大手菓子メーカーのバレンタイン向け新聞広告。手作りや豪華なチョコでなく、我が社の高級指向商品をこの機会にどうぞが伝わる。「この世界に、エレガントなひとときを」のコピーにオードリー・ヘップバーン(1929-1993年)の美しい横顔、何の不思議さも感じずに見とれてしまう(笑)。印刷された顔なのに間違いなく私宛にオーラが照射されている、ふっ。
この写真は髪型から『ローマの休日』(1953年作)のアン王女だろう。中学1年生の時に映画館で見てクマシカ(注)になった映画。後で、脚本のドルトントランボ、監督のウィリアム・ワイラー、相手役のグレゴリー・ペックのことを少し知り、あの時代に奇跡的に出来た映画だと思う。ヘップバーンあっての映画だが、若い時の反独レジスタンス協力、亡くなるまで国際的な人道支援に身を捧げたことも波風氏がクマシカから逃れられない理由になっている。
少し解説すると、波風氏は『ローマの休日』のアン王女が忘れられないのである。その他の出演映画は、アン王女ではないからイメージが混乱するので見なくて良いし実際避けている(笑)。坊主頭に制帽の12歳が暗闇で、新聞記者のグレゴリー・ペックに嫉妬し、悲恋に終わってほっとしたのだった。考えてみると、あれが初恋だったかもなあ。
人間の女の人に、ここまで美しい人がいるんだなあ。その後、そういう人にも、近い人にも会ったことがない(笑)。可愛かったり、優しかったり、愛らしかったり、賢かったり、整っていたり、色っぽかったりはあっても、ヘップバーンの美しさは人間離れしている。この広告の後、競争相手の広告が出た。ヘップバーンの後だと十人並み。前に、似たようなことをブログで書いたなあ。
このお姉さんなら近くにいるかもなあ、というコンセプトがこの広告の肝なんだろう。「エレガント」と「健康」の決戦。
(注)『クマシカ』とは、心に傷を負う『トラウマ』の対義語で、心が一皮剥けて全く新しい素敵な感覚が深く宿ること。もちろん波風氏の造語(笑)。
『海街diary』に続く『詩歌川百景2』(吉田秋生作:小学館)読む。久しぶりなので人物の相関を時々確かめながら。小説みたいでいて小説では描けない叙情の世界 家事の合間に小沢昭一氏の随筆集読む。海舟と小吉の後がこれ。ラジオとは違う人間性、哲学者の鶴見俊輔氏を思う。格好つけずに大事なことを言葉にできる人は良いなあ。