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刑事コロンボとの時代


先日、刑事コロンボを演じていた俳優のピーター・フォークが亡くなったことを、
ネット上のニュースで知った。
刑事コロンボと言われても、今どきの若い世代には分からないかも知れない。
「刑事コロンボ」は、往年の人気テレビ映画シリーズの1つ。
NAも、強い思い入れがあった作品で、テレビ放映時は、毎回、欠かさず見ていた。
それに、小説版も、何作か読ませてもらった。

ほとんどの物語は、毎回、犯人側の主眼で進行するため、
捜査が進むたびに現れるコロンボと犯人とのやりとりも、また見物だった。
犯人を追いつめていきながらも、コロンボ(ピーター・フォーク)が見せる、
とぼけた表情が、独特の緊張感を見せていく。
物語終盤には、コロンボの推理と捜査によって、犯人は追いつめられるのだが、
それに対して、コロンボは、別に得意げでもない。
コロンボの捜査手法は、刑事警察の捜査でありながら、
物語には、本格的なミステリーがもつ雰囲気が残っていたのも印象的だった。

蛇足:
故、手塚治虫の人気マンガ「ブラックジャック」の話で、
水頭症を患っている少年が、同じように入院している子供達の前でモノマネをする1コマがある。
「ウチのカミさんが、ね・・・」
これが、”誰”の”何の”マネなのかを聞かなくても分かるほど、
刑事コロンボは、当時、大ヒットした海外ドラマだった。
同じように、水木しげるも、小説版の刑事コロンボシリーズの後書きを書いている。
テレビアニメ版の「ゲゲゲの鬼太郎」でも、警察に拘留された鬼太郎の前にも、
とぼけた風貌の刑事が出てくる。
比較的、近年のものなら・・・。
聖悠生の「超人ロック 冬の虹」においても、
ヨレヨレのコートを着たボサボサ頭の中年刑事フォークが殺人捜査に出てくる。
この風貌で、名前がフォークなんて、ね。

現実の犯罪事件では、捜査陣営が、犯人を逮捕しても、
その後、「有罪」となるかは、別の問題。
事実隠蔽や誘導尋問による告白や証言が、現代の司法裁判では、
無効となる可能性もあり、公判に持ち込めないこともあるからだ。
コロンボのやり方は、あくまでドラマ上でしか使えないものも多かったというのを、
知ったのは、十数年後の話。

「CSI」が、テレビ放映されるまで、
「刑事コロンボ」以上にハマった海外ドラマシリーズはなく。
(「CSI」に関する過去の記事)
刑事コロンボは、TVシリーズで展開できた最後のミステリー・シリーズ作品かも
知れないと思っている。
もちろん、今後も、ミステリーやサスペンスと呼ばれる作品は、
生まれてくるとは思っているが、
CSIのようなクライムサスペンスというジャンルが確立した以上、
名探偵や名刑事の推理が、事件を解いていく本格的なミステリーのスタイルから、
コロンボのような大スターは、生まれにくいとは思う。

1つの時代が終わったんだなぁ。
そう感じてしまうニュースであり、名優への感謝の気持ちを、ちょっと記しておきます。




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視聴者と史実への配慮を感じて・・・。

(画像は、去年8月のもの)
日曜日の朝、芸人の加藤浩次が出ている生活バラエティー番組で、
TVドラマ「JINー仁」に出てきた医療器具や処方薬に関して、
解説を行っていた。
(TVドラマ「JINー仁」に関しての過去の記事)
興味深かったのは、ペニシリンに関するもの。
ペニシリンは、青カビから精製される世界初の抗生物質。
フレミングによって発見されたもので、
学校の教科書にも記されているほどの大発見。
・・・でも、抗生物質って、何?
ウィキペディアや資料を見てみるけど、わかりやすい言い方が、
なかなか思い浮かばない。
このTV番組では・・・。
「悪い病原菌をやっつけてくれる薬」と、ざっくりと説明していたけど。
そんな簡単な言い方で、説明しきれているのかとも思えない。

さて、そんな話題の人気ドラマ「JINー仁」も、先日、最終回となった。
最終回は、医療ドラマとしてより、
タイムスリップというSF的な要素への考証と
時間を超えたロマンスにウェイトを置いたラストとなったが、
原作コミックとは、また異なり、
色々、意見が分かれるところかも知れない。

蛇足:
最終回には、TV番組として…。
”ドラマ上の出来事”と”歴史的な事実”を誤認するような人が
出てこないように配慮したのだなと感じるシーンも見受けられ、
放送作家さんの苦労を感じてしまう。
そう考えてみれば、村上もとかの原作コミックのラストは、
ドラマ制作者への配慮だったのかな?
・・・とも感じられてしまう。
(2019年1月一部訂正)
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