製品が使われている可能性があると判断した根拠。
④県発注の道路工事で偽装側溝を使用したのが、県土整備部扱いだけではなく、他部署(農政部、環境森林部など)でも使用した可能性があると判断し、情報を共有したかどうか。
⑤市町村発注の道路工事に使われている可能性を鑑み、市町村に今回の調査結果について情報提供した事実。
⑥磯貝建材の製品は、一定の品質を満たしている群馬県型側溝(GpU)として、県が2017年から承認した経緯(いつ、誰が、どのような協議を経て、どんな理由で承認したのか、を含む)。
⑦承認を受けると、県による検査手続きの一部が省略されることについての詳しい内容(どの部分が、どのような根拠で省略できるのか、を含む)。
⑧今年2月、甘楽町の林道整備工事で、外見から品質が劣ると見られるコンクリート側溝が見つかった際の詳しい経緯(なぜ林道なのに県土整備部が把握できたのか、を含む)
⑨詳細に調べたところ、中に入っている鉄筋が県の定めた規格と比べて細く、本数も少ないことが確認できたことが県庁内で共有されることになった「不具合検査」報告書。
⑩前項⑨と関係するかもしれないが、過去5年間に、磯貝建材の製品が使われた34カ所の県発注工事を調査し、32カ所で「偽装側溝」が確認され、その使用区間は合わせて約3キロだったことを確認できた根拠。
⑪34カ所中、2カ所は磯貝建材の製品が偽装ではなかったことになるが、その理由(例えば、2017年頃製造したもので、まだ不正が行われなかった時期のものだった、を含む)
⑫2017年に検査手続きの一部が省略されたことが、今回の偽装側溝事件の端緒となりえた可能性について、これまでの調査で判明した内容から指摘されうる事項。
⑬発覚後、新たに発生した偽装側溝使用の事例や、是正工事の進捗状況
**********

 この結果、昨年11月15日に、群馬県県土整備部建設企画課技術調査係から部分開示通知を受け、同日、部分開示された資料をCDで受領しました。

*****11/15公文書部分開示決定通知書*****
                       建企第366-11号
                       令和5年11月15日
<開示を請求された公文書の内容又は件名>
⑥磯貝建材の製品は、一定の品質を満たしている群馬県型側溝(GPU)として、県が2017年から承認した経緯(いつ、誰が、どのような協議を経て、どんな理由で承認したのか、を含む)。
⑦承認を受けると、県による検査手続きの一部が省略されることについての詳しい内容(どの部分が、どのような根拠で省略できるのか、を含む)。
⑫2017年に検査手続きの一部が省略されたことが、今回の偽装側溝事件の端緒となりえた可能性について、これまでの調査で判明した内容から指摘されうる事項。
**********

 開示された情報は、⑥の群馬県型側溝承認申請書と承認書、そして⑦の技術基準で、⑫は開示資料の中に特定された文書は見当たりませんでした。

 ⑥では、令和2年9月17日付で群馬県型側溝承認申請書が磯貝建材から県土整備部長あてに提出され、同年9月24日付で県土整備部長から磯貝建材に工場検査通知が発出され、同年10月8日午後2時から磯貝建材安中工場で、県から派遣された職員2名による工場検査が行われ、同年10月21日付で承認書が磯貝建材に交付されたことがわかります。

 ⑦では「群馬県型側溝承認要領」が令和5年4月1日から一部改定されており、それまでの「基準通知(群馬県が他側溝承認要領)の一部改定について(通知)」(令和元年12月17日付建企第30011-35号)は廃止されています。この承認要領の目的は、県の承認を得ると、品質の確保及び受注者の品質規格証明業務と監督員の確認業務の省力化が可能となると第1条でうたわれています

 申請の受理後、県土整備部長は、職員のなからか検査員と立会者を指定し、申請者に検査日を連絡し、申請者の工場で製造した資材について、最も生産個数の多い側溝、蓋、管渠型側溝のそれぞれ1種類ずつについて、定められた承認検査を行い、結果を県土整備部長に報告するとされています。

 検査項目は「外観」「性能」「配筋」「材料・製造方法」「形状、寸法・品質管理体制」とあります。また、承認の有効期間は3年間となっています。

 承認を受けた対象資材(側溝)は、工事請負者(受注者)が承認表示部分(ぐんまちゃんマーク)を写真に収めておけばよし、とされており、群馬県型側溝は、配筋と強度の測定を省略できる、と第8条で規定されています。

 また、承認を受けた場合、その後毎年1回ずつ、JIS製品に係る品質管理責任者が自主検査をして結果報告書を県土整備部長に提出することが義務付けられます。ところが、磯貝建材の場合、このJIS製品品質管理責任者は、社長だった磯貝昇が自ら務めていました。これでは、自ずと結果はさもありなんとなるわけです。

 検査調書では、外観(キズ、ひび割れ、欠け、反り、ねじれ)、性能(曲げ強度)、鉄筋の配置(主鉄筋の数・径、配力筋の数・径、配筋均等状況)、使用材料・製造方法(示方配合表、強度、セメント、砂利、砂、鉄筋でいずれも書類確認)が項目として挙げられています。ですが、磯貝建材の偽装は、見破れなかったわけです。磯貝建材が、あらかじめ検査用の製品を特別に準備し、それ以外の製品は手抜きだらけのものが常に出荷されていたことがうかがえます。

 とりわけ、心配なのは、使用材料・製造方法が書類確認だけで済まされていることです。プレキャストコンクリート製品はJIS A 5364で規格が定められていますが、このうち「材料及び製造方法の通則」で、コンクリート骨材や鉄筋の材料について詳しく表されています。当会が入手した情報によると、磯貝建材は、鉄筋に使う鋼材の品質を証明する書類としてミルシート(鋼材検査証明書)を入手するため、鉄筋を1本だけ発注していたそうで、その後の更新の都度、やはり1本だけミルシートを得るために購入していたことから、鉄筋の寸法や形状に加えて、材質もごまかしていた可能性が高いと思われます。なぜなら、ミルシートのない鋼材では品質が担保されておらず、当然価格も安いからです。

 磯貝建材は、こうした偽装を日常的に行っていたとみられるので、コンクリート骨材についても、注意が必要です。JIS A 5364では、コンクリート骨材として、高炉スラグ骨材、フェロニッケルスラグ骨材、銅スラグ骨材、電気炉酸化スラグ骨材、溶融スラグ骨材や再生骨材の使用も規定されているからです。このため、暴利を得るために手段を択ばない磯貝建材が、地元の東邦亜鉛安中製錬所から発生する鉛やカドミウム、ヒ素入りの非鉄スラグに目を付けた可能性は十分あり得ると当会は懸念しています。

■上記の部分開示通知書は、群馬県県土整備部建設企画課技術調査係が事務担当課ですが、同じく令和5年11月15日付で、決定期間延長通知書が県土整備部契約検査課検査企画係から通知されました。

*****11/15決定期間延長通知書*****
                       契第57-40号
                       令和5年11月15日
<開示を請求された公文書の内容又は件名>
①県発注の道路工事で指定強度に満たないコンクリート製側溝(偽装側溝)が使われた32カ所の当該工事の契約日、工期、工事名、施工受注業者、金額、側溝の型式、仕様、数量
②当該工事を施工した22社に側溝の交換を指示した内容を記した文書。
③調査対象は過去5年分だが、これ以外にも規格外の製品が使われている可能性があると判断した根拠。
④県発注の道路工事で偽装側溝を使用したのが、県土整備部扱いだけではなく、他部署(農政部、環境森林部など)でも使用した可能性があると判断し、情報を共有したかどうか。
⑤市町村発注の道路工事に使われている可能性を鑑み、市町村に今回の調査結果について情報提供した事実。
⑧今年2月、甘楽町の林道整備工事で、外見から品質が劣ると見られるコンクリート側溝が見つかった際の詳しい経緯(なぜ林道なのに県土整備部が把握できたのか、を含む)
⑨詳細に調べたところ、中に入っている鉄筋が県の定めた規格と比べて細く、本数も少ないことが確認できたことが県庁内で共有されることになった「不具合検査」報告書。
⑩前項⑨と関係するかもしれないが、過去5年間に、磯貝建材の製品が使われた34カ所の県発注工事を調査し、32カ所で「偽装側溝」が確認され、その使用区間は合わせて約3キロだったことを確認できた根拠。
⑪34カ所中、2カ所は磯貝建材の製品が偽装ではなかったことになるが、その理由(例えば、2017年頃製造したもので、まだ不正が行われなかった時期のものだった、を含む)
⑬発覚後、新たに発生した偽装側溝使用の事例や、是正工事の進捗状況
※⑥、⑦及び⑫は、別途通知する。
<条例第19条第1項の規定による決定期間>
令和5年11月1日から令和5年11月15日まで
<延長後の決定期間>
令和5年11月1日から令和6年1月4日まで
<延長の理由>
 開示請求に係る公文書の量が多く、対象公文書の特定や、開示・非開示の審査など、開示決定等に係る事務に時間を要するため。
**********

■そして、年度末休暇が迫る昨年12月26日に群馬県契約検査課から部分開示通知を受け、同日、部分開示された資料をCDで入手しました。

*****12/26公文書部分開示決定通知書*****
                       契第57-45号
                     令和5年12月26日
◆部分開示の概要
請求する公文書の内容/文書日付・文書名/開示状況/開示しない部分/該当条例/開示しない理由
①県発注の道路工事で指定強度に満たないコンクリート製側溝(偽装側溝)が使われた32カ所の当該工事の契約日、工期、工事名、施工受注業者、金額、側溝の型式、仕様、数量/-・-/不開示/県の事務執行に支障を及ぼすおそれがある情報が記戟されている文書/第14条第6号/当該公文書の存否を答えるだけで、県が行う群馬県型側溝に関する事務執行に支応を及ぼすおそれがあるため。
②当該工事を施工した22社に側溝の交換を指示した内容を記した文書/S.9.1・修補依頼文(22社)/不開示/県の事務執行に支障を及ぼすおそれがある情報が記載されている文書/第14条第6号/県が行う群馬県型側溝に関する事務執行に支応を及ぼすおそれがあるため。
③調査対象は過去5年分だが、これ以外にも規格外の製品が使われている可能性があると判断した根拠/-・-/不開示/-/-/当該請求に係る文書は作成しておらず、保有していないため.
④県発注の道路工事で偽装側溝を使用したのが、県土整備部扱いだけではなく、他部署(農政部、環境森林部など)でも使用した可能性があると判断し、情報を共有したかどうか/RS.9.21/県土整備部発注工事における規格外落蓋式側溝の使用について/部分開示/      県の事務執行に支障を及ぼすおそれがある情報が記載されている添付資料/第14条6号/県が行う群馬県型側溝に関する事務執行に支障を及ぼすおそれがあるため。
⑤市町村発注の道路工事に使われている可能性を鑑み、市町村に今回の調査結果について情報提供した事実/R5.9.12・県発注工平における偽装側溝の使用について/部分開示/県の事務執行に支障を及ぼすおそれがある情報/-/県が行う群馬県型側溝に関する事務執行に支障を及ぼすおそれがあるため。
⑧今年2月、甘楽町の林道整備工事で、外見から品質が劣ると見られるコンクリート側溝が見つかった際の詳しい経緯(なぜ林道なのに県土整備部が把握できたのか、を含む)/-・-/不開示/県の事務執行に支障を及ぼすおそれがある情報が記載されている文書/第14条第6号/当該公文含の存否を答えるだけで`県が行う群馬県型側溝に関する事務執行に支障を及ぼすおそれがあるため。
⑨詳細に調べたところ、中に入っている鉄筋が県の定めた規格と比べて細く、本数も少ないことが確認できたことが県庁内で共有されることになった「不具合検査」報告書/-・-/不開示/県の事務執行に支障を及ぼすおそれがある情報が記載されている文書/第14条第6号/当該公文書の存否を答えるだけで、県が行う群馬型側溝に関する事務執行に支障を及ぼすおそれがあるため.
⑩前項⑨と関係するかもしれないが、過去5年間に、磯貝建材の製品が使われた34カ所の県発注工事を調査し、32カ所で「偽装側溝」が確認され、その使用区間は合わせて約3キロだったことを確認できた根拠/RS.9.1・修補箇所一覧/不開示/県の事務執行に支障を及ぼすおそれがある情報が記載されている文書/第14条第6号/県が行う群馬型側溝に関する事務執行に支障を及ぼすおそれがあるため.
⑪34カ所中、2カ所磯貝建材の製品が偽装ではなかったことになるが、その理由(例えば、2017年頃製造したもので、まだ不正が行われなかった時期のものだった、を含む)/R5.9.1・修補箇所一覧/不開示/県の事務執行に支障を及ぼすおそれがある情報が記載されている文書/第14条第6号/県が行う群馬県型側溝に関する事務執行に支障を及ぼすおそれがあるため。
(※当会注:⑫は、なぜか県からの開示通知では、欠番となっています)
⑬発覚後、新たに発生した偽装側溝使用の事例や、是正工事の進捗状況/-・-/不開示/当該請求に係る文書は作成しておらず、保有していないため。
**********

 このように、肝心の情報はいずれも群馬県情報公開条例第14条第5号に該当するとして、存否応答拒否、もしくは不存在、ないし「事務事業に支障を及ぼすおそれがあるため」を理由に不開示とされました。

 結果的には、磯貝建材の破産手続の準備が整うための言いわけに過ぎなかったことが分かります。

■その後も当会では、県土整備部契約検査課検査企画係の矢嶋正課長補佐から、不開示となった情報についても、今年5月の連休前あるいは連休後、さらに遅くとも今年6月ごろまでには開示できる部分の情報開示の可能性を検討しているとする電話連絡をいただいていました。

 今年度に入ると、人事異動により、県土整備部契約検査課の次長に、それまで新型コロナワクチン室長だった総務畑の青木敏彦氏が任命され、契約検査係長には、それまで安中土木事務所企画調査係長だった吉田晃一補佐が就きました。しかし、懸案の情報開示については引き続き消極的な対応が続いていました。

 そうした最中に飛び出した今回の衝撃的なニュースに、当会は、安中市でちょうど29年前に発覚した土地開発公社を舞台にしたタゴ51億事件のことを思い出さざるを得ません。つまり、行政は都合の悪い不祥事件が発覚した場合には、徹底的に情報を隠蔽し、最終的には住民の血税で尻拭いをして、事件に関係した公務員の責任を問おうとしないからです。

■当会では、当初から、この安中市内にある側溝製造業者を巡る不正側溝事件は、群馬県がその業者に対して品質に問題がないとする証明書を与え品質検査を免除していることもあり、また、当会に寄せられた情報によるとその業者は長年に亘って不正側溝を製造してきたことから、事件の背後には巨額の不法利得の存在がうかがえるため、第二のタゴ事件の匂いを嗅ぎ取っていました。

 また、不正な土木資材に対して、県が使用のお墨付きを与え、その結果、莫大な利権が生じる構図は、大同特殊鋼の渋川工場が副産物として長年に亘り大量に排出していたフッ素や特価クロム鉄鋼スラグを、群馬県県土整備部が再生砕石と同等だというお墨付きを与えたことで、大同特殊鋼から有害スラグの使用を独占的に扱っていた佐藤建設工業を彷彿とさせます。

 この佐藤建設工業が得た特権を真似て、東邦亜鉛の安中製錬所から排出される鉛やカドミウム、ヒ素などの重金属を含む有毒な非鉄スラグに目を付けて、これまた莫大な利権を手に入れた岡田興業と岡田工務店による不正事件があります。

 これらのスラグの不正使用を巡る群馬県環境森林部の隠蔽体質も、今回の磯貝建材を巡る不正側溝の不祥事件での県土整備部の対応と重ね合わすことができます。

■今回の磯貝建材の破産手続開始となれば、当会が県警捜査2課に提出してあった告発状が未だに正式受理されていない現状を鑑みると、県警の対応の遅滞の責任は、捜査2課に十分に負っていただく必要があるのではないか、と当会は痛感しております。

 群馬県は、32ヶ所の不正側溝を使用した偽装現場に係る情報開示を延ばしに延ばした挙句、不正側溝にかかる安全性のレベルの確認と称して、県外の業者に強度検査を特定の県内の検査業者を通じて委託するなどして、それも公表もせずに密かに実施してきました。

 その結果、群馬県が昨年2月に発覚して昨年9月に記者発表し、今年5月31日をもって磯貝建材が事業を停止して自己破産手続を開始するまでの経緯をあらためて振り返ると、群馬県による業者の「破産」を待ち、その状況を踏まえて「しょうがないので、公費で再工事をするしかないな」というシナリオだったことが浮き彫りにされました。

 29年前に安中市を震撼させたタゴ51億円事件と同様、事件にかかわった多数の公務員や取り巻きの業者らは、結局何ら責任を問われませんでした。タゴが昨年1月9日に死去した現在、配偶者ら遺族は直ちに相続放棄の手続きをとり、毎月1万円ずつあと約1万8000年間を返済する義務はもう誰も追う者がおらず、他方、安中市は群馬銀行との和解金103年ローンをあと78年分遺しており、こちらの債務については、市民の血税を充当すればいいや、とばかりに、群銀との交渉すら、やる気が全くありません。

 この磯貝建材の事件でも、今回のシナリオの作成に関与したとみられる公務員は数多くいることがうかがえます。そして、磯貝建材が自己破産となると、結局、そのツケは我々納税者住民の税金による負担とさせられてしまうことになります。


安中市簗瀬620-1にある磯貝建材の工場。2024年4月27日午後撮影(以下同様)








サイロの社名が消されている

操業停止中の週末にもかかわらず、駐車場には4台の車があった。この時(4月27日)には既にシナリオに沿って、着々と進んでいたのかも

■本来であれば、群馬県はもとより、磯貝建材の不正側溝が公共工事で使用された安中市などの自治体は、群馬県の記者発表や、県から送られてきた情報に基づき、ただちに行政代執行による再工事の方針を経て、修補に必要な費用を原因者である当時の磯貝建材の経営者に求償するための民事訴訟を提起すべきだったのかもしれません。

 先行して民事裁判を提起しようともせず、一方、刑事罰としてこの不正事件を逸早く警察に告発していた当会としては、「群馬県は、不正側溝を使用した工事については、例外なく、すべて請負業者にやり直しを命じる方針だ」という群馬県県土整備部からの事情聴取内容を県警が鵜呑みにしているらしく、未だに正式な告発受理をためらっている事情を憂慮しています。

 さらに、当会は、今回の不正事件の直接の当事者でないため、民事裁判を起こす権限もありません。唯一、住民監査請求を通じた損害賠償のための住民訴訟は可能ですが、訴訟を提起しても、裁判所が行政のかたを持つため、勝訴できる担保はありません。

 そうした「刑事」と「民事」の両面に存在するジレンマの「間隙」を縫うように、磯貝建材の磯貝昇・前社長への火の粉の降り掛かりを避けるために、群馬県としては(そして安中市にも相当な責任がありますが)、巧みにシナリオを描いてきたのではないか。そのために、これまでこの事件の真相究明や責任明確化を延ばしに延ばしてきたのではないか。当会はこのような疑念を振り払うことができません。

■当会に3月頃寄せられた情報によれば、磯貝建材の前社長は、市内のテニスコートでテニスを楽しんでいる姿が目撃されたとのことです。今から思えば、その時はすでに、自らに火の粉が及ばないよう、巧みに作られたシナリオの内容を本人は知っていたのかもしれません。

 仮に、もっと迅速に県警が当会の告発状をもとに、初動捜査を進めていれば、今回の自己破産準備開始の手続きに影響を及ぼしたに違いありません。なぜなら、税理士、会計士、あるいは弁護士ら破産手続を進める資格のある人物は、依頼されてもいずれも受任しなかったかもしれないからです。

 読者の皆様にお願いがあります。今日の報道以降、磯貝建材の前社長が、どこかで和やかにテニスを楽しむ光景が目撃された際には、匿名で構いませんので、直ちに当会あてご連絡賜れれば幸いです。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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職員の安全確保?令和6年度群馬県職員録の販売を突然停止した群馬県人事課の思惑とは

2024-06-06 16:48:58 | オンブズマン活動

昨年度まで毎年発行され、一般販売されていた群馬県職員録

■当会は、毎年6月になると、県庁の地下1階にある生協のカウンターで当該年度の「群馬県職員録」を購入しています。これまでの購入履歴をチェックしたところ、平成30年度は税込みで900円でしたが、その後、令和2年度、3年度、4年度は950円となり、令和5年度は1050円となりました。値上げラッシュの今年度は1150円になるのかな、と思いつつ、1,000円札と小銭を用意して、6月3日の昼休みに県庁の地下1階を訪れました。


例年、6月の営業初日に当該年度の群馬県職員録を販売開始している群馬生協生活協同組合のカウンター。群馬県庁の地下1階にある

 いつもなら、生協のカウンターに、当該年度の「群馬県職員録」が山積みされていて、生協の販売担当者が威勢よく声がけをしているのですが、今回は、誰もいないし、カウンターの机の上はガランとしています。近くにいた女性の担当と思しきかたに、「あのう、今年度の群馬県職員録はどこで売っていますか?」と尋ねたところ、思いもよらない返事がありました。

「今年度から職員録は販売中止となりました」

■当会は仰天して、「いったいどうしたわけですか?」と訊くと、「こちらもなぜだかわかりませんが、私たちも困ってしまっているんです」とのこと。そこで「誰が販売取りやめを決めたのですか?」と重ねて訊いたところ、「人事課です」という返事でした。





 さっそく、昼休み時間も終わったので、県庁8階にある人事課に向かいました。応対してくれたのは、人事課企画係の久保塚直樹係長と、高橋風子副主幹でした。

 なぜ県職員録を今年度から販売中止としたのか、理由を尋ねたところ、「職員の安全確保」ということで、「きちんとした使い方をする人ばかりでなく、そうでない使い方をする県民がいるため、こうした措置をとった」とのことです。例としては、「営業電話から職員を安全に隔離する」ということが挙げられました。

 当会からは、「かつて20年ほど前までは、群馬県職員録は自宅の住所や電話番号も記載されていたが、その後、プライバシーの観点から記載をやめるようになった。県の職員の氏名と所属部署と職位は、行政サービスの基本情報なので、従来通りで何ら支障はない筈。電子化の流れで、ホームページに掲載しているのであれば、そのURLを教えてほしい」と申し入れました。


当会が保存している平成14年度(2002年度)の群馬県職員録。当時は、職員の自宅住所や電話番号まで掲載されていた。印刷は朝日印刷工業㈱。

 しかし、群馬県人事課によると、そうした措置はしておらず、そもそも職員録の製本版の販売中止すら、プレスリリースをしておらず、こうして問い合わせがあった場合には、「今年度から職員録は販売しませんので、ご理解をお願いします」と伝えることにしているのだそうです。

 なお、人事課によれば、今年度以降も、県内の市町村や、県の外郭団体向けには、群馬県職員録を配布するようです。しかし、一般の納税者・県民には販売しないわけで、この線引きの範囲についても質問しましたが、明確な回答は得られませんでした。

■確かに、紙の「職員録」の廃止については、いくつかの自治体で実施されています。

 例えば、山形県では、事務事業の見直しの一環として、2023年度から、紙の職員録を廃止し、データ化による経費削減を図っています。

**********山形新聞2023年7月30日10:48
紙の「職員録」廃止 県、事務事業見直しの一環・データ化し経費削減図る

県は紙の職員録の発行を止めた。最後となった2022年度版(右)と、県人事課に残る1912~14(大正元~3)年度版(左上)と43年(昭和18)年度版
 県は明治時代から発行してきた紙の「職員録」を本年度から廃止した。事務事業の見直しの一環で、県人事課は職員の作業時間約320時間、経費約170万円の削減につながるとみている。一般販売もしていたため、企業や個人から「今年は出ないのか」と問い合わせが40件程度寄せられており、県人事課は「趣旨を説明し、理解してもらっている」としている。
 同課によると、職員録には病院など一部部局を除きほぼ全ての正職員の氏名と役職、担当などを記載していた。2022年度は約3100部を作り、約1400部を庁内や出先機関に配布した。約1220部は関係団体が購入し、残りは県庁の売店で1冊2400円で販売していた。各部局による掲載内容確認など製作に要する職員の負担が大きく、昨年度から廃止を検討してきた。
 全国でも同様の動きがあり、神奈川県や愛媛県などは既に紙の職員録の刊行をやめている。東北の他県は、県や県庁生協が発行・販売を続けているが、福島県は省力化と経費削減を目的に19年度から庁内向けを電子データ化した。宮城県の担当者は「紙での発行の是非については毎年予算要求の段階で話題に上る」と話す。
 県は本年度の職員録については内容を簡略化・データ化し庁内のネットワークで閲覧できるようにしており、業務に支障はないという。また、外部向けに代替策として幹部職員名簿を県ホームページに公開している。
**********

 千葉県も同様に、2024年度からインターネットの普及やペーパーレス化の推進、コスト削減のために職員録の作成を終了しています。

**********千葉県HP 2024年5月16日
印刷報道発表案件 更新日:令和6(2024)年5月16日 ページ番号:665395
「千葉県職員録」の作成終了について
発表日:令和6年5月16日  総務部人事課
 これまで毎年作成していた「千葉県職員録」については、インターネットの普及による問い合わせ手段の充実、ペーパーレス化の推進やコスト削減などの観点を踏まえ、本年度以降、作成は行いません。
<職員名簿の閲覧について>
 県職員や市町村などの関係機関における業務用として、簡易な「職員名簿」を作成します。
 職員名簿は文書館・地域振興事務所において閲覧が可能です。
 (文書館では有償による複写も可能です。)
 なお、「千葉県幹部職員一覧」については、引き続き千葉県ホームページに掲載しています。
<お問い合わせ>
所属課室:総務部人事課人材育成班
電話番号:043-223-2082
ファックス番号:043-224-2212
**********

 このほか、神奈川県では、2021年度から職員録を廃止しましたが、その理由は、群馬県人事課と同じく「職員録を使った職員への営業電話が後を絶たず、業務に支障が生じている」というものです。

**********神奈川新聞2021年6月16日(水)21:30
「営業電話が後絶たず、業務に支障」 神奈川県が明治期から続く職員録廃止へ

廃止される方針が決まった神奈川県の職員録。左は1928(昭和3年)のもの
 神奈川県が明治期から発行を続けてきた「職員録」を2021年度発行分から廃止することが16日、県への取材で分かった。職員録を使った職員への営業電話が後を絶たず、業務に支障が生じていることなどから廃止に踏み切る考えだ。
**********

 他方、一度、紙の職員録の廃止を決めたのに、1年後の今年度から、電子版と併用の形であるにせよ、復活した自治体もあります。愛媛県です。

**********時事通信社2024年05月18日03:50
紙の職員録、希望多数で復活=廃止1年、電子版と併用―愛媛県

紙冊子で発行された2018~22年度版の愛媛県職員録=16日、松山市
 自治体職員の名前や所属、内線番号を網羅した「職員録」。近年電子化する取り組みが各地で進む中、愛媛県は今年度、一度廃止した紙版を電子版と併用する形で復活させることにした。ペーパーレスの時代にも、すぐに使える紙冊子を求める多くの職員の要望に応えた。
 県は昨年度、紙冊子の発行をやめ、電子版を庁内ポータルサイトに掲載。年間180万円ほどの印刷費を削減した。しかし、人事課と県職員消費生活協同組合(生協)によると、一部職員が紙版を要望。生協が職員アンケートを行ったところ、1311人のうち約6割の771人が「紙での販売を希望する」と答えたため、復活を決めた。
 紙版はこれまで各部署や報道機関に無償で配り、さらに必要なら生協で購入を促していた。今年度からは無償配布せず全て有料に。価格は生協員が1000円、外部は1800円と以前と同額。2022年度は約4400部を発行したが、今年度は2000部ほどに減らす。庁内で希望を募り、5月下旬から販売する予定。
 人事課は電子版の導入の際、検索や索引の機能を取り入れ、利便性向上に努めた。担当者は、要望が多かった理由を「紙で保管したい人もいるのでは」とみる。紙冊子は毎年400ページほどと決して薄くはないが、庁内からは「職員の過去の所属を知りたいときに便利」(40代男性)、「紙は見たいときにすぐ開ける」(50代男性)との意見が聞かれる。一方で「検索できるから電子でいい」(20代女性)との声も。
 県が21年に策定したデジタル総合戦略では「ペーパーレス化の推進」が明記された。県はこれに沿って報道資料や議案書などを完全電子化してきたが、職員録は現時点で難しいようだ。ある幹部は「本当にアンケートの結果なのか。信じたくない」と落胆。別の幹部は「電子書籍がありながら紙の本があるのと同じ。紙も良しあしある」と評価していた。
**********

■こうした紙の職員録を巡る廃止の動きは、デジタル化の進展と環境への配慮、また経費削減の必要性から、全国的に見られる傾向であることは事実です。その代替方法として、職員録の情報は、必要に応じて電子データで提供されることが多くなっており、一部の情報は自治体のホームページで公開されることもあります。このような変更は、業務の効率化と公共資源の節約に寄与する側面を有していると考えられます

 しかし、群馬県の場合、「職員の安全」という理由が、職員録廃止の大義名分となっています。これは、一体何を意味するのでしょうか?

 事務に支障をきたすほど、業者からの営業電話の攻勢に悩むのであれば、電話口に業者が出たら、用件を聴き、単なる営業活動であれば、「窓口に名刺箱を置いてあるので、そこに名刺を入れておいてください」とぴしゃりと言えば済むのであって、「電話に出ることすら、煩わしい」ということになると、「単に静かに仕事場にいたい」ということと同じことではないでしょうか。

 しかも、群馬県の場合、人事課の説明によると、記者発表もせず、ホームページでも公表していないし、そうした予定もないとのことです。また、紙の職員録に代えて、電子版の職員録をホームページ上で公開すれば、何の問題もありませんが、その予定もなさそうです。

 となると、「職員の安全」というのは単なる名目で、当会のような市民団体からの追及をかわすために、職員に係る情報を最大限に秘匿しようという魂胆も見え隠れするという疑惑の念も湧いてきます。

■いずれにしても、群馬県人事課の説明はもどかしいので、情報開示請求をすることにし、午後1時40分からの県警本部での打ち合わせを済ませた後、土砂降りで雷鳴が轟く中、午後4時50分に県庁に移動して、定刻の5時15分までに公文書開示請求書を提出することが出来ました。



 群馬県総務部人事課から、どのような説明資料が出て来るのか、待ちたいと思います。

 ちなみに、公務員の氏名について、平成17年8月3日付の総務省の見解は「特段の支障の生ずるおそれがあ る場合を除き、公にするものとする。なお、特段の支障の生ずるおそれがある場合とは、 以下の場合をいう。 ① 氏名を公にすることにより、情報公開法第5条第2号から第6号までに掲げる不開 示情報を公にすることとなるような場合 ② 氏名を公にすることにより、個人の権利利益を害することとなるような場合」となっています。

 そして、ここでいう「公にする」とは、職務遂行に係る公務員の氏名を求められれば応じるとの趣旨であり、対外的に積極的に周知することまで義務付けるものではなく、また、上記取扱方針に基づき行政機関が公にするものとした職務遂行に係る公務員の氏名については、今後は、情報公開法に基づく開示請求がなされた場合には、「慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」(第5条第1号ただし書イ)に該当することとなり、開示されることとなる、としています。

 なので、今回の情報開示請求では、職員録も含めているので、予断は許されないものの、何らかの形で開示されるのではないか、と予測されます。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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磯貝建材製側溝偽装事件発覚から15カ月…未だに「真相調査中」の群馬県となぜか先行気味の安中市

2024-05-11 22:24:08 | 安中市の行政問題

磯貝建材の全景。群馬県コンクリート製品協同組合のHPからは現在、削除されている。

■令和5年2月に、群馬県甘楽町の林道整備工事で、外見から品質が劣ると見られるコンクリート側溝が見つかりました。あまりにも歪んでいたので、施工業者が不審に思い、施主の群馬県に報告したと思われます。しかし、群馬県はこの経緯を含め当会の情報開示請求に対して、ホンの僅か開示しただけで、未だに「本件調査中」を理由に開示を先送りしています。

 その後、県が詳細に調べたところ、中に入っている鉄筋が県の定めた規格と比べて細く、本数も少ないことが確認できたとしていますが、その7が月後の同年9月1日に、山本知事は知事記者会見で、この事件に関して次のように述べました。



「公共工事の適正性を維持するという観点、また県民の安心安全を守るという観点からもまずは、手直し工事などによって道路の安全性の確保に県として万全を尽くしていきます。そして、今後二度とこのようなことが起きないよう厳正に対処してまいります」

■この記者会見を受けて、当会はさっそく次のブログ記事を発表しました。
〇2023年9月9日:安中市内業者による側溝の偽装品製造から透けて見える行政とメーカーとの不透明な関係

 そして。令和5年10月4日に安中市長あてに行政文書開示請求書を提出しました。

*****10/4安中市行政文書開示請求書*****
<開示請求に係る行政文書の内容又は件名>
 磯貝建材に対して発注した又は磯貝建材の製品(側溝)を使用した安中市発注の工事案件リスト(発注時期、工期、工事名、金額、側溝の型式と数量)
**********

 この結果、10月17日付けで開示決定通知があり、同月19日に開示情報を受領しました。それによると、過去5年間で、農林課分が8工事、トータル646m、都市整備課分が1工事、トータル1135.3m、土木課のうち旧安中市区域が14工事、トータル974.7m、土木課のうち旧松井田町区域が39工事、トータル2665.2mであることがわかりました。

 ところが、開示資料に当該工事を受注した施工請負業者名が含まれていないため、令和5年10月19日に追加の開示請求を安中市長に提出しました。

*****10/19安中市行政情報開示請求*****
<開示請求に係る行政文書の内容又は件名>
磯貝建材に対して発注した又は磯貝建材の製品(側溝)を使用した安中市発注の工事案件リスト(受注した施工請負業者がわかるもの)
*********

 この結果、令和5年10月24日に開示決定通知があり、同月31日に開示を受けました。それを見ると、5年間の合計工事施工数は、㈱萩原工業が3、㈲さくら工務店が4、㈱飯沼組が5、亀建工業㈱が5、萩原建設㈱が3、小板橋建設㈱が12、㈲須藤工業が5、㈱田中土木が3、㈱野口組が1、鬼形建設㈲が2、安中土建㈱が1、㈱ユーキ建設が6、峰岸土木㈱が2、土屋建設㈱が4、㈱石井造園建設が3でした。

■一方、群馬県知事に対して、令和5年11月1日に公文書開示請求を行いました。

*****11/1群馬県公文書開示請求*****
<開示を請求する公文書の内容又は件名>
 群馬県は9月1日、「県発注の道路工事で、規格で定めた強度に満たないコンクリート製側溝が32カ所で使われていた。建材メーカーの磯貝建材(安中市)が、製品を偽装して工事業者に納入していた。県は、工事を施工した22社に側溝の交換を指示した。調査対象は過去5年分で、これ以外にも規格外の製品が使われている可能性がある。県だけではなく、市町村発注の道路工事に使われている可能性もあり、県は市町村に今回の調査結果について情報提供した。磯貝建材の製品は、一定の品質を満たしている群馬県型側溝(GpU)として、2017年から県の承認を受けていた。承認を受けると、県による検査手続きの一部が省略される。今年2月、甘楽町の林道整備工事で、外見から品質が劣ると見られるコンクリート側溝が見つかった。詳細に調べたところ、中に入っている鉄筋が県の定めた規格と比べて細く、本数も少ないことが確認できた。そのため県は、過去5年間に、磯貝建材の製品が使われた34カ所の県発注工事を調査し、32カ所で『偽装側溝』が確認された。区間は合わせて約3キロだった」と発表した。ついては、次のことがわかる情報。
①県発注の道路工事で指定強度に満たないコンクリート製側溝(偽装側溝)が使われた32カ所の当該工事の契約日、工期、工事名、施工受注業者、金額、側溝の型式、仕様、数量
②当該工事を施工した22社に側溝の交換を指示した内容を記した文書。
③調査対象は過去5年分だが、これ以外にも規格外の製品が使われている可能性があると判断した根拠。
④県発注の道路工事で偽装側溝を使用したのが、県土整備部扱いだけではなく、他部署(農政部、環境森林部など)でも使用した可能性があると判断し、情報を共有したかどうか。
⑤市町村発注の道路工事に使われている可能性を鑑み、市町村に今回の調査結果について情報提供した事実。
⑥磯貝建材の製品は、一定の品質を満たしている群馬県型側溝(GpU)として、県が2017年から承認した経緯(いつ、誰が、どのような協議を経て、どんな理由で承認したのか、を含む)。
⑦承認を受けると、県による検査手続きの一部が省略されることについての詳しい内容(どの部分が、どのような根拠で省略できるのか、を含む)。
⑧今年2月、甘楽町の林道整備工事で、外見から品質が劣ると見られるコンクリート側溝が見つかった際の詳しい経緯(なぜ林道なのに県土整備部が把握できたのか、を含む)
⑨詳細に調べたところ、中に入っている鉄筋が県の定めた規格と比べて細く、本数も少ないことが確認できたことが県庁内で共有されることになった「不具合検査」報告書。
⑩前項⑨と関係するかもしれないが、過去5年間に、磯貝建材の製品が使われた34カ所の県発注工事を調査し、32カ所で「偽装側溝」が確認され、その使用区間は合わせて約3キロだったことを確認できた根拠。
⑪34カ所中、2カ所は磯貝建材の製品が偽装ではなかったことになるが、その理由(例えば、2017年頃製造したもので、まだ不正が行われなかった時期のものだった、を含む)
⑫2017年に検査手続きの一部が省略されたことが、今回の偽装側溝事件の端緒となりえた可能性について、これまでの調査で判明した内容から指摘されうる事項。
⑬発覚後、新たに発生した偽装側溝使用の事例や、是正工事の進捗状況
**********

 そして、それから8か月が経過しましたが、未だに群馬県は当会の情報開示請求に対して、「調査中」と言い続けています。

■一方、安中市のほうも、その後のこの問題に対する対応状況について何ら情報発信がないことから、当会は令和6年3月1日に次の内容の行政文書開示請求書を安中市長に提出しました。

*****3/1安中市行政文書開示請求****
<開示請求に係る行政文書の内容又は件名>
磯貝建材社製の規格外製品を使用した工事等についての安中市の対応が分かる情報
**********

 すると、同年3月12日に開示決定通知があり、同月3月21日に開示文書を受領しました。

 それによると、前年の令和5年10月5日に、安中市は、群馬県の記者発表を受けて安中市発注の請負工事及び原材料支給について調査したところ、複数の箇所で磯貝建材社製のBOU3型側溝を納入していることが判明した、として、安中市の工事入札参加資格を有していて、非破壊検査実績もある㈱中井産業(高崎市八千代町2-4-26)から見積を取り、市内鷺宮字三本木地内で令和5年10月15日から11月2日にかけて、磯貝建材製GPU3型側溝の非破壊検査業務を計画し、同社に随契で121万円で電磁レーダーを使った非破壊検査を実施しました。その結果は次の表のとおりです。



 このほかにも、以下の文書が開示されました。

*****10/6起案用紙*****
起案用紙 2023100103&
文書番号 安財第189001号
起 案 日 令和5年10月6日
決 裁 日 同日
起 案 者 財政課契約検査係 主幹 室岡隆
決裁区分 部長
件  名 弁護士法律相談依頼について
修補が必要と認められた工事についての受注社に対する修補請求について、法律相談を依頼したく別添のとおり行政課へ依頼してよろしいか伺います。

=====弁護士法律相談依頼書=====
                     令和5年 月 日
行政課長 様
               企画政策部 財政課 中嶋清美
顧問弁護士 弁護士事務所所在地 安中市岩井2470-3 安中法律事務所内
      弁護士氏名 小坂 景子 電話番号027-386-6667
相談希望日時 令和5年10月19日(木)
<事件等の概要>
修補が必要と認められた工事についての受注者に対する修補請求について
【群馬県の対応】
今年2月の県発注工事で、磯貝建材製品の側溝が、県の定める規格と異なる鉄筋が使用されていることが確認された。
群馬県は過去5年間の県発注の工事のうち、磯貝建材社製の側溝で施工された34件の工事について調査した結果、32件の工事で県が定める規格を満たしていないことが判明した。
磯貝建材製の側溝を使用して工事を施工した元請業者に対して契約約款に基づき(別添資料)手直し工事を依頼し、磯貝建材については、群馬県型側溝承認を取り消した。
【安中市の対応】
・磯貝建材社製の側溝で施工された工事箇所について調査。
 13事業者  54現場  3,471.2mで使用確認。
・対象工事について現場の安全確認を実施済み。危険及び損傷個所無し。
・側溝が規格を満たしているか調査予定。(準備中)
・県と同様に、修補が必要と認められた工事については受注者に修補請求を行う予定。議会へ報告済み。
<法律上の問題点>
1.契約約款契約不適合責任により、修補請求することは妥当か
 県は、契約約款第53条第5項の「受注者の故意または重過失による場合は民法の定めによる」を根拠に受注者に修補請求を行うと聞いておりますが、受注者側から見ると、県により承認を受けている(工場検査を省略できる)道路側溝を、承認事業者である磯貝建材に発注・納品を受け、市の材料使用願いにより確認を受け施工したものであり、その一連の行為が、「受注者の故意または重過失」にあたるのか、ご教示願いたい。
2.独占禁止法優越的地位の濫用
 前記内容により、受注者に修補請求することは、優先的地位の濫用にあたらないか、ご教示願いたい。
3.調査費用について
 市では、使用された側溝について、不適合製品であるかの調査を実施しますが、その費用について、磯貝建材に請求することは可能か、ご教示願いたい。
<出席予定者>
企画政策部 部長 町田博幸
企画政策部 財政課 参事 中嶋清美、主幹 室岡隆
<添付書類>
1 契約約款(抜粋)
2 群馬県型側溝承認要領

=====弁護士法律相談報告書=====
                      令和5年11月9日
行政課長 様
                      財政課長
相談日時  令和5年10月30日(月)9時30分~10時20分
相談弁護士 弁護士 小坂景子
相談場所  安中市岩井2470-3戸田ビル1階西 安中法律事務所
出席職員  企画政策部長町田 財政課長中嶋 契約検査係長室岡
●相談した事件等の要旨
※相談を行った項目ごとになるべく箇条書きで記入してください。
1. 契約約款に基づき、契約不適合責任により、工事受注業者へ修補請求することは妥当か
2. 前記内容により受注者に修補請求することは、優先的地位の濫用にあたらないか
3. 市では、使用された側溝について、不適合製品であるかの調査を実施しますが、その費用について、磯貝建材に請求することは可能か
■回答の要旨談
※先の相談を行った項目ごとに弁護士からの回答の要旨を箇条書きで記入してください。
1. 5年である民法の「故意または重過失」にあたるかどうかの判断は定型的なものがあるわけではなく一概には言えない。重過失については諸事情を考慮する必要がある。受注者にどんな義務があったか。受注者がどんな注意を払っていれば十分だったか。まず側溝製品の外見では判断できない。今まで県内で側溝の仕様を偽装した事件が明るみに出たことは無かった。県の承認を受けていても工場へたまには検査へ行くべきだったか。磯貝建材が粗雑な製品を納入しているという認識は市内業者に無くはなかった。発注者としては明確な原因者が受注者の先にいる以上請求することにはなる。(請求すればここで争ってもと考えて受注者としては請求に応じるかもしれない。実際に県工事では応じる業者がいる。)ただ2年以内は確実に契約不適合で請求できる。
(とはいえ県が5年で請求しているのに市が2年というわけにもいかないだろう。)
2. 独占禁止法における優越的地位の濫用とは、商取引上優位な立場にある者が商慣習に照らして不当な要求を行うことを指すが、今回の場合は既に締結されている契約に基づいての請求であり、優越的地位の濫用には当たらないと考えられるとのこと。
3. 契約不適合製品かどうか調査する費用を磯貝建材に請求できるかについては、
(契約不適合責任では)請求できないだろうとのこと。もう一つの請求根拠である不法行為は市の方に証明する責任が生じるが立証は難しいだろう。
  今後は県の対応も見ながら市長とも相談して決めていくことになる。類似の案件があるか、調べて知らせていただけるとのこと。
<今後の相談の有無>有り( 年 月 日)・〇無し

*****1/15起案用紙******
起案用紙 20240101661
文書番号 安財第290003号
起 案 日 令和6年1月15日
決 裁 日 令和6年1月16日
起 案 者 財政課契約検査係 主幹 室岡隆
決裁区分 部長
件  名 磯貝建材製群馬県型側溝使用業者への現地パトロール依頼について
 磯貝建材(株)が納入した群馬県型側溝の中に規格を満たさない製品が含まれていたとの群馬県の発表を受け、職員によるパトロールを行った上で安中市が発注した請負工事及び原材料支給につき非破壊検査を実施したところですが、今後群馬県に倣い破壊検査や修補請求を行う場合でも安全性について一定の結論が得られるまでは現地における安全を確保するためパトロールが必要と考えられることから、受注業者に対し下記の通りパトロールを依頼してよろしいか伺います。

1 対象工事  平成30年度から令和4年度に本市が発注し、磯貝建材株式会社製の群馬県型道路側溝(GPU3型、同横断型、同消音型)が納品された工事
2 パトロールの頻度  おおむね3か月に1回
3 期間  当面の間
4 報告の方法  ・別添様式のとおり
         ・なお、1回1現場あたり3枚以上の写真を添付、内訳としては遠景を1枚、近景を2枚以上
         ・提出先は財政課契約検査係、提出方法は紙又は電子データ

=====受注業者宛依頼状=====
受注業者各位
                           令和6年 月 日
                         安中市長 岩井 均

      磯貝建材製品が納品された工事箇所のパトロールについて(依頼)

 日頃、市行政にあたりましては、深いご埋解ご協力を賜り厚く御礼申し上げます。
 さて過日、本市定例記者発表で報告されました磯貝建材製群馬県型道路側溝の仕様偽装につきまして、現在調査中でございますが当面の間下記のとおり受注業者様による現地パトロールを依頼します。
 なお今回の依頼は当該側溝に起因する事故等の発生を未然に防ぐことが目的であり、ご多忙のところ恐縮ですが意図をお汲み取りいただいた上でご協力をお願いするものです。

                  記

1.対象工事  ・平成30年度から令和4年度に本市が発注し、磯貝建材株式会社製の群馬県型道路側溝(GPU3型、同横断型、同消音型)が納品された工事
2.パトロールの頻度  ・おおむね3か月に1回
3.報告書  ・別添様式のとおリ
      ・ なお、1回1現場あたり3枚以上の写真添付をお願いします。内訳としては遠景を1枚、近景を2枚以上です。
      ・提出先は財政課契約検査係(本庁3階)、提出方法は紙または電子データでお願いします。

          担当:安中市役所企画政策部財政課契約検査係 室岡
          電話:027-382-1111 内線1091
          電子メールアドレス:keiyaku@city.annaka.lg.jp


=====磯貝建材製群馬県型道路側溝使用工事に係る現地パトロール報告書=====
No./調査年月日/業者名/調査した者/発注年度/工事名/箇所名/側点名/結果
(例)
1/R6.2.3/○○(株)/安中太郎/令和〇年/□□号線道路改良工事/安中一丁目/No.20+2.0/問題なし

*****2/13起案用紙*****
起案用紙 20240201747
文書番号 安財第319002号
起 案 日 令和6年2月13日
決 裁 日 \\同日
完 結 日 令和6年3月31日
起 案 者 財政課契約検査係 主幹 室岡隆
決裁区分 課長
件  名 磯貝建材製GPU3型側溝破壊検査について
 磯貝建材(株)が納入した群馬県型側溝の中に規格を満たさない製品が含まれていたとの群馬県の発表を受け、安中市が発注した請負工事及び原材料支給につき非破壊検査を実施したところ、複数の箇所で磯貝建材(株)がGPU3型側溝を納入していることが判明したことから事故の未然防止のため非破壊検査を実施したところですが、引き続き下記の通り破壊検査を実施してよいか、また決裁後は安中市の工事入札参加資格を有志群馬県発注による破壊検査の実績もある安中土建(株)から見積書を徴収してよろしいか併せて伺います。なお、根拠法令として次の規則が該当します。
  ・政令第167条の2第1項第5号(緊急の必要により協働に付することができないとき。)

1 案 件 名    磯貝建材製GPU3型側溝破壊検査
2 履行場所    安中市鷺宮字三本木地内外
3 履行期間    令和6年2月19日~3月18日
4 設 計 額     1,887,600円(税込み)
5 予算科目    2-1-5-3-1-14節 工事請負費 (予備費から充当予定)
6 工事の概要   GPU3型側溝の破壊検査実施に必要な作業 一式 全5路線
7 前払い金の有無 無
8 部分払いの有無 無
9 契約保証金   無
10 見積依頼者   安中土建(株) 安中市安中三丁目15-17

=====磯貝建材GPU3型側溝(非)破壊検査 仕様書=====
1 案 件 名      磯貝建材製GPU3型側溝(非)破壊検査
2 履行場所      安中市鷺宮字三本木地内外
3 履行期間      令和6年2月19日~3月18日
4 業務等の概要   ・訴外建材製GPU3型側溝の破壊検査
           ・検査対象は別紙位置図に記載された路線とする。
           ・検査箇所はH30~R4年度、各1カ所とする
           ・各検査箇所における検査対象は側溝及び溝蓋各1個とし、配筋の径を調査できるようにするものとする。
           ・作業に際しては交通等の安全に十分配慮すること。

=====別紙位置図=====















**********

■こうして、安中市が、令和5年9月1日の県知事の記者発表のあと、当会が同月4日にこの問題で安中市内での偽装された道路側溝を使用した市発注工事リストを情報開示請求した直後に、該当工事で使用されている偽装側溝の状況を調査するため、安中市が非破壊検査業務として133万1000円を設計費として計上していたことがわかりました。

 しかし、こうした検査業務は、本来、群馬県が既に実施していたはずであり、安中市は県の検査結果を踏まえてから対応すべきです。そう考えると、なぜ、安中市が唐突に133万1000円をかけて非破壊検査業務を手金で実施したのか、背景と理由を調べる必要があると当会は考えました。その結果、やはり、群馬県からの意向を受けて、こうした非破壊業務を実施したのではないか、という疑問がわいてきたので、これはきちんと検証する必要があると判断し、令和6年4月16日付で監査請求を行うことにしました。

*****4/16住民監査請求*****
             安中市職員措置請求書

1 安中市長に関する措置請求の要旨
 2023年9月6日付の上毛新聞記事によると、「地元業者が規格外の側溝使用した問題受け、工事場所の調査に乗り出す 群馬・安中市」との見出しで「群馬県発注の道路工事で、規格外の側溝が使われていた問題を受け、安中市の岩井均市長は5日、過去に市が発注した工事について、該当する側溝の有無に関する調査に乗り出したことを明らかにした。側溝を納入した建材業者が地元業者のため、実態を把握する調査が必要と判断した。同日開かれた市議会決算審査特別委員会で報告した。今回の調査は、工事関係の書類が保存されている期間(国庫補助事業10年、市単独事業5年)が対象。工事した場所を把握した上で、現場で破損などがないかを確認する。同時に側溝が規格を満たしているかどうかも確認。規格を満たしていない場合には、契約約款に基づき、受注者に対し、再度工事を指示する方針。同業者の側溝をめぐっては、鉄筋の太さや本数、形状などで県の規格を満たしていない側溝が、県発注の道路工事で少なくとも32カ所(計約3キロ)で使われていたことが判明している。(宮崎秀貴)」とする報道が為された。
 このため、請求人は、規格外の側溝を納入した地元業者の製品が、どのようなかたちで安中市発注の道路工事に使用されたのかを確認すべく、2023年10月4日、同19日および2024年3月1日の3度にわたり、安中市長に対して条例に基づき関連情報の開示請求を行った。その結果、不当な財務会計上の行為又は怠る事実を以下のとおり確認したので、これを是正することにより市民全体の利益と安全を守るべく、住民監査請求を行う。
⑴ だれが(請求の対象となる職員等)。
  安中市長。
⑵ いつ、どのような財務会計上の行為を行ったのか
  規格外の製品を製造・納入した地元業者である磯貝建材㈱の製品「GPU3型側溝」が、安中市発注の公共工事に使用されたことに関連して、それらの製品が規格を満たしているかどうか、事故の未然防止のため確認する必要があるとして、安中市が2023年10月16日から同11月2日にかけて非破壊検査業務を実施した。
  そして、安中市はその費用1,331,000円(税込み)を安中市の一般会計「2-1-5-3-1-12節 委託費(予備費から充当)」から支出した。
⑶ その行為は、どのような理由で、違法又は不当なのか
  本件は、本来、GPU3型側溝の規格を定めた群馬県が、製造者に対して、規格に合致した製品を製造・納入するよう検査・指導・監督すべきであり、今回、磯貝建材製の規格外の側溝が2023年2月に甘楽町での県営の林道工事で使用が発覚したことを端緒に、群馬県知事が2023年9月1日の記者会見で公表したものであるから、当然に、群馬県に費用負担を申し入れるべき事案である。
  にもかかわらず、そうした手続きを怠り、安中市の一般会計から支出し、しかも現在に至るまで、群馬県に費用負担の申し入れの相談すら行っていない。
⑷ その結果、どのような損害が市に生じているのか
  すでに、令和5年度の決算が閉められており、この支出が損害として確定してしまった。
⑸ どのような措置を求めるのか(是正等措置を求める内容及び対象者)
  監査委員会は、安中市長に対して、市長が、以下の事項を速やかに実行するよう、勧告する。
  ①群馬県に対して、至急、安中市が支出した1,331,000円と相当な経費(人件費その他、金利も含む)の弁済を求める。
  ②なぜ、磯貝建材製の規格外の側溝が市内の公共事業で使われたのか、第三者委員会を設置し、経緯と影響を調査し、真相究明と責任の所在の明確化を通じて再発防止をはかる。
⑹ 財務会計上の行為から1年を経過している場合は、その正当な理由
  該当しない。

2 請求人
  住  所 安中市野殿980
  電話番号 090-5302-8312
  氏  名 小川 賢(自署)

 地方自治法第242条第1項の規定により別紙事実証明書を添え必要な措置を請求します。

令和6年(2024年)4月16日

安中市監査委員 殿

別紙:事実証明書
1 安中市行政文書開示決定通知書(令和5年10月17日安財第193004号)
2 安中市行政文書開示決定通知書(令和5年10月24日安財第206004号)
3 安中市行政文書開示決定通知書(令和6年3月12日安財第346003号)
**********

■ところが、その2日後の4月18日に監査委員事務局から電話があり、財務会計上の支出額は133万1000円ではなく、121万円であり、監査請求書を訂正するように指示がありました。

 さっそく、監査委員事務局で指示通り修正しましたが、事務局から「証拠を示してもらう必要がある」と言われました。当会は仰天し、「それは、監査委員の権限でお願いします。121万円という数字の根拠は、事務局で調べたのだから、それを監査結果として裁決書の中で、説明すればよいのではないでしょうか」と説明しました。事務局はいぶかしげな様子でしたが、粘り強く説明するとようやく納得してもらいました。

 住民監査請求の結果は60日以内が原則ですから、予定では6月15日が土曜日ですから、6月14日までに結果通知があることになります。

■そうしたなかで、5月10日に当会に「安中市が偽装側溝問題で記者発表を行った」という情報が14時から16時過ぎにかけて複数寄せられました。翌11日の新聞記事を見ると、確かに安中市が発表したことがわかりました。

**********朝日新聞デジタル2024年5月11日14:37
強度偽装の側溝は40カ所に 群馬県安中市、工事やり直し命令を検討

破壊検査した磯貝建材製のコンクリート側溝=群馬県安中市提供
 群馬県発注の道路工事で規格を偽装したコンクリート側溝が見つかった問題で、安中市は10日、市発注工事で同じ製造業者の側溝を検査したところ40カ所で偽装製品を確認したと発表した。工事請負業者に工事のやり直しを命じるか検討する。
 偽装側溝を製造したのは磯貝建材(安中市)。過去5年間に同社製側溝が使われた市道は約3・1キロで、ここから99カ所を抽出して県の規格に適合するか調べた。非破壊検査では35カ所、破壊検査では5カ所で規格で定めた強度を満たさない偽装製品が確認された。破壊検査では、鉄筋が県の規格6・35ミリに対し偽装製品は4ミリだった。
 破壊検査した場所は正規品に交換しているが、非破壊検査は偽装製品が設置された状態で、定期的にパトロールして点検する方針。市は今後、県の動きもみながら工事請負事業者への対応を検討していく。(角津栄一)

**********東京新聞2024年5月11日
側溝の部材偽装 少なくとも40カ所 市発注工事で確認 /安中
 群馬県発注の道路工事で県の規格に満たない側溝が使われていた問題で、安中市は10日、市が2018年~22年度に発注した工事で同様の部材偽装を少なくとも40カ所確認したと発表した。いずれも磯貝建材(安中)の製品で、県企画より細い鉄骨が使われていた。
 市によると、非破壊検査で県規格に満たない部材を35カ所で確認。各年度1ヶ所を抽出した計5件の破壊検査では、全て県規格に適合しなかった。
 市財政課は「抽出した箇所以外でも、同じ年度の同様の工事であれば部材が偽装された疑いがある。対応は先行している県の対応を踏まえて検討する」としている。
(石井宏昌)
**********

■当会は、この情報に接し、令和6年3月21日の時点で、非破壊検査結果の報告書は4月末までに出来上がると、安中市企画政策部財政課から聞かされていたので、ビックリしました。5月1日の時点でも、担当者からは、実際に破壊検査を行ったという説明は一切ありませんでした。

 しかし、3月21日に開示された公文書を改めてよく読んでみると、2月13日に安中市が地元の安中土建株式会社に随契で磯貝建材の規格外側溝の破壊検査を依頼しようとしていたことが分かりました。

 市側から非破壊検査について主に説明されたため、うっかり破壊検査のほうまで意識が回りませんでしたが、当会はこの「2月13日」という起案・決裁日について注目しています。なぜなら、この日は、この側溝偽造事件において、極めて重要なマイルストーンだからです。

 安中市側が破壊検査について、当会への説明が消極的だったのは、当会が積極的に質問をしなかったことが理由かもしれませんが、恣意的にそうしたのであれば、安中市特有の情報隠ぺい体質によるものかもしれません。近日中にあらためて、情報開示請求を通じて確認するとともに、現在進行中の住民監査請求にも、必要であればこの破壊検査にかかる公金の支出についても、関連付けを検討してみたいと考えています。

■本記事の末尾にもうひとつ指摘しておきたいことがあります。それは、群馬県が管理する県道や農林道なども同じですが、安中市が管理する市道や農林道などで、いったいどの場所に磯貝建材の不正な側溝が使用されているのか、住民に全く知らされていないことです。

 安中市は、受注業者に3か月に1度の頻度でパトロールするように要請していますが、群馬県は、32カ所で不正に作られた側溝を使用した工事が施工されたと記者発表しただけで、いまだに当該箇所を特定できる情報を公表していません。

 事故が起きてからでは遅すぎます。一刻も早く安中市は、磯貝建材の不正な側溝を使用した場所を地元の自治会長を通じて回覧板で住民に周知するとともに、当該現場に「危険個所」であることを示す目印を設置すべきです。群馬県も同様な対応を直ちに実施する必要があると思いますが、まずは当会の情報開示請求に対して、いつまでも「調査中」と言わずに、即刻、関係情報を開示することが先決です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】


コメント
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