即席の足跡《CURIO DAYS》

毎日の不思議に思ったことを感じるままに。キーワードは、知的?好奇心、生活者発想。観る将棋ファン。線路内人立ち入り研究。

混沌を楽しんでいる

2008年02月24日 18時07分50秒 | 将棋
遅ればせながら、先日の佐藤vs羽生の二冠対決、棋王戦第一局についてです。
(昨日の第二局は佐藤棋王が勝って1勝1敗になりました。)

やっと、囲碁将棋ジャーナル(長沼七段の解説)及び囲碁将棋チャンネル(大内九段の開設)を見て、いやあ、すごい熱戦だったなあ、と思った次第です。

佐藤二冠の地元京都で、雪の降る中行われました。
京都、和服、雪、番傘。
いやあ、日本っていいです。

187手の長手数。
なんと、最後の80手近くが一分将棋
その間の指し手のすごさ。
悪手という悪手もなく、緩い手さえない。
朝の九時から始めて、夕食休憩もなく終局が夜の8時半近く。
そして、公開対局

こんなすごい終盤のねじりあいをたった千円で観戦できた方々は、本当にうらやましいです。
一生忘れられないような、名勝負だったのではないでしょうか?

中でも、この局面。

佐藤棋王がもう後の無い状況からの△2二角
逆王手です。これで受かってます。
なかなか見られないですよね、こういうの。


そして、羽生二冠が、2~3筋の上部で佐藤玉を攻め立てている中での、
△9六歩
とじっと手を戻す。


何なんでしょうか?

忙しい局面で、今この一手を入れる必要があったのでしょうか?

攻め手はいろいろあるものの、やはりこれをいれないで攻め続けると、足りなくなる。

こんな混沌とした局面で、一分将棋で、こんな手が指せる。
これだけ読めるということの凄さ。

そして、△5六の馬に対して、▲4四桂と桂を跳ねた局面。

△5六馬はどこに逃げるのか?
逃げずに△3四銀と突進したらどうなるのか?

どちらにしても、▲4六桂と跳ねた空き王手がたまらない。

ここで出た、 △5五馬

歩の前に馬が逃げる!?

ひぇー、なんという手?
▲5五歩と馬を取った局面では、二重に角の筋を消して、無能化している。

馬を捨てること(歩で馬を取らせること)で、角をどうにも使えないような駒にしてしまう。

そしてゆっくり△3四銀と銀を取る。

こういう手、構想が何十手もの一分将棋の中で考えられる。

ずっと前から前例の無い局面なわけで、それを公開対局という状況で、何十手ものけものみちを突き進んでいく能力と体力。

将棋の魅力をあらためて思い知らされた一局でした。


このところずっと、
歩を「と金」に変える人材活用術―盤上の組織論
羽生 善治,二宮 清純
日本経済新聞出版社

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この本のこと(.)とか、羽生二冠についてあれこれや書いてきましたが、
やはり強く感じるのは、まだ誰も歩いてない道を自ら進んで踏み込んでいく気持ち、気力、です。

羽生二冠のように、混沌を楽しめる境地になるというのは無理かもしれないけど、
仕事でもなんでも、より難しく見える未知の世界を避けたりせず、逃げたりせず、前向きで踏み込む勇気を持たなければ、と真面目に思ったりもしました。

単に才能があるというだけでなく、そういう姿勢が感じられるからこそ、
この一戦も、見る人の心を打つんだなあ、と感じた棋王戦第一局でした。
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