昨夜のNHKスペシャル「緊急報告 製造業派遣は何をもたらしたか」のタイトルで、
46万人にのぼる製造業の派遣労働者を巡る問題点が顕在化している。元派遣労働者の中には、働く気力を失い、生活保護を受けなければやっていけない人も多い。一方、企業でも、人件費の安い非正規労働者を活用してきたことで、正社員の間でコスト意識が薄れてしまうなどの問題が起きている。番組では、製造業の現場と「元派遣」たちのその後をつぶさに見つめることで、「製造業派遣」が何をもたらしたのかを明らかにする。 (番組案内より)
と言う内容の放送がありました。
今日は企業側に焦点を当てて非正規社員雇用の問題を考えてみたいと思います。
[製造業へのアンケートの結果]
労働者派遣法規制に
反対 44% 理由:企業の競争力低下、雇用増大に貢献
セイフティーネットを強化すべき
賛成 41% 理由:物作り力の低下、人を人としない物扱いなどの見直しをすべき
[自動車部品の製造企業の例]
規制賛成の企業として、自動車部品の製造企業が紹介された
・需要の急激な増加に伴い非正規社員を導入、売り上げの増加と低賃金の非正規社員の増大に為に(何もしなくて)利益が増大
・需要の低下に伴う非正規社員の整理、利益の減少のため管理体制の見直し
・不良品の急激な増大(年間3000万円にも達した)が業績に大きな影響を与えていることに気付く
・その原因は仕事に追われて不良品発生防止などの従業員の間で行われていた、改善活動が7年間も行われていなかったのに気付く
[私の意見]
この企業の経営者は自社の問題点をマスコミに見せるなど、非常に誠実な人のようです。
その様な人の経営する企業でさえ、低賃金の正規社員の導入による企業収益の増大で、つい企業の合理化や、日本企業の強みだった改善活動などに象徴される、従業員の能力の活用を忘れていたのでしょう。
安易な低賃金の非正規従業員の導入が如何に企業の物作りの力を落としていたのでしょう。
そんな企業の経営者の中には、政府に多様化した労働形態に対応すると言う美名のもとで、労働者派遣法の制定や改正?を要求し、実は低賃金の非正規社員の導入でコスト削減→企業収益の増大してきたのに、そして今回の経済危機に対するリストラでは政府にセイフティーネットの強化を要請するなど、余りにも「おんぶにだっこ」過ぎると思います。
最近の乱発する急激なリストラの報道や、それに関する企業経営者や経団連の発言などみると余りに甘い経営者が多いような気がします。
その一方では労働者派遣法規制に賛成の企業経営者もいることやその賛成の理由を見ると日本も未だ捨てたものではないなと言う気もします。
企業の主張する多様化した労働形態の中には、今までから行われていた、特殊技能者や家庭の主婦のパート、農村などからの出稼ぎの期間工なども問題が有りますが、深刻なのは非正規社員の中にはその収入の全てを自分の生活費に当てている人達です。
不安定な生活で結婚も出来ないためただでさえ大問題の少子化にマイナスの貢献をしている人もいると思います。
国は特にそのような人達に如何に希望を持たせるかを考えるべきだと思います。
私は労働者派遣法など労働関係の諸法規は次のような一定の規制を加えるべきだと思います。
・同一労働同一賃金
・短期の非正規社員にも健康・雇用保険、厚生年金の企業負担
・「離職者に対するセイフティーネットの資金」の創設とそれに対する企業の資金提供義務
この他にもあると思いますが、非正規社員導入に一定のブレーキを掛ける事は、企業が安易な企業経営や規模拡大を避け、日本の強みであった従業員の製材能力の活用など大きなメリットがあると思います。
政府は企業経営にとって麻薬のような労働関係の諸法規の規制緩和には充分留意すべきだと思います。
参照:雇用問題と企業の責任
雇用問題と小泉改革の影
非正規社員の大量解雇と企業の経営者
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