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腐怪な奇聞(薬果)

(前回の続き)
つまり…。
「お話を聞いても、まったく分かりませんけど、
6万円以上する新しい機種に変更してください」
「今まで通りに使えるかもしれませんけど、使えないかもしれません」

と言われたのだった。
もちろん、払えない金額ではないもの。
それなりに負担となる金額だった。
そんな“他人の負担”などを、
気にすることもなく話を進めていく姿勢は、あまりにも酷かった。
とてつもない疲労感もあり。
不意に考えるのも、話すのも、嫌になってしまった。
“これ以上、お話しても、ダメみたいですね”
“少し考えてみます”とだけ言うと、ブースを離れることにした。
携帯電話のコーナーから離れて、
大型量販店内をエスカレーターで移動しながら、
気持ちを落ち着かせていく。
こちらも会社組織(営利企業)で働いている身なので、
新しい商品やサービスをアプローチしていく姿勢は理解できない訳もない。
しかし、利用者の状況が改善されるとも思えないのに、
それなりの金銭的な負担となる新機種の購入を勧められるのは、
他人の事情など考えることもないという態度であり。
きわめて不誠実だった。

上りきったエスカレーターから、
下りのエスカレーターに乗り換えていた。
どうにもならなかった。
「今日は帰って、寝てしまうかな」としか思えなくなってきた。
下りのエスカレーターを降りると、
携帯電話コーナーの裏側にあるパソコンコーナーだった。
そのまま、出口へと歩いていくと、リンゴのマークに気が付いた。
パソコンだけでなく、タブレットやスマートフォンも展示されていた。
“ダメかも知れないけど、相談してみるかな?”
そう思って、メーカー製品を扱う販売員に声をかけてみることにした。
状態を伝えたところ、同じメーカー(ブランド)の商品であっても、
スマートフォンは分からないとのことだった。
それでも、メーカーの電話相談窓口があることを教えられた。
自宅に戻って、翌日以降に電話することも考えたが…。
「この時間でも、比較的、つながりやすいので、ご利用になってください」
…という言葉を受けて、
パソコンコーナーの端にあるベンチから、電話することにした。
幸いにも、スマートフォンの電話機能に問題はなく。
そのまま教えられた番号に電話する。
不特定多数の人たちが行き交う大型量販店内で、
個人情報を口にすることもあり得る相談を電話でするのは、
あまり望ましくはなかったけど。
これから自宅に戻れば、かなり遅い時間になるだけでなく、
この疲労感から、気が緩めば、そのまま眠ってしまいそうだった。
音声ガイダンスにつながり、その後、少し待たされたもの。
電話越しでの相談となった。
設定画面から、通知設定を変更していくように指示されていく。
他にも、いくつか細かな操作を指示されていくことで、
しばらくしたら、アプリが正常に起動する状態となった。
「今回の症状は、いくつか報告をいただいているものであって、
ウイルスやクラッカーによるものではありません。ご安心ください」

ということであった。



携帯電話販売会社の窓口やスマートフォンのブランドメーカーには、
それなりの事情があるのだろうか?
スマートフォンのような電子機器の操作を説明するには、
制約も多い電話での対応を行ってくれた相談窓口への感謝はあるもの。
それでも、今回のことは、きわめて不快だった。
一方的に、誰かを“悪者”とするのは正しくないのかも知れないけど。
いつも、寛容な気持ちでいられるハズもなく。
特に「何も分かりません」と言った携帯電話会社のコーナーの裏側は、
すぐメーカーの展示フロアだった。
電話での相談で解決した案件に対して、
ただ新機種を売りつけるように対応したことへの不信感は、
しばらく消えそうにない。
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