田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

神様メール(Le tout nouveau testament)

2016年08月07日 16時13分28秒 | 日記

 神様はベルギーの首都ブリュッセルのアパートで、口ベタでおとなしい妻と10歳の娘と住んでいる。創造主である神は、実は意地悪な暴君で、パソコンを駆使して災いをもたらしては人々を翻弄していた。反抗心旺盛な娘のエアは、神の権威を失墜させるべく、こっそり余命を知らせるメールを人々に送ると、世界を救う旅に出る。兄のJC(イエス・キリスト)のアドバイスで、6人の使徒を見つけ、新・新約聖書を書き記すのだ。(映画の時間ウェブサイトより)

 

 

 

 突拍子もない内容でしたね。でも、とてもよかった。基本的にベルギーの映画なので、神様はブリュッセルに住んでいる設定です。天井がないほどの広い部屋で、パソコンを使って全人類の運命を動かしているのです。しかし、結構意地悪で、当然妻は女神なのにほとんどの言論を封印し、家庭内でも偉そうにしています。反抗的な娘を張り倒したりもするのです。神様なのに!怠惰な生活を送っているから、おなかも出てるし、いつも楽ちんそうなゆるめの服を着てだらしない。酒も適当な時間に思うだけ飲んで、そのままソファで大いびき。「こんな神様だったらいやだな」という要素をすべて網羅しています。

監督が「どの宗教もそうなんですが、男が男のために書いたような宗教ばかりで女性が出てこない。実際に聖書のページを繰ってみても女の人は2行くらいしか発言していませんから。だから、女性を登場させたかった」とインタビューで答えられてました。なるほどね~。そしてこんなことも。「私はカトリックの環境で育ちましたし、カトリック教育も受けています。神は存在し、善なるもので、かつ全能であると教えられました。でも、善人だったら権力は持たないし、権力を持っていたら善人じゃないと思ったんです」なるほどね~。

趣味で争いや事故を起こさせている父親に幻滅した娘エアは(平和が続くと人間はろくなことはしない、という神の考えはあながち間違ってはいないとは思うけど)、全人類に余命を知らせるメールを送った後、パソコンを機能停止させて人間世界へと下りてきました。自分の使徒を6人、選ぶためです。兄であるJC(Jesus Christ )にここからの脱出方法など、アドヴァイスをもらって。

場所はベルギー。うっかり人間に「兄はJCなの」な~んて言うと、「ジャン・クロード(ヴァン・ダム)!?」などと驚かれたりします。当然彼女はヴァン・ダムなんて知りません。彼女を見る目つきは非国民並みに・・・(笑)。

とまぁ、ずっこけな展開なのですが、一応彼女の誠実さは伝わるのと、やっぱり見かけがかわいいお嬢ちゃんだと言うことで、みな親切です。神の子ですから、もちろん非凡さもありますし。

対するお父さん。神ですね。彼は停止させられてあるパソコンを直すこともできずに、人間界までエアを追ってきます。しかし、自身の毒舌とだらしない見かけで、誰をも味方につけることができずに散々な目に遭います。まぁでも仕方がないですね。あんなに好き放題発言してはいけません。恵まれずに成人し、立派になっている神父さんにまで「おまえのあんなこと、こんなことも全部俺が仕組んだんだよ。ハッハッハ」と、出来事をべらべら羅列して笑うのですから、多分私でも張り倒します。

さて、余命を知った人間たちはどうしたでしょうか。悲喜こもごも。本当にそうです。寝たきり老人の下の世話まで一生懸命やっている看護婦さん(あるいは娘?嫁?)のほうが余命が短く、寝たきりのじっちゃんの方が長生きだったり。彼女は泣き崩れてしまいます。はたまた、ダウン症の息子を抱えた母親は、わかっているとはいえ、息子より遙かに短い自分の余命に、心中しようと枕をかぶせたりします。悲しいですね。でも本当にそうですものね、涙が止まりません。

しかしながら、人生を変えてしまう人たちもいます。あと数年なのに、なんであくせく働く必要があるでしょう。やりたかったことを思い出しチャレンジする人、エアに後押しされて人生を一歩踏み出す人。はたまた、冷め切った夫婦関係に終止符を打ち、ゴリラと恋に落ちる女性も!これがカトリーヌ・ドヌーヴですからね。でも、彼女は昔からややエキセントリックでしたね、確かに。

一方、余命が長い(つまり死なない)とわかったゆえ、無謀なことにチェレンジしまくる若者も。まぁわかる気もします。でもね、あくまで寿命ですから。「健康寿命」じゃないですから。パラシュートなしのダイブで、命だけ助かってまったく動けなくなったらどうするんでしょう。そこまで考えなかったのかな。

ともかく、悲喜こもごも。そして、無事6人の使徒を得たエア。携帯を持たない(つまり余命なんてもともと知らない)筆記者とともに、新・新約聖書を記し続けているうちに・・・。

 

話はやや突拍子もない感じに展開します。でも、いいんです。映画はあくまでファンタジー。実際の神様なんて、誰も見たことないのですから。お勧めです。

 

コメント
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