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サントリー京都ビール工場見学:後編


(前回の続き)
19世紀、フランスの細菌学者ルイ・パスツールによって、
アルコール発酵は、酵母の働きによるものだと確認される。
しかし、その数千年前のメソポタミアの時代から、パンやチーズ。
そして、ワインのような発酵食品は存在していた。
ビールのように、麦を”糖”に変えてから、発酵させる複発酵酒でさえ、
紀元前には作られていたのです。
電気やガスで温度管理ができるステンレスタンクも、
酵母を除去するマイクロフィルターもない。
おそらく、安定した水質で豊潤な水源地を確保するのも、
大変だった時代(水道局なんて無いのだから、ね)。
そんな数千年前から、科学的に解明されないまま、
体系化されていった技術が存在するのも、酒造現場の面白さ。

さて・・・。
麦汁に含まれる糖分を、酵母が食べることで、
アルコールと炭酸ガスへと変わっていく。
大手ビール産業の重要な部分を、こんな小さな生物が担っているのだと考えると、
不思議な気分になる。
約一週間で、発酵は終了となる。
その後、貯蔵される。
この貯蔵期間は、きっかり何日と決められている・・・わけではない。
酵母は、生き物。
本来、発酵食品(飲料)はバラつきがあってもおかしくない。
貯蔵用タンクには1万5000リットルと記されているものが、何本もある。
もしミスをすれば、商品として使えないだけでなく。
全てゴミになってしまう。
このような厳しい条件で、安定的に大量に出荷できる技術や高いレベルの検査は、
やはりスゴい。



余談:
検査室の天井は、斜めになっていました。
これは、品質検査や手入れによって発生する蒸気や水滴を、
室内にこもらないようにするため。
単純に聞いてしまえば、”なるほど”というだけの話。
しかし、同時に、一つのブランドが、いくつものノウハウによって、
構成されているのだと感じるときでもある。

今回の目的は、これにて終了。
サントリー京都ビール工場は、JR京都線「長岡京」にある。
(外部リンク「サントリー京都ビール工場」のページ)

この沿線には、ウイスキーの
「山崎蒸留所」もある。

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サントリー京都ビール工場見学:中編


(前回の続き)
ビールの原料は、二条大麦の麦芽、ホップ、そして水。
サントリーが、ビールへの”こだわり”としているのは、天然水(深層地下水)。
事実、ビールの9割は、水からできている。
見学コースをガイダンスしている女性も、強くアピールしていた。
そう言えば、ひとつ先には、山崎蒸留所もある。
(「山崎蒸留所」に関する最近の記事)
ウイスキーメーカーでもあるサントリーにとって、
”水”へのこだわりは、一貫した方針。
セールスポイントとして悪くない。

ビールの製造工程は、ワインなどの果実とは異なり、
一度、原料である麦(麦芽)の主成分である”でんぷん質”を、
糖分へと変える必要がある。
そのため、まず麦芽を粉砕し、温水と混ぜ合わせていく。
この仕込み工程によって、麦芽の”でんぷん質”は、糖分へと変わっていく。
これを、ろ過してから、煮沸しながらホップを加えていく。
(「後編」に続く)



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