東京11RNHKマイルC
◎1.ダノンマッキンリー
○14.アスコリピチェーノ
▲5.ボンドガール
△16.ジャンタルマンタル
×3.ディスペランツァ
×7.チャンネルトンネル
×18.アルセナール
近年屈指の好メンバーが揃った今年のNHKマイルだが、掛け値なしのA級マイラーと言えるような「ハッとする脚」を使ったのはファルコンSと秋明菊賞のダノンマッキンリーだけだ。負けた2戦はともに引っかかって伸びあぐんだが、G1レベルのレースで引っかかるのはエンジンがすごい証左だといつも書いている。母ホームカミングクイーンは1000ギニー馬で、ディラントーマス(全欧年度代表馬)の3/4同血の妹で、母としてもモイグレアスタッドS(愛G1・芝7F)のシェールを産んでいる。モーリス産駒としても血統も配合も最高点レベル。ここで前走のように上手くいく可能性が何%あるかだが、血統ナンバーワン爆発力ナンバーワンの馬が9人気ならノーガキたれまくって◎で悔いなし。
相手はダイワメジャーの2頭で、ルメールはマイルでメジャー産駒に乗ると前がかりのレースをするから今回のアスコリはかなり怖い。ボンドガールはNZTで前半うなってしまったが、あれで2着だから内容は悪くなった。しつこいようだが引っかかる馬は強いのだ。
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例によってNETKEIBAの全頭解説より1~3着を
ジャンタルマンタル
母インディアマントゥアナはレッドカーペットH(米G3・芝11F)勝ち。母父Wilburnはインディアナダービー(米G2・ダ8.5F)に勝ったA.P.Indy系。父パレスマリスはジャスティンパレスやアイアンバローズの半兄のカーリン産駒で、ベルモントS(米G1・ダ12F)に勝ちノーブルロジャーなどを出している。主として両親のナスキロ柔さで芝を走っている印象で、共同通信杯の追走を見てもベスト距離は1800だろう。ここも好走は間違いないがまた2着かも。(距離○スピード◎底力◎コース○)
アスコリピチェーノ
アスコルターレの半妹で、母アスコルティはJRA2勝(芝1200~1400)。母母リッスンはフィリーズマイル(英G1・芝8F)勝ち馬で、タッチングスピーチやサトノルークスやミスタージーティーの母でキングスレインの母母。母系にSadler's Wells入るダイワメジャー産駒といえばアドマイヤマーズにレシステンシア。母方の重厚さも強くて頑強で底力に富み、距離はもっと延びてもいいぐらい。高速東京で斬れ勝負になると一歩譲るのでそこをどうカバーするか。(距離◎スピード○底力◎コース○)
ロジリオン
ダブルウェッジの甥でメイショウレガーロなども近親。母ビービーバーレルはフェアリーSに勝ちブリーダーズGC3着と芝ダ兼用で活躍した。父リオンディーズは名牝シーザリオの息子でテーオーロイヤル、サンライズホーク、ピンクカメハメハなどを輩出。KingmamboとPulpitが強いマイラーで、大箱向きのストライドで実績どおり東京1400に向いた馬だろう。ファルコンは直線スペースがなく追えなかったが、1600に延びてどうか。(距離○スピード○底力○コース◎)
パドックではダイワメジャー2頭とアルセナールがよく見えて、アルセナールがあの身のこなしでなぜオークスに行かないのかはわからないですが、ユタカもルメールもメジャー産駒で先行したのはさすがで、これはどちらも勝ち負けになるなと思ったんですが…
好位外で余裕綽々の川田ジャンタルマンタルは、隣のアスコリピチェーノを意識して終始ブロック、直線も外に出せないと見たルメールは前のマスクオールウィンを内から抜こうとしたら、ちょうどそのタイミングでマスクも内に行ってしまい、その内にいたボンドガールとキャプテンシーは大きな不利を受けてしまいました
アスコリ自身も大きなロスで、あそこから立て直して伸びたのは地力上位としか言いようがなく、終わってみれば1人気2人気に支持されたジャンタルとアスコリが強かった今年のマイルC
母系にSadler's WellsとDanehill Dancerが入るのはレシステンシアと同じで、Sadler's WellsとDanzigが入るのはメジャーエンブレムと同じで、いつも書くことですがダイワメジャー産駒は母系がこれぐらい重厚なほうがいい(マイラー×中距離)
ロジリオンはファルコンSは直線カベで全く追えずじまいで、東京芝は[2-1-0-0]でコラソンビートに負けただけ、大箱向きマイラーなのはわかってたんですがちょっと盲点になってましたかね
ゴンバデカーブースはモルタル産駒ですから多頭数で揉まれたときが課題で、モレイラは馬群に入れずに回ってきて直線外から脚を伸ばしていました
ダノンマッキンリーは12秒台に緩んだときにちょっと噛んでしまいましたが、にしても直線ビュンとくるところが全くなかったのは1F長いんですかね…
ジャンタルマンタルについては、皐月賞のパドックを見たときに「ジェニュインやロゴタイプの系譜の馬だろう」と書いておいたんですが、この2頭よりはもう少しナスキロ質なフォームで、ナスキロ質ジェニュインと形容すべき馬で、1800ベースでマイルの後傾戦に強いし2000もスローならフワリと流れ込むというね、たしかに北米芝9Fホースのイメージです
<Curlinは北米で枝葉を伸ばしているミスプロ系の名種牡馬ですが、母父Deputy Ministerが見るからに強くて主として北米ダートで成功している>
<ただジャンタルマンタルの場合は母インディアマントゥアナが芝馬だったし、CurlinのDeputy Minister臭さはあまり感じさせない>
朝日杯の回顧でこのように書きましたが、そもそもSmart Strikeという血は、その3代母Classy Quilloがナスペリオン(NasrullahとHyperion)でありナスキロ(NasrullahとPrincequillo)、そういやダービー見に行くときにあの名店に久々に再訪するので楽しみすぎる(・∀・)
だからヌレサドをはじめとするSpecial血脈と合わせるとナスペリオン的要素を俄然表現し、Smart StrikeとNureyevの組み合わせといえば、ドゥラメンテ×Smart Strikeのスターズオンアース、Smart Strike×TheatricalのEnglish Channel(BCターフ)、English Channelの全妹でレッドレオンやレッドアステルの母となった優秀なレッドエルザ
Smart Strike×Fairy Kingにはエーポスやカイザーミノルの母となった優秀なストライクルートがおり、Smart Strike産駒ではブレイクランアウト(共同通信杯)なんかもSmart Strike×Baldskiで東京向きのナスペリオン的ストライドで走りましたよね
ここまで内外のGレースに勝ったパレスマリス産駒は計6頭いますが、その内訳は、ジャンタルマンタル(NHKマイルCと朝日杯)、ストラクター(BCJターフ)、ノーブルロジャー(シンザン記念)が芝で、Like the King(G3ジェフルビーS)がオールウェザー、Mr.Monomoy(G2リズンスターS)とFly on Angel(G3チャールズタウンオークス)がダート
思ったほどダートでふるわず思った以上に芝でふるったこと、パレスマリスの弟たちが日本で大活躍したこと、そしてパレスマリス自身のG1勝ちがともにベルモント競馬場で大箱向きなこと、ここらが日本にトレードされた因といえるでしょう
それは種牡馬パレスマリスが、父Curlinとは違ってDeputy Minister的な要素をあまり伝えず、Smart StrikeとRoyal Anthem(欧米の芝中距離G1を3勝)を経由するナスペリオン的ストライド(Classy QuilloとNureyev)と、CurlinとAck Ackを経由するClassy Quillo≒Sir Ivor≒Ack Ackのナスキロ的柔さ、この二つをよく伝えているからに他ならないだろうと
┌Nasrullah(≒Royal Charger)
┌○
Classy Quillo
│┌Princequillo
││ ┌Sickle(=Pharamond)
││ ┌○
└△┌○
└△ ┌Sir Gallahad
└△┌○
└△
┌Royal Charger
┌○
┌○┌Princequillo
│└△
Sir Ivor
│┌○┌Sir Gallahad
││└△
└△
│┌Pharamond
└△
┌○(Sir Gallahad3×4)
Ack Ack
│ ┌Royal Charger
│┌○
└△┌Princequillo
└△┌Sickle
└△
パレスマリスがもつClassy Quillo≒Sir Ivor≒Ack Ackのトライアルングル(上図のようにRoyal Charger≒Nasrullah、Princequillo、Pharamond=Sickle、Sir Gallahadが共通)が芝向きのナスキロ柔さを伝えているのは、日本で出走したディープインパクト系×Curlin肌の配合がオール芝馬に出ていること(下表参照)、English Channelの全妹レッドエルザがディープインパクトとの間に芝オープン馬を2頭(レッドレオンとレッドアステル)産んでいること、そしてディープインパクト×パレスルーマーで大箱芝のチャンピオン(ジャスティンパレス)が出たことからも容易に想像できます
日本においてディープ政権の後継はここ2~3年はひとまずキズナになりそうで、豪州ではG1勝ち馬の血統表にだいたいRedoute's ChoiceとI Am InvincibleとLonhroが入ってるし、最近の北米芝種牡馬といえばリーディングサイアーのKitten's Joyで、欧州以外の芝はずっとSir Ivorに支配されているといっても過言ではない
そんな観点でパレスマリスとその産駒の血統表をもう一度見直してみると、ジャンタルマンタルは母インディアマントゥアナが芝11FのG3勝ち馬でA.P.IndyとStorm Catを通じるWeekend Surprise≒Terlingua4×4で、これがClassy Quillo≒Sir Ivor≒Ack Ackにまともに脈絡するので、ようはディープ×Storm Cat×Unbridled's Songなんかとやってることは同じ
ストラクターとノーブルロジャーはともに母父More Than Readyで、これは上のようにSmart StrikeとWoodmanを通じるOuting Class≒Intriguingの3/4同血クロスになりますね
オールウェザーのLike the KingはNureyev≒Numberの3/4同血クロス5×5にA.P.Indyも取り込み、日本だと東京ダートになりそうな配合かな
そして北米ダート重賞に勝った2頭は、Mr.Monomoyが母父ヘニーヒューズで牝祖Shy Dancer、Fly on Angelが母父PosseでDeputy Minister4×4、ともにDeputy Ministerに(Deputy MinisterがもつBunty Lawless~Ladder≒Parade Girlのクロスに)フォーカスした配合をしているんですよね
つまりパレスマリスやパレスルーマーは、Smart StrikeやRoyal Anthemの芝向きの資質をよく伝えて日本の大箱芝で最も成功しており、ナスペリやSir Ivorにフォーカスした配合が芝で成功しており、いっぽうで裏技的にDeputy Ministerにフォーカスした配合をすると北米ダートの活躍馬も出ている、と
もはや大人気でなかなか付けられないと日高の生産者が嘆いているパレスマリスですが、ディープ系牝馬に配して芝狙いはもちろん第一手で、いっぽうでヘニーヒューズ牝馬との配合でダ1800狙いという方向もアリはアリかなと思いますね
BuckpasserもPrincequilloもWar Admiralも全く絶滅してない
欧州もDubawiやKingmanはSir Ivor持ちだし、Urban SeaはHopespringseternal持ちでFrankelも母がナスキロ(とTom Fool)持ち
もう世界中の芝がSir Ivorに埋め尽くされた感があります…
ありがとうございます!