田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

ヴィンセントが教えてくれたこと(St. Vincent)

2015年09月20日 10時10分59秒 | 日記

 ビル・マーレイ扮する破天荒なダメオヤジが、12歳の少年との交流を通して生きる力を取り戻していく姿を描いたハートフルコメディ。アルコールとギャンブルを愛する、嫌われ者の偏屈親父ヴィンセントは、隣に引っ越してきたシングルマザーのマギーから、彼女の仕事中に12歳の息子オリバーの面倒を見るよう頼まれてしまう。嫌々ながらも引き受けたヴィンセントは、行きつけのバーや競馬場にオリバーを連れて行き、バーでの注文方法からいじめっ子の鼻のへし折り方まで、ろくでもないことばかりを彼に教え込んでいく。オリバーはそんなヴィンセントと反発しあいながらも、一緒に過ごすうちに彼の隠された優しさや心の傷に気づいていく。マーレイは本作でゴールデングローブ賞主演男優賞(コメディ/ミュージカル部門)にノミネート。オリバーの母親役に「ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン」のメリッサ・マッカーシー。「21グラム」のナオミ・ワッツが妊婦のストリッパー役で出演。(映画.comより)

 

 

 

 うふふ。こんなおもしろい小品が、なぜか田舎でも上映されてたんですね。もちろん、都会の一館上映ほどの珍しい作品ではありませんが、せっかくなんで見に行って来ました。

で、結論から言うと、おもしろかった!なんて良作!最初は「のんだくれ悪オヤジとシングルマザーに連れられた賢くおとなしい少年?そして彼らの立場を越えた友情物語?ありすぎだろ」って、少し懐疑的な目で見てました。

しかし、うますぎるビル・マーレイと事情ありすぎのシングルマザー(メリッサ・マッカーシー)。そしてもう一人、いい味出し過ぎのロシア系娼婦ナオミ・ワッツ。みんな、うますぎる。本当に素敵でした。

ナオミは以前もヴィゴ・モーテンセンの映画(クローネンバーグ父監督)で、ロシア系を演じてましたね。自身もロシア系なのかしらん。

ヴィンセントは、本当に悪オヤジです。チョイ悪なんてもんじゃありません。口の悪さはテッド級。下品で露骨、人種差別発言もなんのその。何が悪い、という体(てい)です。飲んだくれてるせいか、お金も底を突き、家の抵当分も使ってしまいました。口座を解約しようにも、預金以上に使いこんであって解約もできません。一獲千金のバクチ(馬とかね)なんかで幸運の女神がほほ笑むわけもなく、人生どんどん悪循環。ありがち~。

そんな彼にも、こっそりと「守るべき存在」があり、捨て鉢になっているようで、そうでもない部分も描かれてゆきます。そして、隣に越して来たシングルマザーと息子。親権を守るためにも、とにかく稼がなきゃいけない母親になり替わり、有料で子守りを引き受けることに。

でも、素行の悪いヴィンセントは、子供でもおかまいなし。競馬場やバーに同行させるわ、オッズの計算方法を教えるわ、娼婦をふつうに出入りさせてるわで、親権裁判でなお不利に。

でも彼は、ひ弱でいじめられっ子だった少年に護身を教え、賢い少年はオッズの複雑な計算もこなし、自分に自信をつけてゆくようになるのです。

今の子ですから、ひどいことをした父親を恨むような言葉も口にせず、「僕のお父さんであることに変わりはないから」と、週一の面会もきちんとこなす姿は、なんだかな~な面もありますが、人を罵ることより賢い生き方があるんだということを少年は天性で学んでいるのでしょう。まったく、大人の私達が学ばなければなりませんね。

ともかく、少年は社会でのあり方、人との関わり方をヴィンセントから学ぶのです。「夜の女」だって、みんな一生懸命生きている。誰かになにかが起きたら、親身になる。決して金持ちではなくても、それなりに正直に生きてゆけば、なんとかなるのさ~。人は一人では生きてゆけないんだから。でも、もちろん勉強も大事だぞ。・・・そんな、あれこれです。

心が温まること間違いなし。お勧めです。

コメント
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