11月23日に始まった第23回多摩映画祭TAMA CINEMA FORUMは、12月1日に終わった。
市民の運営による映画祭で、数多くある地方映画祭では規模も大きく、長く続いている。
会場は東京都多摩市のパルテノン多摩(多摩センター駅)、ベルブホール(永山駅)、ヴィータホール(聖蹟桜ヶ丘駅)の3か所で、上映本数も多く、それに新人の発掘・登竜門でもあるコンペティションも行われているのも特色である。
第5回TAMA映画賞の主な受賞作品、受賞者は以下である。
・最優秀作品賞
「横道世之介」沖田修一監督、「さよなら渓谷」大森立嗣監督、
・最優秀男優賞
松田龍平
・最優秀女優賞
吉高由里子、真木よう子
*
11月30日、第14回「TAMA NEW WAVE コンペティション」がヴィータホール(聖蹟桜ヶ丘駅)で行われた。
僕もこのコンペティションには、ここ数年一般審査員として参加している。
今年は130本の応募作品のなかから5作品がノミネートされ、朝10時過ぎより休憩を挟み連続上映され、受賞作品決定・発表、授賞式が終わったのは夜8時過ぎであった。
ノミネート上映作品は以下のとおりである(上映順)。個人的感想を付加しておいた。
□それからの子供
•監督・脚本=加藤拓人 •撮影=風間太樹 •音楽=加藤拓人
•出演=佐藤広也、細川唯、茅根利安、佐々木一夫
「父の蒸発した一軒家に一人で住む主人公の男のもとに、ふと知りあった女が勝手に転がり込んでくる。そこに絡んでくる、会社の同僚のさえない男と近所の子ども。やがて家は、借金のかたに売りに出されることになる。
仙台の街を舞台に、不透明な未来が描き出されていて、余韻を残した作品にまとまっている」
□あの娘、早くババアになればいいのに
•監督・脚本=頃安祐良 •脚本=寺嶋夏生 •撮影=野口健司 •音楽=原夕輝
•出演=中村朝佳、尾本貴史、結、切田亮介、尾崎愛、高橋卓郎
「古書店を営む中年男の主人公はアイドルオタクで、高校生の娘をアイドルに育てようと懸命である。そこへアルバイトとしてやってきた元演劇女優と高校生の娘に恋している男子高生が絡んで、順調に進んできたはずの親子の二人三脚が揺れ動きだす。
映画はシリアスな問題を含みながらも、コメディータッチに進展していく。台詞の節々にセンスが光り、ちょっと細部をリメイクすれば最も一般受けする映画となっている」
□バクレツ!みはら帝国の逆襲-世界解放宣言-
•監督・脚本=三原慧悟 •撮影=奥住洸介 •音楽=斉藤達也
•出演=三原慧悟、布施翔悟、酒井桃子、村上淳也、芋洗坂係長
「ダア…としか言わない男、ゴリラのような言動をする男。言葉を失った男たちが、ある日、自分の言葉を手に入れ、世界に逆襲する。
爆裂はどこまで轟き、誰彼に響いたのか? 若々しくも壮大なテーマが空回りした印象を残したのが惜しい」
□Dressing UP
•監督・脚本=安川有果 •撮影=四宮秀俊 •録音・音楽=松野泉
•出演=祷キララ、鈴木卓爾、佐藤歌恋、平原夕馨
「父親と二人で暮らす中学1年生の女の子は、普通の女の子だ。その子がある日、いじめっ子の男の子に対して、普段見せない凶暴性を見せた。なぜ? そんな時少女は、それまで父が隠していた死んだ母親の過去を知ってしまう。
現実と幻想が入り組んだやや難解な映画だが、完成度は高い。撮影当時小学6年生だったという主人公の存在感が際立っている」
□家族の風景
•監督・脚本=佐近圭太郎 •撮影=星潤哉 •音楽=airezias
•出演=池松壮亮、佐藤まり、中島茂和、園田光
「都会で一人暮らしをしている男が、母親が骨折したとの知らせで帰郷する。実家は、平凡な会社員の父親と、少し口うるさいがおせっかいな母の二人暮らしだ。息子の帰郷で、久しぶりの親子の団欒のはずが、思わぬ諍いに発展する。
家族を描いたまとまりのある映画である。大学の卒業制作作品というのに極めて完成度が高く感心させられたが、その分だけ若さに欠ける、つまり面白さに欠けるきらいがある」
第14回「TAMA NEW WAVE コンペティション」の受賞作品は以下の通りとなった。
・グランプリ
「Dressing UP」安川有果監督
・特別賞
「家族の風景」佐近圭太郎監督
・ベスト男優賞
池松壮亮 「家族の風景」
・ベスト女優賞
祷キララ 「Dressing UP」
市民の運営による映画祭で、数多くある地方映画祭では規模も大きく、長く続いている。
会場は東京都多摩市のパルテノン多摩(多摩センター駅)、ベルブホール(永山駅)、ヴィータホール(聖蹟桜ヶ丘駅)の3か所で、上映本数も多く、それに新人の発掘・登竜門でもあるコンペティションも行われているのも特色である。
第5回TAMA映画賞の主な受賞作品、受賞者は以下である。
・最優秀作品賞
「横道世之介」沖田修一監督、「さよなら渓谷」大森立嗣監督、
・最優秀男優賞
松田龍平
・最優秀女優賞
吉高由里子、真木よう子
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11月30日、第14回「TAMA NEW WAVE コンペティション」がヴィータホール(聖蹟桜ヶ丘駅)で行われた。
僕もこのコンペティションには、ここ数年一般審査員として参加している。
今年は130本の応募作品のなかから5作品がノミネートされ、朝10時過ぎより休憩を挟み連続上映され、受賞作品決定・発表、授賞式が終わったのは夜8時過ぎであった。
ノミネート上映作品は以下のとおりである(上映順)。個人的感想を付加しておいた。
□それからの子供
•監督・脚本=加藤拓人 •撮影=風間太樹 •音楽=加藤拓人
•出演=佐藤広也、細川唯、茅根利安、佐々木一夫
「父の蒸発した一軒家に一人で住む主人公の男のもとに、ふと知りあった女が勝手に転がり込んでくる。そこに絡んでくる、会社の同僚のさえない男と近所の子ども。やがて家は、借金のかたに売りに出されることになる。
仙台の街を舞台に、不透明な未来が描き出されていて、余韻を残した作品にまとまっている」
□あの娘、早くババアになればいいのに
•監督・脚本=頃安祐良 •脚本=寺嶋夏生 •撮影=野口健司 •音楽=原夕輝
•出演=中村朝佳、尾本貴史、結、切田亮介、尾崎愛、高橋卓郎
「古書店を営む中年男の主人公はアイドルオタクで、高校生の娘をアイドルに育てようと懸命である。そこへアルバイトとしてやってきた元演劇女優と高校生の娘に恋している男子高生が絡んで、順調に進んできたはずの親子の二人三脚が揺れ動きだす。
映画はシリアスな問題を含みながらも、コメディータッチに進展していく。台詞の節々にセンスが光り、ちょっと細部をリメイクすれば最も一般受けする映画となっている」
□バクレツ!みはら帝国の逆襲-世界解放宣言-
•監督・脚本=三原慧悟 •撮影=奥住洸介 •音楽=斉藤達也
•出演=三原慧悟、布施翔悟、酒井桃子、村上淳也、芋洗坂係長
「ダア…としか言わない男、ゴリラのような言動をする男。言葉を失った男たちが、ある日、自分の言葉を手に入れ、世界に逆襲する。
爆裂はどこまで轟き、誰彼に響いたのか? 若々しくも壮大なテーマが空回りした印象を残したのが惜しい」
□Dressing UP
•監督・脚本=安川有果 •撮影=四宮秀俊 •録音・音楽=松野泉
•出演=祷キララ、鈴木卓爾、佐藤歌恋、平原夕馨
「父親と二人で暮らす中学1年生の女の子は、普通の女の子だ。その子がある日、いじめっ子の男の子に対して、普段見せない凶暴性を見せた。なぜ? そんな時少女は、それまで父が隠していた死んだ母親の過去を知ってしまう。
現実と幻想が入り組んだやや難解な映画だが、完成度は高い。撮影当時小学6年生だったという主人公の存在感が際立っている」
□家族の風景
•監督・脚本=佐近圭太郎 •撮影=星潤哉 •音楽=airezias
•出演=池松壮亮、佐藤まり、中島茂和、園田光
「都会で一人暮らしをしている男が、母親が骨折したとの知らせで帰郷する。実家は、平凡な会社員の父親と、少し口うるさいがおせっかいな母の二人暮らしだ。息子の帰郷で、久しぶりの親子の団欒のはずが、思わぬ諍いに発展する。
家族を描いたまとまりのある映画である。大学の卒業制作作品というのに極めて完成度が高く感心させられたが、その分だけ若さに欠ける、つまり面白さに欠けるきらいがある」
第14回「TAMA NEW WAVE コンペティション」の受賞作品は以下の通りとなった。
・グランプリ
「Dressing UP」安川有果監督
・特別賞
「家族の風景」佐近圭太郎監督
・ベスト男優賞
池松壮亮 「家族の風景」
・ベスト女優賞
祷キララ 「Dressing UP」