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キリンビール横浜工場見学(2011年編・中編)

(「前回」からの続き)
日本のビールのルーツは、やはり横浜(諸説あり)。
鎖国後の明治時代になってから、
外国人との文化交流地点ともなった地域ということもある。
元々は、横浜の山手にあった工場だが、
1923年の関東大震災によって、全壊し、
「生麦」での生産となった。
キリンビール横浜工場の最寄り駅は、
京急「生麦」駅かJR京浜東北線「新子安」駅になる。
日曜日だけに、雨天でも見学者は多かった。
受付の壁は、メソポタミアの発掘品「モニュマン・ブルー」を模されている。
ちなみに「モニュマン・ブルー」とは…。
紀元前3000年頃にメソポタミアのシュメール人が残したもので、
麦でビールを作る様子を描いた粘土の板碑。

ビールの最古の記録と言われる。
以前にも、何度か見学しているのですが、改装されているらしく。
外観はともかく、また異なった印象もある。



(工場受付にて渡された小冊子より、引用)
ビールの原料は、二条大麦とホップ、そして水になる。
二条大麦は、欧州やオーストラリアのものが選ばれ、
海外の製麦工場で製麦され、「麦芽:Malt」となったものが使われている。
ハーブの一種としても知られるホップは、
ドイツやチェコ産のものが使われている。
ビールに香りと苦みを与え、泡立ちをよくする。
(松かさのような外観だが、花の一種。)
水は、相模湖水系から、パイプで引いているとのこと。
ビール1缶(350ml)に必要な原料は…。
麦芽が、手のひら1杯分。
ホップ、花5個。
水、約3リットル。
上記のほかに、副原料として、米やコーンスターチなども使われる。
副原料を加えることで、色が淡く、よりすっきりとした味わいに仕上がる。

原料である二条大麦が、すでに製麦された”麦芽”になっているので、
工場での作業工程は”仕込み”の段階から、行われることになる。
”仕込み”の作業では、まず麦芽を砕いて、お湯の中へと入れ、
さらに副原料を加えて、でんぷん質を糖分へと分解していく。
その後、ホップを加えて、煮沸し、ビール独特の香りと苦みを引き出していく。
常日頃から、手入れがされているのだろう。
ステンレス製の仕込み釜は、まさにピカピカ。
この仕込みの作業は、お湯(水)の中へと、
ただ麦芽を溶かしていくようにも思え、
仕込み釜の中では、グツグツと煮え立っているようなイメージがあったが・・・。
麦芽の中に含まれる酵素が、でんぷんを分解し、
糖へと変化させる作業でもあるので、ただ熱ければよいというものでもない。
お湯(水)の温度にも、適温が存在する。
約11時間ほどかけて、仕込みを終えると、
ビール独特の香りと苦みを含んだ甘い液体「麦汁」が出来ることになる。
ビールとして出荷するには、さらに酵母を加えて、発酵させることになる。

これらの工程作業の説明には、画像を加えたかったのですが、
工場内の撮影可能なエリアは、受付試飲会場ぐらいで、ほとんど撮影禁止。
これは、昨今の諸々の事情を考えれば、仕方のないところ。
(2019年10月加筆訂正:続く)
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