祭の二日目、話題は自然と、昨夜の『高い山から』は酷かったな、というのになりました。
継承が巧くいっていないんだ、と年長者が愚痴り、そういえば、唄の真の意味も伝わっていないものなーと、言われたのです。
真の意味なんてあるの? とそこにいる者たち全員が不思議に思ったところ、あの唄はな、と裏の意味を語ってくれたのです。
それにより単語だけを変換すると、
高い山=やま=山車 谷底=狭い路地(昔の道です) 瓜やナスビ=瓜顔やナスビ顔(昔の美人) 花盛り=娘盛り あれも良いこれも良い=あの娘もいいな、この娘も良いな
ということでした。
となると歌詞の裏の意味はこうなります。
「屋台の上から下を覗けば、年頃の綺麗な娘がたくさんいる。あの子も素敵だし、この娘もいい女だ」
となるのでしょう。
なるほど、夜の巡行では、曳き別れになるまで歌えなかったわけです。
また、瓜やナスビは、女の顔だったのですね。
艶っぽい意味のある唄ですが、この唄を子供達が元気な声で歌っていたのです。私も大声出して歌いました。
言われてみれば、なんだそうか、と拍子抜けしてしまいそうですが、なんせ習ったのが子供の頃ですから、こういう意味があったとは全く思いませんでした。
また、この地方は高い山に囲まれた町でもありますし、歌詞の意味そのまま信じていたのです。
その昔、町の旦那衆が屋台に乗り、道行を奏でながら厳粛に巡行し、曳き別れの後は、言ってみれば無礼講ですから、酒を飲み、艶っぽい歌を歌いながら、屋台蔵まで帰っていったのでしょう。
優雅な祭だと思います。