黒澤明監督の傑作時代劇「七人の侍」(1954)と、同作を西部開拓時代のメキシコに置き換えてハリウッドリメイクしたウエスタン「荒野の七人」(60)という2つの名作を原案に描いた西部劇。「トレーニング デイ」「イコライザー」の監督アントワン・フークアと主演デンゼル・ワシントンが今作でもタッグを組み、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」「ジュラシック・ワールド」のクリス・プラット、「6才のボクが、大人になるまで。」のイーサン・ホーク、ハリウッドで活躍する人気韓国俳優イ・ビョンホンらが共演した。暴虐の限りを尽くす男、バーソロミュー・ボーグに支配されたローズ・クリークの町の人々は、賞金稼ぎのサムを中心に、ギャンブラー、流れ者、ガンの達人など7人のアウトローを雇う。最初は金のため町を守ることになったサムらだったが、いつしかその目的が金だけではなくなっていることに気付く。(映画.comより)
カッコいい!スカっと気持ちいい勧善懲悪の映画でした。娯楽としても良くできている。フークワ監督、デンゼルをカッコよく撮りすぎ!痺れるだろ!背が高くて見栄えのするデンゼルは、本当にいいですね。見るからに「いい人」だし。
私、ビデオか何かで黒澤監督の「七人の侍」を見たことがあります。しかし、冒頭からいくら巻き戻して見ても、何を言っているのか聞き取れないんです。日本語なのに!それで、何度かやって諦め、とりあえず前に進めたのを覚えています。しかし、これはみんなそうなんですってね。プロの批評家でも「聞こえない」と言っているのをどこかで読んで、少し安心したものでした。
さて、今回の新作は、当然ですが聞こえます(笑)。字幕もありますし。黒澤版のように哲学的なことはなくて、明快なストーリーと演出です。もちろん、7人の侍たちは、それぞれにいろんな背景を背負っていますが、それはそれ。多くを語らない男たちなのです。
悪役はピーター・サースガード。なんか、少し痩せたかな?と思いました。そういう撮り方かもしれませんが。彼が、横暴の限りを尽くして街の人々を搾取しています。そして少しでも逆らおうものなら、容赦なく殺されます。7人の男たちを雇うエマも、夫を殺されてしまいました。彼女を代表とする街の住民たちは、なけなしのお金をはたいて、悪を懲らしめてくれる男たちを雇うのです。まずは賞金稼ぎのデンゼル・ワシントン。そして、彼が次々腕の確かな奴らをスカウトしてゆきます。そして、多勢に無勢、普通に見れば勝ち目のない戦いに身を投じてゆくのです。もちろん、決戦の前には住民を鍛えたり、街全体で準備をしたり、それなりの体制を整えます。決戦の日は、熾烈な展開に。悪役は戦いがスムーズにいかないと見るや、ガトリング・ガンを持ち出して撃ちまくり、マジでやばい、怖い。強い。果たして7人の男たちは?
7人のメンツもなかなかに渋いです。お調子者の色男にクリス・プラット。彼は、調子こいてるみたいに見えて、最後は、やってくれます。さすが!歴史に残るスナイパーでありながらトラウマを抱いているのはイーサン・ホーク。すっかり渋くなってどこのおじさんかと思いました。「恋人たちの距離」で、あんなに青年だったのに!(当たり前だ )。このイーサンといつも一緒にいるのがイ・ビョンホン。彼らは???な関係みたい。そんなところもイマ風。あとは、メキシコ人のガンマン(マヌエル・ガルシア・ルルフォ)と、はみ出しもののインディアン(マーティン・センズメアー。彼は一見小島よしおみたいです)、そしてエスキモーか、熊に襲われたディカプリオみたいな格好をしていたのがヴィンセント・ドノフリオ。出演しているはずのヴィニー・ジョーンズは、わかりませんでした。
お話は単純明快なので、「こいつが死ぬんだな」と思うとおりになったり、悪役がいかにも冷酷すぎたり、物足りない人もいるだろうとは思います。また、話が深くないので「七人の侍」と違う!と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、カッコいい男たちをカッコよく見せる、そんな監督の基本が、とても心地いい映画でした。お勧めです。